2016 年 11 月 22 日 再生可能エネルギーの大量導入に伴う電力需給安定化に貢献 ポルトガルで自動デマンドレスポンス技術の実証事業を開始 ダイキン工業株式会社は、このたび国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)が、ポルトガル共和国リスボン市で実施する、自動デマンドレスポンス技術※1 の実証事 業(以下、本実証事業)の委託先に選ばれました。2016 年 11 月から 2019 年 12 月までの約 3 年 間、実証事業を行います。 欧州委員会は、地球温暖化防止の観点から、2020 年までに EU 全体のエネルギー消費の約 20% を再生可能エネルギーとする目標を掲げています。なかでも、ポルトガルは風力や水力などの再生 可能エネルギーの導入を積極的に進めており、その割合を 31%にすることを目標にしています。 しかし、再生可能エネルギーは、天候など自然環境に左右されるため、電力の供給が不安定で、 今後の利用拡大における課題となっています。その課題の解決に向け、本実証事業では、電力消費 の約 4 割を占めるといわれるエアコンの利用がピークを迎え、電力需要が高まる夏季においても、 電力の需給バランスを調整する仕組みを構築し、再生可能エネルギーを安定的に使えるようにする ことを目指します。 当社は、空調総合メーカーとして、ポルトガルでの実証をふまえて、各国の実情に合ったソリュ ーション提案力を強化し、欧州地域における再生可能エネルギーの更なる普及に貢献していきます。 【事業概要】 本実証事業では、まず、電力の供給量に応じて電力消費の上限を自動で制御できるデマンドレス ポンス機能を付加したビル用マルチエアコンを、リスボン市内の市庁舎や研究所など複数のビルに 設置します。これらを前日の天候や日々のエアコンの使用状況等から電力需要の推移を予測し、消 費量を自動で調整する制御システムと連動させます。そして、空調自動デマンドレスポンス(ADR) システムを構築します。 また、現地の電力小売事業者および複数の中小規模の再生可能エネルギー発電施設を取りまとめ たバーチャルパワープラント(VPP)※2 事業者が、電力供給の調整をします。それらの事業者の協 力を得ることで、再生可能エネルギーによる空調機器の安定的な運転の実証を行います。 本事業イメージ図 【事業背景】 ポルトガルは、風力発電や水力発電など再生可能エネルギーの導入を積極的に進めており、欧州 でも有数の大量導入国となっています。今年の 5 月には連続 107 時間にわたり、国内の全ての電力 消費が再生可能エネルギーでまかなわれたことが記録されました。一方で、今後も再生可能エネル ギーの比率を高めていけば、電力需要ピーク時に、十分な供給ができないのではないかという懸念 もあります。 このような背景のもと、NEDO は、再生可能エネルギーの大量導入に伴う電力需給安定化に貢 献する自動デマンドレスポンス技術の実証事業を、ポルトガル共和国リスボン市で実施することを 決めました。 この実証事業の委託先として当社が選ばれました。これは、欧州市場での空調機器の販売実績・ サービス体制に加え、2011 年 3 月の東日本大震災以降に日本国内で積み重ねた自動デマンドレス ポンス機能の実証経験、および当社のビル用マルチエアコンの遠隔監視・制御システムであるエア ネットの実績が高く評価されたからです。 従来の手動のデマンドレスポンスは、電力が不足した際に、供給側が利用者に通知を送り、電力 使用を抑えるものでしたが、対応が利用者側に委ねられ、電力需給の調整を確実にできるものでは ありませんでした。今回実証する自動デマンドレスポンスは、電力の供給が不足した場合は、電力 消費の上限を自動で制御し、電力需給のバランスを調整します。これにより、再生可能エネルギー 主体の電力供給環境にあっても、電力需給を安定化させることが期待できます。 ※1 自動デマンドレスポンス(ADR):需要家所有機器(例:空調機器)の自動運転管理による電力消費の調整 ※2 バーチャルパワープラント(VPP):仮想発電所を意味し、分散して存在する中小規模の再生可能エネルギー発電設備等を遠隔・ 統合制御し、あたかもひとつの発電所のように機能させるものを指す。
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