「高周波数帯域3軸加速度センサ」の開発

受託研究成果
「高周波数帯域3軸加速度センサ」の開発
平成 28 年 11 月 21 日
マイクロストーン株式会社
代表取締役社長
白鳥敬日瑚
長野県工業技術総合センター
所 長
宮下純一
1
はじめに
マイクロストーン株式会社(佐久市)は、長野県工業
技術総合センター精密・電子技術部門(岡谷市)と、
「高周波数帯域3軸加速度センサ」を共同開発しまし
た。
現在発売中の「圧電型3軸加速度センサ MA3 シリ
ーズ」は、小型・軽量であるにも関わらず、すべての方
向(上下、左右、前後の3方向)の加速度を検出するこ
とができ、またアンプや回路などがすべて内蔵されて
いるため外部機器不要で加速度の測定が可能という
特長を有しています。また、非常に小さな加速度を正
確に測定できるタイプから、自動車衝突時など非常に大きな加速度を測定するタイプまで、ニーズに合わ
せて幅広いラインアップを取り揃えています。
しかし、例えば工作機械のベアリング損傷の際に生ずる振動を測定するというニーズに対しては、非常に
高い周波数帯域の加速度を測定する必要があるため、従来の製品では対応できませんでした。そこで、今
回、10kHz という高周波数帯域まで測定可能な3軸加速度センサを開発しました。
2
製品の特長と用途
今回開発した製品は、当社の従来製品と比較し、下記のような特長を有しています。
① 測定周波数範囲が大幅に広がりました。
従来品は、測定周波数範囲が 0.8Hz~1kHz でしたが、開発品は 20Hz~10kHz という非常に高い周
波数帯域まで測定が可能となりました。
② 高いサンプリング周期を実現しました。
周波数範囲の拡大に対応するため、高いサンプリング周期を実現しました。
③ 取り付けによる誤差を改善しました。
従来品は、測定対象物への取り付けが簡易な方法(両面テープや接着剤)でしたが、開発品はネジ
止めにも対応し、高い周波数や大きな加速度の測定の際にもより正確に測定できるようになりました。
これらの特長により、工場内で稼動する工作機械内の部品劣化や故障等を監視する予防保全・予兆管
理での利用や、設備の振動解析など、様々な場面で振動を測定・監視することができます。また、近年注目
を集めている工場の IoT 化にも本製品を活用することができます。
3
県工技センターの支援内容
本製品の開発にあたり、高い周波数帯域まで対応可能な製品を設計する必要があります。工技セ
ンターでは、平成 27 年度に導入された統合化 CAE システムを活用し、コンピュータ・シミュレー
ションを用いて、製品の最適な形状や寸法等を設計するための技術支援を行いました。
4
今後の展開
開発した製品は、
「高周波数帯域3軸加速度センサ MA3-**BA」として、マイクロストーン株式会
社から 2016 年 12 月に発売される予定です。高い周波数の振動測定を必要とする工場内の生産設備
の監視用途等に導入が見込まれています。
* この件に関するお問い合わせは,下記までお願いします。
マイクロストーン株式会社
代表取締役社長 白鳥 敬日瑚,営業部 畠山 稔
〒385-0007
長野県佐久市新子田 1934
TEL:0267-66-0388
FAX:0267-66-0355
E-mail:[email protected]
長野県工業技術総合センター
精密・電子技術部門
測定部長 尾坂 一,主任研究員 西田 崇
〒394-0084
長野県岡谷市長地片間町一丁目 3-1
TEL:0266-23-4000(代表)
FAX:0266-23-9081
E-mail:[email protected]