条例(素案)本文(PDF:116KB)

○(仮称)岡山市浸水対策の推進に関する条例(素案)
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 浸水対策の基本的な施策等(第8条―第13条)
第3章 開発行為等における雨水排水計画の協議等(第14条―第18条)
第4章 市民及び事業者への支援(第19条)
第5章 岡山市浸水対策推進協議会(第20条―第23条)
第6章 雑則(第24条)
附則
岡山平野は,往古に「吉備の穴海」と呼ばれた海域に,旭川と吉井川によって運ばれた土砂の堆積や,
中世以降の干拓等により形成された広大な低平地である。この岡山平野では,旭川及び吉井川を始めと
する多数の河川が流下するとともに,農業用水路が網目のように張り巡らされてかんがい期には満々
と豊かな水を湛えている。
このように,本市は豊かな水に恵まれているが,その反面,大雨に対して弱い地形的な特質を有して
いる。また,近年の地球温暖化に伴う気候変動により,台風に伴う大雨のみならず,局地的な大雨が多発
する傾向にあり,従来よりも浸水による被害発生のリスクが拡大している。
こうした状況のもと, 市,市民及び事業者が浸水対策に係る理念を共有し,連携して取り組むことに
より,将来にわたって,市民が安全で安心して暮らすことのできるまち岡山を実現するため,この条例
を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条
この条例は,浸水被害の予防及び軽減を目的とした施策(以下「浸水対策」という。
)の推進に
関し,基本理念を定め,市,市民及び事業者の責務を明らかにするとともに,浸水対策を推進するための
基本となる事項等を定めることにより,浸水対策を総合的かつ計画的に推進し,もって市民が安全で安
心して暮らすことのできる社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1)雨水流出抑制施設
雨水を一時的に貯留し,又は地下に浸透させる機能を有する施設で,浸水被
害の予防及び軽減を目的とするものをいう。
(2)建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(3)開発行為等 次に掲げる行為をいう。
ア
都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に規定する開発行為
イ
建築物の建築(建築基準法第2条第13号に規定する建築をいう。
)
ウ
駐車場 (道路の路面外に設置される自動車(道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条
第1項第9号に規定する自動車をいう。
)の駐車のための施設(住宅の敷地又は当該敷地に隣接
する土地において当該住宅の居住者の利用に供されるものを除く。)をいう。
)の設置
エ
土地の舗装(コンクリート等の不浸透性の材料で土地を覆うことをいい,ア又はウに該当するも
のを除く。
)
(基本理念)
第3条
浸水対策は,本市の豊かな水資源が保全されるよう配慮しながら,自然と人とが共生する中で,
市民が安全に,かつ,安心して暮らすことができるまちづくりを推進することを基本として行われなけ
ればならない。
2
浸水対策は,市民の生命,身体及び財産を浸水被害から守るため,市,市民及び事業者の一体的な取組
が重要であることに鑑み,これらの者の相互の理解と連携の下,協働して行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は,前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。
)にのっとり,浸水対策を推進しなけ
ればならない。
2
市は,前項の規定により浸水対策を実施するにあたっては,市民及び事業者の意見を十分に反映させ
るよう努めるとともに,その理解及び協力を得るよう努めなければならない。
3
市は,広報その他の活動を通じ,浸水対策の必要性について,市民及び事業者に対して意識の啓発に
努めなければならない。
(市民の責務)
第5条
市民は,基本理念にのっとり,浸水対策についての理解及び関心を深め,地域における浸水対策
の推進に努めるとともに,市が実施する浸水対策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条
事業者は,基本理念にのっとり,自らが地域社会の一員であることを認識し,市民と共に浸水対
策の推進に努めるとともに,市が実施する浸水対策に協力するよう努めなければならない。
(国等との連携等)
第7条
市長は,浸水対策を推進するため,国,岡山県及び関係市町(以下「国等」という。
)と緊密な連
携及び協力を図り,必要があると認めるときは, 関係団体に対し,浸水対策の推進について協力を要請
するものとする。
第2章 浸水対策の基本的な施策等
(基本計画の策定)
第8条
市長は,浸水対策の総合的かつ計画的な推進を図るため,浸水対策に関する基本的な計画(以下
「基本計画」という。
)を定めるものとする。
2
基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)浸水被害の予防及び軽減のための基本方針
(2)下水道,河川等の整備等に関する事項
(3)雨水流出抑制施設の設置の促進に関する事項
(4)森林,農地等が有する保水及び遊水の機能の保持に関する事項
(5)水防体制及び避難体制の強化並びに市民及び事業者に対する啓発に関する事項
(6)前各号に掲げるもののほか,浸水対策を推進するために必要な事項
3
市長は,基本計画を定めようとするときは,第20条に規定する岡山市浸水対策推進協議会の意見を
聴かなければならない。
4
市長は,基本計画を定めるに当たっては,市民及び事業者の意見を十分反映させるよう努めるものと
する。
5
市長は,基本計画を定めたときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。
6
第3項から第5項までの規定は,基本計画の変更について準用する。
(下水道,河川等の整備等)
第9条
市長は, 浸水被害の発生及び拡大の防止を図るために必要な下水道,河川等の整備に努めなけ
ればならない。
2
市長は,浸水被害の予防及び軽減を図るため,下水道施設及び河川施設等の管理を適切に行わなけれ
ばならない。
(雨水流出抑制施設の設置等)
第10条
市長は,雨水流出を抑制するため,本市が設置し,又は管理する道路,公園,広場その他の公共
施設(以下「公共施設」という。
)への雨水流出抑制施設を設置するよう努めなければならない。
2
市長は,雨水流出を抑制するため,国等が設置し,又は管理する公共施設に雨水流出抑制施設を設置
するよう,国等に協力を要請するものとする。
3
本市の区域内に存する土地又は建築物の所有者又は占有者は,雨水流出量の増加を抑制するため,そ
の所有し,又は占有する土地又は建築物の敷地への雨水流出抑制施設を設置するよう努めなければな
らない。
4
雨水流出抑制施設を設置し,又は管理する者は,当該雨水流出抑制施設の適正な維持管理に努めなけ
ればならない。
(農業用水路等の水位等の事前調整)
第11条
市長は,浸水被害を発生させるおそれがある降雨が想定される場合には,市が水位管理等を行
う農業用水路等については用水利用者の協力の下で水位低下等の措置を図り,市以外のものが水位管
理等を行う農業用水路等については水位管理者の協力の下で水位低下等の措置を図るように努めるも
のとする。
2
市長は,浸水被害を発生させるおそれがある降雨が想定される場合には,岡山県と協力して,事前に
児島湖の水位調整等の措置が図られるよう努めるものとする。
(森林,農地等の保全)
第12条
市長は,森林,農地及び緑地等の所有者等と連携して,森林,農地及び緑地等が有する雨水を保
水又は地下へ浸透させる機能を適切に保全することにより,その機能が持続的に発揮されるよう努め
なければならない。
(水防体制の強化等)
第13条
市長は,浸水被害の予防及び軽減を図るため,水防体制,避難体制等の強化に取り組むととも
に,市民及び事業者に対する水防意識の啓発に努めなければならない。
2
市民は,地域における防災訓練等に積極的に参加するとともに,自助及び共助の意識を高め,避難体
制の強化に努めなければならない。
3
事業者は,その従業員の防災教育を推進するとともに,地域における防災活動の取組に協力するよう
努めなければならない。
第3章 開発行為等における雨水排水計画の協議等
(開発行為等の雨水排水計画の協議)
第14条
本市の区域内において,規則で定める面積以上の土地又は建築物の敷地に係る開発行為等を
行おうとする者は,あらかじめ,当該開発行為等の実施に係る雨水を排水するための計画(以下「雨水
排水計画」という。
)を記載した書類(以下「計画書」という。
)を市長に提出するとともに,当該雨水
排水計画について,市長と協議しなければならない。当該雨水排水計画の内容を変更しようとする者も,
同様とする。
2
前項の規定により,計画書を作成しようとする者は,当該雨水排水計画の内容が規則で定める浸水被
害の発生及び拡大の防止を図るための雨水の排水に係る技術上の基準(以下「技術基準」という。
)に
適合させなければならない。
3
第1項の規定は,次に掲げる開発行為等を行おうとする者については,適用しない。
(1)通常の管理行為,軽易な行為その他の行為で市長が定めるもの
(2)非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(勧告)
第15条
市長は,前条第1項の規定による協議をせず,又は虚偽の計画書による協議をした者に対し,
期限を定め,必要な措置を講ずるよう勧告をすることができる。
2
市長は,前条第1項の規定による協議をした場合において, 技術基準に適合しないと認めるときは,
当該開発行為等を行おうとする者に対し,期限を定め,必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(命令)
第16条
市長は,前条の規定による勧告を受けた者が,正当な理由がなく当該勧告に従わないときは,
期限を定めて,当該勧告に従うよう命ずることができる。
2
市長は,前項の規定による命令をする場合においては,第20条に規定する岡山市浸水対策推進協議
会の意見を聴くことができる。
(報告等)
第17条
第15条の規定による勧告を受けた者,又は前条第1項の規定による命令を受けた者は,講じ
た措置について,市長に報告しなければならない。
2
市長は,前項の規定により報告を受けた場合は,必要に応じて実地調査をするものとする。
(公表)
第18条
市長は,第16条第1項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは,その旨を
公表することができる。
2
市長は,前項の規定による公表をしようとするときは,あらかじめ,当該命令を受けた者にその理由
を通知し,かつ,意見を述べる機会を与えるとともに,第20条に規定する岡山市浸水対策推進協議会
の意見を聴かなければならない。
第4章 市民及び事業者への支援
第19条
市長は,浸水対策を推進するため必要があると認めるときは,市民及び事業者に対して技術的
な援助を行うとともに必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第5章 岡山市浸水対策推進協議会
(岡山市浸水対策推進協議会の設置)
第20条
浸水対策の推進に関し,必要な調査審議を行わせるため,地方自治法(昭和22年法律第67
号)第138条の4第3項の規定に基づき,岡山市浸水対策推進協議会(以下「協議会」という。)を
設置する。
(所掌事務)
第21条 協議会は,次に掲げる事務を所掌する。
(1)基本計画に関すること。
(2)第16条第1項の命令及び第17条第1項の公表に関すること。
(3)その他浸水対策の推進に関すること。
(組織等)
第22条 協議会は,委員10人以内で組織する。
2
委員は,次に掲げる者のうちから,市長が委嘱する。
(1)浸水対策について識見を有する者
(2)開発行為等に係る関係団体の役員等
(3)関係行政機関の職員
(4)その他市長が適当と認める者
3
委員の任期は,2年とする。ただし,委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は,前任者の残任期
間とする。
4
委員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
5
委員は,再任されることができる。
6
協議会に会長を置き,委員の互選によりこれを定める。
7
会長は,協議会を代表し,会務を総理する。
8
会長に事故があるとき,又は会長が欠けたときは,あらかじめ会長が指名する委員がその職務を代理
する。
(会議等)
第23条 協議会の会議は,会長が必要に応じて招集し,会長が議長となる。
2
協議会の会議は,委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3
協議会の議事は,出席した委員の過半数をもって決し,可否同数のときは,議長の決するところに
よる。
4
協議会は,必要に応じ,会議に関係者の出席を求め,説明又は意見を聴くことができる。
5
前各項に定めるもののほか,協議会の運営に関し必要な事項は,会長が協議会に諮って,定める。
第6章 雑則
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
附
則
1
この条例は,平成29年4月1日から施行する。
2
第3章の規定については、平成30年4月1日以後に工事に着手する開発行為等から適用する。た
だし、施行の日において、次のいずれかに該当するものについては、適用しない。
(1) 都市計画法第29条第1項若しくは第2項の許可を受け、若しくは同法第30条第1項の申請
書が市長に提出されている開発行為又は建築基準法第6条第1項の確認済証の交付を受け,若し
くは同条第4項の申請書が受理されているもの。
(2) 国、県等で、都市計画法第34条の2第1項の協議が成立し若しくは協議中と認められるもの、
又は建築基準法第18条第3項の確認済証の交付を受け、若しくは同条第2項にもとづく通知
を行っているもの。