マイコプラズマ抗原迅速検査導入に向けて 愛知県 林 直樹,伊藤 英史

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マイコプラズマ抗原迅速検査導入に向けて
◎林 直樹 1)、伊藤 英史 1)、大嶋 剛史 1)、中村 清忠 1)
医療法人 豊田会 刈谷豊田総合病院 1)
【はじめに】
いてセフェム系抗菌薬が処方され、CT にて肺
マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma
の浸潤影を認め、尿中レジオネラ抗原陰性、
pneumoniae)は非定型肺炎の原因微生物である。
尿中肺炎球菌抗原陰性、WBC 非上昇、CRP 上
β ラクタム系抗生物質には感受性を示さないた
昇を認め、マイコプラズマ肺炎を強く疑う所
め、起因菌の早期同定と診断は、適切な薬剤
見であった。そのうち 1 例が抗原迅速検査
選択や耐性菌の発現リスクを抑制する上で重
(リボテストマイコプラズマ)陽性であり、ペ
要である。一般的には抗体価測定による検査
ア血清で抗体価の上昇を認めた。残りの 2 例
が主であるが、陽性持続期間が長く既感染で
は迅速抗原検査陰性であった。一方、
陽性を示すこともあるため注意が必要である。
LAMP 法が陰性の症例は、マクロライド系抗
近年、感染初期での診断に有用とされるマイ
菌薬等が処方されており、抗原迅速検査も全
コプラズマ抗原定性検査が保険収載された。
て陰性であった。
今回我々は、抗原検査導入を踏まえ、医師に
【まとめ】
対し適切な検体採取法について啓蒙を行った
LAMP 法の結果と抗原迅速検査の結果との間
上で抗原迅速検査キットの評価に臨んだので
に乖離が認められた原因として、検査法によ
その取り組みを紹介する。
る感度の差や、採取部位の違いによる菌量の
【対象・方法】
差が考えられた。現時点での症例数では、抗
2015 年 4 月~2016 年 7 月までに、当院医師に
原迅速検査試薬の性能評価は困難であるが、
よる診察においてマイコプラズマ・ニューモ
検出率の向上には適切な検体採取が重要であ
ニエ肺炎が疑われ、検査の同意を得られた成
ることが改めて示唆された。今後も検体採取
人患者 19 例を対象とした。評価に先立ち、検
に関する啓蒙活動を継続していきたい。
体を採取する医師に対し、動画を用いて適切
連絡先:0566-25-2948
な採取法を説明し、検出率の向上に努めた。
患者より咽頭後壁擦過検体を抗原迅速検査用
に 2 本、LAMP 法用に 1 本採取し、抗原迅速
検査結果を LAMP 法と比較した。マイコプラ
ズマ抗原迅速検査はプロラスト Myco(LSI メデ
ィエンス)とリボテストマイコプラズマ(旭化成
ファーマ)の二社のキットを使用した。また
LAMP 法は SR DNA 抽出キット(栄研化学株式
会社)、Loopamp 肺炎マイコプラズマ検出試薬
キット D(栄研化学株式会社)を使用した。
【結果】
19 例のうち、LAMP 法で陽性となった症例は
3 例であった。いずれも当院受診前の前医にお