命令書の概要(PDF:93KB)

日祥運輸倉庫(株)事件(不当労働行為救済申立て)に係る命令書の概要について
H28.11.22
労働委員会事務局
1
当事者
申 立 人:全日本建設交運一般労働組合栃木県本部(佐野市)、X2(矢板市)
被申立人:日祥運輸倉庫(株)(宇都宮市)
2
申立ての概要
H25.7. 2 当初申立て
①X2の解雇、②A2及びA4に対する配車差別、③A4に対し従業員が行った組合脱退慫
慂は、労働組合法第7条の不当労働行為(不利益取扱い、支配介入)に該当する。
(救済)X2の原職復帰と賃金バックペイ、配車差別と組合脱退慫慂の禁止、謝罪文の掲示
H26.4.22 追加申立て
④A2に対し従業員が行った組合脱退慫慂及び退職勧奨、⑤A2の特別休暇申請の不承認は、
労働組合法第7条の不当労働行為(不利益取扱い、支配介入)に該当する。
(救済)組合脱退慫慂等の禁止、特別休暇不承認の撤回と賃金バックペイ、謝罪文の掲示
H26.6.23 追加申立て
⑥第4回団体交渉で一部議題について回答しなかったことは、労働組合法第7条の不当労働
行為(団体交渉拒否)に該当する。
(救済)謝罪文の掲示及び手交
3
申立てに至る経緯
H25.4
X2解雇(理由:労働条件が合わない、取引先3社からの出入禁止措置等)
H25.4~5
A2とA4の配送業務に偏り
H25.4
会社従業員がA4に対して組合脱退慫慂
H25.9~10 複数の会社従業員がA2に対して組合脱退慫慂及び退職勧奨
H25.10
会社がA2の特別休暇申請を不承認
H25.11
第4回団体交渉。会社が一部議題の回答を差し控え(理由:訴訟内容との重複等)
4
審査経過
H25. 7.30~H27. 8. 4
H27.10.16~H28. 5.10
H28. 8. 4~11. 2
H28.11.22
職員調査(2回)、委員調査(11回)
証人等の審問(5回)
公益委員会議(参与委員の意見聴取1回、合議3回で命令を決定)
命令書写しの交付(両当事者)
5
主文要旨(一部救済)
(1) 謝罪文の手交 (内容)従業員がA2に行った言動に対して会社が適切に対応しなかったこと、
及び第4回団体交渉において一部の議題について回答をしなかったことは、不当労働行為であ
ると認定された旨。当該行為について謝罪し、今後同様の行為を繰り返さない旨。
(2) その余の申立ての棄却
6
判断の要旨
上記2の申立て①~⑥のうち、
④ A2に対する組合脱退慫慂及び退職勧奨について
複数の従業員によるA2への約1時間の組合脱退慫慂等に対し、会社は未然防止の措置をせ
ず、また、これを黙認していたと考えられるため、会社はA2及び組合に対する従業員の反感
や嫌悪感を知りつつこれを利用したものと認められ、これは「支配介入」に該当する。
⑥ 第4回団体交渉で一部議題について回答しなかったことについて
訴訟と団体交渉は目的・機能を異にし、訴訟を理由に団体交渉を拒否することはできない。
会社は訴訟内容との重複を理由に交渉を行えない旨を明言し、誠実な団体交渉を行う意思に欠
ける。交渉が「行き詰まりの状態」にあったとも認められない。したがって、「団体交渉拒否
ないし不誠実団体交渉」に該当する。
①②③⑤について・・・組合の主張を認めるに足る立証はない。
※命令に不服があった場合
再審査申立て:交付日翌日から起算して15日以内(申立先:中央労働委員会)
行政訴訟提起:
〃
6箇月以内(被告:当労働委員会)※被申立人は30日以内