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新規グリコールエーテル類分解微生物
による工業廃棄物の有効利用
明治大学
農学部
教授
農芸化学科
前田 理久
1
問題点
アルキレングリコールモノアルキルエーテル類
R - O - (AO)n - H
R: 炭素鎖1〜18のアルキル基
A: エチレン基、プロピレン基、ブチレン基
n: 0〜50
<合成>
アルキレンオキサイド付加反応
<精製>
蒸留
2
解決目標
副産物、廃液
低エネルギー
低コスト
栄養源
処理
新しい生産物
環境にやさしい
高付加価値
再利用、廃棄
グリーン・サステイ
ナブル・ケミストリー
(GSC)から
原料 or
製品へ
河川等
へ
3
エネルギー(あるいはCO2)
1
埋め立て量
0.8
0.6
0.4
0.2
0
一般環境
バージン資源
4
従来技術と背景
主要副生成物である炭素鎖が長いBTG(トリエ
チレングリコールモノブチルエーテル, C4H9-O(CH2CH2O)3-H )を分解する微生物についての
報告例はない。
生分解性プラスチックポリヒドロキシアルカン酸
(PHA)をつくる微生物は、様々な物質を炭素源
としてそれぞれ報告されているが、アルキレン
グリコールモノアルキルエーテル類を炭素源に
した例は全くない。
5
微生物サンプルの採集
単離
微生物の抽出
集積培養
6
単一炭素源
BMG: C4H9-O-(CH2CH2-O)-H ・・・ 62
種
BTG: C4H9-O-(CH2CH2O)3-H ・・・ 26種
BTG (Mix):
90~95% C4H9-O-(CH2CH2O)3-H
5~10% C4H9-O-(CH2CH2O)4-H
・・・ 6種
集積培養
7
分解速度を反映するBTG単一炭素源での増殖速度より、選抜した。
8
R
R:
CH3 PHB
C2H5 PHV
C3H7 PHH
C5H11 PHO
C7H13 PHD
・
・
・
・
<特徴>
・生分解性
・生体適合性
・熱可塑性※天然由来の物質としては珍しい
9
- O - CH - CH2 - C - C4
CH3 O
- O - CH - CH2 - C - C5
CH2 O
CH3
溶剤
内部標準
10
NNM23株
NNM27株
11
Cupriavidus 属
・グラム陰性好気性桿菌
・Burkholderia 科
・毒性なし
NNM27株
NNM23株
12
NNM27株
x 50,000
x 10,000
x 85,000
13
PHA蓄積量(g/L)
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
NNM17 NNM19 NNM23 NNM25 NNM26 NNM27 NNM31 NNM48
0 hr
24 hr
PHA合成誘導後の経過時間
14
GE分解工程
PHA合成工程
菌体重
基質GE濃度
量
(%)
(g/L)
PHA量
(g/L)
PHA蓄積率
(wt%)
PHA組成(%)
C4
C5
MTG
培養開始時
0.10
0.21
0.04
10.3
55.6
44.4
培養24時間後
0.07
0.35
0.06
8.3
51.3
48.7
培養開始時
0.10
0.23
0.02
26.8
81.7
18.3
培養24時間後
0.01
0.65
0.22
34.3
95.4
4.6
培養開始時
0.10
0.20
0.04
9.0
63.5
36.5
培養24時間後
0.01
0.83
0.26
31.5
94.5
5.5
BTG
DdDG
15
PHA変換率(%)
MTG
18.7
BTG
20.0
DdDG
26.1
MTG: CH3-O-(CH2CH2O)3-H
BTG: C4H9-O-(CH2CH2O)3-H
DdDG: C12H25-O-(CH2CH2O)2-H (主成分)
16
NNM27株
17
MTG: CH3-O-(CH2CH2O)3-H
MPG: CH3-O-(CH2CH2O)n-H
HeDG: C6H13-O-(CH2CH2O)2-H
混合物1: R = 炭素数12 (主成分)
混合物2: R = 炭素数12,13 (混合物)
混合物3: R = 炭素数18 (主成分)
18
0.5%
0.1%
使用炭素源
DdDG: C12H25-O-(CH2CH2O)2-H (主成分)
19
新技術の特徴
• 従来なかったグリコールエーテル分解菌を新た
に単離することに成功した。
• グリコールエーテルを炭素源としてPHAを生産
する新規な細菌を単離することに成功した。
• 本技術の適用により、これまで製造工程ででき
る副産物の再利用ができないばかりか、さらに
廃棄するためのコストがかかっていたモノが、
安全に低コストに処理でき、かつ新規有用物質
生産の可能性まで視野に入る。
20
想定される用途
• 本技術の特徴を生かすためには、グリコール
エーテル類の副産物の廃棄物処理に適用す
ることで安全性およびコスト面でのメリットが大
きいと考えられる。
• 副産物を利用して、環境にやさしい物質およ
び新規有用物質の生産が可能となる。
GSCプロセス開発の具体的な取り組み事例となり得る。
21
実用化に向けた課題
• 現在、グリコールエーテルの分解とPHA合成
が同時に進行可能なところまで開発済みであ
る。しかし、分解効率向上のために高濃度処
理を可能とする育種が課題である。
• 今後、実際的な副産物に適用していく場合の
条件設定を行う。また、新規生産物の同定と
開発も行う。
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企業への期待
• 副産物、廃棄物処理は、テーラーメイドで開発
が可能な技術です。廃液処理のコストを減ら
したい企業との共同研究等を希望します。
• 本技術は、副産物を有用な原料に変換できる
だけでなく、新規製品のシーズになる可能性
もあります。バイオ技術を利用した新規事業を
模索している化学会社や廃液等の処理会社、
環境にやさしい企業を目指す会社との連携を
希望します。
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本技術に関する知的財産権
・発明の名称 :アルキレングリコールモノアルキルエーテル類
を分解することができる微生物及びその使用
・出願番号
:特願2015-217773
特願2016-19335(特願2015-217773の優先権主張)
・出願人
:学校法人明治大学、日本乳化剤株式会社
・発明者
:前田理久、宮崎達
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お問い合わせ先
明治大学
研究推進部 生田研究知財事務室
津熊・今村
TEL 044-934-7639
FAX 044-934-7917
e-mail [email protected]
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