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<資料・研究ノート>東南アジア低湿地の土壌 : その1 マ
ングローブ下の堆積物に由来する土壌
久馬, 一剛
東南アジア研究 (1982), 20(3): 405-424
1982-12
http://hdl.handle.net/2433/56108
Right
Type
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
東 南 ア ジ ア研 究
20巻 3号
1
982年 12月
東南 ア ジア低湿地 の土壌
その 1.マ ング ローブ下 の堆積 物 に由来 す る土壌
久
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剛*
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あ った。 さ らに ま た, この潜 在 的可 耕 地 の う
Ⅰ は
じ め
に
ち約 75% はす で に耕 作 され て お り, 他 大 陸 に
5% 以 下 で あ るの と際立 っ
お け る既 耕 地 率 が 2
1
9
6
7年 に 出版 され た 『世 界 の 食 糧 問題 〔
ー
]
[
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9
6
7] に よ れ ば, 当 時熱 帯
6億 5千 万 - クタ ール の潜 在 的可 耕
圏 に は約 1
た対 照 を み せ て い た。
3倍 ヘ ク タ ー
地 が 存 在 したが , そ の うち の約 1
耕 地 の外 延 的 拡 大 は極 端 な まで に進 め られ ,
ル はア フ リカ とア メ リカ大 陸 に あ り, 熱 帯 ア
南 ア ジアや 東 南 ア ジア 大 陸 部 で は, 潜 在 的可
ジア の シ ェア はわ ず か に 3億 - ク タ ール 強 で
耕 地 はあ らか た耕 地 化 され つ く した の で はな
* 京 都 大 学 農 学 部 ; Fa
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5年 間 の変 化 を 数 字 と して 示 す こ と
そ の後 1
はで きな い が , わ れ わ れ の 見 聞 の限 りで は,
いか と思 わ れ る。 わ ず か に耕 地 化 を ま ぬ が れ
て , い ま も残 って い る土 地 面 積 の主 要 な もの
は, 東 南 ア ジア の 島峡 部 , な か ん ず くそ の
40
5
東 南 ア ジ ア研 究
20巻 3号
低 湿地帯 に分布 す る と考 え て よ い。 そ して東
面 積 も少 な くな く, メ コ ンデ ル タだ けで も一
南 ア ジア諸 国政府 は,現 実 に この低 湿 地 開拓
部 の既 開発 地 を含 めて 2
6
0万 - クタ ール にの
にすで に と りかか って い るので あ る。
VoTongXuan博 士 < ヴ ェ
ぼ る といわれ る (
われ われ は, この よ うな背景 の下 に,東 南
トナ ム ・カ ン トー大学 >か らの 聞書 き)。 こ
ア ジア低 湿 地 の土 壌 につ いて, そ の特 性 や 開
の よ うに, マ ング ローブ下 の堆積物 に由来 す
発 に際 して の問題 点 な どを, 既存 の資料 によ
る土壌 の もつ 潜在 的農 地 と して の重 要 性 は,
りなが ら整理 す る こ とを意 図 した。 こ こで低
東 南 ア ジア にお ける現 在 の土 地 資源 状 況 か ら
湿 地 とよんで い るの は,以上 の文脈 か ら明 ら
み て, か な り大 きい こ とを知 って お く必 要 が
か な よ うに,低 湿 な条件下 に あ る農 業 的未 利
あ る。
用 地 を指 し, 大部 分 はマ ング ローブや湿 地林
(
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)にお おわ れ た状態 にあ る。 こ
I
I マ ング ロー ブ下 の 堆積 過程
の うちマ ング ローブ下 の堆積物 は, 特異 な性
格 を もつ 酸性 硫 酸塩土 壌 (
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974] は二 つ
を生 成 す る し, 湿 地林下 に は有機 質 の泥炭 土
の型 の海岸 を 区別 し, それ ぞれ にお け る堆積
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)が発達 す る。 これ らはいず れ
壌 (
過 程 の差 異 を認 めた 。 一 つ は ope
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ち, 農業 的利 用 に際 して特 別 な考 慮 や処 置 を
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必 要 とす る。
る。 前 者 は海 成 堆積物 が直線 的 な海岸 の前 線
本 稿 で は, まず マ ング ローブ下 の堆積物 に
に,妨害 を うける こ とな く沈積 し, 急 速 に海
由来 す る土壌 を対 象 と して,そ の生 成 ,分類 ,
岸線 が前 進 す る型 を指 して お り, ここで は前
性 質, 改良法 な どにつ いて述 べ る。 東 南 ア ジ
進 型海岸 とよんで お く。 後 者 は入 り組 ん だ河
ア低 湿 地 の 中で, マ ング ローブの 占め る面 積
口や複 雑 に湾入 した海岸 で特 徴 づ け られ,強
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1
97
9]の表 1のデ ー タによ
は ,Chr
く潮 汐 の 影 響 を うける 樹 枝状 の タイ ダ ル ク
れ ば約 500万 - クタール と見積 も られ て お り,
リー クによ って堆積 が起 こるよ うな型 を指 し
その農 地 と して の潜在 力 は小 さ くな い。 また
て お り, ここで は河 口型海岸 とよぶ こ とにす
これ以 外 に も,メ コ ンデ ル タの葦 の原 (
Pl
ai
n
る。
ofReeds
)の よ うに, かつ て マ ング ロ-ブの
これ ら両型 の海岸 にお け るマ ング ローブの
下 にあ った低 湿 地 が, そ の堆積 物 の特異 な性
成立 と堆積過 程 の関連 を考 え る上 で,潮位 の
格 のた め に,現 在 で は カヤ ツ リグサ科 の草本
変動 の幅が重 要 な意 味を もつ
や特 殊 な木 本 (
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潮 位 の呼称 と,半 島マ レー シア の西海岸 にお
の生 育 す る荒 蕪 地 とな って と り残 され て い る
け る潮位 高 の実測値 を例 示 す る。 この表 で a
表 1 東南アジアにおけるマングローブの面積
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97
9
]による。
406
。
表 2に,各種
% とあ るの は,各種 潮位 時 に冠 水 す る頻 度 を,
全満潮 回数 の 100分率 と して示 した もので,
た とえ ば大潮 の満 潮位 MHWSは ,全 満潮 回
数 の2
0%程度 の頻 度 で起 こるのに対 し,小潮
0%の頻 度 で起 こる こ
の満潮 位 MHWN は9
とが わ か る。
前 進 型 のス ム ーズ な海岸 線 で は, その前面
に ,時 と して数 km に も及 ぶ泥 質 の浅 い海 が
広 が るが, ここに MHWN まで堆積 が進 む
久凋 ‥東南 ア ジア低 湿地 の土壌 (その
表
1)
2 潮位の呼称 と各潮位の満潮時冠水頻度 (a),な らびに半島マ レーシアのマ ングローブ 地帯 におけ
る各潮位の実測高 (
海図基準面か らの高 さ,m)
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1
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が起 こ るマ ング ロ
ー ブ の前 縁 で は,
傾 斜 が比 較 的 急 に
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MHWS
MHWN
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な って い るの が認
め られ る 。 つ ま り,
この前 進 型 海 岸 で
は, マ ング ロ ー ブ
が 存 在 して 大 量 の
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有 機 物 を供 給 す る
と同 時 に, 頻 繁 に
冠 水 して還 元 的 な
環 境 が 維 持 され る
期 間 は短 く, ま た
海 岸 線 沿 い にマ ン
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グ ロ- ブ が成 立 す
る帯 域 の 幅 も比 較
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的せ ま くな る こ と
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図 1 Kual
aSel
angor付近のマ ングローブ の模式的断面 (
が わ か る 。 この よ
den[1
974
]によ る)
うに急 速 な堆 積 に
と, マ ング ロ ー ブが 侵 入 して くる(
〕一 度 マ ン
よ って 海 岸 線 が 前 進 して ゆ くた め の前 提 条 件
グ ロ ー ブが 成 立 す る と, 堆 積 速 度 が 速 くな り,
は, 河 川 あ るい は海 流 に よ る土 砂 供 給 量 の 大
MHWS まで 堆 積 が 進 む 。 しか し,
MHWS に達 す る と, 冠 水 の機 会 が 滅ず るの
き さで あ る。
で, 堆 積 速 度 は低 下 す る 。 図 1は半 島 マ レー
の供 給 が 少 な い 条 件 下 に 成 立 す る もの で あ
a Sel
angor付近 の マ ング
シア西 海 岸 の Kual
り, 堆 積 は緩 慢 に しか進 行 しな い。 こ こで も
ロ ーブ の模 式 断面 である。 急 速 な泥 土 の堆 積
MHWN
やがて
これ に対 し, 河 口型 の 海 岸 は 一 般 に 泥 土
まで 堆 積 が進 ん で は じ め て マ ン グ
407
東南 ア ジア研究
ローブが 定着 す るので あ るが, それか らあ と
の堆積 も泥 土 の供 給 に制約 され て急速 に は進
2
0
巻 3号
の ど と く進行 す る。
この硫 酸還 元反応 は De
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まな い。 ただ し, タイダル ク リー クは潮 汐 に
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um な どのヘ テロ トロ- フ によ っ
よ るバ ックア ップを うけ るた め,河 口付近 で
て メデ ィエ イ トされ るが, これ らの硫 酸 還 元
も自然堤 防 で の堆積 が進 み, この部 分 だ けが
菌 は絶対 的嫌気性 菌 に属 し,無 酸 素条 件 の下
MHWS よ り高 くな るが,後 背 湿地 で はほ と
で な けれ ば,硫 酸 還 元 は進 行 しな い。 実 際 に
ん ど堆積 が 起 こ らず, 永 く かつ広 く マ ング
硫 酸還 元 の起 こる条 件 は ,pH につ いて は硫
ローブが安 定 に維 持 され る こ とにな る。 そ し
酸還 元菌 の耐性 によ って支 配 され,下 限 はお
て, ところ によ って は,後 背 湿 地 に泥 炭 質 の
よそ pH 5 で あ り, 上 限 は 9付近 で あ る。
有機 物 が積 もる こ とが あ る。 また, この よ う
また酸化 還元 電位 (
Eh) につ いて は ,SO三の
に有 機 物 の供 給 が多 い上 , 満潮 時 の冠水 が長
不 安 定化 す る電位 として, Pa
t
r
i
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kandRe
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期 にわ た って繰 り返 され るた め に,還 元 的 な
20- -1
80mV を与 えて い る。
[
1
978]は -1
環境 が永 く維 持 され,以下 に述 べ るよ うに,
こ う して生 成 され た S(
-Ⅰ
Ⅰ
)は,硫 酸還 元
堆積 物 中 に大 量 の硫化物 の蓄積 が起 こる。
よ りも高 い Eh(+1
8
0- +1
5
0)です で に生 成
されて い る Fe
2十 と反 応 して,常 温 で は準 安
定 な黒 色 の硫 化 鉄 (
FeS)を沈 殿 す る。
Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ 堆積 物 中 にお け る パ イ ライ トの
Fe2
++S2 -
生成 と蓄積
一般 に, 水 成堆積 物 中で の硫 化 物 の生 成 ・
蓄 積 は,次 の条 件 がみ た されれ ば起 こる。
i
. 海水 な い し汽 水 によ る
ii.
S
O三の供 給
有 機 物 の供 給
マ ング ローブが海水 な い し汽 水 環境下 で成立
す る こ とを考 えれ ば,上 の i
,i
iの条 件 は,
マ ング ローブ下 の堆積 物 に理 想 的 に具備 され
て い る といえ る。
海 水 中に は約 2,
65
0ppm の
S
O三が 存 在
す る。 つ ま り海 水 IB 中 に は 2.
65g の硫 酸
根 が あ る。 この
S
O三 は嫌気 的条 件下 で は次
式 に従 って 還 元 され , S の酸化 数 は (+VI
)
から (
-Ⅰ
Ⅰ
)に減 ず る。
SO孟-+8H++8e-
(
3
)
この Fe
S は X 線 的 に無 定形 で あ るか ,正 方
晶系 の Fe
S で あ るマ ッキ ナ ワイ ト (
macki
-
nawi
t
e) の 不 鮮 明 な 回 折 線 を 与 え る [
van
Br
eeme
n 1
976]O こ の 後 者 の 溶 解 度 積 は
1
0-17.55 [
Ber
ner 1
96
7], 無 定形 FeS のそれ
は1
011619 で あ る。
溶 解 した S(
-Ⅰ
Ⅰ
) の一 部 は, 酸 素 や Fe3+
イオ ンの よ うな酸化 剤 の存 在 で は, 斜 方 晶系
の 元素状 硫 黄 S(
0) に 酸化 さ れ る。 ま た,
S(
0) は
S
O三が酸 性条 件下 で 還 元 され る際
の 中間産 物 と して も生 成 され,一 旦生 成 され
る と比較 的安 定 で あ るた め,海 底 堆積物 中 に
は元素状 硫 黄 が か な り普 遍 的 に存 在す る とさ
れている [
St
umm and Mor
gan 1
97
0]。 こ
S(-l
l
)+4H2
0
(
1
)
こ こで S(
-Ⅰ
Ⅰ
)と した もの は H2
S,HS ,S2
の三 つ の形 を と り, それ らの相 対 的 な存 在 割
合 は媒質 の pH によ って変 る。 (
1)式 の反応
は,有 機 物 の酸化 分解 の反 応 と共役 して,
2CH2
0+So去--- H2
S+2HCO言 (
2)
40
8
FeS
の元 素状 硫 黄 は ,Fe
S と反 応 して直接 パ イ ラ
イト(
pyr
i
t
e)を生 成 す るか,
FeS+S(
0)-
FeS2
(
4)
あ るい は溶 存 す る S(
-Ⅰ
Ⅰ
) と反 応 して多硫化
物 ア ニオ ン (
S乙
)を作 り, その上で FeS
と
反 応 し,グ リー ジ ャイ ト (
等 軸 晶系 の Fe
。
S.)
を経 て, パ イ ライ トを生 成 す る。
久馬 :東南 ア ジア低 湿地 の土壌 (
その 1)
Fe3S4 -
FeS2+2FeS
(
5)
。
and Pons 1
9
74]
こ う して生 成 す るパ イ ライ トの溶 解 度 積 は,
S(
0)の存 在下 で は 1
027・
6 の オ ー ダ ー とな り,
FeS に比 し 1
0オ ー ダ ー程 度 低 い。 この こ と
が Fe
S-FeS2 へ の変 化 の動 因 とな って い る
[
vanBr
e
emen 1
976]
。
I
V
酸 性 硫 酸 塩 土 壌 の生成
a. 硫 化 物 含 有 堆 積 物 の酸 化
上 記 の過程 で パ イ ライ トを蓄 積 した堆 積物
た だ し, これ らのパ イ ライ ト生 成機 構 の 中
把 は S(
0)また は Sま の生 成 を前 提 と して 含
が 陸化 し, 脱 水 ・熟 成過 程 に入 る と, 酸 素 の
存在 の下 で次 の よ うな諸 反 応 が起 こる。
んで お り, 元素 状 硫 黄 の生 成 を促 進 す るよ う
な条 件 が , パ イ ライ トの生 成 を も促 進 す る。
FeS2+; 02+2肘
先 に 述 べ た 前 進 型 海 岸 と 河 口型海 岸 に お け
るパ イ ライ トの 蓄 積 を 考 えて み る と, 前 者
よ り も後 者 で蓄 積 量 が高 い のか一 般 で あ る。
Di
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montandWi
j
ngaar
den[1
974] の調 査例
で は, 前 者 で0.
5%以下 , 後 者 で 1.
5%以上 と
報 告 され て い る。 河 口型 海 岸 で は, す で に述
べ た よ うに, 堆 積 が急速 に進 ま な いた め に長
-
Feュ
++2S(
0)+H2
0
(
1
)
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(
2)
2S(
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02+2f
i2
0
-
2SOi +4H+
(
3)
S
時 間 にわ た って還 元 的環 境 が維 持 され , Fe
これ らの反 応 は, 純 化 学 的 に は い ず れ も緩 慢
を生 成 しつ づ け る とい う こ と と と もに, 複 雑
2) 式 の 反 応 の - I
に しか進 まな い。 特 に (
な海 岸 線 の た め潮 汐 による水 の擾 乱 が 激 し く,
フ タ イ ム は pH 3 で 1,
000日の オ ーダ ーで あ
これ が溶 存 硫 化 物 の 限 定 的酸 化 を ひ き起 こ し
る [
St
umm and Mor
gan 1
970]。 しか し,
て 元素 状 硫 黄 を生 成 し易 い こ と も, パ イ ライ
(
2)式 の Fe2十-Fe3
' の酸 化 反 応 も, (
3) 式
トの 蓄積 に寄与 して い る と考 え られ る [
van
Br
eeme
n 1
976]
。
0)
-SO三 - の 酸 化 反 応 も, 微 生 物 に
の S(
よ って メデ ィエ イ トされ る と, きわ めて速 や
この よ うに 硫 酸 還 元 に よ って 生 成 され る
か に進 行 す る。 前 者 は鉄 バ クテ リア Thi
oba-
S(
-Ⅰ
Ⅰ
)は, 最 終 的 に はパ イ ライ ト (
FeS2) と
して安 定 化 され , 堆積 物 中 に蓄 積 され る 。 実
r
r
obaci
l
l
usfe
r
r
ooxl
'
ci
l
l
usfe
r
r
ooxi
dansや Fe
obaci
l
l
ust
hT
'
00Xi
dans
dansに よ り,後 者 は Thi
際,海 底 堆 積 物 につ い て, 還 元 型硫 黄 化 合 物
を は じめ とす る Thi
obacl
'
l
l
i に よ って メデ ィ
を分 別 定量 して み る と, パ イ ライ 1
、態 硫 黄 が
エ イ トされ る。 この よ うに, 化 学 的酸 化 と微
5%以 上 を 占め るのが 一 般 で あ り, そ
全 体 の9
生 物 的酸 化 の共働 の下 で パ イ ライ トの初 期 的
の ほか に元 素状硫 黄 ,有 機 態 硫 黄 な どが存 在
酸化 が進 む と, 生 成 す る硫 酸 に よ って媒 質 は
す るが ,Fe
S 態 硫 黄 は きわ めて少 量 しか 存
急 激 に酸性 化 され る。 か くて媒 質 の pH が
在 しな い。 通 常 の硫 化 物 含 有 海 底 堆 積 物 の
3以下 と もな る と, 土 壌 溶 液 中 に は Fe3
+イ
中で は ,Fe
S態 の硫 黄 は全硫 黄 の0.
01%以下
3
十を酸 化 剤 とす る
オ ンが溶 存 し, 次 に は Fe
6%
しか含 まれず , 黒 色 を 示 す 底 質 中で も0.
パ イ ライ トの酸 化 が起 こる。
を 超 え る こ とは ほ とん どな い と され て い る
FeS2+2Fe3十-
[
Ber
ner 1
971
] 。パ イ ライ トの蓄 積 量 は乾 燥
堆 積 物 重 あた り 1- 4%程 度 が普 通 で あ り,
まれ に は 5%以上 に も 達 す る
[
Moor
mann
3Fe2
++2S(
0) (
4)
0
2S(
0)+1
2Fe3++8H2
-
1
2Fe2
'+2SO呈-+1
6H' (
5)
409
東 南 ア ジア研究
この両式 を結合 す る と,
Fe
S2+1
4Fe3十十8
H2
0
-
1
5Fe2
'+2SO孟 +1
6H+ (
6)
がえ られ る。(
6)式 の反 応 のハ ー フタイ ム は,
20-1,
000分 のオ ーダ ーで あ り [l
'
bi
d.
],パ イ
ライ トの酸化 は きわ めて 速 や か で あ る。 ま
2
+ は, 鉄 バ クテ リ
た, ここで生 成 され た Fe
3
+ に酸化 され, さ らにパ イ
ア によ り再 び Fe
ライ トの酸化 にあず か る。
20巻 3号
以上 のよ うなパ イ ライ トの酸化過程 は, そ
のま ま,硫化 物含 有 堆積物 の化 学 的熟 成過程
で あ り,酸性硫 酸塩土壌 の生 成過程 にほか な
らな い。酸性 硫 酸塩土 壌 に特徴 的な ジ ャロー
サ イ トの斑紋 を もつ粘土 質堆横物 を c
a
tc
l
ay
と もい うが, これ は オ ランダ語 の Ka
t
t
e
kl
e
i
か ら 来 て お り, もと もとは ジ ャローサ イ ト
を含 む 堆積物 の色 と コン シス テ ンスが 猫 の
糞 に似 てい る ところか らの命 名 で あ る とい う
[
Andr
i
e
s
s
e 1
9
7
2 。また ,酸 化 して c
a
tcl
ay
]
生 成 され た酸 の溶脱 や,天 然 あ るい は人 為
によ る中和 が進 み ,媒質 の pH が > 3とな る
と, (
2)式 の反 応 によ り生成 され た Fe3十は,
加 水分解 を うけて沈殿 し,
Fe3'十 3
H2
0-
Fe(
OH)
3十3f
I十(
7)
非 晶質 加水 酸化 鉄 (
br
own gel
)の褐色 の斑
紋 や, 結 晶度 の 悪 い ゲ -サ イ ト (
goe
t
hi
t
e
,
を生ず るよ うな硫化 物含有 堆積物 の ことを,
mud cl
ay と よ ぶ こ と が あ る [
Moor
ma
nn
1
9
63] 。
b. 酸化 生 成物 の行 方
パ イ ライ トの酸化 によ って生 成 す る酸 の総
量 は次式 で与 え られ る。
αFe
OOH)の黄樺色 の 斑紋 を 形 成 す る 。 し
か し ,pH 4 程 度 まで の 中度 の 酸 性条件下 で
3
'が 部 分 的 加水 分解 を うけて 生 じた
は ,Fe
Fe(
OH)
2
'か ら,次 の反 応 によ り ジ ャローサ イ
ト(
j
a
r
os
i
t
e)が生 成 す る。
3Fe(
OH)
言+2SO孟
l+K+
-
KFe3
(
SO4
)
2(
OH)
6 (
8)
ジ ャローサ イ トには K+ の 代 りに Na+ や
H。
0+ を含 む もの もあ るが, 酸性 硫 酸塩土 壌
中に 見 出 され る も のの 多 くは K+を 含有 す
る。
ジ ャローサ イ トはよ くス トロー ・イ エ ロー
とよばれ る淡 黄色 (
典型 的 に は 2.
5Y 6/
8-
8
/
8) を呈 し,糸板状 ,管状 ,膜状 な どの斑紋
と して土壌 中 に存在 す る。 この特徴 的 な色 の
た め に, 酸性硫 酸塩 土壌 あ るい は c
a
tc
l
ay
(
下 記参 照) を 現 場 で識 別す るの に 役 立つ。
ジ ャローサ イ トは 媒質 の pH が > 4とな る
と,加水 分解 を うけて ゲ -サ イ トを生 ず る。
KFe3
(
soヰ
)
2
(
OH)
6
4
1
0
3Fe
OOH+2SO三
一+K'+3H+ (
9)
Fe
S2 ・誓 02 Ii H2
0
- Fe(OH)3+2SO孟-+4H+
(1
0)
す なわ ち, 1モル の パ イ ライ トあた り 4当量
の酸 を生 成 す る。 この大量 の酸 のかな りの部
分 は彦透 によ り, あ るい は地表 -拡 散 の の ち
表面 水 とと もに失 われ る と思 われ るが,残 り
は 土 壌 中の 塩 基性 物質 と 反 応 して 中和 され
る。 最 も 有 効 に この酸 を 中和 す るの は, 堰
積物 中 に含有 され る生物 的, 非生物 的起 源 の
cac03 で あ り, タイ国 のバ ンコ ク平野 に は
石 灰 質 の硫 化物 含有 堆積物 の存 在 が知 られ て
い る。 ここで は, 中和反 応 の結 果生 じた多量
SO . が,石 膏 の微 細結 晶 の ネス トや,
の Ca
長 さ数 c
m に及 ぶ棒 状結 晶 と して土 壌 中に見
出 され る。 特 に, メ クロ ン川 や タチ ン川 の堆
積物 や河 川水 中 には Ca
CO
。
の含量 が高 く,
バ ンコ ク平 野 西部 に石 膏含 有土 壌 の分布 が広
い。 この よ うに,堆積 物 中の Ca
CO
3
含量 が
十 分 高 いか,流 入 す る水 の アル カ リ度 が十分
高 い場 合 には,硫 化物 含有 堆積物 か ら生 成 し
久馬 :東南 アジア低湿地 の土壌 (
その 1)
た土 壌 で も強 い酸性 を示 さず , したが って典
ど も湛 水,排 水 の繰 返 しの 中で, 徐 々 に脱 着
型 的酸 性硫 酸塩土 壌 とはな らな い 。 この よ う
あ るい は加 水分解 され て排 水 中 に失 われ る。
に,酸 性 で はあ るが ジ ャローサ イ トが 出現 せ
か くて最 終 的 に は,土 壌 水 の無 機 酸性 が 0に
ず , 非酸性 海 成 沖積 土 へ の移行 的 な段 階 にあ
な る ところまで pH は 上 昇 して 安 定化 す る
る土 壌 を ,Pons[
1
973] はパ ラ酸性 硫酸 塩 土
と考 え られ る。 そ の条 件 は H十 と HCO;が
壌 (
par
aaci
ds
ul
f
a
t
es
oi
l
s
) とよんで い る。
等 濃度 にな る点 と して与 え られ, 次式 で表 さ
CaCO
。
以 外 に も, 易 風化性 の一 次 鉱物 や
二 次 鉱物 は,硫 酸 と反 応 して破 壊 され,塩 基
含 有 量 の低 い,難 風化 性 の二 次 鉱物 に変化 す
れ る。
pH
-+ (PK
H +pK1-1
ogPc。2
)
(ll
)
る と同時 に, 酸 を 中和 す る。 これ らの 中和
こ こで KH はヘ ン リー の法 則 の恒 数 (
l
o一l
.
5
)
,
反 応 の 生 成物 の 中 に は, 単 純 な硫 酸塩 や 上
K.は炭 酸 の 第 一次解離 恒 数 (
1
0 61
4
)
,pc02は
述 の ジ ャローサ イ トの ほか に, 水溶 性 の ナ
C では
炭 酸 ガス分圧 で あ る。25o
トリウム明 はん (
Naal
um,NaAl(
So且
)
,・1
2
, クマル ジ ャイ ト (
t
amar
ugi
t
e, NaAl
H2
0)
pH -3.
95-i l
ogP。。ヱ
(1
2)
, ピッカ リンジ ャイ ト (
pi
ck
(
SO4
)
2・6H2
0)
と書 け, 土 壌溶 液 の Pc
02が しば しば 1
0 1-
er
i
ngi
t
e,MgA1
2(
SO.
)
.・22H2
0)
,- ロ トリカ
51
0 2 の範 囲 にあ る こ とか ら ,pH はほぼ4.
イ ト(
hal
ot
r
i
chi
t
e,FeA1
2(
Soヰ
)
4・22H2
0)
,ロ
5.
0とな る。 す なわ ち, 酸性 硫 酸塩 土 壌 中の
ゼ ナイ ト (
r
ozeni
t
e,FeSO4・2H2
0)な どが
硫 化 物 がす べ て酸化 され,生 成 した酸 がす べ
あ り, 乾 季 に 地表 や掘 割 の 断面 に 析 出す る
て排 除 され た時 の土 壌 pH は ,4・
5-5.
0の範
[
van Br
eemen 1
976]。
囲 に落 ち着 くこ とが わ か る [
van Br
eeme
n
-
この よ うに,土 壌 鉱物 と反 応 して部 分的 に
1
975]。
中和 され る結 果 ,石 灰 質 の堆積物 に 由来す る
パ イ ライ トの酸 化 によ って生 成す る もう一
土 壌 や, 酸化 の初 期過 程 にあ る ご く未熟 な土
つ の成 分 で あ る加水 酸化 鉄 は,最 初 は無 定形
壌 を除 けば, 大部 分 の酸 性硫 酸塩 土 壌 の pH
で褐色 の 斑紋 を 作 るが, 熟 成 が 進 む につ れ
は 3- 4の 範 囲 にあ る。 va
nl
i
r
eeme
n and
ゲ ーサ イ トにな り,黄樺 色 の斑紋 とな る。 酸
Wi
el
e
maker[1
974]はバ ンコク平 野 の土 壌 で,
性 硫 酸塩 土壌 の 中 に は B 屑上 部 に赤 い斑紋
ジ ャローサ イ トを含 む B 屑 の pH は ,3.
6-
を有 す る ものが あ り ,va
n Br
eeme
n[
1
976]
3.
8とせ まい範 囲 に収 れ んす る こ とを認 めた 。
は これ を ヘ マ タイ ト (
haemat
i
t
e
,αFe2
03) と
これ は緩慢 な酸 生 成 がつづ く条 件下 で,無 定
考 えて い る。 赤色 の斑紋 を もつ ものが, 乾 燥
形 の ケ イ酸 や, カオ リナ イ ト,Mg2'や A】3'
の強 いバ ンコク平野 西 部 の地形 的高所 に多 く
で飽 和 したバ イデ ライ トな どの粘 土 鉱物 , 酸
み られ る ことか ら,彼 はゲ -サ イ トの脱 水 に
化鉄 , ジ ャローサ イ ト,塩 基性 硫 酸 アル ミニ
よ りヘマ タイ トが生 成 す る と説 明 して い る。
Al
(
OH)
SO.
) な どの鉱 物 か らな る多相
ウム (
しか し,湿 潤 な半 島部 の土 壌 に も赤 色 の斑紋
系 の 平衡 によ って 強 い緩衝作 用 が働 き ,pH
を もつ ものが あ り, これ らの土 壌 が強 い酸性
が安 定化 され る結 果 で あ る と して い る。 pH
を示す こ とか ら ,va
n Br
eeme
n 白身 ,乾 燥
が 4を超 え る とジ ャロ-サ イ トな どの塩 基性
以 外 に も, 強 い酸性 が なん らか の機 構 で -マ
硫 酸塩 の加水 分解 が起 こ り ,pH を押 し下 げ
タイ トの生 成 にあず か って い る と して い る。
る方 向 に働 くが, さ らに中和 が進 む と,最 後
小 島 ・川 口 [
1
968] もタイ国産 酸性 硫 酸塩 土
に残 る少 量 の吸着 憩 SO三
一や Al
(
OH)
SO4な
壌 の斑紋 の鉱物 種 を 同定 し, ゲ -サ イ トが普
41
1
東 南 ア ジア研 究
20巻 3号
遍 的 にみ られ る ことを報 告 して い るが, ヘマ
また ,Gi
gl
i
ol
iandThor
nt
on[1
965] は, ガ
タイ トは同定 され なか った。
ンビアで マ ング ローブ下 の泥土 中に カキが棲
息 して い る例 を報告 して い る。 これ らの生 物
C. 酸 性硫 酸塩 土壌 の生 成 にお け る生物 の 役
的 な CaCO 。集積 が, パ イ ライ トの酸化 過程
にお いて重要 な意 味 を もっ こ とは, す で に述
割
マ ング ローブ下 の堆積物 中 に硫 化物 が蓄積
べ た とお りで あ る。
す る過程 で も, 堆積 物 の陸化熟 成 に伴 うパ イ
ライ トの酸化 過程 で も, 微生物 の 働 き が き
わ めて大 きい こ とは上 にみて きた とお りで あ
Ⅴ 酸性硫 酸 塩土壌 の分類
る。微生 物 作用 の重 要性 を示 す もう一 つ の例
Mudcl
ay とよばれ る還 元 的 な硫 化物 含有
と して ,Si
ngerandSt
umm [1
970]のデ ータ
堆積 物 は,潜 在 的酸性硫 酸塩土 壌 (
pot
ent
i
al
l
y
を 引用 しよ う。 彼 らは 9×1
04 M/βの Fe2
+
aci
ds
ul
f
at
es
oi
l
s
)とよ ばれ る ことが あ り,こ
5 の溶 液 を大気 中 に放 置 した
を含 む pH<3.
こで は これ らの未熟 成 堆積物 を も含 めて,酸
場 合 ,1
50日間 に全 Fe2
+のわず か 5% だ け し
性 硫酸塩土 壌 の分類 を考 え る。
か酸化 され なか った の に対 し, 同 じ条件下 で
現在 の ア メ リカの 土 壌 分類 体 系 は Soi
l
06
鉄 バ クテ リアを働 かせ た場 合,酸 化速度 は 1
Taxonomy [
USDA 1
975] の名 で知 られ,
倍 以上 に高 め られ た と報 告 して い る。
世界 的 に広 く使 われ て い るが, この 中で酸性
この よ うな微 生物 の働 きの重 要性 はよ く知
硫 酸塩 土壌 の分類基準 とな って い るの は, 吹
られて い るが, それ以外 に も動物 が酸性硫 酸
の二 つ の特 徴 で あ る。
塩 土壌 の生 成 に大 きい役 割 を果 たす場合 が知
i
.s
ul
Bdi
c 物 質-
>0.
75% (
乾 燥垂 あ
た り) の S を硫 化物 の形 で含 み, かつ S 含
られて い る。
Andr
i
es
s
ee
tal
. [1
973]は,サ ラワクの汽水
量 の 3倍 以 下 の CaCO
3
当量 を 有 す る もの
性潮 間域 で ,しば しば mud l
obs
t
er(
Thal
as
-
で, 酸化 されれ ば次 に述 べ る s
ul
f
ur
i
c 層を
20cm 程度 ま
s
i
na anomal
a)が, 地表 か ら 1
生 成 す る。
で の下 層 にあ る未熟 な硫化 物含有 堆積物 を地
i
i
.s
ul
f
ur
i
c 層-
無機 あ るい は有機土 壌
表 に もた らして, 高 さ 1
5
0cm に及 ぶ塚 を作
5(1:1水 懸濁 液)で,
物 質 よ りな り ,pH<3.
る こ とを報告 して い る。 このた め地表 堆積物
ジ ャ ローサ イ トの斑紋 (
色 相 2.
5Y よ り黄色
が硫化 物 を含有 して い ない場合 で も,下 層 か
で,彩度 > 6) を有 す る層位 。
らもち上 げ られ た mud cl
ay の 酸化 で cat
cl
ay を生 ず る こ とにな る
。
この塚 の 底 面 の
前者 の s
ul
Bdi
c物 質 の存 在 は潜在 的酸性 硫
酸塩土 壌 の分 類基準 と して,後 者 の s
ul
r
ur
i
c
直径 は 1- 2m に及 び, これ らの塚 が全面 積
層は (
顕在 的)酸 性硫 酸塩 土壌 の分類 基準 と
の4
0% を 占め る場 合す らあ る。 したが って農
して用 い られ る。
地 を造 る場 合, 塚 を こわ して平 坦化 す る必 要
FAO/UNESCO の世 界土 壌 国 の 凡例 中で
atcl
ay を
が あ り, そ うす る こ とによ って c
ち, 上 と同 じ分類 基準 が 援用 され , t
hi
oni
c
全面 に広 げ る結果 にな り問題 を生 じて い る。
な グル ー プを分 け るの に用 い られ て い る。
比較 的乾燥 した気候 下 に あ るマ ング ローブ
van derKevi
e [1
973] は表 3のよ うに酸
で は, 堆積物 中に い る節 足動物 や軟 体 動物 に
性 硫 酸塩土 壌 を , Soi
lTaxonomy 方式 と
が起 こる こ とが知
よ る二 次 的 な CaCO 。集積・
FÅo/UNESCO 方式 によ って列 挙 し, 両 方
られ て い る [
Moor
mann and γons 1974]。
式 を対比 して い る。Soi
lTaxonomy 方式 で
41
2
久 馬 =東 南 ア ジア低湿 地 の土壌 (
その 1)
は, 潜 在 的酸 性 硫 酸 塩 土 壌 で典 型 的 な もの は
3は示 して い る。 上 記 の分類 基準 を厳 密 にみ
Sul
f
aquent
s 大群 (
Ent
i
s
ol 目, Aquent 亜
た して いな い た め に, 他 の大 群 に分類 され た
目)に属 す る無 機 質土 壌 と , Sul
ihemi
f
s
t
s大
もの の 中 に も, 多少 と も酸性 硫 酸 塩 土 壌 的 な
群 (
Hi
s
t
os
ol 目 ,Hemi
s
t亜 冒)に属 す る有
性 質 を示 す ものが あ るが , これ らは s
ul
i
fC亜
機 質 土 壌 で あ り, (
顕 在 的) 酸 性 硫 酸 塩 土 壌
群 と し, 典 型 的 酸性 硫 酸 塩 土 壌 へ の移行 型 と
で 典 型 的 な もの は Sul
f
aquept
s 大群 (
I
ncep-
して 分 類 され て い る。 FÅo/UNESCO 方式
t
i
sol目,Aquept亜 日)に属 す る無機 質 土 壌
で は, 潜 在 的, 顕 在 的 を問 わず ,s
ul
idi
f
c物
f
ohemi
s
t
s大 群 (
Hi
s
t
osol 目 ,Hemi
s
t
と ,Sul
質 か sul
f
uri
c 層 を もつ も の は す べ て Thi
亜 目) に属 す る有 機 質 土 壌 で あ る こ とを , 義
oni
cFl
uvi
sol
s と して 分類 して お り, 移行 型
-
表 3 US
DA の Soi
lTaxonomy方式 と FAO′
/
UNESCO 方式 による酸性硫 酸塩 土壌 の分類
a. Pot
ent
i
al
l
yaci
ds
ul
f
at
es
oi
l
s
Cl
i
mat
i
c
Zone
USDA
Mai
nChar
act
e
r
i
s
t
i
c
s
Wor
l
dSoi
l
Map
Mai
nChar
act
e
r
i
s
t
i
c
s
pH (
1:1wat
er
)or
dr
i
e
ds
oi
l<3.
5w
it
hi
n
5
0cm i
rn>1
.
0;wi
t
hi
n
3
0cm i
rnく
一
/1
.
0
Thi
oni
c
Fl
uvi
s
ol
s
pH (
KCl
)ofdr
i
eds
oi
l
二
\
3.
5wi
t
hi
n1
25cm
Wor
l
dide Su伯c
w
pH (
I:1wat
er
)or
Hydr
aque
nt
s dr
i
eds
oi
l、
\4.
5i
n
upper25c
m,ormor
e
aci
dbe
t
we
e
n5
0and
l
OOc
m,n>0.
7bet
we
e
n
2
0and5
0cm
Thi
oni
c
Fl
uvi
s
ol
s
Somet
hatar
el
es
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Sal
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omet
i
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hatme
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saci
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Hydr
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Thi
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Nots
umci
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l
yac
i
df
or
Thi
oni
cFl
uvi
s
ol
sbut
me
e
t
sr
e
qui
r
e
me
nt
sf
わr
Su帆CHydr
aque
nt
s;
nons
al
i
ne
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l
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東 南 ア ジア研 究
2
0巻 3号
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につ いて は酸性 硫 酸塩土壌 的 な性 質 を もつ こ
ら 30cm 以 内 に sul
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c 物 質が 出現 す る。
とを,分 類名 か らは うか が いえ な い。
有 機 質土 壌 の場合 , 地表面 か ら 1m 以 内 に
潜 在 的酸性硫 酸塩 土壌 で あ る Sul
f
aquent
s
の場 合 に は ,n 値
1)
≧1.
0の未 熟 な もので は ,
s
ul
丘di
c 物 質 を有 す る もの は, そ の有機 物 が
セ ンイ質 で あ る (
ibr
f
i
c 物 質)か, あ るい は
地表面 か ら 50cm 以 内 に,また n値 < 1.
0の
分解度 が高 い (
s
apr
i
c 物 質)かを 問わず ,す
や や物理 的熟 成 の進 んだ もので は, 地表面 か
蝕 emi
s
t
s と して分類 す る。
べ て Sul
1
) n 値 :堆積物 の 物理的熟成度 の指標。 十分熟
(
顕在 的) 酸性硫 酸塩土壌 の 場 合 で も, 有
成 した ものの n値 <0.
7,未熟 な ものの n値 ≧
ul
f
ur
i
c層 が地表面 か ら 50cm
機 質土壌 で は s
1.
00
以 内 に出現 す る こ とだ けを重 視 し,有機 物 の
41
4
久 馬 :東南 ア ジア低湿 地 の土壌 (
その 1)
分解 度 を 問わず Sul
f
ohemi
s
t
s と分類 す る。
f
ur
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c層 の規 定 か ら外 れ るた め に ,Tr
opaque-
無 機 質土 壌 の場 合 は ,や は り s
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ul
iC 亜 群 , Sul
f
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f
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s大群 中の s
0cm 以 内 に 出現 す る こ とを条件 と
表面 下 5
pt
s と分 類 され るよ うにな る。 さ らに熟 成 が
す る。 この場 合 s
ul
r
ur
i
c 層 の存 在 は, 十 分
進 んで,表 層 5
0cm 以 内の pH は > 4 とな
に物 理 的 ・化 学 的熟 成 が進 んで い る こ とを前
0り, ジ ャロ-サ イ トも な くな ったが, 5
提 とす るか ら,必 然 的 に Aquept亜 目に属 す
15
0cm の範 囲 に pH<4で かつ ジ ャローサ イ
る こ とにな り, Sul
f
aquept
s と分 類 され る。
トを 含 む 層 位 が 出現 す る 場 合 も, 同 じ く
0cm
酸 性硫 酸塩 土 壌 の熟 成 が進 み ,表 層 5
Sul
ic Tr
f
opaquept
s と分類 され る。 た だ し,
以 内 に ジ ャローサ イ トは残 って い るが,土 壌
これ ら二 つ の Sul
icTr
f
opaquept
sが,亜 群 よ
pH が 3.
5-4まで上 昇 した よ うな場 合 ,s
ul
-
り下 の レベルで細分 され るの は当然 で あ る。
(
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(
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978
])
41
5
東 南 ア ジ ア研 究
20巻 3号
タ イ国バ ン コク平 野 の酸性硫 酸塩土 壌 の大部
土 壌統
分 は ,上 述 の いず れか の Sul
icTr
f
opaquept
s
Bangkok (
B)
で あ る。 この分類 で 問題 とな るの は ,pH が
<4で あ りなが ら, ジ ャローサ イ トの 出現 し
な い 土壌 で あ り, これ は Typi
c Tr
opaque-
pt
s と分 類す る以外 にな い。
f
aquent
s
潜在 的酸性硫 酸塩土 壌 で あ る Sul
か ら Sul
f
aquept
sを経 て ,さらに Sul
icTr
f
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と, 図 2の よ うで あ る。
級
区分
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Rangs
i
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Rs
)
aquept
s に至 る熟成 過程 と, そ の 間 に み ら
れ る土 壌 断面 の諸 性 質 の変化 を模式 的 に示 す
適性 分
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(
Rva)
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orpaddy
酸性硫 酸塩土 壌 は, 各 国で古 くか ら使 われ
B は非酸性 海成沖 積物 ,Ra は河成 沖積 物 由
て きた土壌分 類 の 中で は, マ ング ローブ林 土
cTr
opaqueptで,水 稲栽 培 (
P)に
来 の Typi
s
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l
sormangr
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or
es
t
)とよばれ た り,
壌 (
,Rva はいず
対 す る制 限因子 はな い。S,Rs
al
l
uvi
als
oi
l
s
)の低位 分類 と して扱
沖 積土 (
れ も酸性硫 酸塩 土壌 で あ り, 各適性等 級 に入
われ る こ とが 多 か ったが, 北 ヴ ェ トナ ム で
る土 壌続 の 中で最 大 の分布面 積 を もつ もので
ci
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l あ るい は al
umi
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あ る。 す べ て に共通 して酸性 が 障害 とな る こ
s
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Fr
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9
61
],また カ ンボ ジアで は
とを ,等 級記号 の あ とに
al
umi
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Cr
oc
ke
r 1
96
2] な ど と命名 され
ncTr
opaquept
,Rva
あ る. S と Rs は Sul
て いた。 これ らは いず れ も, フ ランス領 で
は Typi
cSul
f
aquept と分類 され る。
あ った時代 に s
olal
un6 とよばれ て いた こ と
の名残 で あ ろ う。
"
a
'
'を付 して示 して
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表 4に示す よ うに ,供試土 壌 は Raが s
cl
ayl
oam で あ るのを除 けば, すべ て he
avy
cl
ayで あ る。pH は酸性 硫 酸塩 土壌 で はいず
VI 酸性 硫酸塩 土壌 の肥沃 度的性 質
顕在 的 な酸性硫 酸塩土壌 だ けに限 って も,
れも
<5
で あ り, 中で も
Rva は 表 層 で も
3.
0-3.
9を 示 す。 土 壌有 機 物 (
腐 植)含 量
は, 酸性 硫 酸塩土壌 の方 が対 照 の非 酸性硫 酸
その熟 成 の程度 によ り性 質 に大 きい変 異 が み
wa
gucbi
塩土 壌 よ りも 高 い。 この こ とは Ka
られ る こ とは,上 述 した ところか らも明 らか
で あ る。 本 節 で は,作 物栽 培 に直接影 響す る
1
96
9] も認 めて お り, 有機炭
and Kyuma [
素含 量 は 酸性 硫 酸塩土壌 で は 1.
93±0.
54%
ところの大 きい, 酸性硫 酸塩土 壌表 土 の肥 沃
(
n-ll
)
,非酸性海成 沖積 土 で は1.
28±0.
3
4%
度 的性 質 につ いてみてみ よ う。
(
n-ll)で あ った と して い る。 有 効態 リン酸
At
t
ana
ndanae
tal
.[
1
981
] はタ イ国 バ ン
は, 酸性硫 酸塩土 壌 の 含 量 が きわ めて 低 く
コク平 野 の土壌 の うち,水 稲栽培 のた めの適
6-1
0ppm で あ るの に対 し, B や Ra で は
性 分級 の 4区分 を代表 す る 5土壌続 を サ ンプ
51ppm と大 きい差 が あ る 。 交換
それ ぞれ24,
ル と して,表土 の諸性 質 を比較 した。 供試土
性 カチオ ン組 成 につ いて は ,S で は明瞭 で な
壌 続 と, そ の適性 分級 区分 は次 の とお りで あ
いが,他 の酸性 硫 酸塩土 壌 と B で は海成 の
る。
特徴 が 明 らか で あ り,交換性 Mg と Naの含
量 が相対 的 に高 い。 土壌 の酸性 を反 映 して,
交換性 Alは酸性硫 酸塩土壌 で高 いが, 中で
41
6
久 罵 ‥東 南 ア ジ ア低 湿 地 の土 壌 (そ L
j) 1)
表 4 バ ンコク平野の代表的酸性硫酸塩土壌 と対照非酸性硫酸塩土壌の肥沃度的諸性質
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At
t
anandanaetal
.[
1
981
]に よる。
も強 酸 性 の Rvaで は極 端 に高 く,これ が一 つ
の 問題 で あ る こ とを うか が わせ る。 有 効態 ケ
イ酸 は酸性 硫 酸 塩 土 壌 で低 い傾 向が あ るが,
こ こで も Rvaで 顕著 に低 く,強 酸 性 媒 質 中で
ケ イ酸 の溶 出が起 こる こ とを示 唆 して い る
。
vanBr
eemen [1976] は強 酸性 を示 す 酸性 硫
%強 ,次 いで 膨 張性 の 2:1型 を 主 とす る 14
0
A鉱 物 が多 く,雲 母 型 の 10A 鉱 物 は少 な い。
0
0
B だ け は ,14A>7A とな って お り, 非酸 性
海 成 粘 土 で二 次 鉱 物 の風 化 が緩 慢 で あ る こ と
○
を うか が わ せ る。 これ ら土 壌 の 14A 粘 土 は,
0
8A に
Mg 飽 和 で グ リセ リン処 理 を す る と 1
酸 塩 土 壌 か ら採 取 した土 壌 溶 液 が ,無 定形 ケ
く
〉
膨 張 す る もの の ,K 飽 和 で は 1
0A に収縮 し
2mmoI
/O)
イ酸 につ いて ほ ぼ飽 和 して い る (
バ ー ミキ ュ ライ ト的 な挙 動 を示 す ので ,服 部
こ とを見 出 し, 実 験 室 的 に も硫 化 物 含 有 堆 積
del
l
i
t
eVer
mi
cul
i
t
e 中間型
共 生 は これ を Bei
物 の酸化 過程 で, 硫 酸 の生 成 に伴 い浸 出液 中
と考 えて い る (
同教 授 <京都 府 立 大学 > よ り
/C程 度 の ケ イ酸 の溶 L
H
.
が 起 こる
には 5mmol
の個 人 的 聞書 き)0 Rva で は この 14A 鉱 物
こ とを た しか め て い る。
が少 な く,7A 鉱 物 が供 試 土 壌 の 中で最 も多 い
この よ うに ケ イ酸 の溶 出 は起 こ って い る も
が, これ が強 酸性 下 の風 化 と関係 が あ るか ど
の の , CEC はま だ高 く維 持 され て お り, 粘
うか は明 らかで な い。 しか し,全 般 的 に酸性
土 の破 壊 は さほ ど進 んで い な い とみ られ る。
硫 酸 塩 土 壌 の粘 土 鉱 物 組 成 は, この分 析 の結
事 実 , 粘 土鉱 物 の組成 に は ,
B を(
除 いて あま
l
り大 きい差 はな く, 1:1型 の 7A 鉱 物 が 50
果 か らみ る限 り, まだ さほ ど劣 化 して い な い
とい え よ う。
41
7
東 南 ア ジ ア研 究
2
0巻 3号
全硫 黄 は Rva が非常 に高 く,
Sと Rsで
の面 積 と, そ こで の年 間収 入 を表 5の よ うに
もやや高 いが, む しろ B で高 い ことが注 目
見 積 もった。 Ni
paSwamp か らの収 入 は ,屋
され る。 これ は水溶 性硫 黄 の値 か らわ か るよ
根 ふ き用 の 葉 や果 実 の 採集 によ る も ので あ
うに, 石 膏 に由来 す る部分 が多 い。ジ ャロー
り, マ ング ローブか らの収 入 は,主 と して木
サ イ ト態硫 黄 は酸性硫 酸 塩土 壌 だ けに検 出 さ
炭 の生産 によ る。 この裏 か らは, コ コナ ッツ
れ,特 に Rva で高 い値 を示 す 。
園, 塩 田, エ ビ養殖 な どが 大 きい 収 入 を あ
ここにみ た よ うに,酸性硫 酸塩 土 壌 の間で
げ, 非酸性 海 成 堆積物 由来 で p-Ⅰ に属 す る
ち,そ の性 質 に はか な り大 きい変 異 が あ るが,
Bangkok 続 の肥 沃 な土 壌 で の稲作 よりも有 利
肥 沃度 的 にみて 主 要 な 問題 と な るの は, 低
で あ るが, これ らの利用形 態 はいず れ もか な
pH,高 Al
,低 リン酸,低 ケ イ酸 で あ る こ とが
り大 きい資本 の役 人 を必 要 とす る こ とが わ か
わか る。 また,熟 成 過程 の初 期 にあ る酸性硫
る. マング ロ-ブの 中の ライゾ フォラ (
Rhi
zo-
酸塩 土 壌 で は,塩 類 含量 の高 い ものが あ り,
phor
a)を伐 採 して 木炭 を焼 く 粗 放 な 林 業 で
これ が 問題 とな る場 合 が あ る こ とに留 意 す る
す ら, 酸性 硫 酸塩 土 壌 の水 田 と して の利用 よ
必 要 が あ る。
りは高収 益 を あげ る こ とが で き る。
しか し, 潜在 的可 耕地面 積 が少 な く, 新 し
VI
I 酸性硫 酸塩 土壌 の利 用 と改 良
a. 水 田 と して の利用上 の諸 問題
い農地 開墾 の必 要 が 大 きい と ころで は,地形
平 坦 な潮 汐平 野上 の酸性硫 酸 塩 土壌 地帯 は,
魅 力 的 な農 地 開発 の対 象 とな ろ う。 そ の際,
バ ンコ ク平 野 の潮 間湿 地帯 の面 積 は 1,
3
00
km2 と見 積 も られ て い るが ,deGl
opperand
水 文条 件 や 土地 条 件 か らまず 考 え られ る の
は,水 田 と して の利用 で あ る。
Poet
s [1
973] は この地帯 の土 地利用 を 航 空
水稲 は 酸性 に対 す る 高 い耐性 を もつ 。 水
写 真 によ って調 査 し, それ ぞれ の利用 形態 下
耕 培養 で は pH<4 で は じめて 生 育 が 阻害
され る といわれ る。 しか し, 土 壌条 件下 で
表 5 バ ンコク平野潮間帯の土地利用/植生 と年間
純 収入
La
ndUs
e
/
Ve
g
e
t
a
t
i
on
9
4
25
4
2
At
t
anandanae
tal
. [1982] は水 耕 によ って
水稲 に対 す る Al過 剰発 現 の閥値 を求 め,培
養液 中の Al濃度 が 20ppm を超 え る と生 育
が悪 くな りは じめ,40ppm で は きび しい生 育
e
tal
.[
i
bi
d.
] は他 方 , Rva を湛 水 イ ンキ ュ
0
0
5
2
ベ ー トした時 に,土 壌溶 液 中の Al濃 度 は最
000 0
0
0
0
55
13
0 1
1
2
高 60ppm に達 し ,1
0週 間 の湛水 全 期 間 にわ
deGl
oppe
ra
ndPoe
t
st
1
9
7
3
】に よ る。
41
8
稲 は Al 過 剰 に よ る 生 育 阻害 を うけ る。
阻害 を うけ る ことを みて い る。 At
t
anandana
93
91 199 2・353 一
Ni
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)
6
0
4
00
は ,pH< 5 と な る と A1
3
十 が 可 溶化 し, 水
た って 3
0ppm 以上 の 濃 度 を 示 す こ とを報
告 した。
前 節 で酸性硫
(
} 酸塩土 壌 の粘土 中に は, まだ
膨張型 1
4A 鉱物 が あ って CEC も高 い こ と
をみ たが,これ が低 pH と組 み合 わ され る と,
多量 の交 換憩 Alが土 壌 中 に存在 す る こ とを
久 馬 :東 南 アジア低湿地 の土壌 (
その 1)
意 味す る。 この Alは土 壌溶 液 中の高濃 度 の
pH が高 くなれ ば溶 解度 を 減 じ, 過 剰症 の発
Al と平 衡 を保 ち, また後 述 す るよ うに難溶
現 は抑 制 され る。 一 般 の水 田土 壌 で は,湛 水
性 の リン酸 塩 を作 って,施 肥 リン酸 を不 可 給
下 還 元 が進 め ば ,pH はか な り速 や か に6・
5-
憩 にす る 。 一般 に ,低 い pH と高 い CEC の
7.
0まで 上昇 す る
組 合 せ は, 自然土 壌 で は まれ に しか み られ な
消 費 され る と と もに土 壌溶 液 の アル カ リ度 が
い もので あ り, この意 味で 酸性 硫 酸 塩 土 壌 は
高 ま るた めで あ る。
。
これ は還 元過 程 で H十 が
酸 性硫 酸 塩 土壌 で は, しば しば還 元 の進 行
特 異 な問題 を か か え て い る とい え る。
酸 性 硫 酸 塩 土 壌 の土 壌溶 液 中 の Al濃 度 に
が お そ く ,pH が な か なか上 昇 しな い場 合 が
つ いて は,vanBr
eemenandPons[
1
978]の
あ るO これ は低 pH や 養 分 欠 乏 によ る微 生 物
(
OH)SO.の溶 解 度 積
研 究 が あ り, それ は Al
活性 の低 さに起 因す る と考 え られ , た とえ ば
1
017・
2 によ って 規 定 され て い る と して い る。
石 灰 施用 や , チ ッ ソ, リン酸 の添 加 が還 元過
彼 らは水 稲 の Al に対 す る耐性 の上 限 を 25
程 を速 め る こ とか ら原 因 を た しか め うる。 し
ppm と想 定 し, そ の Al 濃 度 を与 え る pH
か し,酸 性 硫 酸塩 土 壌 で pH 上 昇 が起 こ りに
を若 干 の仮 定 を お いて上 の関係 か ら計 算 し,
くい こ との よ り重 要 な原 因 と して は,交 換 性
pH 3.
5-4.
2 を Al過 剰 症 発 現 の 閥値 で あ る
あ るい は水 溶 性 の Al
,Alや Fe の塩 基性 硫
と述 べ て い る 。 た だ し, 幼苗 期 に は水 稲 の耐
酸 塩 な どに よ る強 い 緩衝 作 用 を考 え る必 要 が
性 が低 く,pH 4.
5-5 で す で に障害 を示 す に
あ る。 ま た,ジ ャローサ イ トが存 在 す る場 合,
至 る と した。
十が Fe2
十 まで還 元 さ れ るの に
この 中 の Fe3
パ イ ライ トの酸化 過 程 で多 量 の鉄 が遊離 さ
れ , 一 部 は無 定 形 の加 水 酸化 物 , あ るい は結
晶度 の低 いグ ーサ イ トと して土 壌 中 に残 る
。
は ,Fe(
OH)
, が還 元 され る場 合 の2/3倍 量 の
H+ しか必 要 と しな い。
Fe(
OH)
3+3H 十 +e-
Feュ
++3H2
0
水 田 に して湛 水 す る と, これ らの鉄 化 合 物 は
十を土 壌 溶 液 中 に供 給 す る 。
還 元 され て Fe2
‡ KFe3
(
soヰ)
2(
OH)
6+2H++e
この Fe2
+ の濃 度 は酸 性 硫 酸 塩 土 壌 にお いて
は一 般 に高 く, 時 に数 千 ppm に達 す る とい
-
Fe2
・+そ soい
i K十.2H2
0
われ る。水 稲 は 3
00-400ppm を超 え る Fe2+
したが って ,pH の上 昇 が低 い段 階 で も, 棉
濃 度 の も とで は鉄 過 剰症 を発現 し易 い。 ス リ
対 的 に高 濃 度 の Fe2
+を土 壌溶 液 中 に維 持 す
ラ ンカで かつ て ブ ロ ン ジ ング (
br
onzi
ng) と
る こ とにな る。
よ ばれ , わ が 国 で赤 枯 れ Ⅰ型 な ど とよ ばれ て
可 分 解 性 有 機 物 が十 分 量 存 在 す る場 合 ,義
いた の は, いず れ も鉄 過 剰症 で あ る 。 今 日,
時 間 の還 元過程 を経 る と pH は徐 々に 上 昇
水 稲 の鉄 過 剰症 は栄 養 的 に正 常 な場 合 に は発
す るが ,pH>5 とな る と 硫 酸 還 元 菌 が 活動
現 しに く く, 高塩 濃 度 , 低 リン酸 , 低 カ リな
しは じめ , S(
-I
l
)が 生 成 さ れ る (
第 Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ節
どの障害 と高 Fe2
'が共 存 す る場 合 に 出易 い
参 照 )。 こ う して は じめて Fe2
+は FeS と し
こ とが知 られ て い る 。 酸 性 硫 酸 塩 土 壌 で は,
て沈 殿 し, 土 壌溶 液 中 の Fe2+ 濃度 は減 少 す
す で にみ た よ うに, 高塩 濃 度 や 低 リン酸 はか
るに至 る。 た だ し, これ に は通 常 数 カ月 を要
な り頻 繁 にみ られ る問題 で あ るか ら, これ に
する [
Nhungand Ponnamper
uma 1
96
6]。
高 Fe2+ 濃度 が 加 わ れ ば, 鉄 過 剰症 は深 刻 な
以 上 の よ うに, 低 pH とそれ に伴 う Al過
脅 威 とな る。
上 に述 べ た A1
3
+ も Fe2
十 も, 土 壌 溶 液 の
刺 , 鉄 過 剰 , さ らに高 Alによ って ひ き起 こ
され る リン酸 欠 乏 な ど,酸 性 硫 酸 塩 土 壌 を水
41
9
東 南 ア ジア研 究
2
0
巻 3号
田 と して利用 す る際 の 土 壌 的 制 限 要 因 は 多
い土 層 を酸化 させ た場 合 には, 域外 か ら良 質
い。次 に は, これ らの諸 問題 を 回避 し,酸性
のか んが い水 を導 入 す る可 能性 が な い限 りは
硫 酸 塩土壌 を水 稲栽 培 の培 地 と して 開墾 ・改
十分 な洗 液 が で きず , か え って土地 を不 毛化
良 す るた めの手段 につ いて考 えてみ よ う。
す るおそれ が あ る。 したが って,排水深 を調
5-20cm),必要以上
節し (
た と え ば 表層 1
b. 酸性硫 酸塩土 壌 の 開墾 と改良
の土 壌 の熟 成 ・酸化 を起 こさせ な い注意 が必
(i) マ ング ローブ下 の 潜在 的酸性 硫 酸 塩
要で ある
。
第 2の場 合 は,年 間を通 じて降水 量 の多 い
堆積物 の開墾
現 に, マ ング ローブの下 にあ る堆積 物 を 開
地域 で, 防潮堤 を築 き, 排水路 を 設 け,土壌
墾利用 す る場 合 はあ ま り多 くな い。特 に,前
の熟 成 と酸化 を起 こさせ た上 で,初 期 に は満
進 型海岸 をふ ち どるマ ング ローブ は, そ の幅
潮 時 に海水 (
あ るい は汽 水) を導入 し,生 成
もせ ま く, 開発 の 対 象 と はな らな い。 しか
した酸 や A1
3
十を洗 液す る。 こ う して表層 3
0
し,河 口型海岸 で広 い潮 間湿地帯 が存在す る
cm 程度 の土 壌 中のパ イ ライ トの大部分 を酸
場合 , た とえ ばサ ラワ ク川 河 口域 の水 田化 計
化 除 去 した あ とに は,塩 水 の導 入 をや め, 自
画 の よ うに, これ を 開墾 す る試 みが な され て
然 の降水 によ って表 層 の塩類 を洗源 す る。 こ
い る。
の方式 は西 ア フ リカの シエラ レオネな ど で行
この よ うな場 合 ,一般 には, 堆積物 は未熟
われ,ある程 度 の成功 を お さめた [
Bl
oomf
iel
d
で あ り,土壌 の酸性 はまだ発現 して お らず ,
973]。東 南 ア ジアで も, サ ラ
andCoul
t
er 1
最 大 の 問題 は 塩類過 剰 の 書 で あ る。
こ こで
ワ クや カ リマ ンタ ンな どで, この方式 を適用
は, 防潮 境 を築 いて塩水 浸入 を 防 ぐ手段 を講
で き る と考 え られ るが, 相 当大 きい初期投 資
じな い限 りは, 満潮 時 に 淡 水 の バ ックア ッ
を必要 とす るだ ろ う。
プによ って冠水 す るよ うな場所 以 外 は,水 稲
(
i
i) 顕在 的酸性硫 酸塩土 壌 の改良
栽培 は不 可能 で あ る。栽 培可能 な場 合 で も,
かつ て マ ング ロ-ブ下 に堆積 した硫化 物含
このよ うな条件下 にあ る堆積物 は未 熟 で あ っ
有 堆積物 で あ って, その後 陸化熟 成 を経 て酸
て,常 時還 元状態 にあ るた め, 水稲 は高収 を
性 硫 酸塩 土壌 とな り,現 在 で はデ ル タの 内陸
望 みが た いだ けで な く, 作業能 率 も悪 く,積
部 に未利用 な い し低利用 状態 で と り残 されて
極 的 な改善 の手段 を と りに くい。
い る もの も少 な くな い。 た とえば, メ コンデ
防潮 堤 を築 き, 防潮 水 門 によ って塩水 浸入
ル タの Pl
ai
n orReedsが それで あ り, バ ン
を制御 す る場 合,条 件 によ って二 つ の場 合 が
ngs
i
tve
r
yaci
ds
oi
lの標 識
コク平 野 で は Ra
考 え られ る。 一つ は明瞭 な乾季 が あ り,年 降
地 で あ る Ongkha
r
ak 地 方 が それで あ る。
水 量 もあま り多 くな い条 件下 にあ る場 合 で,
また マ レー シアや イ ン ドネ シア で は グ ラム
満潮 時 にバ ックア ップす る淡水 を導 入 して冠
(
gel
am,Me
l
al
e
u
c
al
e
uc
ade
ndr
o
n)林 の生 え る
水 させ うる場 所, あ るい は時期 を利用 して稲
湿 地 と して未 利用 で残 って い る。
作 を 行 う。 この 場 合 に は, 先 の 場 合 と異 な
これ らの酸性硫 酸塩土 壌地帯 を本格 的 に改
り,地表 の浅 い土層 は乾季 に 自然 の乾燥 によ
良 す るた め に は, や は り適 当 な深 さまで の排
り多少 の熟成 とそれ に伴 う酸性化 が起 こって
水 と酸化 を うなが し,天水 あ るい は良質 のか
お り,淡 水 のバ ックア ップは,塩 とと もに酸
んが い水 で,生 成 す る酸や塩 基性 硫酸塩 な ど
を洗源 して積 極 的 に土壌 の改良 を進 め る手段
を洗源 してや る必 要 が あ る。 半 島 マ レー シア
とな る。 ただ し,本 格 的 な排水 を はか り,深
の ケダ ー, プル T
)ス両州 に またが るムダ川 か
4
20
久馬 :東南 ア ジア低 湿 地 の土 壌 (
その
1)
んが い地 域 内 に は, 2カ所 に酸性硫 酸塩 土 壌
され, これ が酸化 還 元電位 を高 く維持 し硫 酸
地帯 が あ り, グ ラムや セ ッジ (
スゲ属 の 草
還 元 を抑 え るので,硫 化 水素 の害 は生 じな い
本 ) の生 え る湿地 で あ ったが, 大規模 なか ん
と して い る。
が い ・排 水工 事 によ り,現 在 で は,周 辺 の非
土壌 肥 沃度 は,酸性 硫 酸塩 土 壌 の生 成 と改
酸性硫 酸塩 土 壌地帯 と と もに, 水稲 の二 期作
良 の過程 で, 酸 によ る洗脱 が起 こるため に顕
が行 われ るに至 って い る。
著 に低下 す る と思 われ る。 事 実,前節 で み た
農民 レベル で は,土 地 の一 部 を盛 り上 げた
よ うに,不 飽 和 度 の増 大 ,交 換性 Alの増 加
り高 うね を作 って,堆積物 の酸化 と洗 源 を促
な どが た しか め られ た。 しか し, 粘土鉱 物 組
進 す る方 法 が と られ, ココナ ッツや稲 が作 ら
成 もさ して劣化 して お らず , CEC が まだ十
れ て い る ところが あ る。 バ ンコク周辺 の小 輪
分 高 いので,一 般 的 に は,適正 な施 肥 をす る
中 と高 うね の組合 せ も同 じ意 図 に 出て い る。
ことによ り, 土壌肥 沃度 を高 め, 水 稲収量 を
いず れ にせ よ, この よ うに して あ る程 度 積
あ げ る こ とが可 能 で あ る と考 え られ る。
極 的 な 熟 成 酸化 と 生 成物 の 洗 源 の効果 が あ
At
t
anandanaetal
. [1981
] は,前 節 で化
が った上 で な ら, 石灰 施用 によ って残 った酸
学 性 を検 討 した 5土 壌 を用 いて植木 鉢試 験 を
を 中和 す る こ と も現 実 的 な処 置 とな る。 va
n
行 い ,pⅠ
I
a の Se
na や p-Ⅰ
Ⅰ
I
a の Rangs
l
t
Br
e
eme
nandPons[
1
978] の計算 によれ ば ,
で は,特 に リン酸 とカ リの施肥 量 を高 くす る
3%のパ イ ライ トを 含 む土 壌 を, 石灰 施用 の
必 要 はあ るが, 試験 に 用 いた 施肥 量 の 範 囲
み によ って 中和 しよ う とす れ ば, か りに生 成
で P」 の Ba
ngkok や Rat
chabur
i と同程 度
した酸 の半 量 が洗 源 によ って 除去 され た と し
の 収 量 を あ げ うる こ とを 認 めた。 た だ し,
て も, な おかつ 1
5
0t
on/ha の石灰 が必 要 で
p-I
Vaの Rangs
i
tve
r
yaci
d 土 壌 で は ,石灰
あ る とい う。 この よ うな大量 の石 灰 の投 与 が
施用 や施肥 に もか かわ らず ,試 験 に用 いた処
経済 的 にひ き合 わ な い の は い う ま で もな い
理 の範 囲 で は ,pⅠ土 壌 の水準 まで収量 を高
が, か りに資材 が あ って も, もと もと低 湿 な
め る こ とがで きず,植 物 体 の分析 結 果 か らは
足 場 の悪 い場所 に, 大量 の石 灰 を運 搬す る こ
Al過剰 の害 が 認 め られ た。 恐 ら くは一 旦石
との困難 さ も忘 れ て はな るま い
灰 で pH を あげた に もか かわ らず ,た とえ ば
。
もう一 つ石 灰 施用 に関連 して考慮 すべ き こ
ジ ャローサ イ トな どの塩 基性硫 酸 塩 の加水 分
とは,土 壌熟 成過程 の初期 に石 灰 を添加 して
解 で ,根 圏で の新 た な酸性 化 が起 こ り,Alの
媒 質 の pH を あ げ る と,パ イ ライ トの酸化 が
過 剰症 を ひ き起 こ した結 果 と考 え られ る。
お くれ る こ とで あ る (
第 I
V 節 a参照)。 し
リン酸 は酸性硫 酸塩 土 壌 にお ける作物 の生
たが って, 酸 化 洗源 によ ってか な り土壌 が改
育 決 定 因子で あ り,上 述 の植木 鉢試 験 で も,
良 され た段 階 で,石 灰 を併用 す るのが有 効 で
Rangs
i
t ver
y aci
d 土 壌 の 無 リン酸 区 は,
あ る。 また, 多量 の硫 酸 根 が土 壌 中 に残 存 し
チ ッソや カ リ,石 灰 の施用 に もか かわ らず,
て い る段 階 で pH を
ほ とん ど完全 に生 育 が 阻害 され た。前 節 で も
>5とす る と,硫 酸 還 元
を促 進 し, 水 稲生育 に悪 い結果 を もた らす お
示 した よ うに,酸性硫 酸 塩 土 壌 中の有 効態 リ
それ が あ る 。 A1
3
十の不 活性 化 に は pH 5程 度
ン酸 の 含 量 は きわ めて低 く, これ は 活性 な
まで の 中和 で か な りの効 果 が あ るか ら, それ
Al によ り リン酸 が 難溶 性 リン酸 アル ミニ ウ
以上 に pH を あ げ る必 要 はない ば か りか ,
ム と して 固定 され るた めで あ る。 しか し, こ
有 害 です らあ りうる。 た だ し, 村 上 [
1
965]
の同 じ機 構 によ り, リン酸 は水稲 の Al過 剰
は,酸 性硫 酸塩 土 壌 で は酸化 鉄 が多量 に遊離
症 に 対 して, あ る程 度 の 耐性 を 与 え る こ と
421
東南 アジア研究
20巻 3号
が 知 られ て い る [
Tanaka and Navas
er
o
ゴ ム, コ コナ ッツ, オ イル ・パ ー ムの プ ラ ン
1
966]。 これ は水 稲 の根 の外部 あ るい は内部
テ ー シ ョンや, パ イナ ップル, ミカ ンな どの
で, リン酸 が Al と結 合 して無 害化 す るた め
果 樹 園, あ るい はバ ン コク周 辺 にみ られ るよ
t
anandana etal
. [1982]
と考 え られ る。 At
うな,小 輪 中 と高 うね によ る読 菜栽培 な どが
は水 稲 に吸収 され た Alが,根 の表 皮 部 分 に
考 え られ る。 さ らに は, エ ビや魚 の養殖 も,
リン酸 とと もに濃 集 して い る こ とを ,X 線 マ
現 にあ る利用 法 の一 つ で あ る。 た だ, いか な
イ クロア ナ ライザ ーを用 い実証 した。 また,
る利用法 を とるに して も,個 々の土壌 の特 性
この機 構 によ り, 水 稲 の一 部 の根 か ら高濃度
を正 確 に把握 し, 改良 を はか る こ とが必 須 で
0
の リン酸 を 吸収 させ る と, ほか の根 を A14
あ り, そ のた め に は利用 の前 段 階 で の綿密 な
ppm の培 地 に入 れ た場合 に も,水 稲 の Al過
土 壌調査 が不可 欠 で あ ろ う。
剰症 が あ る程 度 まで抑止 され,乾物重 はあ ま
り影 響 を うけな くな る こ とを示 した。
At
t
anandana etal
. li
bl
'
d.
] は, この実験
結果 に もとづ き, リン酸 の泥 団子肥料 を水稲
の根 際 に うめ込 む施肥法 を考案 し,通 常 の撒
布 法 と 比較 す る試 験 を , Rangs
i
t ver
y aci
d
土壌 を 用 い圃場 レベル で実 施 した。 その 結
62.
5kgP2
05
/ha)
,
栄, リン酸 レベル が低 く (
無石 灰 の場 合 には, この泥 団子施用 法 が全面
撒布 法 よ りも高 い茎 数,穂 数,穀 実収 量 を与 え
る こ とを示 した。 た だ し,石灰 施用 を伴 うか,
倍量 の リン酸施 肥 の場 合 に は,両施 肥法 の差
は明 らかで な くな った。 この よ うに, リン酸
肥料 の供 給 が制 限 され て い る場 合 の, リン酸
の施 肥法 につ いて は, なお検 討 ・改善 の余地
が あ る と思 われ る。
ⅤⅠ
Ⅰ
Ⅰ お
わ
り に
マ ング ローブ下 の堆積 物 に由来す る土 壌 に
つ いて, そ の生 成 ・分類 ・性 質 ・利 用 に際 し
て の 問題 や 改良 法 な どを みて きた。 こ こで
は,水 田 と して の利用 しか考 えて いな いが,こ
れ は小 農 のた めの農 地 の拡 大 こそが,現 在 の
東 南 ア ジア にお ける最 大 の関心事 で あ る と考
え るか らで あ る。 とはい って も,熱 帯 低湿 地
の本 格 的 開発 は, 大 きい資本 投下 な しで は不
可 能 で あ り, そ の場 合, よ り集約 的 な利用 の
仕 方 が模 索 され るか も しれ な い。 た とえ ば,
422
参
考
文
献
1. Andr
i
es
s
e
,
J
.
P.1
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