熊本地震により被災した橋梁の 復旧設計におけるUAVの活用 長陽大橋 ----目次---1.被災状況について 2.橋梁変状調査への活用 3.測量への活用 4.災害復旧でのUAV活用効果 1.被災状況について 1.1 周辺地域全体の被災状況 阿蘇長陽大橋 国道57号 黒川 阿蘇大橋 白川 国道325号 A1橋台背面の道路及び斜面崩壊 周辺地域の被災状況 黒川 戸下大橋 戸下大橋の一部崩落 阿蘇長陽大橋 村道 白川 南阿蘇鉄道 A1橋台背面の道路崩壊 A1橋台背面の道路及び斜面崩壊 1.2 橋梁概要(阿蘇長陽大橋) 【側面図】 橋梁概要 橋 長 :L=276.0m 支 間 長 :L=39.3m+91.0m+91.0m+53.3m 上部工形式:PC4径間連続ラーメン箱桁橋 下部工形式:重力式橋台,壁式中空橋脚 基礎工形式:直接基礎A1橋台,P2橋脚,A2橋台 深礎杭基礎P1(φ3500×4本),P3(φ3500×6本) 支 承 形 式 :鋼製可動支承(A1,A2) 適用示方書:昭和55年 架 設 年 次 :平成5年(1993年) 補修・補強履歴:無し 【断面図】 【平面図】 1.3 阿蘇長陽大橋の被災状況 ○緊急調査で分かった状況 【上部工】路面 おおむね健全 【上部工】 ・路面(舗装面)は使用可能と思われる 【下部工】 ・斜面崩落の影響でA1橋台が崩落(沈下) ・地盤の移動の影響でA2橋台が水平移動 【下部工】A2橋台 水平移動 【下部工】A1橋台 崩落 ※問題点 ・上部工・下部工ともにアプローチできる部分が少なく,被災全 貌を把握できない (課題:精度の高い変状調査の実施) ・地盤とともに基準点も移動しており,位置関係を確定できない (課題:対策実施のための地形と位置情報の取得) A1橋台損傷状況の補足 「日経コンストラクションより」 2.橋梁損傷調査への活用 2.1 調査計画 架橋地点に行くこと自体が困難な中で迅速にかつ精度の高い調査を行うことが目的 【計画上の条件】 1.橋梁点検車など大型の調査機械を使わない方法 2.コンクリートのひびわれは,人が近くに近寄る手法と同等の精度が必要 以上を踏まえ,以下の調査手法を提案し,調査を実施した. 上部工桁下面は, UAV画像撮影及び橋梁 点検ロボットによる調査 A1 P1 P2 P3 A2 下部工はUAV画像撮影 2.2 調査状況 2.3 調査結果 UAVカメラ画像 【上部工】 箱桁外面---UAV画像撮影によるひびわれ図 箱桁内面---人が直接目視確認したひびわれ図 UAV画像による調査と人の目視による調査において,ひびわれ性状がおおむ ね一致しており,高い精度を確保できていることが確認された. 【下部工】 損傷図(P3橋脚) UAVによる画像取得と画像解析によって,橋梁のひびわれ幅0.1mm程度以上 を検出し,損傷程度や損傷範囲を把握することが可能となった. この結果をもとにさらなる追加調査をピンポイントで実施 3.測量への活用 3.1 調査計画 復旧計画を立案するにあたり,被災後の地形状況を把握する必要がある. 但し,不安定化した斜面や地震の影響で測量ができない状況であったことから, UAVによる測量を提案し,実施した. 画像では樹木下のモデルが 出来ない UAVレーザ計測による地形状況の把握(測量)を行う 3.2 UAVレーザ計測について 対象橋梁の近傍は植生が繁茂 YellowScan 機体はエンルート社製を改良 レーザ:vlp-16 IMU:APX15 Sonyカメラ搭載 GNSS観測(VRS方式) UAVレーザ計測について 深い谷の崖面が対象であり対地高度50∼60mくらいを飛行 UAVレーザ計測について 現地にて取得データの確認 計測後10分程度で可能 計測の範囲や断面を出力し飛行高さ などに反映 UAVレーザ計測について Structure from Motionとは・・・ 対象構造物を網羅するように多視点から撮影し、その画像内の特徴点から共通点 を逐次判別し、カメラの3次元位置を特定することで少ない基準点からでも対象構造 物の表面形状をリアルな高密度データとして取得できる カメラ位置 SFM 解析 3Dモデルの作成 撮影写真 UAVレーザ計測について IMUのイニシャライズで旋回 対面飛行 八字飛行 UAVレーザ計測について ∼樹木の除去∼ 取得したデータから樹木を省き地盤のみの点群を作成 樹木あり 樹木削除 UAVレーザ計測について 樹木を取り除いた点群から詳細な地形コンターの作成が可能 樹木除去点 群 サーフェスモデル(面データ) コンターの切り出し UAVレーザ計測について UAVレーザ計測について 従来の航空レーザと比べ,対象との距離が短いためより詳細なデータの取得が可能となった. データは自由な視点から閲覧可能。 公共座標に配置された3次元座標を持つため 座標値や寸法値の参照が可能。 4.災害復旧でのUAV活用効果 素早く,精度の高い損傷状況把握が可能となったことで,復旧計画工程に寄与 詳細寸法の把握が可能となり,撤去計画立案に寄与 ① ② ③ 結果: ①橋台幅 8.502m ②法面えぐれ幅 6.541m ③法面えぐれ奥行き 3.285m 地形情報の精度が高まったため,詳細設計での現地との整合に寄与 LP図 UAVレーザ計測にて詳細を追加
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