25 マイコプラズマ抗原迅速検査導入に向けて ◎林 直樹 1)、伊藤 英史 1)、大嶋 剛史 1)、中村 清忠 1) 医療法人 豊田会 刈谷豊田総合病院 1) 【はじめに】 いてセフェム系抗菌薬が処方され、CT にて肺 マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma の浸潤影を認め、尿中レジオネラ抗原陰性、 pneumoniae)は非定型肺炎の原因微生物である。 尿中肺炎球菌抗原陰性、WBC 非上昇、CRP 上 β ラクタム系抗生物質には感受性を示さないた 昇を認め、マイコプラズマ肺炎を強く疑う所 め、起因菌の早期同定と診断は、適切な薬剤 見であった。そのうち 1 例が抗原迅速検査 選択や耐性菌の発現リスクを抑制する上で重 (リボテストマイコプラズマ)陽性であり、ペ 要である。一般的には抗体価測定による検査 ア血清で抗体価の上昇を認めた。残りの 2 例 が主であるが、陽性持続期間が長く既感染で は迅速抗原検査陰性であった。一方、 陽性を示すこともあるため注意が必要である。 LAMP 法が陰性の症例は、マクロライド系抗 近年、感染初期での診断に有用とされるマイ 菌薬等が処方されており、抗原迅速検査も全 コプラズマ抗原定性検査が保険収載された。 て陰性であった。 今回我々は、抗原検査導入を踏まえ、医師に 【まとめ】 対し適切な検体採取法について啓蒙を行った LAMP 法の結果と抗原迅速検査の結果との間 上で抗原迅速検査キットの評価に臨んだので に乖離が認められた原因として、検査法によ その取り組みを紹介する。 る感度の差や、採取部位の違いによる菌量の 【対象・方法】 差が考えられた。現時点での症例数では、抗 2015 年 4 月~2016 年 7 月までに、当院医師に 原迅速検査試薬の性能評価は困難であるが、 よる診察においてマイコプラズマ・ニューモ 検出率の向上には適切な検体採取が重要であ ニエ肺炎が疑われ、検査の同意を得られた成 ることが改めて示唆された。今後も検体採取 人患者 19 例を対象とした。評価に先立ち、検 に関する啓蒙活動を継続していきたい。 体を採取する医師に対し、動画を用いて適切 連絡先:0566-25-2948 な採取法を説明し、検出率の向上に努めた。 患者より咽頭後壁擦過検体を抗原迅速検査用 に 2 本、LAMP 法用に 1 本採取し、抗原迅速 検査結果を LAMP 法と比較した。マイコプラ ズマ抗原迅速検査はプロラスト Myco(LSI メデ ィエンス)とリボテストマイコプラズマ(旭化成 ファーマ)の二社のキットを使用した。また LAMP 法は SR DNA 抽出キット(栄研化学株式 会社)、Loopamp 肺炎マイコプラズマ検出試薬 キット D(栄研化学株式会社)を使用した。 【結果】 19 例のうち、LAMP 法で陽性となった症例は 3 例であった。いずれも当院受診前の前医にお
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