106 共焦点レーザー顕微鏡を用いた切片厚の検討 ◎宮川 純奈 1)、鈴木 利明 1)、佐藤 浩司 1)、小林 晴美 1)、原 稔晶 1)、加藤 衣央 1)、橋本 克訓 2) 国立大学法人 名古屋大学医学部附属病院 1)、名古屋大学大学院 医学系研究科 2) 【目的】 免疫組織化学染色、中でも HER2 タンパク を 3 ポイント定め、3 ポイントの平均値を切片 厚とした。 検査等では組織の切片厚によって判定が変化 するといわれている。 【結果】 診断の結果を左右しうる切片厚に関しては、 全ての症例、標本作成者でミクロトームの いまだ薄切者の経験と技術に依存するところ 設定値よりも実際に薄切した切片が厚い結果 が多いのが現状である。 となった。 日常業務では、薄切直後やヘマトキシリン・ 経験年数が短くなるほど切片厚、ミクロトー エオシン染色(HE 染色)後の目視、顕微鏡下 ムの設定値と実測値の差が大きくなる傾向が での評価にとどまっており、客観的な評価は 見られた。それに対し、経験年数が長いほど 行われていない。 各症例間の切片厚のバラツキが小さくなる傾 今回、我々は名古屋大学医学部保健学科と共 向が見られた。同一切片上の厚さのバラツキ 同で共焦点レーザー顕微鏡を用いた切片厚の は、技師の経験年数に関わらず同一であった。 定量的な検討により若干の知見を得たので報 学生では、その差がより顕著であった。学生 告する。 の薄切した切片の断面は、凹凸が著しいもの が多くみられ、染色中に切片が剥離するもの 【症例及び方法】 もあった。 2015 年 1 月から 11 月の間に名古屋大学医 学部附属病院において浸潤性乳管癌と診断さ れた 12 症例のホルマリン固定パラフィン包埋 【結語】 今回の検討より、経験年数が長いほど設定 ブロックを用いた。名古屋大学医学部保健学 値と実測値の差は小さくなり、切片それぞれ 科学生 3 名及び教員 1 名,名古屋大学医学部附 が均一な厚みで薄切が行われていることが示 属病院病理部技師 6 名の計 10 名で標本作成を された。 行った。各症例において 3,4,5,7μm の設 薄切技術は経験年数に比例して向上し、技術 定で薄切を行った。ミクロトームは LEICA の維持には継続して薄切業務を行う必要があ SM2000R、LEICA SM2010R(LEICA)を用い ることが示唆された。 た。作成した標本で HE 染色を行った。染色は 今後、臓器の構成成分の違いによる切片厚の 自動染色機(ティシュー・テックプリズマ 変化の有無、免疫組織化学染色における切片 DRS:サクラファインテックジャパン株式会 厚の判定への影響に関する検討を行いたいと 社)、自動封入装置(ティシュー・テックグ 考えている。 ラスジー 2:サクラファインテックジャパン株 医療技術部臨床検査部門 式会社)にて行った。切片厚は共焦点レーザ (052)-744-2582 ー顕微鏡(LSM 5 PASCAL:ZEISS)を用い て計測した。計測は各症例において測定箇所
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