第 10 次山形県卸売市場整備計画 (案)

第 10 次山形県卸売市場整備計画
(案)
山
形
県
目
第1章
次
計画の基本的な考え方
1
計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
計画の位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
3
計画期間
1
第2章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
山形県卸売市場整備計画の策定状況と市場の変遷
1
山形県卸売市場整備計画の策定状況・・・・・・・・・・・・・・・
2
2
県内卸売市場の変遷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
第3章
県内卸売市場の現状
1
県内卸売市場の取扱金額及び取扱数量の推移・・・・・・・・・・・5
2
県内卸売市場における県内産農産物の取扱金額の割合・・・・・・・6
3
県内卸売市場の現状
第4章
~ アンケート調査より~ ・・・・・・・・・7
農林水産物の消費・流通をめぐる状況
1
消費動向・消費者ニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2
食の流通の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
第5章
卸売市場の課題
1
卸売市場における経営戦略の確立・・・・・・・・・・・・・・・・18
2
食料消費の減少への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
3
消費者ニーズの多様化への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・18
4
生産者・実需者ニーズへの対応・・・・・・・・・・・・・・・・・18
5
市場流通量の確保への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
第6章
これからの卸売市場の基本的方向性
1
基本的な方向性(役割と機能) ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
2
経営戦略の着実な遂行等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
第7章
卸売市場の適切な配置の方針
1
流通圏について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
2
卸売市場配置計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
第8章 卸売市場の立地及び施設等に関する基本的指標
1
立地に関する考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
2
施設の種類に関する事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
3
施設の規模に関する考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
4
施設の配置、運営及び構造に関する考え方・・・・・・・・・・・・28
第9章
取引及び物品等に関する基本的事項
1
取引の合理化に関する考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
2
物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化に関する考え方・・・・・32
3
物品の品質管理の高度化に関する考え方・・・・・・・・・・・・・32
第 10 章
卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化
1
卸売業者及び仲卸業者に共通する考え方・・・・・・・・・・・・・33
2
卸売業者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
3
仲卸業者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
第 11 章
その他
1
取引の公開性を高める情報化・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
2
魅力ある職場づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
3
体質改善と経営の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
4
緊急事態への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
5
市民のための卸売市場の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
6
卸売市場に関する情報の公開・提供・・・・・・・・・・・・・・・35
附属資料
1
卸売市場審議会委員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
2
卸売市場審議会における検討経過・・・・・・・・・・・・・・・・37
第1章
1
計画の基本的な考え方
計画策定の趣旨
卸売市場は、生鮮食料品等の流通を担う基幹的な社会インフラとして、消費者へ安定
的かつ効率的に生鮮食料品等を供給する使命を有しており、今後とも、生鮮食料品等の
流通における中核として健全に発展し、その期待に応えていくことが必要である。
一方で、食品流通を取り巻く情勢は、少子高齢化に伴う人口減少の進行等による食料
消費の量的変化、社会構造の変化に伴う消費者・実需者ニーズの多様化、農林水産物の
生産・流通構造の変化、生鮮食料品等流通の国際化など、大きく変化している。さらに
は、東日本大震災の経験を踏まえた防災機能強化等の社会的要請の高まりや、輸出も見
据えた取扱物品の品質管理の高度化、産地や実需者との連携強化に向けた積極的な情報
の受発信、加工処理等の付加機能の充実など、生産者や実需者が卸売市場に期待する機
能・役割は一層多様化している。
このような中、今後も安定した生鮮食料品等の供給を持続するためには、大きな卸売
市場と中小の卸売市場との間で役割・機能分担を行い、効率的な流通を確保するととも
に、魅力的かつ特色ある商品の品揃えの充実、食品加工機能の強化など、産地との連携
を強化し、実需者からの要請に応えていくことが必要になってきている。
この計画は、卸売市場がこうした情勢変化に的確に対応し、その役割・機能を十分に
発揮していくため、これからの市場の基本的方向性や、市場の適切な配置の方針、市場
施設の整備や運営のあり方等の卸売市場の将来方向を提示し、卸売市場が生鮮食料品等
の流通の基幹的インフラとして、円滑かつ安定的な流通の確保を目指す指針として策定
する。
2
計画の位置付け
この計画は、卸売市場法第6条及び平成 28 年 1 月に政府が策定した卸売市場整備基本
方針に基づき、本県の現状と課題を踏まえ、県内卸売市場の整備及び運営に関する指針
として策定する計画である。
3
計画期間
平成 28 年度から 32 年度までの5か年とする。
-1-
第2章
1
山形県卸売市場整備計画の策定状況と市場の変遷
山形県卸売市場整備計画等の策定状況
これまで、政府の卸売市場整備基本方針に基づき「山形県卸売市場整備計画」を策定
してきた。平成 23 年度以降の主な動きは以下のとおりである。
(主な動き)
平成 23 年 10 月
平成 28 年 1月
4月
2
第9次山形県卸売市場整備計画策定
政府の第 10 次卸売市場整備基本方針策定
政府の第 10 次中央卸売市場整備計画策定
県内卸売市場の変遷
卸売市場の数については、第9次山形県卸売市場整備計画を策定した平成 23 年7月末
時点では 34 市場、平成 28 年3月末現在では 31 市場となっており、3市場減少している。
(県内卸売市場の種類別設置状況)
種 類
平成 23 年(7 月末)
総
合
市
場
1
青 果 物 市 場
15
水 産 物 市 場
13
水産物産地市場
3
花
き
市
場
2
計
34
(主な動き)
平成 24 年3月
6月
8月
平成 28 年(3月末)
1
15
10
3
2
31
丸魚寒河江地方卸売市場が業務廃止
新庄地方卸売市場日本海水産株式会社新庄営業所が業務廃止
酒田魚類地方卸売市場の開設の許可の取消し
種類別にみると、山形県内の総合市場は、昭和 50 年4月に開設された山形市公設地
方卸売市場のみの設置となっており、平成 28 年3月末現在、青果物1社、水産物2社
の卸売業者が入場している。
一方、総合市場以外の地方卸売市場は、青果物9市場、水産物市場が9市場、水産
物産地市場が3市場、花き市場が1市場設置されている。その他市場は、小規模卸売
市場であり、青果物6市場、水産物1市場、花き1市場が設置されている。
表1 県内卸売市場の種類別設置状況
種類
中央卸売市場
(単位:市場)
地方卸売市場
その他市場
合計
H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度
総 合 市 場
1
1
青果物市場
9
9
6
水産物市場
12
9
1
水産物産地市場
3
3
花 き 市 場
1
1
1
計
26
23
8
1
1
6
15
15
1
13
10
3
3
1
2
2
8
34
31
資料:山形県6次産業推進課
-2-
地域別にみると、村山・最上地域は、山形市を中心として総合市場1市場、青果物
市場が9市場、水産物市場が2市場、花き市場が1市場設置されており、置賜地域で
は、米沢市、南陽市、長井市を中心に青果物市場が4市場、水産物市場が4市場、ま
た、庄内地域では、酒田市と鶴岡市を中心に青果物市場が2市場、水産物市場が4市
場、水産物産地市場が3市場、花き市場が1市場設置されている。
表1-2 県内卸売市場の地域別設置状況
総合市場
地域
(単位:市場)
青果物市場
水産物市場
水産物産地市場
花き市場
合計
H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度 H23 年度 H27 年度
9
9
4
2
置賜地域
4
4
4
4
庄内地域
2
2
5
4
3
3
1
15
15
13
10
3
3
2
村山・最上地域
1
1
計
1
1
1
1
15
13
8
8
1
11
10
2
34
31
資料:山形県6次産業推進課
県内卸売市場の卸売業者数を平成 23 年度と比較すると、全体として、平成 23 年度
は 38 社であったが、平成 27 年度は 35 社となっており、3社減少している。
表2 県内卸売業者の卸売市場別配置状況
卸売市場
卸売業者
総合市場
青果物
水産物
水産物産地
花き
計
中央卸売市場
(単位:社)
地方卸売市場
その他市場
合計
H23年度 H27年度 H23年度 H27年度 H23年度 H27年度 H23年度 H27年度
3
3
3
3
10
10
6
6
16
16
13
10
1
1
14
11
3
3
3
3
1
1
1
1
2
2
30
27
8
8
38
35
資料:山形県6次産業推進課
-3-
県全体の卸売市場の設置状況は図1のとおりである。
図1 卸売市場設置状況
平成 28 年 7 月末現在
村山・最上地域
N
水
水
庄内地域
産
花
青
水
水 水
産
青
青
産
水
青
青
青
青
青
青・水
青
青
水
花
青
青
青
青
(凡例)
公設地方卸売市場
準公設地方卸売市場
民営地方卸売市場
その他の卸売市場
水
青
水
置賜地域
水
-4-
「青」
「水」
「花」
「産」
青果物市場
水産物市場
花き市場
水産物産地市場
第3章
1
県内卸売市場の現状
県内卸売市場の取扱数量及び取扱金額の推移
県内卸売市場の取扱金額は減少傾向にあり、第9次山形県卸売市場整備計画前年度の
平成 22 年度と平成 26 年度を比較すると約 74 億円減少している。
図2 県内卸売市場の取扱金額の推移
(百万円)
■県内地方卸売市場(全体)
70,000
60,778
60,060
60,000
55,892
55,856
53,332
50,000
県内地方卸売市場(全体)
H22年度比 87.7%
40,000
30,000
20,000
10,000
H22
H23
H24
H25
H26
資料:山形県6次産業推進課
【県内卸売市場の取扱数量及び取扱金額の状況】
野菜
果実
水産物
取扱金額及び
取扱金額は、平成
取扱金額につい
取扱数量は、ほぼ 25 年度までは横ばい て も 毎 年 減 少 し て
横 ば い の 状 況 と の状況であったが、平 おり、平成 22 年度
なっている。
成 26 年度に減少して と平成 26 年度を比
おり、平成 22 年度と 較すると約 50 億円
比較すると約 13 億円 減少している。
減少している。
取扱数量は、減少
取扱数量は、減少傾 傾向にある。
向にある。
花き
取扱金額につい
ても減少傾向にあ
り、平成 22 年度と
平成 26 年度を比較
すると約 3 億円減
少している。
取扱数量は、減少
傾向にある。
図3 県内卸売市場の品目別取扱金額の推移
野菜
(百万円)
25,000
22,675
22,448
21,252
21,123
果実
20,035
20,000
14,664
14,328
2,187
2,161
H22
H23
15,000
水産
21,147
花き
水産物、花きが
減少傾向
20,434
19,408
14,263
18,154
17,650
14,500
13,382
2,186
2,055
1,866
10,000
5,000
0
H24
H25
H26
(注)水産の取扱金額は産地水産物市場を除く。
資料:山形県6次産業推進課
-5-
図4 県内卸売市場の品目別取扱数量の推移
野菜
野菜・果実、水産(t)
120,000
106,966
109,919
果実
水産
花き
110,607
107,577
108,514
花き(万本)
10,000
9,000
100,000
野菜 横ばい
H26/H22 = 101%
8,000
7,000
80,000
66,228
62,494
62,182
61,409
果実 減少
H26/H22 = 86%
6,000
57,198
60,000
5,000
3,007
40,000
20,000
27,346
3,071
27,449
2,973
2,816
23,615
花き 減少
H26/H22 = 77%
21,861
4,000
2,538
3,000
21,114
2,000
水産減少
H26/H22 = 84%
0
1,000
0
H22
H23
H24
H25
H26
資料:山形県6次産業推進課
(参考)県内卸売市場における品目別平均単価(取扱金額/取扱数量)
野菜及び果実
(円/kg)
900
829
818
822
830
836
73
70
74
73
74
600
単価は横ばい
70
水産
花き
40
199
192
186
191
188
85
83
84
84
81
200
30
20
0
10
0
H22
2
果実
50
400
100
80
60
500
300
野菜
90
800
700
花き
(円/本)
100
H23
H24
H25
H26
資料:山形県6次産業推進課
県内卸売市場における県内産青果物、水産物(生鮮のみ)、花きの取扱金額の割合
県内卸売市場における平成 26 年度の全取扱高は 43,464 百万円で、うち、県内産の
取扱高は 15,013 百万円であり、県内産割合は 34.5%となっている。
図5 県内卸売市場における県内産取扱金額の割合の推移
100%
県外産
75%
県内産
64.6
63.3
62.8
66.4
65.5
35.4
36.7
37.2
33.6
34.5
H22
H23
H24
H25
H26
50%
25%
0%
資料:山形県6次産業推進課
-6-
取扱品目別にみると、青果物は平成 26 年度の取扱高 33,816 百万円のうち、県内産
の取扱高は 14,112 百万円であり、県内産割合は 41.7%となっている。
水産物(生鮮のみ)は平成 26 年度の取扱高 7,782 百万円のうち、県内産の取扱高は
594 百万円であり、県内産割合は 7.6%となっている。
花きは平成 26 年度の取扱高 1,866 百万円のうち、県内産の取扱高は 307 百万円であ
り、県内産割合は 16.5%となっている。
図6 県内卸売市場の品目別取扱金額における県内産の割合の推移
(%)
50
43.2
43.9
青果物
45.3
40.2
41.7
水産物
40
花き
30
20
16.5
10
16.7
15.6
16.4
16.5
8.8
8.4
7.6
H24
H25
H26
13.5
8.6
0
H22
H23
資料:山形県6次産業推進課
3
県内卸売市場の現状
~ アンケート調査より~
県内卸売市場の現状と実態を把握するため、平成 28 年 2 月に県内卸売業者全 35 社
を対象にしたアンケート調査を実施し、30 社から回答を得た。
その結果の概要は以下のとおり。(括弧内の割合は、回答数に占める割合。)
(1) 卸売市場の配置
・卸売市場の現在の配置については、「今の場所で特に問題がない」と回答した卸売会
社は 27 社(90%)となっている。
・卸売市場の数については、19 社が「現在の数で適正である」、11 社が「適正でない」
と回答している。「適正でない」と回答した卸売業者のうち、10 社が「現在の卸売市
場の数は多すぎる」と回答している。
市場数
適正
19
適正でない
11
・卸売業者の数については、18 業者が「現在の数で適正である」、12 業者が「適正でな
い」と回答している。
「適正でない」と回答した業者のうち、9 業者が「現在の卸売業
者の数は多すぎる」、3 社が「現在の卸売業者の数は少なすぎる」と回答している。
卸売業者数
適正
18
適正でない
12
-7-
(2) 経営戦略
・卸売会社独自の経営戦略については、10 社が「策定している」、14 社が「策定を検討
している」、4 社が「作成する予定はない」と回答している。
卸売会社独自
の経営戦略
策定している
10
策定を検討している
14
予定なし
4
・「策定している」又は「策定を検討している」と回答した卸売業者で経営戦略に記載
している(検討している)内容は、7 社が「大規模な集荷・分荷機能の発揮」、20 社
が「産地との連携による魅力ある生産物の集荷・販売」、12 社が「加工・業務用ニー
ズに対応した機能強化と商品開発」、2 社が「輸出等を通じた新たな需要開拓」と回答
している。
(3) 流通の実態
・出荷者については、29 社が「出荷者数が減っている」、8 社が「生産者が法人化する
など大型化している」と回答している。
出荷者
減っている
29
生産者が大型化
8
・入荷の課題については、回答数が多い順に、
「産地との連携」(22 社)、
「量の確保」(16
社)、「品目数の拡大」(14 社)、「保冷施設の整備」(5 社)と回答している。
・販売状況については、回答数が多い順に、
「予約相対取引が増加」(23 社)、
「大口需要
者の購入数量が増加」(9 社)、
「県外の買受人の購入数量が増加」(4 社)と回答してい
る。
販売状況
大口需要者の購入 県外の買受人の
購入数量が増加
数量が増加
4
9
予約相対取引
が増加 23
・販売の課題については、回答数が多い順に、
「量の確保」(20 社)、
「産地との連携」(18
社)、「品目数の拡大」(15 社)、「保冷施設の整備」(5 社)と回答している。
販売の課題
量の確保
20
産地との連携
18
品目数の拡大
15
保冷施設
の整備
5
(4) 取引の実態
・第三者販売数量については、9 社が「増加傾向にある」、9 社が「減少傾向にある」と
回答が二分されている。また、第三者販売を増やしたいか伺ったところ、8 社が「思
っている」、15 社が「思っていない」と回答している。
(5) 品質管理(食の安全)
・食品の安全対策については、回答数が多い順に、「品質管理責任者を配置している」
(19 社)、「市場内の施設や用具等の洗浄・殺菌を行っている」(16 社)、「徹底した温
-8-
度管理を行っている」(15 社)、「品質管理マニュアルを定めている」及び「低公害車
の場内搬送車両を導入している」(7 社)、
「HACCPの考え方を取り入れた品質管理
を行っている」(5 社)と回答している。
・食品の品質管理上の課題については、23 社が「低温施設の整備や低公害車等の導入に
コストが嵩む」、11 社が「人員の確保ができない」、6 社が「営業上のメリットがない」
と回答している。
食品の品質管
理上の課題
導入コスト
23
人員の確保
11
営業上のメリット
6
(6) 環境対策
・環境対策としては、10 社が「通い容器(プラスチック容器)を導入している」、5 社
が「食品廃棄物や包装容器等のリサイクル施設を整備している」、1 社が「太陽光発電
等の新エネルギーの活用に取り組んでいる」と回答している。課題としては、多い順
に、「コストが嵩む」(23 社)、「人員の確保ができない」(6 社)、「営業上のメリット
がない」(5 社)となっている。
(7) 生産者・実需者ニーズへの対応
・生産者と連携した取組みとして、20 社が「買受人から要望のある形態(小分け等)で出
荷するよう指導している」、16 社が「買受人からの要望のある品目を作るように指導
している」、15 社が「生産履歴の提出を義務付けトレーサビリティの確保に努めてい
る」、3 社が「JAS有機やエコファーマー等の認証を積極的に取るように指導してい
る」と回答している。
一方、生産者からの要望としては、15 社が「出荷規格の簡便化」、12 社が「買付又
は契約取引の要望」、6 社が「休市日における集荷」と回答している。
生産者と連携
した取組み
出荷規格の簡便化
15
買付又は契約取引の
要望
12
休市日に
おける集荷
6
・買受人と連携した取組みとして、20 社が「要望のある品目を聞いて出荷者に伝達」、
16 社が「要望のある形態に一次加工し販売(カットや小分け等)」、12 社が「休市日に
おける営業」、9 社が「新商品の開発」と回答している。一方、買受人からの要望とし
ては、20 社が「地場産品や規格外品等の品揃え強化」、12 社が「市場における一次加
工・調製」と回答している。
(8) 消費者との交流
・消費者とふれあう取組みとしては、13 社が「市場まつり」、8 社が「見学会」、5 社が
「料理教室」、3 社が「表示に関する講習会」を実施している。
消費者との
交流
市場まつり
13
見学会
8
-9-
料理教室
5
表示に関
する講習会
3
(9) 経営の多角化
・卸売業務以外の業務としては、多い順に、
「一次加工(カット、小分けなど)」(13 社)、
「配送」(11 社)、「小売」(5 社)、「生産」(2 社)となっている。
また、今後実施したい業務としては、
「小売」(10 社)、
「生産」(9 社)、
「一次加工(カ
ット、小分けなど)」(9 社)、「配送」(3 社)となっている。
経営の多角化
小売
10
生産
9
一次加工
9
配送
3
(10)災害時等の対応
・災害時等においても業務を確実に継続するためのBCP(事業継続計画)の策定について
は、2 社が「BCPを策定している」、10 社が「BCPを策定していないが、災害時対応を
別に定めている」、15 社が「災害時対応は特に定めていない」と回答している。
- 10 -
第4章
農林水産物の消費・流通をめぐる状況
卸売市場は、生鮮食料品等の流通において、多様な商品を各産地から集荷し、公正かつ
公開性の高い価格形成のもと、これらの商品を迅速かつ確実に消費地へ分荷する重要な役
割を担っている。
しかしながら、一人当たりの供給熱量が減少傾向にあり、また、少子高齢化に伴う人口
減少の進行等による食料消費量の減少、核家族化の進行、女性の社会参画等を背景にした
消費者ニーズの多様化など、生鮮食料品等の需要と供給をめぐる環境が変化している。
また、消費者の食品の購入先として八百屋や魚屋などの一般小売店が減少し、量販店・
食品スーパー・コンビニエンスストア等の割合が増加している。さらには、卸売市場を経
由せず、直接販売する産地直売所の販売額も増加するなど、流通面においても環境が変化
している。
1
消費動向・消費者ニーズ
(1) 食料消費の減少
① 国民一人当たりの供給熱量及び品目別消費量の推移
国民一人・一日当たりの供給熱量は、平成 22 年は 2,447cal であったが、平成 26 年
は 2,425Kcal となっており、4年間で 22kcal(-0.9%)減少している。
図7 国民一人・一日当たりの供給熱量の年次推移
(kcal)
2,475
2,450
2,447
2,438
2,431
2,425
2,425
H25
H26
2,425
2,400
2,375
2,350
H22
H23
H24
資料:農林水産省「食料需給表」
一方、国民一人・一年当たりの品目別消費量については、野菜は微増傾向、果実は
横ばい、魚介類は微減傾向にある。
野菜は、平成 22 年は 88.1 ㎏であったが、平成 26 年は 92.2 ㎏となっており、4年
間で 4.1 ㎏(4.6%)増加している。
果実は、平成 22 年は 36.6 ㎏であったが、平成 26 年は 36.0 ㎏となっており、4年
間で 0.6 ㎏(-1.6%)減少している。
魚介類は、平成 22 年は 29.4 ㎏であったが、平成 26 年は 26.6 ㎏となっており、4
年間で 2.8 ㎏(-9.5%)減少している。
- 11 -
図8 国民一人・一日当たりの品目別消費量の年次推移
野菜
(kg/年)
100
果実
魚介類
88.1
90.9
93.5
91.7
92.2
36.6
37.1
38.3
36.8
36.0
29.4
28.5
28.9
27.4
26.6
H22
H23
H24
H25
H26
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
資料:農林水産省「食料需給表」
②
消費人口の減少
本県では、少子高齢化を伴う人口減少が進行しており、平成 22 年には 116 万 8,924
人となった。平成 27 年 10 月には、112 万 2,957 人とこの5年間で約 4 万 6 千人減少し
ている (山形県企画振興部統計企画課「山形県の人口と世帯数(推計)」)。
国立社会保障・人口問題研究所の「都道府県別将来推計人口(平成 25 年 3 月)(以下
「将来推計人口」という。)」によると、平成 32 年の県人口は 106.2 万人と推計されて
おり、平成 27 年の人口から5年間で約 6 万 1 千人減少することが推測される。
地域別の人口の動向については、平成 22 年と 27 年を比較すると、村山地域は 2.3%、
最上地域は 7.1%、置賜地域は 5.3%、庄内地域は 4.8%の減と、全域で減少しており、
特に最上地域の減少率が最も大きくなっている。
将来推計人口によると、平成 32 年までに村山地域では 4.4%、最上地域では 6.4%、
置賜地域は 5.6%、庄内地域は 6.8%と減少が見込まれ、特に最上地域及び庄内地域の
減少が他の地域に比べ大きく推計されている。
表3 山形県の人口推移と見通し
平成 22 年
(実績値)
人口計
116.9
平成 27 年
(実績値)
112.3
H32 年
(推計値)
106.2
(単位:万人、%)
増減率
増減率
(H27/H22)
(H32/H27)
-3.9%
-5.4%
村山地域
56.3
55.0
52.6
-2.3%
-4.4%
最上地域
8.4
7.8
7.3
-7.1%
-6.4%
置賜地域
22.7
21.5
20.3
-5.3%
-5.6%
庄内地域
29.4
28.0
26.1
-4.8%
-6.8%
資料:山形県統計企画課「H27 山形県の人口と世帯
国立社会保障・人口問題研究所「都道府県別将来推計人口」(平成 H25 年 3 月推計)
③
少子高齢化の進行
本県の年齢別の人口構成は、1993 年(平成5年)に 65 歳以上の老年人口割合が 14 歳
以下の年少人口割合を上回った。
将来推計人口では、老年人口はさらに増加し、平成 32 年には約 36 万人となり、県
人口の 33.8%となると推計している。
以上の状況から、県人口は今後も減少していく中、高齢者の割合が高くなり、食料
消費量全体が減少し、それに伴い生鮮食料品の消費量も減少していくものと推測され
- 12 -
る。
図9 山形県の人口減少の見通し、高齢化の進行
総数
0~14歳
15~64歳
65歳以上
(千人)
1,400
推計値
実績値
1,169
1,200
1,162
1,153
1,143
1,133
1,116
651
638
1,062
1,000
694
800
691
679
665
585
600
359
400
322
320
325
331
338
345
200
150
148
145
142
139
134
119
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H32
0
資料:山形県統計企画課「H27 山形県の人口と世帯数」
国立社会保障・人口問題研究所「都道府県別将来推計人口」
(平成 25 年 3 月推計)
図 10 山形県の総人口に占める年齢別割合の推計
0~14歳
15~64歳
65歳以上
実績値
推計値
100%
27.6
27.6
28.3
29.1
30.0
30.9
33.8
59.6
59.6
59.1
58.5
57.7
57.1
55.1
12.8
12.7
12.6
12.5
12.3
12.0
11.2
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H32
80%
60%
40%
20%
0%
資料:図9に同じ
一方、三世代同居率が全国第1位である本県においても、近年、核家族世帯や単独
世帯の割合が上昇しており、その中でも高齢者の単独世帯数が増加傾向を示している。
図 11 山形県の世帯数の推移
核家族世帯
(年)
三世代同居世帯
単独世帯
H22
48.3
21.5
H17
46.7
24.9
21.8
H12
45.8
28.1
20
H7
45
28.6
17.6
H2
45.2
S60
45.7
S55
46.8
S50
49.3
S45
50.0
0
20
23.2
31.6
14.6
33.3
12.7
33.6
11.7
34.5
7.2
35.9
40
- 13 -
60
5.1
80
100
(%)
資料:総務省「H22 国勢調査」
図 12 山形県の高齢者の単独世帯の状況
(世帯数)
35,000
30,000
29,683
25,000
25,050
20,000
19,833
15,000
14,792
10,617
10,000
6,939
5,000
4,811
3,080
0
S50
S55
S60
H2
H7
H12
H17
H22
(年)
資料:総務省「H22 国勢調査」
本県の夫婦共働き世帯率は全国2位で非常に高い水準にあり、女性の社会参画が進
んでいる。
図 13 夫婦共働き世帯割合
%
夫婦共働き世帯割合(対一般世帯数)は全国2位
(1位:福井県 36.4% 2位:山形県 36.1% 3位:富山県 35.1%)
50
36.1
40
30
24.5
20
10
0
全国
山形県
資料:総務省「H22 国勢調査」
さらに、女性の労働力率は、ほとんどの年代で全国を上回り、25~49 歳までの各年
代の子育て期の女性の労働力率は全国でも高い水準にあり、本県の特徴の一つとして
あげられる。
図 14 女性の労働力率
(%)
100
81.2
79.0
82.3
女性(全国)
男性(県)
男性(全国)
83.8
80.6
69.6
74.6
75
78.3
女性(県)
78.7
70.4
69.4
68.0
72.5
75.8
73.2
63.9
50
48.6
47.5
25
11.7
15.4
14.9
13.0
65歳以上
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
0
資料:総務省「H22 国勢調査」
※労働力率:15 歳以上人口に占める労働力人口(就業者と完全失業者の合計)の割合
- 14 -
(2) 食への消費者ニーズの多様化
日本政策金融公庫が行った最近の消費者動向調査結果によると、消費者の食に対す
る志向については「健康志向」が最多となった。次いで「経済性志向」、
「簡便性志向」
の順となり、「簡便性志向」、「国産志向」が上昇傾向にある。
この結果について、日本政策金融公庫では、次のように分析している。
・年代別では、「健康志向」は高齢世代、「経済性志向」と「簡便性志向」は若齢世
代に集中するという特徴が見られた。
・今後の食の志向については、
「健康志向」が現在の志向と同様最多となり、現在の
志向よりポイントが上昇している。また、
「安全志向」についても、他の志向が現
在の志向以下になっている中で、わずかに上昇しており、
「健康志向」と「安全志
向」が今後高まることがうかがえる。
図 15 消費者の「現在の食の志向」(上位)の推移【複数回答(2つまで)】
%
50
46.5
45.7
41.7
40
H22.1
H24.1
H26.1
H28.1
43.2
39.5
36.4
34.4
32.2
33.5
30
31.2
26.5
25.9
23.5
20
23.1
23.1
20.1
15.6
21.8
19.5
18.9
安全性志向
手作り志向
18.0
17.3
14.7
12.1
10
13.7
13.5
12.1
10.9
0
健康志向
経済性志向
簡便性志向
国産志向
美食志向
資料:日本政策金融公庫 消費者動向調査
図 16 年代別「現在の食の志向」(H28 年 1 月調査結果)
%
70
20代
30代
40代
50代
60代
70代
60.4
60
52.6
50
40
30
43.4
32.0 31.9
30.2
46.7
42.0 41.2
39.1
42.8
38.5
37.6
27.7
21.5
20
31.5
28.7
25.1
23.6
23.3
22.3 22.8 23.0
19.5 18.3
19.9
16.8
16.6
16.0
12.3
22.0
19.4 21.5
16.4
17.1
15.1
10.8
10
健康志向
経済性志向
簡便化志向
安全志向
手作り志向
国産志向
11.6
11.1
10.9
美食志向
資料:日本政策金融公庫「消費者動向調査」
- 15 -
図 17 消費者の「今後の食の志向」(上位)の推移【複数回答(2つまで)】
%
48.0
46.6
44.6
50
40
H22.1
H24.1
H26.1
H28.1
42.6
39.6
33.3 34.6
31.4
33.3
30
22.4
20.6
18.9
20
29.7
26.3
27.8
21.0
21.0
21.2
18.1
18.0
16.6
16.4
13.6
12.1
12.8
11.2 10.9
9.2
10
0
健康志向
経済性志向
簡便性志向
安全性志向
手作り志向
国産志向
美食志向
資料:日本政策金融公庫 消費者動向調査
2
食の流通の動向
(1) 食品小売業の流通構造の変化
山形県の食品小売業の販売額総額は減少傾向で、業態ごとに販売額及び割合を比較
すると、特に食料品専門店・中心店は販売額・割合とも低下している。一方、食料品
スーパー、コンビニエンスストアの割合は上昇傾向にある。
図 18 県内食品小売業の業態別年間販売額
(億円)
5,000
総合スーパー
食料品スーパー
コンビニエンスストア
食料品専門店・中心店
4,731
4,249
4,000
1,822
1,363
4,341
1,277
4,141
3,506
1,195
863
3,000
334
538
518
562
559
2,000
1,782
1,750
1,952
2,054
1,712
1,000
793
618
574
330
373
H9
H14
H16
H19
H26
0
資料:経済産業省「商業統計」
図 19 県内食品小売業の業態別年間販売額の割合
%
総合スーパー
食料品スーパー
コンビニエンスストア
食料品専門店・中心店
60.0
49.6
48.8
45.0
50.0
41.2
40.0
30.0
37.7
38.5
24.6
32.1
20.0
16.8
10.0
0.0
29.4
28.9
14.6
13.2
13.6
12.2
12.4
8.0
7.1
H9
H14
H16
H19
15.9
10.6
H26
資料:経済産業省「商業統計」
- 16 -
(2)
①
生産者の直接販売の拡大
県内産地直売所の販売額の増加
卸売市場を経由せず、生産者が直接販売する県内の産地直売所の数は、平成 22 年か
ら平成 27 年までの5年間で 175 か所から 177 か所とほぼ横ばいになっているが、販売
額については 6,395 百万円から 9,304 百万円と、2,909 百万円(45%)増加している。
図 20 産地直売所の数と販売額
(事業所数)
(百万円)
14,000
事業所数
175
184
181
181
177
200
170
12,000
160
10,000
8,000
販売額(百万円)
7,874
7,373
8,354
8,651
9,304
120
6,395
6,000
80
4,000
40
2,000
0
0
H22
H23
H24
H25
H26
H27
資料:山形県6次産業推進課
②
卸売市場経由率の低下<全国>
卸売市場経由率は、青果、水産、花きともに低下傾向を示している。
図 21 取扱品目別の卸売市場経由率
%
青果
90
83.4
84.4
78.7
80
78.0
水産
花き
70
62.4
60.0
59.2
60.0
53.4
54.1
H24
H25
60
50
56.0
55.7
40
H22
H23
資料:農林水産省「平成 27 年度
- 17 -
卸売市場データ集」
第5章
卸売市場の課題
県内卸売市場の現状や生鮮食料品等の消費量や人口の減少、世帯構造の変容など、食を
取り巻く社会情勢の変化のほか、卸売市場を経由した流通量の低下など、流通を取り巻く
環境の変化を踏まえ、以下の課題を抽出した。
これらの課題へ対応しながら、県内卸売市場が災害時においても、持続的にその役割を
担い、生鮮食料品等の流通の基幹的インフラとして、その機能を十分発揮していくことが
求められる。
このため、いかなるときも県民へ生鮮食料品等を安定供給することができるよう、各卸
売市場がこれらの課題を把握し、共通認識のもとで社会的要請に応えていくことが重要で
ある。
1
卸売市場における経営戦略の確立
各市場のあり方等を明確化した経営展望を経営戦略的な視点から策定するとともに、
開設者と市場関係業者が相互に連携・協力して経営展望に基づく取組みを遂行するなど、
各卸売市場において経営戦略を確立し、関係者が着実に遂行することで、卸売市場とし
ての機能、役割を更に発揮していくことが必要である。
また、経営戦略には事業性評価の視点を取り入れ、戦略を構築する必要がある。
2
食料消費の減少への対応
国民一人当たりの供給熱量や食料消費量が減少傾向にあり、特に本県では少子高齢化
に伴う人口減少が進行し、今後もこの傾向が続くと推測されていることから、生鮮食料
品等の消費量は減少していくものと推測される。
さらに、近年、卸売市場を経由して出荷される生鮮食料品の量も減少していることか
ら、将来的な食料消費量の減少に伴う販売量の低下と卸売市場経由率の低下の双方を想
定した今後の市場のあり方を検討していく必要がある。
3
消費者ニーズの多様化への対応
「食」に対する消費者意識として、昨今「健康志向」、「経済性志向」、「簡便性志
向」が高い傾向を示している。最終ユーザーである消費者がどのような食材を求めてい
るかを認識しつつ商品を販売していくことが重要である。加えて、「安全性志向」への
対応として、新鮮で安全・安心な質の高い生鮮食料品等を提供することは卸売市場の第
一義的な基本事項であり、これを堅持・厳守していく必要がある。
併せて、消費者とのふれあいの場を設け、市場の役割に関する理解を深めながらその
ニーズを把握することも必要である。
4
生産者・実需者ニーズへの対応
出荷者(生産者)数、卸売市場経由率ともに減少している中、良質な生鮮食料品等の
流通量を確保し、卸売市場が円滑かつ安定的な流通を持続していくことが重要である。
そのため、生産者や実需者のニーズを踏まえ、契約栽培や生産性の高い商品等の取扱
い推進、特色ある地場産品や規格外品等も含めた品揃えの強化など、市場の特長や位置
付けを見極めながらその取組みを行い、流通量を確保する必要がある。
また、コールドチェーンの確立を含め、輸出も見据えた品質管理の高度化、産地や実
需者との連携強化に向けた積極的な情報の受発信や、加工・調製等の付加機能の充実、
ICT(情報通信技術)を活用した物流の効率化、さらには、消費者への「食文化」や
「健康」に関する情報の提供・発信など、卸売市場流通の活性化に向けて、消費者、実
需者、生産者等の多様化するニーズに的確に対応することが必要である。
- 18 -
5
市場流通量の確保への対応
買受人に市場に出荷された生鮮食料品等を購入してもらうには、希望品目や量の充実、
商品のカットや小分けといった一次加工された商品等の多様化するニーズに対応し、取
扱金額を増やす工夫が必要である。また、こうしたニーズに対応した商品を提供できる
よう、生産者との情報交換を積極的に行っていくことが大切である。
また、合併や営業権の譲受け等による統合・大型化や、生産者や実需者との連携強化
による集荷・販売力の強化のほか、経営改善指導の適切な実施等により、卸売業者及び
仲卸業者の経営体質の強化を図ることで、各卸売市場の機能強化を推進し、産地や生産
者、実需者の信頼を引き続き確保することが必要である。
さらに、卸売市場を活用した農林水産物の輸出促進など食品流通のグローバル化や、
農林漁業者が6次産業化に取り組む際のパーナーとしての機能発揮など、農林水産物の
流通に関連する新たな取組みを積極的に推進することで、卸売市場流通の活性化のみな
らず県内農林水産業の活性化にも寄与する必要がある。
以下、第6章では、これらの課題を解決するために卸売市場が取り組むべき基本的な方
向性を提示するとともに、第7章では卸売市場の適切な配置の方針を、第8章~第10章で
は卸売市場が機能を発揮し、役割を達成するために必要な事項の詳細を提示する。
第6章
1
これからの卸売市場の基本的方向性
基本的な方向性(役割と機能)
卸売市場を取り巻く環境が大きく変化する中で、卸売市場の現状・課題に的確に対応
し、卸売市場が生鮮食料品等の流通の中核としての役割、機能を発揮していくため、以
下の取組みを推進する。
(1)各卸売市場における経営戦略の確立
卸売市場を一つの経営体として捉え、将来を見据えた卸売市場全体の経営戦略的な
視点から、当該卸売市場の将来方向とそのために必要な戦略的で創意工夫ある取組み
を検討し、迅速な意思決定の下で実行に移す体制を構築する。
具体的には、各卸売市場においては、開設者及び市場関係業者が一体となって、当
該卸売市場が置かれている状況について客観的な評価を行った上で、それぞれの卸売
市場のあり方・位置付け・役割、機能強化等の方向、将来の需要・供給予測を踏まえ
た市場施設の整備の考え方、コスト管理も含めた市場運営の方針等を明確にした経営
展望(以下単に「経営展望」という。)の策定等により、卸売市場としての経営戦略
を確立する。
※経営展望=基本戦略(各市場が目指す姿・方向性(ビジネスモデル))+行動計画
経営展望を策定する場合は、各卸売市場の立地条件や強み・弱み等を踏まえ、目指
すべき卸売市場としてのビジネスモデルの方向等を基本戦略として定めるとともに、
開設者・市場関係業者それぞれが今後取り組むべき具体的な内容を行動計画として定
め、明確にする。その際のビジネスモデルの方向については、地域内における生鮮食
料品等の安定的な供給を基本としつつ、
① 大規模な集荷・分荷機能の発揮
② 産地との連携による魅力ある生産物の集荷・販売
③ 加工・業務用ニーズに対応した機能強化と商品開発
④ 輸出等を通じた新たな需要開拓
- 19 -
⑤ ①から④までの複合型
等、当該卸売市場が置かれている状況等を十分に分析し、多様な市場関係者が一丸と
なり、市場全体としての最適を図るという観点を市場関係者間で共有した上で定める
ものとする。
(2)立地、機能に応じた市場間での役割分担と連携強化
卸売市場が、様々な環境変化にも対応しつつ、今後とも、生鮮食料品等の流通にお
いて重要な役割を果たしていくためには、後背人口や近隣における農林水産業の生産
実態や実需者の拠点の有無、物流インフラの整備状況等の立地条件や、集荷・分荷機
能や加工・調製などの付加機能の現状等の経営資源等に応じて、それぞれの市場のあ
り方(ビジネスモデル)を経営戦略として明確にした上で、県内はもとより隣県も含
めた卸売市場間での役割分担と連携強化を図りつつ、必要な機能強化やそのための効
率的な流通ネットワークを構築する。
(3)産地との連携強化と消費者、実需者等の多様化するニーズへの的確な対応
卸売市場が、生鮮食料品等の流通において、引き続き基幹的な役割を果たしていく
ためには、多様化する消費者、実需者等のニーズに的確に応えることが不可欠である。
そのため、市場関係者が一体となり以下のような機能強化等を進めていく。
① 消費者、実需者等の需要動向を踏まえた産地に対する営農指導や出荷支援
② 地域農産物のブランド化や安全・安心等への取組み強化
③ 消費者・実需者ニーズに的確に対応した一次加工、貯蔵・保管、輸送・搬送、
リテイルサポート(小売支援活動)等の機能強化
④ 産地との連携強化を通じた魅力的かつ特色ある地場産品や規格外品等も含めた
品揃えの充実・強化、新商品の開発、小売や加工・業務用需要のマッチング
⑤ 生産者から実需者に至るまでの流通全体を通じたICT(情報通信技術)の活用
⑥ 積極的な情報の受発信と流通コストの削減
⑦ 市場見学会等による卸売市場への理解の醸成、栄養士や食の専門家等とも連携し
た食文化や健康(栄養成分・機能性など)に関する知見の提供
(4)市場の活性化に向けた農林水産物の流通・販売に関する新たな取組みの推進
卸売市場の活性化に向け、地元の強みを活かした新たな需要の創出、集荷・分荷機
能や情報受発信機能等を活かした輸出拠点としての機能発揮のほか、産地のシーズと
実需者・消費者ニーズに通じ、求められる商品特性や多様な販路に係る知見等を有す
るといった強みを活かして、双方をつなぐ6次産業化の起点・パートナーとしての機
能を発揮する取組みを推進する。
(5)卸売市場における公正かつ効率的な売買取引の確保
卸売市場における公正な売買取引、透明性をもった価格形成を引き続き確保する観
点から、卸売業者と仲卸業者・売買参加者とを対置する卸売市場の基本構造とともに、
現行の取引規制の原則を維持した上で、公正・効率的な売買取引の確保、市場関係業
者の負担の軽減、卸売市場取引の活性化・円滑化等が図られるよう、市場毎の経営戦
略にも配慮した取組みを進める。
(6)卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化
卸売業者及び仲卸業者は、集分荷機能、情報受発信機能等の卸売市場の機能を実際
に担う主体であることから、卸売市場の機能強化や魅力向上を図るため、卸売業者及
び仲卸業者の経営体質を強化し、健全かつ安定した経営を行う業者による卸売市場に
おける売買取引を促進していく。
- 20 -
(7)卸売市場に対する社会的要請への適切な対応
卸売市場は、生鮮食料品等の安定的な供給を担う社会インフラであることから、そ
の社会的な信頼を引き続き確保、向上させるため、取扱食品の安全性と消費者の信頼
確保、市場運営に伴う環境負荷の計画的な低減、災害時等の緊急時における対応機能
の強化など、様々な社会的な要請に積極的かつ適切に対応する。
2
経営戦略の着実な推進
経営展望で定めた基本戦略及び行動計画については、これを可能な範囲で生産者、実
需者等へ開示するとともに、開設者や市場関係業者がそれぞれの立場で、あるいは相互
に連携・協力しながら、着実に遂行し、併せて、経営展望の実効性を高め、卸売市場を
取り巻く情勢変化に的確に対応する観点から、行動計画の遂行状況について定期的にレ
ビューを行い、評価・検証により見直しに取り組むものとする。
なお、公設の卸売市場の運営に当たっては、経営の視点を導入した上で、卸売市場全
体としての意思決定を的確に行うとともに、市場経営の体制をより機動的かつ効率的な
ものとすることに十分留意する。
第7章
卸売市場の適切な配置の方針
本県における卸売市場では、それぞれの卸売市場の自主性・主体性を尊重しながら集
荷・販売活動を行う。一方で、市場の集荷力強化に向けた「地域拠点市場」を配置し、
災害発生の際などにおいても他の市場と連携した活動を促進するものとする。
1
流通圏について
全国的な高速交通網の充実等に伴い、流通が広域化する中で、消費市場においては、
いかなるときにも安定的かつ効率的に生鮮食料品等の流通を確保することが重要であ
る。また、県内における災害発生時を想定し、緊急的に他県の市場等から生鮮食料品
等の流通を確保する対策を講じておく必要がある。
県内における人口の集中状況や卸売市場の配置状況等に加え、本県と隣接県を結ぶ
道路交通網の整備状況を勘案しながら、安定的かつ効率的な流通を確保するために、
一体的に捉えることが適当と認められる区域を「流通圏」とし、当該圏域内での代替・
補完機能を強化する。
青果物・水産物については、山形市を中心とする「村山・最上地域」、米沢市を中心
とする「置賜地域」、鶴岡市・酒田市を中心とする「庄内地域」を流通圏とし、花きに
ついては、市場の流通の広域性、特殊性等から「内陸地域」と「庄内地域」の2つの
流通圏とする。
(1) 青果物及び水産物の流通圏
① 村山・最上地域
② 置賜地域
③ 庄内地域
(2) 花きの流通圏
① 内陸地域
② 庄内地域
(表4~6及び図22)
(表7及び図23)
- 21 -
流 通圏
表4 青果物の流通圏(野菜)
①村 山 ・
最 上 地域
② 置 賜 地域
③ 庄 内 地域
合
区域
山 形 市
寒河 江市
上 山 市
天 童 市
東 根 市
尾花 沢市
山 辺 町
中 山 町
河 北 町
西 川 町
朝 日 町
大 江 町
大石 田町
新 庄 市
金 山 町
真室 川町
大 蔵 村
鮭 川 村
戸 沢 村
米 沢 市
長 井 市
南 陽 市
高 畠 町
川 西 町
小 国 町
白 鷹 町
飯 豊 町
鶴 岡 市
酒 田 市
三 川 町
庄 内 町
遊 佐 町
計
流通圏人口(人)
市場取扱量(t)
24 年度
32 年度
24 年度
32 年度
<基準年度> <目標年度> <基準年度> <目標年度>
備考
市場取扱量について
641,074
598,838
67,873
66,516
・平成 24 年度市場取扱
量は、平成 24 年度版
山形県卸売市場の概
要(山形県)に基づき、
地方卸売市場の数量
を合計したものである。
・平成 32 年度市場取扱
量は、平成 24 年度取
扱量に対し、政府の第
10 次卸売市場整備方
針(H28.1 月)の市場
流通量の見通しの増
減率(※)を乗じて算
出したものである。
223,184
202,797
13,980
13,700
288,969
260,553
25,724
25,210
1,153,227
1,062,188
107,577
105,425
図24
青果物・水産物 流通圏区分地図
N
庄内地域
村山・最上地域
置賜地域
- 22 -
※市場流通量の見通し
の増減率
【野菜】98.0%
流 通圏
表5 青果物の流通圏(果実)
①村 山 ・
最 上 地域
② 置 賜 地域
③ 庄 内 地域
合
区域
山 形 市
寒河江市
上 山 市
天 童 市
東 根 市
尾花沢市
山 辺 町
中 山 町
河 北 町
西 川 町
朝 日 町
大 江 町
大石田町
新 庄 市
金 山 町
真室川町
大 蔵 村
鮭 川 村
戸 沢 村
米 沢 市
長 井 市
南 陽 市
高 畠 町
川 西 町
小 国 町
白 鷹 町
飯 豊 町
鶴 岡 市
酒 田 市
三 川 町
庄 内 町
遊 佐 町
計
流通圏人口(人)
市場取扱量(t)
24 年度
32 年度
24 年度
32 年度
<基準年度> <目標年度> <基準年度> <目標年度>
備考
市場取扱量について
641,074
598,838
41,892
39,672
・平成 24 年度市場取扱
量は、平成 24 年度版
山形県卸売市場の概
要(山形県)に基づき、
地方卸売市場の数量
を合計したものである。
・平成 32 年度市場取扱
量は、平成 24 年度取
扱量に対し、政府の第
10 次卸売市場整備方
針(H28.1 月)の市場
流通量の見通しの増
減率(※)を乗じて算
出したものである。
223,184
202,797
7,070
6,695
288,969
260,553
13,220
12,519
1,153,227
1,062,188
62,182
58,886
図24
青果物・水産物 流通圏区分地図
N
庄内地域
村山・最上地域
置賜地域
- 23 -
※市場流通量の見通し
の増減率
【果実】94.7%
流 通圏
表6 水産物の流通圏
①村 山 ・
最 上 地域
② 置 賜 地域
③ 庄 内 地域
合
区域
山 形 市
寒河江市
上 山 市
天 童 市
東 根 市
尾花沢市
山 辺 町
中 山 町
河 北 町
西 川 町
朝 日 町
大 江 町
大石田町
新 庄 市
金 山 町
真室川町
大 蔵 村
鮭 川 村
戸 沢 村
米 沢 市
長 井 市
南 陽 市
高 畠 町
川 西 町
小 国 町
白 鷹 町
飯 豊 町
鶴 岡 市
酒 田 市
三 川 町
庄 内 町
遊 佐 町
計
流通圏人口(人)
市場取扱量(t)
24 年度
32 年度
24 年度
32 年度
<基準年度> <目標年度> <基準年度> <目標年度>
備考
市場取扱量について
641,074
598,838
10,446
10,342
・平成 24 年度市場取扱
量は、平成 24 年度版
山形県卸売市場の概
要(山形県)に基づき、
地方卸売市場の数量
を合計したものである。
・平成 32 年度市場取扱
量は、平成 24 年度取
扱量に対し、政府の第
10 次卸売市場整備方
針(H28.1 月)の市場
流通量の見通しの増
減率(※)を乗じて算出
したものである。
223,184
202,797
6,524
6,459
288,969
260,553
6,645
6,579
1,153,227
1,062,188
23,615
23,379
図24
青果物・水産物 流通圏区分地図
N
庄内地域
村山・最上地域
置賜地域
- 24 -
※市場流通量の見通し
の増減率
【水産物】99.0%
流 通圏
表7 花きの流通圏
①内 陸 地域
② 庄 内 地域
合
区域
山 形 市
寒河江市
上 山 市
天 童 市
東 根 市
尾花沢市
山 辺 町
中 山 町
河 北 町
西 川 町
朝 日 町
大 江 町
大石田町
新 庄 市
金 山 町
真室川町
大 蔵 村
鮭 川 村
戸 沢 村
米 沢 市
長 井 市
南 陽 市
高 畠 町
川 西 町
小 国 町
白 鷹 町
飯 豊 町
鶴 岡 市
酒 田 市
三 川 町
庄 内 町
遊 佐 町
計
流通圏人口(人)
市場取扱量(千本)
24 年度
32 年度
24 年度
32 年度
<基準年度> <目標年度> <基準年度> <目標年度>
備考
市場取扱量について
・平成 24 年度市場取扱
量は、平成 24 年度版
山形県卸売市場の概
要(山形県)に基づき、
地方卸売市場、その
他市場の数量を合計
したものである。
864,258
801,635
29,726
34,007
・平成 32 年度市場取扱
量は、平成 24 年度取
扱量に対し、政府の第
10 次卸売市場整備方
針(H28.1 月)の市場
流通量の見通しの増
減率(※)を乗じて算
出したものである。
※市場流通量の見通し
の増減率
【花き】114.4%
288,969
260,553
6,111
6,991
1,153,227
1,062,188
35,837
40,998
図25
花きの流通圏区分地図
N
庄内地域
内陸地域
- 25 -
2
卸売市場配置計画
(1) 村山・最上地域
① 山形市公設地方卸売市場については、卸売
市場の集荷力の低下傾向を踏まえ、地域にお
ける集荷力の強化を図るうえでの地域の核と
なる「地域拠点市場」として、県内の卸売市場
との連携した集荷・販売活動などを促進する。
② 村山・最上地域に所在する青果物 9 市場、
水産物 2 市場については存置し、機能分担や
棲み分けを図り、卸売市場としての地場流通
機能を強化する。
③ 山形市に所在する花き 1 市場については存
置し、広域的な流通が行われている実態に対
応するため、産地市場としての集荷機能の強
化を図る。
村山・最上地域の市場配置計画
1
総合市場
1
青果物市場
水産物市場
9
9
花き市場
2
2
1
1
平成26年度 平成32年度
資料:山形県6次産業推進課
表8 卸売市場配置計画(村山・最上地域)
当 該 流 通 圏 の 既 存 市 場
流通圏 NO.
青 水 花
果 産 物 物 き
配 置
位 置
山形市
①
村
山
・
最
上
地
域
市町村名
山形市
区 分
市場の整備
計画
区 分
取扱
品目
① 山形市公設地方卸売市場
公営
存置
公営
青果物
水産物
② 地方卸売市場株式会社丸勘山形青果市場
民間
存置
民間
青果物
その他
存置
その他
青果物
民間
存置
民間
花き
その他
存置
その他
青果物
民間
存置
民間
青果物
民間
存置
民間
青果物
その他
存置
その他
青果物
市 場 名
③ 株式会社新山印青果卸売市場
④ 山形生花地方卸売市場
①
上山市
上山市 ⑤ 上山青果市場
内 天童市
天童市 ⑥ 地方卸売市場天童市農協天童青果市場
陸
⑦ 地方卸売市場株式会社寒河江青果市場
寒河江市 寒河江市
地
⑧ 有限会社山形農産流通センター青果物卸売市場
域
⑨ 地方卸売市場株式会社東根青果市場
東根市
東根市
⑩ 神町青果卸売市場
村山市
村山市
新庄市
新庄市
整 備 方 針
⑪ 丸魚楯岡地方卸売市場
⑫ 新庄青果物地方卸売市場
⑬ 丸魚新庄地方卸売市場
民間
存置
民間
青果物
その他
存置
その他
青果物
民間
存置
民間
水産物
準公営
存置
準公営
青果物
民間
存置
民間
水産物
備 考
地域拠点市場
置賜地域の市場配置計画
(2) 置賜地域
置賜地域に所在する青果物 4 市場、水産物 4
市場については存置し、卸売市場としてさらな
る集荷量を確保し、地場流通機能を強化する。
総合市場
青果物市場
4
4
水産物市場
花き市場
4
4
注)
総合市場、花
き市場はなし
平成26年度 平成32年度
資料:山形県6次産業推進課
- 26 -
表9 卸売市場配置計画(置賜地域)
当 該 流 通 圏 の 既 存 市 場
流通圏 NO.
青 水 花
果 産 物 物 き
②
置
賜
地
域
①
内
陸
地
域
配 置
位 置
米沢市
南陽市
区 分
市場の整備
計画
区 分
取扱
品目
① 米沢市青果物地方卸売市場
公営
存置
公営
青果物
② かね上佐野水産地方卸売市場
民間
存置
民間
水産物
市町村名
市 場 名
備 考
米沢市
③ 米沢かねしめ水産地方卸売市場
民間
存置
民間
水産物
④ 丸魚米沢地方卸売市場
民間
存置
民間
水産物
⑤ 県南中央青果株式会社地方卸売市場
民間
存置
民間
青果物
その他
存置
その他
青果物
⑦ 長井中央青果株式会社地方卸売市場
民間
存置
民間
青果物
⑧ 丸魚長井地方卸売市場
民間
存置
民間
水産物
南陽市
⑥ 南陽中央青果市場
長井市
整 備 方 針
長井市
(3) 庄内地域
庄内地域に所在する青果物 2 市場、水産物(消
費地)5 市場、水産物(産地)3 市場、花き 1 市
場については存置し、特に水産物市場について
は、取扱量の減少傾向なども視野に入れ、産地
市場としての機能を強化するとともに、消費地
市場として円滑な内陸の市場との連携などによ
り、効率的な流通を促進する。
庄内地域の市場配置計画
総合市場
2
2
5
5
青果物市場
水産物市場
水産物産地
市場
3
3
1
1
花き市場
注)
総合市場は
なし
平成26年度 平成32年度
資
資料:山形県6次産業推進課
表 10 卸売市場配置計画(庄内地域)
当 該 流 通 圏 の 既 存 市 場
流通圏 NO.
青 水 花
果 産 物 物 き
配 置
位 置
市町村名
市 場 名
① 株式会社鶴岡中央青果
② 鶴岡水産物地方卸売市場
③
庄
内
地
域
②
庄
内
地
域
鶴岡市
酒田市
三川町
鶴岡市
酒田市
整 備 方 針
区 分
市場の整備
計画
区 分
取扱
品目
その他
存置
その他
青果物
民間
存置
民間
水産物
その他
存置
その他
水産物
④ 山形県漁協由良地方卸売市場(産)
民間
存置
民間
水産物
⑤ 山形県漁協念珠関地方卸売市場(産)
民間
存置
民間
水産物
③ 丸魚鶴岡卸売市場
⑥ 酒田水産物地方卸売市場
民間
存置
民間
水産物
⑦ 丸魚酒田地方卸売市場
民間
存置
民間
水産物
⑧ 山形県漁協酒田地方卸売市場(産)
民間
存置
民間
水産物
⑨ 公設庄内青果物地方卸売市場
公営
存置
公営
青果物
その他
存置
その他
花き
三川町
⑩ 株式会社庄内生花市場
- 27 -
備 考
第8章
1
卸売市場の立地及び施設等に関する基本的指標
立地に関する考え方
卸売市場の立地については、大規模小売業者、外食産業事業者等の広域チェーン展開
等による生鮮食料品等流通の広域化、都市部等の交通混雑等を勘案し、開設者及び卸売
業者等の円滑かつ安定的な業務運営が確保されるよう十分な見通しを踏まえて行うもの
とする。この場合、特に次の事項について留意するものとする。
(1) 周辺の土地利用との調整を考慮し、都市計画等との整合性を確保する。特に、流通
業務市街地の整備に関する法律(昭和41年法律第110号)に基づく流通業務施設の整
備に関する基本方針との関連性に配慮する。
(2) 道路など生鮮食料品等流通に関連する公共インフラの整備計画との整合性が確保
され、かつ、災害時等も考慮して交通事情が良好な場所とする。
(3) 各種施設が適切に配置され、施設利用の効率性が確保され得る地形である。
(4) 生鮮食料品等の安全・衛生上適切な環境にある地域である。
2
施設の種類に関する事項
市場としての十分な機能を果たすために必要とされる施設の種類は、次に示すとおり
とし、これら施設等の整備にあたっては、商品・小売の形態や取引方法の変化・多様化、
情報化の進展、物流技術の進歩、食の安全や環境問題に対する社会的要請の高まり等に
対応して必要となる施設を計画的に整備するとともに、整備された施設の効率的な利用
及び維持管理の適正化に十分配慮するものとする。
・売場施設
・駐車施設
・貯蔵・保管施設
・輸送・搬送施設
・衛生施設
・情報・事務処理施設
・管理施設
・加工処理施設
・福利厚生施設
・関連事業施設
・以上の施設に附帯する施設
なお、水産物産地市場については、以上のほかに、海水浄化施設、水揚・選別機械設
備、計量施設等を実情に応じ整備するものとする。
3 施設の規模に関する考え方
施設の規模については、平成32年度を目標年度とする政府の第10次卸売市場整備基本
方針(平成22年10月26日農林水産省策定)に規定する「卸売市場施設規模算定基準」に基
づいて算定される施設規模を確保するものとする。
4
施設の配置、運営及び構造に関する考え方
卸売市場施設の配置、運営及び構造については、生産者及び実需者のニーズや社会的
要請に的確に対応する必要があることを踏まえ、卸売市場で取り扱う生鮮食料品等の品
質管理の向上や加工処理等の機能の強化、さらには環境問題へのより積極的な取組みや
災害時等の緊急事態への対応機能の強化等に向けて、特に次の事項に留意するものとす
る。
その際、公設卸売市場においては、公営企業の経営原則を踏まえ、健全な市場会計が
- 28 -
確保されるよう適切な施設整備と運営の合理化に努め、特に、施設整備におけるPFI
事業の活用、施設管理における民間委託の推進や地方自治法(昭和22年法律第67号)に
基づく指定管理者制度の活用を通じ、整備・運用コストと市場使用料の抑制等に努める
ものとする。さらに、卸売市場の利用者が受ける便益等に応じた費用負担の適正化の観
点から、施設の使用料、入場料等の徴収についても検討するものとする。
(1) 卸売市場施設については、その導入にあたっての費用対効果や市場経営に及ぼす影
響、共同施設の利用に関する卸売業者、仲卸業者等の市場関係者間の調整、それら業
者の経営への影響等を考慮しつつ、当該卸売市場の経営戦略に即した計画的な整備・
配置を推進する。
(2) 産地との連携強化により魅力的かつ特色ある商品の品揃えを充実させ、それらに係
る集荷・販売力を強化するため、高品質な生鮮食料品等の円滑かつ効率的な集荷、選
果・選別等に対応可能な貯蔵・保管施設、輸送・搬送施設等の整備・配置を計画的に
推進する。
(3) よりきめ細かなサービスを求める大規模小売業者、専門小売業者、外食産業事業者
等のニーズへの対応を強化するため、提供する多様なサービスに応じた加工処理施設、
貯蔵・保管施設、輸送・搬送施設等の整備・配置を計画的に推進する。また、施設の
配置にあたっては、関連ノウハウを有する加工業者等の市場外業者との連携も考慮す
る。あわせて、消費者ニーズに応える商品供給のため市場関係者が一体となって行う
リテイルサポート(小売支援活動)等の取組みに配慮した施設の運営に努める。
(4) コールドチェーンの確立を含めた卸売市場における品質管理に対する生産者及び
実需者のニーズに対応するため、低温の卸売場や荷さばき場、温度帯別冷蔵庫等の低
温(定温)管理・多温度帯管理施設や、衛生施設等の品質管理の高度化に資する施設
の整備・配置を計画的に推進する。
その際、HACCP(食品製造業に関する危害要因を分析し、特に重要な工程を監視・
記録するシステム)の考え方を採り入れた品質管理や、外部監査を伴う品質管理認証
の取得に取り組む卸売市場にあっては、必要となる施設の早急な整備・配置に努める。
また、施設の整備・配置にあたっては、取扱物品の構成、生産者や実需者のニーズ、
施設の整備に伴う場内物流の効率性への影響、卸売業者や仲卸業者のコスト負担、立
地条件、地域性等を勘案した導入の効果や必要性等も考慮しつつ、卸売市場ごとに低
温(定温)管理施設の整備に係る数値目標や方針を事前に策定する。さらに、施設運
営にあたっては、コールドチェーンシステムの確立を含めた取扱物品の品質管理を徹
底する観点から、適切な温度管理の徹底に十分配慮する。
(5) 新規需要の創出を通じた市場関係者の経営体質の強化、さらには市場取引の活性化
を図る観点から、立地条件を踏まえつつ、卸売市場が農林水産物の輸出に係る拠点と
しての機能を発揮するため、必要に応じて、輸出先が求める品質管理、小分け・包装、
多品目混載等に対応可能な施設を整備・配置する。
(6) 太陽光発電等による新たなエネルギーの産出とその活用、省電力設備の導入のほか、
食品廃棄物、容器包装等のリサイクルに資する施設や塵埃及び汚水の処理施設の整
備・配置、さらには通い容器の導入等による物流業務の効率化に努めるとともに、管
理棟の木質化を推進する。また、新たな投資についての卸売業者や仲卸業者の負担を
考慮しつつ、実態を十分に踏まえ、卸売市場ごとに、温室効果ガスや廃棄物の削減な
ど環境負荷の低減に係る数値目標や方針を事前に策定した上で、計画的に取り組む。
(7) 取扱数量の増大が見込まれる卸売市場にあっては、各種施設の増設余地の確保等に
努める。
(8) 大規模増改築等卸売市場施設の新設にあたっては、原則として外気の影響を極力遮
断する閉鎖型の施設とする。
(9) 施設配置にあたっては、場内搬送経路の最適化を十分考慮するとともに、必要に応
- 29 -
じて自動搬送施設の導入等を行う。また、場内における交通渋滞等を緩和するため、
車両誘導の効率化等を図る。
(10) 卸売市場の運営の効率化と卸売市場における物流業務の効率化を図るため、次の事
項に積極的に取り組み、必要に応じて市場内におけるLAN(構内情報通信網)や通い
容器に対応した搬送施設の整備と通い容器の一時保管場所の確保に努める。
① 生産者や実需者とのデータ連携や取引の効率化に資する生鮮EDI標準(受発注等
の情報を電子的に交換する方法の標準的な取決め)の導入及び電子タグ(メモリ
機能を有する極小のICチップとアンテナを内蔵した荷札(タグ))等の情報通信
技術の活用
② 産地や実需者と連携して、流通コストの削減や流通における環境負荷の軽減に
資する通い容器等の導入
(11) 卸売市場施設の構造については、流通事情の変化や情報通信技術の進展に柔軟に対
応できるものとする。
(12) 卸売市場に対する理解醸成とともに、卸売市場の多様な機能の発揮を図る観点から、
必要に応じて、展示・見学施設、研修施設、多目的ホール、アメニティー機能(快適
性)を持つ施設等関連施設の整備を図るほか、周辺環境との調和を図る観点から可能
な限り緑地帯を設置する。
第9章
1
取引及び物品等に関する基本的事項
取引の合理化に関する考え方
卸売市場における公正な取引と透明性をもった適切な価格形成を引き続き確保する。
その際、卸売市場における取引規制の基本原則は維持しつつ、効率的な取引の確保や卸
売業者、仲卸業者等の負担軽減のための措置を検討するなど、卸売市場における取引を
生産者及び実需者のニーズに的確に対応させるとともに、その活性化が図られるよう、
特に次の事項に留意するものとする。
(1) 各卸売市場においては、当該卸売市場の経営戦略に即した機能の強化等に向けた取
組みを的確に遂行するため、市場取引委員会の場等を活用して十分な議論を行い、卸
売業者と仲卸業者との連携の下、それぞれの卸売市場に適合したバリューチェーン
(生産から加工、流通、販売に至るまで、各事業が有機的につながり、それぞれの工
程で付加価値を生み出していくプロセス)の構築やサプライチェーンマネジメントシ
ステム(商品供給最適管理システム)の確立等による市場流通の効率化に積極的に取
り組む。
(2) 卸売市場の集荷力の低下や産地と実需者間における直接取引の拡大に対応するた
め、集荷の共同化、双方向・相互融通での荷揃え、販売の相互連携等の複数の卸売市
場間における効果的な連携や新商品の開発等のための産地や実需者との連携を推進
し、集荷・販売力の向上を通じた市場取引の活性化を図る。なお、市場間連携に取り
組むにあたっては卸売市場における取引秩序に混乱を来すことのないよう、市場取引
委員会の場等を活用して利害関係者の意見を十分に聴くとともに、協定等の締結や資
本関係の構築等を積極的に行うことにより、卸売市場ごとの強みを十分に発揮した共
存・共栄関係の構築に努める。
(3) 卸売市場における売買取引の方法については、各卸売市場の経済的な地歩、取扱品
目の性質、売手・買手の特徴等の実態を反映するとともに、実需者の要望や地元生産
者及び中小買受人の安定的な取引機会にも配慮しつつ、卸売市場及び品目ごとの特性
に応じた合理的な方法を設定し、これを遵守する。
(4) 生産者や実需者のニーズに対応した迅速かつ的確な取引を推進するため、必要に応
- 30 -
じて、法令で定められた取引ルールに係る例外措置の適切な活用を図る。特に、商取
引を含む社会全体の電子化の進展に対応して卸売市場の売買取引におけるICTの
利用を一層推進するため、電子商取引の導入を推進するとともに、電子商取引に係る
商物一致原則の例外措置の適用が可能な売買取引においては、その活用に努める。
(5) 開設者においては、売買取引に係る事務手続きについて、市場取引委員会の場等を
活用して利害関係者の意見を十分に聴き、当該卸売市場の経営戦略も踏まえて、法令
の範囲内でより迅速かつ簡易なものとするなど柔軟な運用に努める。
特に、生産者や実需者のニーズへの的確な対応と卸売業者や仲卸業者の負担軽減を
図るため、法令に基づかない事前承認、各種書類の提出・報告の義務付け等について、
その必要性を十分に検証した上で、法令に規定されていない事務手続きの原則廃止、
法令に規定されている事務手続きと密接な関連を有する事務手続きの電子化への移
行等に積極的に取り組み、事務手続きの簡素化を徹底する。また、生産者から実需者
に至るまでの流通全体を通じたICTの活用や生鮮EDI標準の導入、様式・書式の
統一等による事務の効率化に向けた取組みを推進する。
(6) 相対取引が増加している中で、卸売市場における価格形成の透明性を維持、向上し、
公正な取引を推進するため、あらかじめ、開設者、卸売業者、仲卸業者等の市場関係
者間において十分な議論を行った上で、開設者や卸売業者は、日ごと、月ごとの時系
列で整理したデータの提供やインターネット上における検索機能の充実、データ保存
期間の延長等、仲卸業者や専門小売業者その他の実需者、生産者等幅広い関係者のニ
ーズや利便性にも可能な限り配慮した取引情報の提供に努める。
(7) 大規模小売業者等の優越的な地位の濫用により、卸売市場における価格形成におい
て需給以外の要素で価格が形成されることのないよう、各卸売市場においては、取引
条件の明確化、書面化の促進等について積極的に取り組むとともに、優越的な地位の
濫用が疑われる行為があった場合に行政の相談窓口の積極的な活用を図ることによ
り、卸売市場における適正な取引環境の形成に努める。
(8) 卸売市場における売買取引について、円滑・確実な決済を確保する。また、各卸売
市場においては、それぞれの取引実態等をよく踏まえた上で、決済事故に対するリス
クを軽減する方策について十分な議論を行う。
(9) 市場関係者の専門的な知見を十分に活用しつつ、公正な取引と動機的かつ効率的な
市場運営を確保するため、開設者は、各卸売市場の実態に応じて、市場取引委員会に
ついて、実務担当者から成る部会の設置等による機動的・弾力的な開催や、卸売市場
全体の利益を考えることができる幅広い視野を有する学識経験者等への委員委嘱等
により、適切な調査審議がなされるよう努めるとともに、経営戦略的な視点から卸売
市場全体としての統一的な意思決定を的確に行うよう努める。
(10) 取扱物品に対する消費者等の信頼を確保し、その安心につなげていくため、次の事
項に取り組む。なお、その際には業務の効率化を通じたコストの削減に最大限努力す
る。
① 原産地表示の徹底による公正な取引の確保
② 生産履歴情報等の適切な確認・伝達
③ 食品衛生上不良な食品の流通防止に向けた検査体制の充実
④ 生鮮食料品等の仕入先及び仕入日、販売先及び販売日等の入出荷に係る記録の
適切な作成・保存によるトレーサビリティの確保
(11) 卸売市場に対する生産者、実需者、さらには消費者の信頼の確保と向上に向けて、
卸売市場関係業界における自主行動計画や、卸売業者及び仲卸業者における企業行動
規範の策定を推進することなどにより、コンプライアンス(法令遵守)の徹底に努める。
- 31 -
2
物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化に関する考え方
商品管理の適正化、食品衛生の確保、ロジスティクス(戦略的物流管理システム)の
展開方向、市場労働の省力化等に配慮し、特に次の事項に留意するものとする。
(1) 商品形態の変化、多温度帯流通の進展、卸売市場の休業日の増加等に対応した施設
の整備を図るとともに、商品の特性に応じた荷さばき、保管等に努める。
(2) 加工処理施設、貯蔵・保管施設及び輸送・搬送施設の整備にあたっては、電子商取
引、予約相対取引や見本取引の進展等取引方法の変化、小売形態の変化、荷さばき、
保管、搬送等の効率化等に配慮する。また、場外保管施設の適切な活用を推進する。
(3) 自動荷さばき・搬送システム、パレット輸送システム、自動倉庫等の体系的利用に
より、荷役労働の省力化を計画的に推進する。
3
物品の品質管理の高度化に関する考え方
開設者、卸売業者、仲卸業者等は、施設の整備と併せて、生鮮食料品等の鮮度保持の
ための温度管理、市場内の施設や用具等の洗浄・殺菌、場内搬送車両の無公害化、品質
管理の責任者の設置と責務の明確化等の品質管理の高度化のための取組みを行うととも
に、当該取組みを内容とする品質管理高度化規範の策定、同規範の内容及び遵守状況に
ついての不断の検証、並びに社内遵守体制の強化を推進することにより、荷受けから卸
売、仲卸、配送に至るまでの各段階において品質管理の高度化に取り組む。
この場合、水産物を取り扱う卸売市場においては、食品衛生法(昭和22年法律第233号)
に基づく公衆衛生の見地から必要な施設の基準や公衆衛生上講ずべき対応の基準を遵守
する。
さらに、卸売市場における品質・衛生管理の質的向上を図り、その機能と信頼を向上
させる観点から、各卸売市場においては、基本的な衛生管理の徹底のみならず、HAC
CPの考え方を採り入れた品質管理体制や外部監査を伴う品質管理認証の取得等による
組織的・体系的な品質管理の構築を図る。特に、輸出に取り組む卸売市場にあっては、
輸出先の法令で求められるHACCPに基づく衛生管理の導入等の品質管理の高度化に
取り組む。
第10章
卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化
卸売業者及び仲卸業者については、集分荷機能、情報受発信機能等の卸売市場の機能
を実際に担う主体であることを踏まえ、卸売市場ごとの経営戦略に即した機能強化、卸
売市場に対する信頼の確保に向けて、特に次の事項に留意し、その経営体質の強化等を
図るものとする。
1
卸売業者及び仲卸業者に共通する考え方
(1) 生産者の生産状況や実需者の需要状況に対応した計画的かつ安定的な集荷・販売力
の強化に向けて、現状における経営上の強み・弱み等を分析の上、次の事項に積極的
に取り組む。
① 消費者、実需者等の需要動向を踏まえた産地に対する営農指導、出荷支援のほ
か、地域特産物のブランド化、特色ある地場産品や規格外品等の流通特性も踏ま
えた品揃えの強化、新商品の開発、小売や加工・業務用需要とのマッチング等に
関する産地との連携強化
② 大規模小売業者、専門小売業者、外食産業事業者等のニーズに対応した一次加
工、貯蔵・保管、輸送・搬送、リテイルサポート等の機能強化による実需者との
- 32 -
連携強化
(2) 生鮮食料品等の流通の中間に位置する立場を活かし、卸売業者・仲卸業者の相互連
携の下、川上・川下双方に対するコーディネート機能を発揮し、農林水産物の新たな
需要の喚起と需要に対応した供給体制の確立に努める。その際、価格動向のほか、実
需者ニーズ、産地の出荷動向・出荷戦略、商品情報等の多様な情報について、ICT
の積極的な活用により、その把握と産地や実需者へのフィードバックを的確に行うな
ど、情報受発信の取組みを強化する。
(3) 卸売業者、仲卸業者、生産者、実需者等の関係業者間における提携関係の強化を図
りつつ、大型産地・大型ユーザーとの対等な取引関係の構築に努めるとともに、予約
相対取引の活用等により、産地における計画的かつ安定的な生産・出荷に対するニー
ズや、食品加工業者、外食産業事業者、大規模小売業者等における定時・定量・定質・
定価格での安定的な取引に対するニーズへの積極的な対応を図る。
その際、天候不順等により契約数量の確保が困難な場合のリスク負担のあり方等に
ついて契約当事者間で十分に協議する。
(4) 取扱物品の付加価値を高め、販売力の強化や新規需要の創出による経営体質の強化
を図るため、市場関係業者の新たなビジネス機会の創出に資する場合は、卸売市場が
有する集荷機能や販売先に関する情報受発信機能等を活かし、農林水産物の輸出に係
る拠点としての積極的な機能発揮に努める。その際、産地、他の卸売市場、関連機関
等との連携強化を図り、品揃え、数量、リードタイム、出荷期間等の取引先のニーズ
に対応できる集出荷体制の構築と、輸出先の法令で求められる衛生・品質管理に取り
組む。
(5) 産地情報と消費者・実需者、双方のニーズに明るく、求められる商品特性や多様な
販路に係る知見等を有するといった強みを活かし、市場関係者の新たなビジネス機会
の創出に資する場合は、生産者が行う6次産業化への取組みに対する積極的な参画に
努める。
(6) 卸売業者や仲卸業者が機能強化や経営の合理化に向けた取組みを進めるにあたっ
ては、共同出資会社の設立、資本提携等、両者の連携・協働に十分留意して行う。
(7) 経営能力を有する人材の育成、新規労働力の確保とその教育、熟練労働力、若手及
び女性の活用等による人的資源の強化に取り組むとともに、責任体制の確立に努める。
2
卸売業者
(1) 卸売の業務の適正かつ健全な運営を確保し、十分な卸売機能を果たしていくため、
経営規模の拡大及び経営体質の強化を図ること。特に、資本の充実、従業員の資質の
向上、省力化システムの導入等による生産性の向上に努める。
その際、市場間、市場内、市場外流通等による競争実態、情報システムの整備状況
等を踏まえつつ、合併や営業権の譲受け等による統合大型化や株式上場による資本強
化、さらには卸売市場を越えた卸売業者間の資本関係の構築等による連携関係の強化
を図る。
この場合において、目標年度における従業員1人当たりの取扱金額の水準(下表)を
達成することを目安とするとともに、異なる卸売市場や取扱品目を異にする卸売業者
同士の統合大型化や連携強化も視野に入れた対応を行う。
- 33 -
表11 地方卸売市場の卸売業者の1人当たりの取扱金額の水準
【青果物市場】
(単位:百万円)
平成 26 年度
卸売市場
流通圏
流通圏別
実績 ①
150
地方卸売市場 村山・最上
(地域拠点市場
置 賜
91
含む)
庄 内
165
政府整備計画達成水準
全県
②
第9次
③
140
130
第 10 次
④
130
【水産物市場】
流通圏
流通圏別
実績 ①
村山・最上
179
地方卸売市場
(地域拠点市場
置 賜
64
含む)
庄 内
67
政府整備計画達成水準
全県
②
第9次
③
96
160
第 10 次
④
160
【花き市場】
⑤=(④/③) ⑥=②×⑤
1.00
140
増減率
想定
⑤=(④/③) ⑥=②×⑤
1.00
96
(単位:百万円)
平成 26 年度
卸売市場
想定
(単位:百万円)
平成 26 年度
卸売市場
増減率
流通圏
地方卸売市場
内 陸
流通圏別
実績 ①
64
その他卸売市場
庄 内
36
政府整備計画達成水準
全県
②
第9次
③
56
80
第 10 次
④
90
増減率
想定
⑤=(④/③) ⑥=②×⑤
1.13
63
(2) 経営状況の悪化に対処し、経営の健全性を確保し、卸売市場に対する信頼性を高め
るため、増資等により財務体質の強化を図るとともに、経営再編によるコストの低減
や経営多角化による経営改善に取り組む。
(3) 管理部門について、計画的な経営管理システムの整備、責任体制の確立等を図り、
事業の計画的かつ一体的な運営の確保と経営コストの縮減に努める。
(4) 卸売業者の経営は、手数料収入に大きく依存している場合も依然としてあることか
ら、その提供する機能・サービスの充実に努め、それに見合った手数料収入により経
営体質の強化に努める。
3 仲卸業者
(1) 仲卸の業務の適正かつ健全な運営を確保し、十分な仲卸機能を果たしていくため、
経営規模の拡大及び経営体質の強化を図る。その際、各卸売市場や取り扱う商品の実
態、従業員の高齢化、後継者の有無等を踏まえ、合併や営業権の譲受け等による統合
大型化も視野に入れた検討を行うとともに、必要に応じて仲卸組合の共同事業として
廃業する仲卸業者の営業権の取得等に取り組む。
(2) 経営状況の悪化に対処し、経営の健全性を確保し、卸売市場に対する信頼性を高め
るため、財務体質の強化を図るとともに、経営改善に取り組む。その際、開設者が定
める指導監督に係る指針、財務基準等を踏まえ、経営状況の評価と経営の早期改善に
取り組む。また、業務の適正かつ健全な運営を確保する観点から、開設者は、指導監
督に係る指針に即して適切な指導を行う。
(3) 小売業者、外食産業事業者等の仕入ニーズの適切な把握に努め、これに対応した商
品の小分けや事前処理、保管・配送等の販売業者機能を強化することにより、小売業
者への支援を図る。また、就労体系の整備等により小売業者等の営業の動向に対応し
た卸売市場の休業日における営業の実現に努める。
(4) 情報通信機器の活用等による経営管理システムの確立や、経営再編等による経営合
理化、共同配送等によりコストの削減を進める。
- 34 -
第11章
その他
以上のほか、卸売市場の運営等については、次の事項に留意して行う。
1
取引の公開性を高める情報化
情報化は、取引の公開性を高め、多様な取引方法の導入に資するなど、迅速かつ的確
な取引を推進する前提となることに加えて、市場行政の効率化、取引事務のペーパーレ
ス化、物流の省力化等、市場運営及び関係業者の経営の合理化に直結することから、早
急にその推進を図る。
2
魅力ある職場づくり
最新の物流システムの導入、福利厚生施設の充実等、卸売市場の労働環境の改善によ
る魅力ある職場づくりに努める。
3
体質改善と経営の活性化
関連事業者については、卸売市場が食料品総合卸売センターとしての機能や、加工、
配送、保管等のニーズに対応した機能の充実を図る上でも重要なことから、その体質改
善と経営の活性化を図る。
4
緊急事態への対応
災害時等の緊急事態に際し卸売市場が果たす機能の重要性に鑑み、防災性に配慮した
施設整備を行うとともに、協定締結等による自治体等の関係機関との連携強化や災害発
生時に備えた複数市場間におけるネットワーク構築等により、緊急事態に際しても、卸
売市場の機能が可能な限り維持されるよう努める。特に、開設者、卸売業者、仲卸業者
等は、緊急事態に際しても業務を確実に継続できるような体制を確立するため、BCP(事
業継続計画)の策定に取り組む。また、食の安全に係る事件、事故等が発生した場合で
も、客観的事実や科学的根拠に基づき、公正な取引の確保及び適切な価格形成に努める。
5
市民のための卸売市場の役割
市民のための卸売市場の役割を重視し、卸売市場への理解を醸成し、「食」や「日本
食文化」に関する卸売市場の知見を消費者に効果的に提供する観点から、食のイベント、
学校教育のための市場見学会等の市民と卸売市場との交流を深める機会の確保や消費者
を対象とした表示等に関する講習会、料理教室等の機会の提供等の取組みを推進する。
その際、卸売市場は生鮮食料品等の卸売を行う場であることを前提としつつ、卸売業
務への影響や市場内の衛生管理、入場者の安全の確保等に十分留意するとともに、市民
の入場可能時間の設定も含めて事前に関係者間で十分な調整を図る。また、卸売市場が
生鮮食料品等を地域内に安定的に供給するための基幹的な社会インフラであるとの認識
の下、地域社会との共生や地域の小売業者等との協働にも配慮する。
6
卸売市場に関する情報の公開・提供
卸売市場に関する情報については、取引結果及び卸売業者の財務を適切に公表すると
ともに、広く消費者に対し卸売市場の役割、生鮮食料品等に対する知識、消費者の信頼
向上に向けた市場関係者の取組状況等について発信・普及するため、インターネット等
を活用し、卸売市場に関する様々な情報を効果的・効率的に広く公開・提供するよう努
める。
- 35 -
附属資料
1
卸売市場審議会委員名簿(任期:平成28年9月1日~平成30年8月31日)
氏
名
職業・所属団体・職名等
い が ら し
やす
や
い が ら し
ゆき
え
五十嵐 安 哉
五十嵐 幸 枝
おお
大
おお
かわ
な つ こ
川 奈津子
太
田 悦 子
た
えつ
こ
かわ
さき
れい
こ
き
ひで
かず
川
すず
﨑 禮 子
鈴
木 英 和
はし
もと
ふじ
しな
とも
うみ
むら
おか
けん
いち
橋
藤
村
や
ひ ろ し
本 彼路士
科 智 海
岡 憲 一
矢
野 秀 弥
の
ひで
や
やま
ぐち
とう
こ
やま
ぐち
み
か
山
山
口 瞳 子
口 美 香
山形県漁業協同組合
代表理事組合長
地域価値研究所 所長
株式会社主婦の店鶴岡店 代表取締役社長
株式会社庄果 取締役
やまがた女将会 会長
全国農業協同組合連合会山形県本部
山形県花き市場協会
本部長
会長
山形大学農学部 准教授
山形県青果市場協会
山形県水産物卸売協会
会長
会長
山形県花き生産連絡協議会 会員
株式会社グリーンショップはらだ
- 36 -
取締役社長代理
2
卸売市場審議会における検討経過
(1)諮問書
6 次 第 184号
平成28年9月13日
山形県卸売市場審議会会長
殿
山形県知事
吉
村
美栄子
山形県卸売市場整備計画の策定について(諮問)
近年における生鮮食料品等の生産、流通及び消費などの卸売市場を取り巻く情勢の変化
に対応し、生鮮食料品等の円滑な供給を確保することにより県民生活の安定に資するため、
卸売市場法(昭和46年法律第35号)第6条及び同法施行令(昭和46年政令第221
号)第5条に基づく山形県卸売市場整備計画を策定したいので、山形県卸売市場条例(昭
和46年県条例第50号)第27条の規定により貴審議会に意見を求めます。
(2)答申書
平成28年11月22日
山形県知事
吉 村 美 栄 子
殿
山形県卸売市場審議会
会 長
藤 科
智
海
山形県卸売市場整備計画について(答申)
平成28年9月13日付け6次第184号により諮問された山形県卸売市場整備計画に
ついて、別添のとおり答申します。
- 37 -