行政不服審査法の施行に伴う嬉野市の対応方針(案) 行政庁の処分に関し国民が行政庁に不服を申し立てる制度(不服審査 制度)について、関連法制度の整備・拡充等を踏まえ、①公正性の向上、 ②使いやすさの向上、③国民の救済手段の充実・拡大の観点から、行政 不服審査法が制定後50年ぶりに抜本的に見直されました。 これに伴い、嬉野市の対応について方針を定め、必要な条例等の整備 を行います。 1.法改正の概要 ○不服申立構造の見直し ・不服申立ての種類を原則として「審査請求」に一元化 ○公正性の向上 ・審理員制度の導入 原処分に関与していない等の要件を満たす「審理員」が審理手続を主宰 ・行政不服審査会等への諮問手続の新設 審査庁の判断の妥当性を第三者機関がチェック ・審査請求人等の手続保障の拡充 口頭意見陳述における処分庁等への質問、提出書類等の謄写など ○使いやすさの向上 ・審査請求期間を3か月に延長(現行60日) ・迅速性の確保等(標準審理期間、争点等の整理手続、情報提供・公表の努力義 務化など) ○救済手段の充実・拡大 ・裁決時に併せて申請認容処分を取る措置を新設 ・「処分等の求め」「行政指導の中止等の求め」等の手続を新設(行手法) 2.嬉野市の対応方針 ○公正性の向上 (1) 審理員制度の導入 【概要】 ・新法の施行後は、審査庁に属し、処分に関する手続に関与していない等の一 定の要件を満たす職員を「審理員」として指名し、審理員が審査請求の審理 を行います。 ・審理員は、審査請求の対象となっている処分の“違法性審査”、“不当性審 査”を考慮した上で裁決案を作成します。 【嬉野市の対応】 ・審理員には、処分庁(処分を行った課)が属する部以外の部の部長職を充て ることにします。 ・除斥事由(処分にかかわった者等(当該処分の合議を受けているような場合 も該当する。))があるのでその事案ごとに指名順位の上位の者から除斥事 由を検討し、原則として1事案につき2名の審理員を指名します。 ・審理員の名簿は、事務所への備え付け及びHPにより公表します。 (2) 第三者機関の新設 【概要】 ・新法では、審査等が裁決を行う前に第三者機関に諮問し意見を聞くこととな っているため、附属機関を設置する必要があります。 【嬉野市の対応】 ・第三者機関である行政不服審査会については、佐賀県に事務を委託すること とします。 (3) 審査請求人の手続保障の拡充 【概要】 ・審査請求人は、審理員又は審査会に対し、提出資料の閲覧及び交付を求める ことができます。 【嬉野市の対応】 ・交付の際の手数料は、行政不服審査法施行令にあわせて1枚10円(カラー 20円)とします。 ・審査請求の受理から裁決までの手続は、以下の流れで行います。 1.審査請求書の送付 審査請求人(市民等)→審査庁(市長等) 2.審理員を指名 審査庁(市長等)→審理員(部長職) 3.審査請求書の送付、弁明書の提出の求め 審理員(部長職)→処分庁(担当課) 4.弁明書の提出 処分庁(担当課)→審理員(部長職) 5.弁明書を送付 審理員(部長職)→審査請求人(市民等) 6.反論書の提出 審査請求人(市民等)→審理員(部長職) 7.参加の許可の願い 参加人→審理員(部長職) 8.参加の許可、意見書の提出の求め 審理員(部長職)→参加人 9.意見書の提出 参加人→審理員(部長職) 〈資料が集まった段階で審理員は必要であれば証 拠書類の提出、参考人陳述、口頭意見陳述を行う。〉 (審査請求人から求めがあれば、資料の閲覧を行 う。) 10.審理員意見書を作成(審理員) 11.審理員意見書を提出 審理員(部長職)→審査庁(市長等) ○使いやすさの向上 迅速性の確保等 【概要】 ・行政不服審査法では、審査庁となる行政庁に対して裁決状況の公表を義務付 けています。 ・行政不服審査法では、審査請求人から審査請求があった場合において審査庁 が行う審理の期間をあらかじめ設定するよう求めています。 【嬉野市の対応】 ・市は処分の類型(根拠法令)ごとの不服申立件数、処理件数、処理内容(認 容、棄却等の別)、処理期間などの情報を公開します。 ・市は、標準処理期間を6か月(審査会へ諮問しない場合の標準処理期間を3 ~4か月)として設定します。 ○条例の対応 【嬉野市の対応】 ・新規制定及び一部改正する条例とその要旨 条例名 嬉野市行政不服審査関係手数料条例 制定・改正内容 ・審査請求における提出書類等の写しを交付す る際の手数料を規定します。 嬉野市情報公開条 ・審理員手続を除外することを規定します。 例の一部改正 嬉野市個人情報保 ・審査会の諮問に対して弁明書の添付を義務付 けることを規定します。 護条例の一部改正 ・文言の整理等 行政不服審査法 嬉野市行政手続条 の施行に伴う関 例の一部改正 係条例の整備に 嬉野市職員等の給 関する条例 与に関する条例の 一部改正 ・文言の整理等 嬉野市固定資産評 価審査委員会条例 の一部改正 嬉野市税条例の一部改正 ・文言の整理等 ※ 情報公開制度及び個人情報保護制度に係る不服申立てについては、これまでも第三 者機関である嬉野市情報公開審査会及び嬉野市個人情報保護審査会が審理員とし ての審理に該当する事項も含めて不服審査を行ってきたことから、今後も同様の取 扱いとするため、審理員による審理の規定を適用しないこととします。
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