「佐賀県立吉野ヶ里歴史公園指定管理候補者選定結果及び総評」

「佐賀県立吉野ヶ里歴史公園指定管理候補者選定結果及び総評」
1.選定結果
申請1団体の、吉野ヶ里パークマネジメントさがの評点は、75.7/100点
となった。最低基準(「施設の平等利用の確保」、「人的能力」、「経理的基盤」
が「適」であり、「管理経費の縮減」を除く、各審査項目ごとの満点の5割に達し
ていること、かつ、「管理経費の縮減」を除く、各審査項目ごとの得点の合計が満
点80点の6割に達していること)を満たしており、指定管理者として特に問題な
い。
2.総 評
県立吉野ヶ里歴史公園は、平成 4 年に閣議決定を受けて設置された国営公園区域
と一体となって遺跡の保全及び歴史公園としての充実を図ることが求められる。そ
のため、本公園の遺跡や歴史的背景に対する管理運営者としての理念の実現が重要
なテーマとなり、なぜその事業が管理運営上必要なのか、公園設置の原点に基づく
理解と提案が必要である。加えて、公園の存在価値は、自然、社会、経済的な環境
から影響を受けるので、国の「観光立国」政策および観光動向、道の駅や他の公園
といった他施設との連携など、立地や環境の分析に基づく提案であることも求めら
れる。以下、選定委員はそれぞれの専門の知見に基づいて審査を行った。
申請団体は、県が示した申請様式をよく理解し、事業計画書を作成され、合成写
真を利用したビジュアルな手法の採用等、提案書の作成に工夫がみられ理解し易い
ものであった。また、提案内容は、これまでの実績を踏まえた現実的な提案であっ
た。審査の過程では、古代景観に配慮する誠実な取り組み、北口の有効活用、県の
政策である「子育てし大県‘さが’」への配慮がされていることを認めた上で、次
の4つの課題への取り組みを期待する意見があった。①夏場・冬場のすごし易さな
ど利用者への配慮の工夫、②パンフレット等の紙媒体のみならず、HP やソーシャ
ルメディアにおける外国語対応、利用目的別のコンテンツ構成など利用者目線での
工夫とそのための分析、③周辺の施設やテーマ性のある観光ツアー(例えば,紅葉)
などと連携するような大局的な意味での集客努力、④国営公園との集客や目的別イ
ベント等の管理運営力を向上させるような戦略的コミュニケーションである。
また、管理運営の概要はロードマップで示されていたが、自己点検への活用まで
は示されていなかった。運営管理のストーリーや手法がモニタリングの場面で機能
し、管理運営の洗練化に寄与できるかは、実際の行動によって決まる。今後は,史
跡を背景とした快適な緑空間の形成に向けての不断の努力と、提案書に示される内
容がミニマムとして固定化せず、自己点検の意識を高くもち,県内外に誇れる公園
とすべく、経営陣と現場スタッフが管理運営に精進していただくことを期待する。
なお、指定管理候補者選定について、今回の方法や選定基準を最善と捉えず、今
回の結果や今後の動向を踏まえた改善が必要であることを付言する。