推進工法の標準化に至った背景

推進工法 の
標 準 化 に至 っ た 背 景
.ゴ
高 根
驚
昇
トピー栄進 建 設 (株 )
副社 長
か え り、標 準 化 に至 る背 景 を 考 え る こ とは、 工法
わtニ
1. `ま じと
推 進 工 法 の概 念 は 占 く昔 か らあ つ た とい わ れ て
い ます が 、 今 日広 く世 界 に普 及 して い る トン ネ ル
建 設 に 用 い る推 進 工 法 は 、 比 較 的 近 年 に 開 発 発 達
の 変 遷 を知 る うえ有 意 義 な こ と と思 い この テー マ
を選 択 した次 第で あ ります。
2.創 業 の 思 い 出
私 は 、 1960年 6月 に栄 進 土 木 株 式 会 社 を設 立 し
した もの と認 識 され て い ます。 若 千 年 代 の 前 後 は
あ ります が 、 ア メ リカで も、 ヨー ロ ッパ で も、 そ
ま した。 先 づ 推 進 工 事 専 業 者 と して 必 要 な各 種 の
して わ が 日本 で も、 それ ぞ れ外 国 か ら技 術 導 入 し
準 備 を、 特 に特 許 、 実 用 新 案 の 調 査 、 研 究 、 出願 、
た訳 で は な く、 独 自 に 考 案 され その 国 情 に合 っ た
工 業 所 有 権 の取 得 を進 め る一 方 、 営 業 活 動 を開始
改 良 が 加 られ た もの と考 え られ ます。 そ して 発 展
し推 進 工 法 が 実 用 段 階 に入 っ た 1961年 秋 、 横 浜 市
の 過程 も基 本 シ ス テ ム も誠 に類 似 して い るの は 、
水 道 局 発 注 淋目模 鉄 道 軌 道 下推 進 工 事 を初 受 注 じ
偶 然 と も思 わ れ ず 不 思 議 に感 じ ます 。
ス タ ー トを切 りま した 。
当時 の推 進 工 法 は 、 重 要 構 造 物 等 の 地 下 に管 体
更 に「 アメ リカの推 進 工 法・最 新 技 術 」とい う論 文
の 中で 、推 進 工 法 の利 点 と して コ ス トの 点 を挙 げ、
を埋 設 す るた め に採 用 され 、 次 の よ う に説 明 され
欠 点 と して専 門 技 術 、 敢 えて い うな ら芸 術 的 感 覚
て い ま した。
を必 要 とす る技 術 と指 摘 して い る点 で 、 何 か 強 い
「推 進 工 法 は、 ヒュー ム管 また は鋼 管 を押 し込 む
場 合 、 一 方 か ら押 し抜 く方 法 で 、 これ は特 許 、 実
共 感 を覚 え ます。
日本 で 推 進 工 法 が 着 実 な発 展 を遂 げ、 現 在 世 界
用 新 案 等 特 別 の 工 法 を用 い て い るが 、 理 論 的 に は
各 国 の 注 目 を集 め て い るの は 、 この 施 工 技 術 を活
ほ ぼ 共 通 した もの で 、 管 を押 し込 む とき、 路 面 を
用 す る施 工 量 が極 め て大 きか っ た こ とに起 因 す る
落 さな い よ う工 夫 して い る」。
もの と思 い ます。 また その た め工 法 の標 準 化 、推
推 進 工 法 が 発 明 され て約 10年 、 工 事 量 は僅 か な
進 管 の 規 格 化 、 積 算 体 系 が 確 立 して い る点 で あ ろ
もの で 、 横 浜 で は 年 に数 件 とい う状 況 で した 。 で
す か ら少 数 専 業 者 の 独 占 が 許 され 、 利 益 も大 きな
うか と考 え ます。
こ こ に私 は創 業 以 来 推 進 工 法 の 開 発 過程 をふ り
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時代 で あ りま した 。 押 し込 み 側 か ら横 断 箇 所 を は
特集/推 進工法の標準化 に至った背景
ルポ イ ント ー
ウ ェルポ イ ント エ
推定地下水位 ド降線
平面 図
納
臨
廿
図 ― 1 推 進 工 事概要 図
され、 単 に貫 通 させ る こ とにポ イ ン トが お か れ て
して い ます。 その後 こ れ らの会 社 か ら分 離 独 立 す
る もの もあ り、 建 設 ブ ー ム に よ る上 下 水 道 設 備 、
い た訳 で す。
電 気 通信 、 ガ ス 等 の 公 共 投 資 の 活 発 化 で 工 法 が 普
さんで 到 達 側 に押 し出 す と驚 異 の 眼 を もつ て 賞 讃
或 る夏 の暑 い 日、 毎 日虎 ノ門 。
特 許 庁 の特 許 実 案
及 す る と共 に施 工 業 者 の 数 も増 えて 行 くこ と とな
閲 覧 室 に 通 いつ め た こ とを よ く覚 えて い ます。 そ
ります 。
れ程 当時 、 営 業 上 工 業 所 有 権 の取 得 が 絶 対 条 件 で
発 明 し普 及 され た 先覚 者 の 苦 心 に は敬 意 を表 し
あ つ た訳 で す。
ます が 、 また儲 け ほ うだ い の 時 代 で もあ りま した 。
その 出願 者 の 中 に は 、 乞 五 工 業 一清 水 政 治 氏・丸
その 思 恵 に 浴 した い と、 弊 社 は既 存 業 者 とは全 く
福 建 設 ―沼 田幸 造 氏・南 野 建 設 ―南 野 輝 脂L氏 。
大阪土
。
。
一
―
木 工 業 安 倉 安 範 氏 竹 内章 氏 国 際 建 設 佐 々 木 主
係 累 の な い姿 で 発 足 しま した が 、 営 業 力 が 弱 い た
殿 氏 。日本 技 術 建 設 ―南 野 繁 夫 氏・機 動 建 設 工 業 一山
田勝 己氏・泰 明 建 設 ―自崎 覚 氏 。関 口英 善 氏 。
大谷昇
者 の お こぼ れ を拾 う結 果 とな りま した 。 地 元 で あ
氏・小 林 勝 治 氏 等 の 名 が 見 られ ま した。
と併 せ 、 今 日 とな っ て み れ ば逆 に幸 い し、 困難 に
屈 す る こ との な い精 神 力 を涵 養 し得 た こ と、 失 敗 、
め地 盤 の よ い場 所 で の 工 事 は獲 得 で きず 、 先 輩 業
る横 浜 地 区 が 軟 弱 地 盤 の 難 しい土 質 で あ っ た こ と
日本 で の推 進 工 法 の創 始 者 は機 動 建 設 工 業 (株 )
の 代 表 者 木 村 又 左 衛 門 氏 (協 会 会 長 木 村 宏 一 氏 の
研 究 、 成 功 と貴 重 な体 験 を積 み 重 ね、 技 術 向上 に
尊 父 )で あ り、 考 案 し採 用 され てか ら数 年 は専 ら関
取 り組 む姿 勢 と自信 を深 め 、 よ り積 極 的 な意 欲 を
西 地 区 で 実 績 を積 まれ 、 関 東 地 区 に進 出 され た の
醸 成 す る こ とが で き ま した 。
は 、 1953年 と機 動 建 設 工 業 (株)社 史 に 記 され て い
当時 は鉄 道 軌 道 下 の 横 断 が 技 術 的 に程 度 が 高 い
ます。 1950年 代 東 京 地 区 で は 、 関 西 方 面 よ り進 出
とされ 、 その 資 格 保 有 如 何 が 施 工 業 者 の 評 価 に 直
し支 店 を設 け られ た 機 動 建 設 工 業 (株 )、 南 野 建 設
接 結 び つ い て い ま した 。 その た め 弊社 で は 、 国鉄 、
(株 )と 本 社 が 東 京都 の (株 )土 長 、 川 崎 市 の 泰 明 建
相 鉄 、 小 田 急 、 京 急 の 資 格 を逐 次 取 得 す る こ とに
設 (株)等 数 社 の 手 に よ っ て 、 主 に私 鉄 、 国 鉄 、 ガ
成 功 して お ります 。
ス会 社 、 官公 庁 (上 水 )等 に採 用 され て い た と記憶
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推 進 工 事 に用 い た押 込機 器 は 手動 シ ップ ジ ャ ッ
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特集/推 進工法の標準化 に至った背景
図 -2
図 -4
手 動 シ ップジ ヤッキ
エ ンジン駆動油圧 ポ ンプと分離式 ジャッキ組合せ
図 -5
図 -3 手動油圧ポ ンプと分 離式 ジャッキ組合せ
5,000以
電 動油圧 ポ ンプユ ニ ッ ト
4.000‐ -5,000
│
管外径
さは、
管底敷 よ り30cm∼ 50cm程 度 とす る。
i朱
図 -6
キ を使 用 、 労 力主 体 で 施 工 した時 代 か ら手動 油 圧
ポ ンプ と分 離 式 油圧 ジ ャ ッキ の組 合 せ の 時 代 へ と
平面図
「 軌 道 下 推 進 工 事 指 針 」抜 粋
(1)平
面図
移 行 し、 その後 油圧 ポ ンプ は電 動 機 また は エ ン ジ
埋 設 物 調 査 につ い て (略 )
ン駆 動 す る もの が 使 用 され る に至 つ て お ります。
推 進 工 事 に伴 う深 さに つ い て
その後 需 要 が 増 大 す る に伴 い 、 管 の種 類 、 土 質 、
東 鉄 で は管 の 深 さ即 ち RLよ り土 被 りを 2m以
先 掘 りの状 況 等 に よ り推 進 力 を計 算 し、 推 進 力 に
上 と して部 外 工 事 を承 認 して い る。 それ は 国鉄 自
適 合 した 油 圧 ポ ンプ 、 ジ ャ ッキ を選 定 す る とか 、
体 の 埋 設 物 に支 障 の な い こ と、 ヒュー ム管 の 強 度
と両 面 か ら決 定 した もの で 、 次 に ヒュ ー ム 管 理 設
特 注 製 作 の上 使 用 され る よ うに な りま した 。
この 当時「推 進 工 法 」に 関 す る文 献 は殆 ど見 当 ら
ず 、 漸 く入 手 で きた 資 料 の 中 に、 国 鉄 東 京 鉄 道 管
理 局 で ま とめ た と思 わ れ る
「軌 道 下 推 進 工 事 指 針 」
の深 さ を検 討 して見 た。
(1)輪
(2)管
が あ ります が 、 初 期 の「推 進 工 法 」の 一 端 を知 るた
注意事項
め好 材 料 と考 え られ ます の で 一 部 を抜 粋 して紹 介
(イ
Voll No4
厚 の 決 定 (略 )
ーム管 は最 初 か ら強 い カ カ か るか ら
ヒュ ー
'か
養 生 を十 分 に した 品 物 を使 う こ と。 最 近 ヒュ
す る こ とに致 します 。
月刊推 進 技術
)
荷 重 に よ る垂 直 荷 重 (略 )
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特集/推 進工法の標準化 に至 った背景
、
ン ャ ッキ
押板
押角
押 角、■バ タは堅木
アキ等 )を 使用
(ケ
図 -7
図 -8
押 込設備
バ ック補 強
― ム 管 の 需 要 が 多 く在 庫 品 が 少 な い。 特 に大
す こ と力'あ る。
(2)押
日経 の物 、 特 殊 管 は 前 もつ て製 造 業 者 に用 意
させ て 置 く必 要 が あ る。
(口
)
1)
①
Pの 値 、 即 ち ジ ャ ッキ を何 ton掛
水 道 管 、 ガ ス 、 電 らん 等 は 直接 本 管 を布 設
とい う こ とを知 る こ とは困難 で あ る。 しか しなが
に す る こ と。
ら実 際 は管 重 量 の 3∼
電蝕 防 止 とな る輸 管 と本 管 との 間 に ア ス フ
を補 強 す る必 要 が あ る。
引 抜 き、 増 設 等 が 容 易 にで き る。
直接 本 管 に荷 が 掛 らぬ た め 障 害 が起 きな い。
m2× 土 の 粘 着 力 (t/m2)+載 荷 重
す る意 味 か ら輸 管 を使 用 す る。
)
)
到 達 日 は な るべ く管 を押 し終 つ て か ら掘 る
`
こ と。 これ は工 事 を急 く
あ ま り中 間 で 行 う こ
(V:後
と力'あ る力'、 」ヒ質 に よ り管 │こ カロわ る 力 が 管 周
②
押 込 日、 到 達 日の埋 め戻 しは完 全 に しな い
と自動 車 車 輪 が は ま り込 み 思 わ ぬ 事 故 を起 こ
部 地 盤 の容 積
P'<Pの
W kg
ときP'十
a>P
と しな けれ ば な らな い)。
一 体 の 山 を動 か す傾 向 を起 こす。
(二 )
まで の 力 が 掛 つ て い る
P>P'の 場 合 は後 部 の 補 強 を要 しな い。
(P:ジ ャ ッキ圧 力、 P':後 部 の 地 盤 の 強 度
な お 、 P'=Vm'× 土 の 単 位 重 量 十 (2A+A')
の工 事 に迷 惑 を与 え る。 よ って 一 箇 所 に整 理
4)
7倍
ので ジ ャ ッキ圧 につ い て進 ん だ 研 究 が 必 要 で あ る。
次 に押 込 時 の ジ ャ ッキ圧 力 に よ っ て 押 込 口後 方
細 い もの を数 本 入 れ る と広 い面 積 を と り他
(ハ
けた ら良 いか
せ ず 輸 管 を用 い その 中 に 目的 物 を入 れ るよ う
ァル トを注 入 す れ ば さ ら に効 果 が あ る。
3)
込設備
バ ック補 強
管 刀 日の 種 類
ヒュー ム管 又 は鋼 管 を押 し込 む場合 、管 を一 方
か ら押 し抜 く方法 で 、 これ は特 許 、 実用新案 等特
別 の工法 を用 い て い るが 、理 屈 はほぼ 共通 した も
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特集/推 進 │[法 の標準化 に至った背景
の で 、 管 を押 し込 む と き路 面 を落 さ な い よ う工 夫
され て い る。
1957年 に な つ て ジ ャ ッキ の 動 力化 に 成 功 し、 ま
た 長距 離 推 進 に不 可 欠 の 中押 し工 法 な どの 技 術 開
発 と相 倹 っ て能 率 の 向上 、 適 用 範 囲 の拡 大 が な さ
れ ま した 。 また 1960年 に は 、 円形 管 の 推 進 に とど
ま らず 、 地 下 道 用 等 の ボ ック ス カ ル バ ー トの研 究 、
実 用 化 が 果 され ま し′
=。
ジャ ッキ
即 ちオ
佳進 工 湿ヨまわ 力'[コ で
考 案 され、 その 国情 に合 致 した 技 術 開 発 が な され
た 訳 で 、 主 と して 中小 規 模 の施 工 業 者 が工 業 所 有
権 に擁 護 され た 姿 に於 い て種 々 創 意 工 夫 され 発 展
を遂 げ た もの と思 わ れ ます。 建 設 業 は 国 の 産 業 経
棚
9=:liの
図 -9 刃 口図
済 の推 移 と軌 を一 に して お り、 その 経 過 した 年 代
安息、
角
の 社 会 情 勢 に影 響 され な が ら成 育 しその体 質 を形
成 した もの で 、 推 進 工 事 業 者 とて例 外 で は あ りま
せ んで した。 特 に推 進 工 事 業 者 は小 資 本 で 身 軽 な
形 で 成 立 し得 る要 素 を もつ て お り、 殆 ど中小 企 業
の 規 模 で 専 門工 事 業 者 と して 技 術 革 新 の 要 請 に応
えて 自立 成 長 を遂 げ、 暫 時 企 業 組 織 を拡 充 して き
ジャ ッキ
た もの と考 え られ ます。
3.シ ー ル
ド推 進 工 法 の 黎 明 期
特 許 等 の 制 約 は あ っ た もの の 、 比 較 的 小 資 本 、
小 人 数 で 開業 出来 得 た た め既 成 業 者 よ りの 分 派 、
図 一 10 刃 日かぶ と型図
下 請 か らの 成 長 の 形 で 業 者 数 を増 しま した が 、 技
図 ―‖
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シ ップジャッキを用 いた推進作業風景
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特集/推 進工法の標準化 に至った背景
術 面 で は 多 くの 旧 来 の 方 法 を踏 襲 す る に 過 ぎ ませ
全性 、 よ り精 度 の 高 い 他 社 に な い栄 進 独 自の 11法
んで した。 係 累 の 全 くな か つ た 弊 社 は何 の こだ わ
の 確 立 、 これ が 夢 で あ りま した。
り もな く、 む しろ既 成 概 念 を打 破 す る よ うな実 験 、
研 究 、 試 作 機 器 の 採 用 に踏 み切 れ た こ とが大 き く
猛 烈 な競 争 心 、 これ が 今 日世 界で 注 目 され る技
幸 で あ つ た と思 い ます。 特 に 加 えて 横 浜 市 が地 元
術 的 評 価 を受 け る に至 っ た 要 因 と考 え られ ます じ
1966年 に入 る と、 K社 、 0社 は大 々 的 に メ カ ニ
で あ つ た こ と即 ち地 質 的 に難 しい 実験 場 に 恵 まれ 、
レシーノ
レド推 進 工 法 の
カノ
市 当局 の熱 心 な指 導 下 で 開 発 研 究 を進 め る こ とが
工 法 と上ヒし、 工 費 は15∼
で き ま した。
初 は 当然 弊 社 が 施 工 で き る と考 えて い た工 事 まで
1964年 1月 横 浜 市 よ り末 吉 幹 線 下 水 、 北 綱 島 排
水路 の
2件 を受 注 、 市 当局 技 術 陣 の 指 導 の 下 に、
シー ル ドを先導 体 と して用 い た特 殊 推 進 工 法 に挑
PRを 始 め ま した。 弊 社の
2イ 音位
と害J高 、 しか し当
K社 、 0社 に決 ま つ て しま う。 新
しい工 法 を試 し
た り とい う こ と もあ りま した が 、 結 局 ネ ー ムバ ソ
ュー の 強 さ に涙 を飲 む結 果 とな りま した。
戦 し苦 心 の 末 完 成 を果 しま した。 この こ とは、 弊
ただ し、 財 源 の 乏 しい地 方 自治 体 に お い て は、
社 の 今 後 の 技 術 向上 に大 きな役 割 を果 した反 面 、
や は り経 済 面 を重 視 し、 お か げで 一 部 の 施 主 に 重
各種 の 欠 陥 矛 盾 に到 達 、 苦悩 の連 続 で あ った こ と
宝 が られ 実 績 を つ け る こ と力'で き ま した。 しか も
も事 実 で した。
その 成 績 は良 好 で あ つ た た め 、 弊 社 の 存 在 と評価
下 水 道 管 き ょ工 事 で の シー ル ドエ 法 の採 用 は 、
も認 め られ 、 各 方 面 で 活 用 項 け る よ うに な りま し
1962年 東 京 都 下 水 道 局 、 石 神 井川 幹 線 で あ り、 良
た。 こ こで 当時 、 各 社 の工 法 の概 要 特 色 を整 理 し
好 な成 果 を挙 げ た こ とか ら各 地 に拡 大 、 多 くの 幹
て見 る と、 次 の よ うに比 較 す る こ とが で き ます。
線 工 事 に採 用 され その 技 術 も急 速 に習 熟 され つ つ
シ ー ル ド推 進 工 法 の 分 類 と概 要 特 色
あ りま した。 横 浜 市 にお いて も1963年 桜 木根 岸 幹
(1)元 押 し方 式
1)手 掘 り半 閉 塞 式 (弊 社 )
線 に採 用 され、 年 々 継 続 して施 工 され ま した。 一
方 で は「特 殊 シー ル ドエ 法 」と称 して シー ル ド推 進
切 羽 に面 す る部 分 の 一 部 を開 塞 板 で 開 塞 し、
工 法 の 研 究 も進 め られ る よ うに な りま した。 横 浜
ジ ャ ッキで 先 押 しで き る よ う装 備 され た 簡 易
市 で 正 式 に採 用 され た の は 1967年 で 、 以 来 大 手 シ
な シー ル ドを管 の 先 端 に設 け、 元 押 し装 置 を
ー ル ド業 者 、 推 進 専 業 各 社 の 技 術 陣 が 競 っ て独 自
用 い て シー ル ドの後 方 か ら管 体 を圧 入 す る。
2)還 流 式 機 械 化 シ ー ル ド (0社 )
の工 法 を発 案 し、「 セ ミシー ル ドエ 法 」と称 し推 進
工 法 の分 野 に加 担 す る こ とに な つ た訳 で す。 また
この 頃 欧 米 よ りの 技 術 も導 入 され 、 技 術 革 新 へ の
管 の 先 端 にブ ライ ン ド型機 械 化 シー /L/ド を
配 し、 回転 カ ッタ ー で 地 山 を押 えな が ら切 削
競 争 意 識 は い や が うえ に も高 め られ 、 長距 離 、 良
精 度 、 高 安 全 性 へ と長 足 の 進 歩 を もた らす こ と と
せ て 湧 水 を押 えなが らず りをポ ンプ で 搬 出 す
な りま した 。
る もの で 、 シー ル ドの 後 方 か ら管 体 を圧 入 す
す る と共 に、 加 圧 した泥 水 を掘 削 室 に 充満 さ
横 浜 市 と して特 殊 シー ル ドの 名 に お い て採 用 さ
れ た の は、 1967年 3月 南 区 上 大 岡地 区 といわ れ て
い る力'、 実 際 に は これ に先 だ ち1963年 推 進 工 法 と
る。
(2)中 間 ジ ヤ ッキ 方 式
1)中 間 ジ ャ ッキ 式 (K:社・ N社
)
して既 に 弊 社 が 試 作 シー ル ドを使 用 、 特 殊 推 進 工
管 の 先 端 に シー ル ドを配 し、 シー /1/ド の 後
事 と して施 工 しま した が 、 管 外 周 の 空 隙 充填 機 が
方 か ら管 体 を圧 入 す るが 、 元 押 しジ ャ ッキ の
未 開 発 で あ つ た こ と と、 薬 液 注 入 工 法 が 未 熟 で 開
ほ か に推 進 体 中 間 に ジ ャ ッキ を挿 入 して長 ス
発 途 上 に あ っ た た め路 面 が 沈 下 、 対 応 に苦 慮 し自
パ ンの 推 進 を可 能 に す る もの 。 た だ し中間 ジ
信 を失 い一 時 休 止 を余 儀 な くされ ま した 。 しか し
ンド推 進 工 法 実 用 化 の 必 要 性
諸般 の 情 勢 か らシー ノ
に追 られ 、再 び 開 発 へ の 意 欲 を燃 や しま した。 目
的 とす る特 徴 は 、 日本 土 質 、 よ り経 済 性 、 よ り安
-14-―
ャ ッキ は押 し方 向 の み で あ る。
2)中
間 押 し引 きジ ヤ ッキ 式
(K社 )
前 記 の 中 間 ジ ャ ッキ が 押 しジ ャ ッキ と引 き
ジ ャ ッキ の組 合 わ せ か ら成 る伸 縮 体 の 場 合 で
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特集/推 進工法の標準化 に至つた背景
あ る。
祓
まず 、 先 端 の ム ーバ ブル フー ドを フー ド内 ジ ャ
600-
ッキで 地 山 に10cm貫 入 させ 、 次 に第 1推 進 装 置で
900-│′
後 続 の 第 1管 体 を押 す。 適 当 な本 数 を押 し込 んだ
第
500-2′
2管 体 を引 い て 前 進 させ る。
2推 進 装 置 以 後 は押
3管 体 以
200
250
300
0(
00(
C
000-2′ 50(
しジ ャ ッキ不 要 とな り、 引
きジ ャ ッキ の繰 り返 し動 作 に よ り第
150
200ヽ 1 50(
後 、 第 1管 体 を ア ン カ ー と して 第 1推 進 装 置 の 引
きジ ャ ッキ に よ り第
100
80(
500-300(
ドを
図 ― 12 経 済 的 実用施 工 範 囲
推 進 す る こ とが で き る。
当時 、 シー /t/ド 推 進 工 法 に対 す る考 え方 は、 横
浜 市 にお い て 1968年 末 、 各 社 の施 工 報 告 書 を ま と
長 足 の進 歩 を もた ら した こ とか ら、 一 つ の ブ ー ム
め られ た研 究 レ ポ ー トの 中で 推 察 す る こ とが で き
とな り各都 市 にお いて一 斉 に採 用施 工 され る よ う
ます。 こ こに シー ル ド推 進 工 法 の 利 害 得 失 と今後
に な りま した。 勿 論 その 背 景 に は管 路 の 開 削 工 事
の 問題 の項 を引 用 す る こ とに致 します。
が 都 市 活 動 の 妨 げ とな り、 その上 工 事 公 害 に対 す
1)シ ー ル ドエ 法 よ り工 期 が 短 縮 され る。
2)施 工 精 度 が シー ル ドエ 法 よ り若 十 劣 り、 普
通 推 進 工 法 よ り通 か に 高 い と考 え られ る。
3)本
4)推
絶 対 的 要 求 とな っ た こ とに起 因 す る もの と考 え ら
れ ます。
工 法 で は 曲線 を挿 入 す る こ とが で きな い。
4.特 殊 工 法 か ら一 般 工 法 へ 移 行 過 程 で の 現 象
進 工 法 に比 し、 長 大 スパ ンの 施 工 が 可能
で あ る。
5)裏
る市 民 の 目が 厳 し くな り、 技 術 向上 と安 全 確 立 が
込 め を必 要 とせ ず 、 地 表 面 沈 下 の お それ
が 少 な い。
新 工 法 が 試 験 的 に採 用 され る場 合 に は採 算 を度
外 視 す る こ とが あ る もの の 、 多 用 され るた め に は
ン
他 工 法 よ り経 済 的 で な けれ ば な りませ ん。 シー ノ
ド推 進 工 法 に如 何 に優 れ た利 点 が あ っ た にせ よ高
6)シ ー /L/ド エ 法 よ リジ ャ ッキ設 備 力状 とな る。
7)管 継 ぎ手 に 弱 点 が あ る。
8)工 費 は現 在 の ところ普 通 シー ル ドエ 法 とは
価 な もの は次 第 に影 を ひ そめ る こ とに な ります。
また施 工 業 者 も消 化 量 を増 や す こ とに よ り採 算 を
とる よ う に 努 力 します。
ぼ 同 じで 今 後 下廻 る線 まで 低 減 が・ T能 で あ る。
参 考 と して 当時 私 見 と して作 成 した比 較 表 を次
の 小 廻 りの き く体 質 の 中 にの み 育 ち易 い もの が あ
に 記 載 して み ま した。
推進工法の比較
シ ー ル ドエ 法 。
(1)経
(2)工
抑 々推 進 工 法 の施 工 技 術 は 、 現 場 経 験 に よ る と
ころが 多 く、 職 別 専 門工 事 業 者 と して、 中小 企 業
ります。 大 手 シー /L/ド 業 者 の 中 に は、 数 年 後 に は
済 的実用施工範 囲
シー ル ド推 進 工 法 の 直接 施 工 部 門 を廃 止 し、 専 門
推 進 工 事 業 者 に外 注 す る方 向 へ 移 行 す る よ うに 変
事 費標 準係 数
シー ル ド推 進 工 法 は各 社 が 競 って 技 術 革 新 に走
っ た こ とに よ り、 長距 離 、 良 精 度 、 高 安 全 性 へ と
りま した。 即 ちセ ミシー ル ドエ 法 の 直接 施 工 部 門
を保 有 す るの は、 メ カ ニ カ ル シー ル ド部 門 に 限 定
され た よ うで あ ります。 そ して職 別 専 門 工 事 業 者
表 -1
工
法
別
工 事 費標 準 係 数
A普 通推 進 工 法
50
Bシ ー ル ド推 進
60
工法
Cメ カニカルシー
90-120
ル ド推進工法
Dシ ー ル
ドエ法
月刊推進技術
の 技 術 の進 歩 、 体 質 向上 に期 待 す る と共 に協 力業
工 事 費標 準 係 数
Voll No4
100´ -150
備
考
者 と して の 依 存 度 を高 め る結 果 とな つて 居 ります。
19684Fほ 頁に ノ
よる と詢臨劇
圭 lおなは もは `゛ 牛キク朱 l市長か
ら一 般 工 法 の 扱 い へ と変 化 し、 全 国 各 地 へ 普 及拡
(例 〉弊 社
KI社
(例 )K社
0社 ,M社
,
大 、 工 事 量 も急 激 に増 加 す る よ うに な りま した 。
それ に伴 い 、 東 京 都 、 横 浜 市 を始 め とす る大 都 市 、
流 域 下 水 道 関係 団体 等 にお いて 、 シール ドエ 法 。セ
ミシー 7L/ド エ 法・推 進 工 法 の標 準 設 計 、 歩 掛 基 準 が
―-15-―
特集/推 進工法の標準化 に至った背景
個 々 に設 定 され 、 い よ い よ実 用 期 に入 っ た との 感
ア を 占 め る こ とが 予 想 され 、 需 要 量 の 急 激 な増 大
を,架 く しま した。
と設 計 、 施 工 法 の 不 統 一 、 不 備 に起 因 す る会 計 検
推 進 工 事 専 業 者 の 有 り方 に は、 直接 元 請 とゼ ネ
コ ンの 下 請 の 二 面 が あ ります。 直接 元 請 の形 態 で
は、従 来 特 殊 工 法 と して の特 別 扱 い か ら一 般 工 法
と して の 扱 い に変 化 して求 た た め 、 営 業 活 動 も次
第 にゼ ネ コ ン に仲 間 入 りをせ ぎ る を得 な くな り、
社 内 的 に施 工 技 術 陣 容 の拡 大 強 化 を は か る と共 に 、
査で の オ
旨摘 とい う事 実 を踏 ま え、 速 か に統 一 的 基
準 を作 るべ きで あ る との 気 運 が 全 国 各 都 市 か ら盛
りLり ま し′ これ は従 来 推 進 工 法 が 大 者6市 中 `し ヽ
=。
に使 用 され 、 施 工 業 者 もその 大 都 市 で 育 成 され 、
機 械 を揃 え技 能 を磨 き、 夫 々 の 地 域 で 独 自 に 発 達
した た めで あ ります。 それ 故 に地 方 都 市 に は経 験
営 業 陣 の再 編 成 が 急 務 とな りま した。 また、 熟 練
者 の 定 着 の た め に 、 遊 び の な い よ う受 注 す る こ と
者 が 少 な く、 設 計 施 工 共 に不 備 多 く、 大 都 市 、 地
方 都 市 の ア ンバ ラ ン スが 著 し く目立 つ もの で した。
が 望 まれ る訳 で 、 営 業 活 動 範 囲 を拡 大 せ ぎ る を得
これ は、 新 しい工 法 が 普 及 され て行 く一 過 程 の
さ け る こ との で きな い現 象 とい うべ きで しよ う。
ませ んで した。
弊 社 で は積 極 的 にゼ ネ コ ン化 を め ざ し、 当初 は
この よ うな こ とか ら社 団法 人 日本 下 水 道 協 会 に
主 と して神 奈 川 県 下 に お い て、 その後 東 京都 下 に
お ぃて 、 さ きに設 置 され た「 シール ドエ 法 等 調 査 専
お いて 施 工 量 を増 伸 させ る こ とがで き ま した。 特
「推 進 工 法 小 委 員 会 」が設 け られ るこ
門 委 員 会 」内 に
とに な りま した。 そ して推 進 工 法 の 経 験 豊 か な都
に 国鉄 当局 よ り得 られ た信 用 は絶 大 で 重 要 幹 線 軌
た り大 手 ゼ ネ コ ン業 者 の指 名 の 末 席 に 名 を連 ね得
市 の 技 術 者 、 施 工 業 者 、 管 メ ー カ ー の 3者 が 集 ま
り、 委 員 会 を組 織 して 、 標 準 化 に乗 り出 す こ とに
た こ とは感 激 深 い こ とで あ りま した。 その上 良 成
な りま した。
道 下 の特 命 受 注 、 横 浜 市 の 下 水 道 事 業 の 発 注 に あ
績 で 消 化 し得 た こ とは、 全 社 挙 げ て の 研 究 努 力 の
建 設 業 界代 表 委 員 と して (社 )日 本 土 木 工 業 会 よ
賜 で あ りま した 。 この 時 期 は、 技 術 の 高 度 化 即 ち
推 進 延 長 の 増 大 と精 度 の 向上 、 特 殊 技 術 の応 用 な
り 3名 と推 進 工 事 業 協 会 よ り次 の 4名 が選 ば れ献
身 的 な努 力 が な され 、 協 会 の 存 在 を お お い に意 義
ど実 績 拡 充 競 争 の 時 代 で あ りま した。 工 事 量 の 増
あ ら しめ る こ とが で き ま した。
加 の 反 面 、 工 費 の 節 減 が 要 求 され 、 内部 強 化 に 努
特 別 委 員 (建 設 業 界代 表 )
(機 動 建 設 工 業 (株 ))
力、 消 化 量 の 拡 大 を計 っ た積 極 的 躍 進 期 で もあ つ
本
間
良
治
た と思 い ます。
高
橋
国
雄 (日 本 特 殊 工 事 (株 ))
孝
彦
この よ うな時代 の進 展 に即 応 し、 業 界 発 展 向上
南
野
と共 存 共 栄 の た め 、推 進 工 事 専 業 者 の 団 結 の た め
高
根
昇
(南 野 建 設 (株 ))
(栄 進 土 木 (株 ))
の 団体 設 立 を見 たの は、 神 奈 川 県 下 においては1967
年 頃 で 、 業 者 間 の 結 東 に よ り技 術 の 向上 と親 睦 融
5.お わ りに
和 が 旗 印で あ り、「推 進 管 工 事 標 準 積 算 資 料 」作 成
第 1回 の 推 進 工 法 小 委 員 会 は、 1971年 (昭 和 46
し各 所 に配 布 した こ とは 当時 と して画 其舶勺で あ り
年 )6月 に 開催 、 資 料 と して「推 進 工 事 実績 調 一 覧
大 変 重 宝 が られ ま した。
表 」が 酉己られ ま した。
1970年 5月 に は 、 関 東 一 円 にお け る推 進 工 事 専
調 書 は、 昭 和 43、 44年 の 2ケ 年 に亘 る もの で 、
業 者 の 集 ま り と して 、 東 京 都 に「推 進 工 事 業 協 会 」
件 数 455件 、 総 延 長 56
を設 立 しま した 。 この協 会 が発 展 して「全 国推 進 工
次 の よ うな もので した。
事 業 協 会 」とな り、 更 に現 在 の「 日本 推 進 工 法 協 会 」
へ と進 展 して行 く前 身 とな っ た の で あ ります。
推 進 工 法 は需 要 が 急 速 に伸 び、 下 水 道 整 備 促 進
に大 きな役 割 を演 ず る こ とに な り、 管 渠 工 事 の一
り、 その 内 訳 は
刃 口推 進 エ
手 掘
り
機械掘 り
405件
28件
49 95km
1.44km
9件
1.87km
セ ミシ ー ル ドエ
工 法 と して定 着 す る と こ ろ まで 進 展 しま した。 こ
手 掘
の よ う に将 来 は下 水 道 管 渠 工 事 の 中 の 大 きな シ ェ
機械掘 り
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93kmで あ
り
1%牛
3.64km
月刊推進技術
Voll No4
特集/推 進工法の標準化に至った背景
筋 コ ンク リー ト管 )と して使 用 され た管 種 が
引 張 リエ
手
掘 り
lf牛
0.03km
先づ その 内 容 分 析 か ら始 め られ、 当時 推 進 管 (鉄
月刊推進技術
Vo1l No.4
3種 類
あ り、 統 一 した規 格 管 の 制 定 が 急 務 と認 識 され 審
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議 力'進 め られ る こ とに な りま した 。