結核検査LAMP法について

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結核検査LAMP法について
喀痰以外の材料による検査と肺外結核
◎秋永 信代 1)、生島 優 1)、阪本 裕子 1)
独立行政法人 地域医療機能推進機構 人吉医療センター 1)
【はじめに】
当院は、結核検査の核酸増幅検査 PCR 法を
それぞれの喀痰検査は、LAMP 法陰性で肺外結
核と診断された。
外注していたが、2014 年 6 月から栄研化学の
LAMP 法を導入した。同年 9 月に LAMP 法に
【考察】
よる結核菌群検出試薬キットの対象検体種に
今回 LAMP 法において喀痰以外の検体から
ついて変更があり、喀痰以外の材料も適応と
肺外結核が証明された症例を経験した。結核
なり検査が可能となった。これに伴い迅速に
は肺を好発部位とするが、全身どの臓器にも
結果報告ができるようになり、肺外結核の診
発症しうる。肺外結核においては頻度が少な
断ができた症例を経験したので併せて報告す
く、菌が証明されないことも多く臨床症状も
る。
多彩である。そのため不明熱や難治性疾患な
どの肺外結核を疑う場合には、各種材料から
【方法】
の検査が必要と考える。
2014 年 10 月から 2016 年 4 月までの抗酸菌
今回、原因不明や同じ症状を繰り返すことに
検査 653 件のうち、依頼のあった LAMP 法
より LAMP 法を実施することで診断できた。
517 件について検査を行った。検査材料は喀
また LAMP 法の導入により結核・肺外結核の
痰・胸水・肺胞洗浄液・尿・組織・膿汁等で
診断が院内で迅速にでき、感染対策上の役割
あった。
を果たすことができるようになった。
検査手順は専用の DNA 抽出キットを用いて結
核菌群 DNA を抽出後、LAMP 反応にて増幅し
【まとめ】
た副産物を濁度検出により判定した。喀痰以
LAMP 法で肺外結核の診断ができるように
外の材料処理については、検体種別処理マニ
なり、不明熱・高齢者・結核既往歴のある患
ュアルに準じて行った。
者には LAMP 法を推奨していきたい。
また診断に苦慮する病変に遭遇した場合は結
【結果】
核の可能性も考え、全身のすべてが検査材料
喀痰検体 387 件のうち陽性7件。肺結核と
になることを念頭に置いて検査する必要性を
診断され専門病院に紹介となった。
感じた。
喀痰以外の検体 130 件のうち陽性4件。その
検体の内訳は胃液・胸水・組織・膿汁であっ
連絡先 0966-22-2191 (157)
た。
それぞれの症例と結果は下記に示す。
① 84 歳 女性 粟粒結核 胃液陽性
② 90 歳 男性 胸膜炎 胸水陽性
③ 81 歳 女性 結核性関節炎 組織陽性
④ 45 歳 女性 皮膚結核 膿汁陽性