96 末梢血幹細胞採取時の多項目自動血球分析装置による造血前駆細胞数測定の意義 ◎伊藤 衣里子 1)、池口 美代子 1)、山中 泰子 1)、長村 陽子 1)、杉浦 由季 1)、加藤 秀樹 1)、 湯浅 典博 1) 名古屋第一赤十字病院 1) 【背景】末梢血幹細胞移植(peripheral blood HPC 数を測定し、フローサイトメーター(BD stem cell transplantation:PBSCT)においては、 FACS Canto Ⅱ:日本ベクトン・ディッキンソン 造血幹細胞(Hematopoietic Stem Cell:HSC)を 社)による CD34 陽性細胞数と比較した。 十分量採取することが必要である。HSC は HPC 数と CD34 陽性細胞数との関連を検討し、 通常、末梢血中に僅かしか存在しないため、 年齢、性、被採取者(健常ドナー、悪性リンパ 顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte-Colony 腫、形質細胞性腫瘍)別にその関連を検討した。 Stimulating Factor:G-CSF)を投与し、骨髄から 統計学的検討は Pearson 相関係数、単回帰分析、 末梢血へ大量の HSC が動員される時期に採取 受診者操作特性(ROC)曲線を用い、p<0.05 を有 される。しかし HSC が末梢血中に動員される 利差ありとした。 タイミング、動員効果には個人差があるため、 【結果】HPC 数(x)と CD34 陽性細胞数(y)には HSC を採取する至適時期の決定が難しい。 y=0.76x+2.4,R=0.616,p<0.001 と中等度の有意な そのためこれまでフローサイトメトリーに 相関を認めた。CD34 陽性細胞数≧20/uL を判 よる CD34 陽性細胞数測定が行われてきたが、 別する HPC 数の最適 cut-off 値は 25/uL で、 これには専用機器と熟練した技術を必要とし、 ROC 曲線下面積は 0.729 であった。 測定には 1 時間以上かかり、加えて測定コス 年齢(40 歳以上/未満)、性別(男性/女性)、被採 トが高いことなどの問題があった。近年、こ 取者(健常ドナー、悪性リンパ腫)で分類すると、 れらの問題を解決するための簡便な方法とし いずれの subgroup においても HPC 数と CD34 て、多項目自動血球分析装置を用いた造血前 陽性細胞数に中等度以上の有意な相関を認め 駆細胞(hematopoietic progennitor cell:HPC)の検 た。しかし形質細胞性腫瘍患者の PBSC 採取前 出が注目されている。 の検体では、HPC 数と CD34 陽性細胞数に全 【目的】末梢血幹細胞採取(PBSCH)における多 く関連を認めなかった。 項目自動血球分析装置による HPC 数測定の意 【考察】造血幹細胞移植に必要とされている 義を、フローサイトメトリーによる CD34 陽性 CD34 陽性細胞数は、患者体重 1kg あたり 細胞数との比較から明らかにする。 2×10^6 といわれている。当院の PBSCT にお 【対象】2013 年 9 月から 2016 年 6 月までの いては CD34 陽性細胞数≧20/uL(あるいは 33 ヶ月間に、当院で PBSCT 目的に G-CSF が 10/uL)を指標に PBSC を採取している。今回の 投与された 38 例から得た末梢血液 51 検体(中 検討では、HPC 数は CD34 陽性細胞数の指標 央値 46 歳(2-70 歳)、男性 24 例、女性 27 例、 になることが示唆されたが、被採取者の疾患、 健常ドナー 22 例 29 検体、自家移植 16 例 採取の前処置(G-CSF±化学療法)などを考慮す 22 検体(悪性リンパ腫 7 例 9 検体、形質細胞性 る必要がある。 腫瘍 6 例 9 検体、血液悪性疾患 1 例、固形腫 【結論】PBSCH において、多項目自動血球分 瘍 2 例 3 検体))を対象とした。 析装置による HPC 数測定は HSC 採取至適時期 【方法】対象検体において多項目自動血球分 の決定に有用な可能性がある。 析装置(XN3000:シスメックス社)によって
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