家畜改良増殖をめぐる情勢

家畜改良増殖をめぐる情勢
平成28年11月
生産局畜産振興課
目
1
次
家畜・家きんの種類について
① 乳用牛
・・・
② 肉用牛
・・・
③ 豚
・・・
④ 鶏
・・・
1
2
3
4
2
家畜・家きんの改良について
Ⅰ 乳用牛
・・・ 5
Ⅱ 肉用牛
・・・ 7
Ⅲ 豚
・・・ 9
Ⅳ 馬
・・・11
Ⅴ 山羊・めん羊
・・・12
Ⅵ 鶏
・・・13
3
畜産関係の新技術について
性判別技術・受精卵移植技術
発情発見装置等
・・・14
・・・15
1 家畜・家きんの種類について
① 乳用牛
・ 子牛を産んだ乳用牛の雌牛から、「生乳(せいにゅう)」を搾乳(さくにゅう)し、飲用牛乳やバター、チーズ、ヨー
グルトなどの乳製品を生産。
・ 乳用牛が1年間に生産する生乳は、平均で約8,500kg(昭和40年は現在の半分で約4,300kg)。平均搾乳期間
は370日程度。平成27年度の我が国の生乳生産量は741万トン。
注:生産物である生乳は、リットルなどではなくキログラムやトンで数えます。
ホルスタイン種
ジャージー種
種雄牛
我が国で飼養されている乳用牛の約99%
がホルスタイン種。
乳用牛(雌牛)
「種雄牛(しゅゆう
ぎゅう)」は、雌に交配
するための精液を生
産するための雄牛。
家畜人工授精(かち
くじんこうじゅせい)に
より、沢山の雌牛と交
配できるため、精液販
売の専門業者など、
限られたところでしか
飼養されていない。
写真提供:(公社)中央畜産会
我が国ではホルスタイン種の次に飼養頭数が多い
が、その数は約1万頭。ホルスタイン種に比べ、乳量
は少ないが、乳脂肪分が高い特徴がある。
主に岡山県の蒜山(ひるぜん)高原、熊本県の小国
(おぐに)などで飼養されている。
写真提供:(一社)全国肉用牛振興基金協会
1
②
肉用牛
・ 肉用牛には3種の区分があり、それぞれ「肉専用種」「乳用種(国産若牛)」「交雑種(F1)」と呼ばれている。
・ 「肉専用種」は牛肉を生産する目的で改良された牛。「乳用種」は酪農経営の副産物である雄牛で、牛肉生産向けに肥育(ひいく)されている牛。
「交雑種」は乳用種の雌牛と肉専用種の雄牛を交配して生産される牛で、乳用種よりも脂肪交雑(サシ)が入りやすい。
和牛(4品種)
肉専用種
乳用種(国産若牛)
黒毛和種
○ 在来牛にブラウンスイス種等を交配して改良が
進められた品種。
○ 被毛色は黒褐単色。和牛全体の95%以上を占
め、肉質は特に脂肪交雑(いわゆる「サシ」)の面
で優れる。
日本短角種
○ 東北地方北部で飼われていた南部牛にショート
ホーン種を交配して改良が進められた品種。
○ 被毛色は濃褐色。耐寒性に優れ、粗飼料利用性
も高い。主産県は岩手県。
ホルスタイン種(♂)
○ 酪農経営の副産物である雄牛を肥
育。肉質の点で輸入牛肉と競合。
※「乳用種」、「交雑種」の子牛は酪農経営で生産される。
交雑種(F1)
褐毛和種
○ 熊本県と高知県で飼われていた朝鮮牛を基礎と
した在来牛にシンメンタール種等を交配して改良が
進められた品種。
○ 被毛色は黄褐色から赤褐色。耐暑性に優れ、粗
飼料利用性も高い。主産県は熊本県及び高知県。
無角和種
○ 在来牛にアバディーンアンガス種を交配して改
良が進められた品種。
○ 被毛色は黒色で黒毛和種より黒味が強い。粗飼
料利用性が高い。主産県は山口県。
この他、外国種(アンガス、ヘレフォードなど)も
黒毛和種(♂)×ホルスタイン種(♀)
○ 乳用種の雌牛に、肉質向上を目的と
して、肉専用種である黒毛和種の雄牛を
交配し生産。
写真提供:(一社)全国肉用牛振興基金協会
乳用種は(公社)中央畜産会
2
③
豚
・ 豚肉生産用の豚は、一般に、両親などが持つ特徴を活かすとともに、肉質、発育性、多産性などが向上するこ
とを目的とし、異なる品種を交配する3元交配(さんげんこうはい)などにより生産される。
・ また、純粋種での生産も行われており、我が国では「黒豚(バークシャー種)」が有名。
大ヨークシャー種
デンマーク原産。
背脂肪が薄く赤肉率も高
く、発育も極めて早いのが
特徴。
米国原産。
顔は長めで、顔面は
わずかにしゃくれ、色
は褐色。雄系品種と
しての飼養頭数も多
い。
英国原産。
発育性(増体)は劣るが、
肉質(きめ細かさ・柔らか
さ)が良いのが特徴で、
「黒豚」と呼ばれている。
鹿児島が主産県。
英国原産。
赤肉率が高く、加工
品の原料として高い
評価を得ている。
ランドレース種
バークシャー種
デュロック種
写真提供:一般社団法人日本養豚協会
3
④ 鶏
・ 鶏を大きく分けると、卵を生産する「卵用種」と、ブロイラーなど肉用として飼養される「肉用種」がある。
・ 在来鶏に、その特徴を活かしつつ卵の生産性の高い品種などを交配することにより、「地どり」の生産が行
われている。
注:「卵肉兼用種」もあります。
肉用種
卵用種
白色レグホン
白色プリマスロック
代表的な卵用種。
産卵数は供用初年
度で250∼290個と
多産。
この雌と「白色コー
ニッシュ」という品種の
雄を掛け合わせたも
のが、ブロイラーの主
流。
卵肉兼用種
1人・1年当たりの
鶏卵消費量
S35年 116個
↓
H元年 311個
↓
H26 329個
岡崎おうはん
代表的な卵肉
兼用種。産卵数
は卵用鶏と遜色
なく多産。食肉と
しても美味。
比内地鶏
写真は比内鶏
(在来鶏)。この雄
と「ロードアイラン
ドレッド」という品
種の雌を掛け合
わせて「比内地
鶏」という銘柄で
食用に供されて
いる。
写真提供:(独)家畜改良センター
4
2 各家畜の改良について
Ⅰ 乳用牛
1. 改良体制
(1) 雄牛(種雄牛候補牛)は、生乳を生産せず、直接能力を計ることができない。このため、後代(種雄牛候補牛の娘牛)の泌乳能力・体型の成績か
ら父牛の遺伝的能力を推定し、選抜された遺伝的能力の高い雄牛(種雄牛)の精液を広く供用している。
(2) 雌牛は、牛群検定による乳量・乳成分等の個体能力と発育・体型等のデータから、後継牛生産用の雌牛を選定し、種雄牛と交配することで生産
している。
2. 能力の推移
(1) 泌乳能力
① 経産牛(子牛を産んだことのある雌牛)1頭当たりの乳量は、増加傾向で推移。
② 乳成分(乳脂肪、無脂乳固形分、乳蛋白質)については、近年横ばいで推移。
○牛群検定の普及状況
○乳 用 牛 の 改 良 体 制
1年目
2年目
3年目
優良牛の検索・
計画交配
候補種雄牛の
取得育成、
選抜、募集、選定
後代検定娘牛
生産のための
調整交配
4∼5年目
6年目
後代検定娘牛の 後代検定娘牛の
生産・育成・ 泌乳能力検定・
交配・分娩 体型調査の実施
7年目
検定成績の
集計・分析、
選抜
検定済
種雄牛
供給開始
年度
27
農家戸数(戸、%)
飼養頭数(頭、%)
成畜飼養
経産牛飼
実施農家 実施割合
実施牛 実施牛割合
戸数
養頭数
16,700
8,353
50.0
871,000 535,003
61.4
資料:農林水産省「畜産統計」、(一社)家畜改良事業団「乳用牛能力検定成績まとめ」
牛群検定牛
計画交配
雄
子
牛
生
産
9,000
全国
8,511kg
候補種雄牛
8,500
後代検定娘牛
候補種雄牛の
選抜、募集、
選定
調整交配
保留
・育成
交配
8,000
乳
量
7,500
㎏
分娩 搾乳
検定済種雄牛
の誕生
後代検定
娘牛
生産用母牛
北海道
8,382kg
︶
候補種雄牛
生産用母牛
都府県
8,660.kg
経産牛1頭当たりの乳量
選抜
(
候補種雄牛の
候補牛の育成
候補種雄牛
生産用父牛
データの
収集・分析
遺伝的能力
評価
泌乳データ
7,000
全国
北海道
都府県
6,500
体型データ
後代検定( 雄牛)
牛群検定( 雌牛)
6,000
H元
H5
H9
H13
年度
H17
H21
H25 H27
5
(2) 乳用牛の遺伝的能力
乳量の遺伝的能力は、年々上昇傾向で推移。
(3) 種雄牛の遺伝的能力
① 平成15年8月から、世界各国の種雄牛の遺伝的能力を同じ物差しで評価する国際評価に参加。
② 我が国の種雄牛の遺伝的能力は酪農先進国のものと比肩する水準。
3.新たな家畜改良増殖目標(平成37年度目標、平成27年3月策定)のポイント
(1)わかりやすい牛群検定データの提供。
(2)泌乳持続性(泌乳ピーク時の乳量を持続する能力)の向上。
(3)ゲノミック評価(SNP遺伝子解析技術を活用した能力評価)の推進。
2,000
○遺伝的能力の推移(乳量)
○ゲノミック評価のイメージ図
優秀な牛
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
1,800
乳量︵㎏︶
普通の牛
1,600
良くない牛
1,400
1,200
年当たり改良量(直近10年)
62kg/年
能力不明の
子牛
優秀な牛と同じ配列を持っているので、この子牛は「優秀」と予測できる。
1,000
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 年生
○泌乳持続性のイメージ図
○新たな家畜改良増殖目標(平成27年3月策定)
○乳用雌牛の能力に関する育種価目標数値(ホルスタイン種全国平均)
○乳用雌牛の能力に関する表現型値目標数値(ホルスタイン種全国平均)
6
Ⅱ 肉用牛
1.改良体制
(1) 肉用牛の改良
① 雄牛は、直接検定による本牛の増体能力等から選抜された種雄牛候補について、後代検定により産子の産肉能力を調査し、その成
績から遺伝的能力を推定することにより、優良な種雄牛を選抜・供用している。
② 雌牛は、産子の産肉能力と血縁情報から雌牛の遺伝的能力を推定し、育種改良用の後継牛生産用の雌牛を選定し、両者を交配し、
種雄牛候補や繁殖雌牛候補を生産している。
(2) 現在の改良体制
① 自県で育種素材を確保して種雄牛を造成し、県内で選抜・利用している都道府県が多い。
② これを補うため、県域を越えて広域で能力検定を行う広域後代検定を実施(参加県:19道県)するとともに、(独)家畜改良セ
ンター等が造成した候補種雄牛を、精液供給団体が検定・選抜し、全国的に精液を供給。
広域後代検定の仕組み(参加19道県)
A県(候補種雄牛a)
農家1
農家2
B県(候補種雄牛b)
農家3
同期牛
広域で利用される種雄牛の産子
農家4
広域で利用される種雄牛(民間牛等)の産子を通じて、
県間での種雄牛の能力を比較し、検定結果を広域的に評
価
【共同利用種雄牛の選定基準】
① 検定成績が一定以上
② 特定系統における遺伝子保有確率の基準を満たすもの
③ 精液譲渡要望があるもの
事業実施県を含む需要県に精液を配布
7
2. 能力の推移
(1) 種雄牛、繁殖雌牛の産肉能力は、遺伝的能力評価の普及により、日齢枝肉重量、脂肪交雑ともに向上。
(2) 雌牛の繁殖能力は、初産月齢は着実に早期化してきたが、近年横ばい。分娩間隔の短縮が課題。
3. 新たな家畜改良増殖目標(平成37年度目標、平成27年3月策定)のポイント
(1) 脂肪交雑は、現状維持とし、飼料利用性、繁殖性を改善。
(2) 1年1産を確実に実施するための繁殖管理を徹底。
(3) 収益性に配慮しながら肥育期間の短縮を進め(黒毛和種の肥育終了月齢:29ヶ月⇒24∼26ヶ月)、生産コストの低減を図る。
○
黒毛和種の能力の推移(育種価*)
○
*育種価とは、親牛がその子に及ぼす遺伝的能力向上効果のこと
kg
雌牛の繁殖能力
初産月齢及び分娩間隔の推移(黒毛和種)
日齢枝肉重量
生年
注:日齢枝肉重量
増体性に係る指標。日齢枝肉重量=肥育牛の枝肉重量/と畜時日齢
資料:(公社)全国和牛登録協会
BMS
○ 新たな家畜改良増殖目標(平成27年3月策定)
○
繁殖能力目標数値
区 分
現
在
(単位:月)
初産月齢
分娩間隔
24.4
13.3
23.5
12.5
生年
注:BMS
牛肉の脂肪交雑の程度を示すもの。数字が大きい程サシが細かくて多いとされる。
資料:「全国域での種雄牛および繁殖雌牛の遺伝的能力の推移について」(独)家畜改良センター
育種価は1998年生まれの雌牛の育種価の平均値を0として補正
今回目標
(平成37年度)
8
Ⅲ 豚
1.改良体制
(1) 3元交配に用いられる主な品種のうち、ランドレース種及び大ヨークシャー種については、主に繁殖性に着目した改良が、デュロック種につい
ては、肉質に着目した改良が進められている。
(2) 改良の手法は、(独)家畜改良センター、都道府県及び民間種豚生産者それぞれにおいて、育種素材導入後、一定期間外部導入は行わず郡
内で選抜・交配を行う「系統造成」や、能力の高い種豚を適宜導入し選抜を行う「開放型育種」が行われている。近年では、複数の品種を交配し
て作出した海外ハイブリッド豚の国内利用も増えている。
(3) 肉豚生産は3元交配が主であることもあり、豚においては全国的な能力評価には至っておらず、国内の育種資源の有効活用や効果的な育種
改良を進めるため、全国一律の基準による遺伝的能力の評価を行う体制整備を構築する必要がある。
(4) そのため、我が国の改良基盤強化を図ることを目的に、(独)家畜改良センター、都道府県及び民間種豚生産者からなる「国産純粋種豚改良
協議会」が設立(平成28年3月)され、協議会内の能力評価や優良な種豚の利活用を行うとともに、改良に用いる豚の頭数規模を拡大し、我が
国の種豚改良を推進することとしている。
○ 豚の改良構造
○ 一般的な肉豚の生産体系(3元交雑)
ランドレース(L)
♀ × 大ヨークシャー(w)
♂
↓
デュロック(D)
♀×
子取り用雌豚(LW)
↓
肉豚(LWD)
♂
○ 遺伝的能力評価のためのデータ入力数の推移
(頭)
7,000
6,000
繁殖データ
産肉データ
5,000
4,000
3,000
2,000
注: 系統造成:育種素材豚導入後は群を閉鎖し、選抜と交配を繰り返すことにより遺伝的に優良で
斉一な集団(系統)を作出する改良手法
開放型育種:国内外から優良な育種素材豚を導入しながら自場における現場検定成績を用いて
選抜を繰り返す改良手法
1,000
0
3,496 4,431 2,584 3,583 4,007 2,975 3,231 3,837 1,572 3,034 2,415 2,674 1,573 2,100 1,351 1,578 660 515 1,025 311 838 703 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27(年度)
資料:(一社)日本養豚協会、(独)家畜改良センター
9
2. 能力の推移
我が国の純粋種豚の繁殖能力、産肉能力は上昇傾向。
3. 新たな家畜改良増殖目標(平成37年度目標,平成27年3月策定)のポイント
(1) 引き続き、産肉能力とともに、特に産子数の増加等の繁殖能力の向上に重点を置いた改良の推進。
(2) 差別化やブランド化に資するものとしてデュロック種におけるロース芯筋内脂肪含量の高い(筋肉内脂肪含量がおおむね6%)系統の作
出・利用。
(3) 遺伝的能力評価に基づく効率的な種豚の選抜・改良を推進するとともに、豚改良の関係者の連携・協力による改良体制の強化を図る。
○ 新たな家畜改良増殖目標(平成27年3月策定)
○ 豚の能力(繁殖・肥育)
(1)繁殖能力の推移
(3週齢時育成頭数)
(2)産肉能力の推移
(一日当たり平均増体量)
12
デュロック種
H37年目標 11.5頭
一日平均増体量(g)
頭数(頭)
ランドレース
育成頭数
子豚総体重
(頭)
(kg)
1,100.0
大ヨークシャー種
11
(1)繁殖能力
10
9
1,000.0
H37年目標 1,030g
今回目標(平成37年度)
現 在
11.0
9.8
69
62
大ヨークシャー
育成頭数
子豚総体重
(頭)
(kg)
11.5
10.3
69
61
資料:(一社)日本養豚協会調べ
(2)産肉能力
900.0
一日平均増体
重(g)
800.0
今回目標(平成37年度)
現 在
デュロック種
ロース芯の太 背脂肪層の厚
飼料要求率
さ(c㎡)
さ(㎝)
1,030
912
2.8
2.9
38
38
1.5
1.5
資料:(一社)日本養豚協会調べ
8
700.0
13 15 17 19 21 23 25 27
年度
資料:(一社)日本養豚協会調べ
13 15 17 19 21 23 25 27
年度
(3)総頭数
今回目標(平成37年度)
現 在
(単位:万頭)
905
954
資料:農林水産省「畜産統計」(平成26年度)
10
Ⅳ 馬
1. 飼養頭数の推移
馬の総飼養頭数は、減少傾向で推移しており、平成26年は約7万4千頭。総飼養頭数に占める割合は軽種馬が最も多く、約4万頭。
2. 能力の現状
(1)農用馬の繁殖開始年齢のうち2歳の割合は減少傾向で、平均は3歳となっている。
(2)農用馬の生産率は、高い繁殖技術を持った生産者のリタイア等の影響により低下。
3. 新たな家畜改良増殖目標(平成37年度目標、平成27年3月策定)のポイント
(1)農用馬については、生産率の向上を図るため、優良種雄馬及び繁殖雌馬の維持・確保、人工授精の普及を推進。
(2)軽種馬については、国際競争力をもつ競走能力の高い優良種雄馬及び繁殖雌馬の確保。
(3)乗用馬については、強健性に優れ、温順で乗りやすい馬の生産体制の整備。
(4)福祉・教育・観光目的等の多様な利活用に関する情報共有と利用目的ごとの需要に即した生産・供給の推進。
(5)家畜改良センターで種畜・人工授精用精液の供給、研修等による知識・技術の普及、技術者養成。
○ 馬の飼養頭数の推移
年 次
競走用馬
(軽種馬)
平成21年
22年
23年
24年
25年
26年
農用馬
(重種馬)
44,759
43,954
42,880
42,194
41,360
40,720
乗用馬
8,215
7,716
7,190
6,676
6,206
5,880
小格馬
15,846
16,147
−
−
−
−
1,069
1,119
955
743
624
417
在来馬
1,833
1,857
1,784
1,963
1,879
1,817
肥育馬
9,035
10,628
−
−
−
−
合計
80,757
81,421
74,610
75,199
74,302
73,977
○ 新たな家畜改良増殖目標(平成27年3月策定)
繁殖開始年齢
2才の割合
受胎率
生産率
現 在
35%
75%
63%
目標(平成37年度)
45%
75%以上
65%
区 分
注: 飼養頭数は農林水産省畜産振興課「馬関係資料」。乗用馬、肥育馬はH
23年以降データなし。H23 ∼26の総頭数は動物衛生課「家畜の飼養に係
る衛生管理状況等の公表について」によるため、データの連続性はない。
11
Ⅴ 山羊・めん羊
1. 飼養頭数の推移
(1)山羊
: 飼養頭数と飼養戸数は近年やや増加傾向。
(2)めん羊 : 飼養頭数と飼養戸数はほぼ横ばいで推移。
2. 能力の現状
(1)山羊
: 日本ザーネン種を中心に、泌乳能力の向上が図られている。
(2)めん羊 : サフォーク種を中心に、産肉能力及び繁殖能力の向上が求められている。
3. 新たな家畜改良増殖目標(平成37年度目標、平成27年3月策定)のポイント
(1)山羊
: 泌乳能力の向上を図るための優良な種畜の確保と生産・利用体制の整備。
(2)めん羊 : 繁殖能力や産肉能力の向上を図るための優良な種畜の確保と利用体制の整備。
(3)畜産物利用を促進するともに、耕作放棄地の有効活用・景観保全、ふれあい等多様な利用に関する情報共有と供給体制づくりの推進。
(4)家畜改良センターで飼養管理や繁殖技術の知識・技術の普及、技術支援。
○ めん羊の飼養頭数の推移
○ 山羊の飼養頭数の推移
日本ザーネン種
飼養頭数 飼養戸数 1戸あたり
年 次
(頭)
(戸)
頭数
(頭/戸)
平成21年
14,033
2,925
4.8
22
13,771
2,925
4.7
23
19,183
3,742
5.1
24
18,655
3,650
5.1
25
19,454
3,900
5.0
26
20,164
3,982
5.1
27
21,369
4,032
5.3
世界的に有名なスイス原産の
乳用種を日本の風土に適する
ように改良した品種。泌乳能力
に優れている。
飼養頭数 飼養戸数 1戸あたり
年 次
(頭)
(戸)
頭数
(頭/戸)
平成21年
12,186
562
21.7
22
14,140
593
23.8
23
19,852
895
22.2
24
19,977
909
22.0
25
16,096
873
18.4
26
17,201
882
19.5
27
17,408
922
18.9
サフォーク種
世界各国で肉生産用の交配種と
して広く飼養されている品種。早
熟早肥で産肉性に富み、良質な
ラム肉を生産。
○ 新たな家畜改良増殖目標(平成27年3月策定)
山羊
区 分
総乳量
(250日換算)
めん羊
90日齢時体重
雄
雌
1腹当たり離乳頭
数
現 在
468kg
30kg
26kg
1.4頭
目標(平成37年度)
600kg
33kg
29kg
1.5頭
注: H21∼22年は(公社)中央畜産会「家畜改良関係資料」、H23∼27は動
物衛生課「家畜の飼養に係る衛生管理状況等の公表について」によるため、
データの連続性はない。
12
Ⅵ 鶏
1.
(1)
(2)
(3)
2.
(1)
(2)
改良体制
農家で飼養されるCM(コマーシャル)鶏は、産卵能力や産肉能力に優れた純粋種の系統を、3元又は4元交配して作出。
国内で飼養されるCM鶏の種鶏、原種鶏は外国鶏が大半を占め、国内で改良された国産種鶏の利用はごく一部。
国産鶏の改良は、家畜改良センター、都道府県、民間が連携を図りつつ実施。
新たな鶏の改良増殖目標(平成37年度目標、平成27年3月策定)のポイント
卵用鶏は卵殻強度・卵質の改良(卵殻色や肉斑血斑の減少)及び生存率の向上を図る。
肉用鶏のブロイラーは母系種鶏の産卵能力の向上、地鶏等については生産コストの削減を図る。
○ 改良体制
○ 新たな家畜改良増殖目標
(平成27年3月策定)
家畜改良センター・民間原種鶏場
区 分
年 度
都道府県・民間種鶏場
産卵率
88.0
87.9
卵重量
61∼63
61∼63
143
143
2.0
2.0
50%産
卵日齢
飼料
要求率
区 分
年 度
農家
卵用鶏
目標値
現在値
(37年度)
肉用鶏
目標値
現在値
(37年度)
体 重
2.90
2.87
育成率
98
96
飼料
要求率
1.9
2.0
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3 家畜の改良増殖に関する新技術について①
○ 性判別技術
○ 受精卵移植技術
・ ほ乳類のX染色体は、Y染色体より大きいことに着目した
、精液の段階で性別を判別する技術。
・ 国内で生産されている性判別精液の正確度(雌が生ま
れるX精子の割合)は約9割となっている。
・ 受精卵移植は、優れた雌牛から受精卵を取り出し、代理
母牛に移植して、妊娠・分娩させる技術。
・ 1頭の優れた雌牛から、多数の受精卵を取り出すことが
できるため、多数の優秀な子牛の生産が可能。
性判別受精卵の場合
過剰排卵処置
(ホルモン投与)
性判別精液を
人工授精
受精卵の回収
和牛受精卵の場合
和牛精液を人工授精
以下、同じ
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受精卵
代理母牛に
移植
能力の優れた子牛
の生産
(例:乳牛から黒毛和
種を生産)
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3 家畜の改良増殖に関する新技術について②
○ 子牛を効率的に生産していくためには、分娩間隔の短縮や子牛の事故率の低減が重要であるが、ICTの
進展により、発情発見装置、分娩監視装置、哺乳ロボット等の利用による生産性の向上が可能となり、労働
負担の軽減にも繋がることから、その導入を支援。
発情発見装置
分娩監視装置
哺乳ロボット
発情発見装置
分娩監視装置
哺乳ロボット
導入前
発情監視に毎日一定時間は人手
が必要(夜間の見落とし等で受胎
率に影響)
分娩が近い牛について、事故がな
いように24時間体制で監視
子牛1頭毎に1日2回以上哺乳
するための労力と時間が必要
導入後
発情が自動的にパソコンやスマ
ホに通知されるため、監視業務が
軽減し、受胎率向上が期待
分娩が始まると自動的に連絡が来
るため、長時間の監視業務が軽減
子牛が欲しい時に自動的に哺乳
されるため、省力化とともに、子
牛の発育向上に効果
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