電話勧誘販売で契約したウォーター サーバーレンタル

国民生活センター 相談情報部
電話勧誘販売で契約したウォーター
サーバーレンタル・水宅配サービス
ウォーターサーバーのレンタルと飲料水の宅配サービスを電話
勧誘販売で契約し、すぐに解約を申し出たところ、説明されて
いない解約料を請求されたという事例について紹介する。
結果概要
相談内容
引越業者と引っ越しの打ち合わせをしていた
相談を受け付けた消費生活センター
(以下、受
時、水の宅配のチラシをもらった。後日、引越
付センター)から問い合わせを受けた国民生活
業者の担当者から
「今なら掃除ロボット付きの
センター
(以下、当センター)
において、得られ
ウォーターサーバー
(以下、サーバー)
が無料で
た情報をもとに、本件契約が特定商取引法(以
レンタルできるキャンペーン中だ」
と説明された
下、特商法)の電話勧誘販売に該当するか検討
ので「いいですね」
と答えた。すると、水の販売
した。
代理店C 社から
「水の代金だけで掃除ロボットと
本件契約では、販売代理店 C 社から電話をか
サーバーが無料レンタルできるのでお得だ」と
けており、その電話で契約の締結についての勧
電話がかかってきた。
「考えさせてほしい」
と答
誘を行っていることから、特商法の電話勧誘販
えたが、数日後に再び C 社から電話で勧誘され、
売に該当すると考えられたが、特商法上の法定
電話口で申し込むと言ってしまった。その際に
書面が交付されていなかった。
中途解約時の解約料の話はなかった。やはり、
また、その後の情報収集において C 社は二次
必要ないと思い、すぐに C 社にキャンセルを申
代理店であることが分かった。事業者の関係は、
し出たが 、
「解約料がかかるので続けたほうが
サーバーを貸し出し、飲料水を宅配販売する事
いい」
と言われ、しかたなく受け取った。その後、
業者 A 社、A 社の一次販売代理店である B 社、さ
消費生活センターに相談し、自分で C 社にクー
らに B 社から販売を委託されている二次販売代
リング・オフ通知を出した。C 社からは「クー
理店の C 社という構図になっていた。
リング・オフはやっていない」
と言われ、解約料
そこで、本件においてクーリング・オフを認
14,000 円を請求された。契約時に解約料の説
めない姿勢はどの事業者の判断によるものなの
明はされていないので支払いたくない。なお、
かを確認することとした。受付センターが C 社
契約書はもらっていない。
に確認したところ、
「販売方法は A 社の指導によ
(20 歳代 女性 給与生活者)
2016.11
り行っている。A 社もクーリング・オフは対象
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外だと言っている」
との回答であった。そこで、
問題点
受付センターは A 社にクーリング・オフできな
い理由を確認した。A 社は
「いったんサーバーを
特商法の電話勧誘販売とは、事業者が電話を
設置すると解約料がかかる。設置前だったら無
かけまたは政令で定める方法により電話をかけ
料でキャンセルを受け付けている。本取引は、特
させ、その電話において勧誘した消費者に、商品
商法の適用外であると考えている。販売代理店
等を購入する申込み・契約を締結させる行為の
の販売方法については把握していないので、交
ことをいう。同法において、電話勧誘販売には、
渉は C 社とやってほしい」
と回答した。受付セン
消費者がトラブル解決に利用できる8日間のクー
ターは、A 社に代理店の販売方法について調査
リング・オフや取消権等に加え、事業者に対し
を行うこと、問題を把握した場合は代理店へ指
て、法定書面の交付義務や契約を締結しない旨
導を行うことを要請するとともに、早期解決の
の意思表示をした者に対する勧誘禁止、不実告
ため、まずは C 社と交渉を開始した。その結果、
知等の禁止行為が定められている。
C 社との間で、本件契約を解約すること、解約料
本件は、C 社が電話をかけて消費者を勧誘し、
の請求をしないこと、配達された水とサーバー
その電話の中で契約が成立していることから、
を撤去すること、これらの代金を請求しないこ
電話勧誘販売の定義に該当し、説明不足や書面
とで合意した。
不交付等の問題点があると考えられた。しかし、
他方で、当センターは、A 社と B 社と面談を
勧誘を行った事業者と契約先となる事業者が別
行った。A社からは
「当社はこれまで店頭での販
であったため、問題整理や交渉に一定の時間を
売活動を中心に行っており、特商法の対象とな
要することとなった。C 社には勧誘時の行為規
るような販売方法はしてこなかった。一方で、
制が、また A 社には法定書面の交付義務等が発
最近、新たな代理店が電話で勧誘を行うように
生することを伝え対応を求めた。
なっていたが、特商法上の電話勧誘販売に当た
特に、相談者はクーリング・オフを希望した
るという認識がなかった。今後、勧誘トラブルを
が、契約書面が交付されておらず、契約関係を
避けるため、代理店が行う電話勧誘の通話内容
把握できなかったことから、C 社に対してのみ
は全件録音させ、定期的にチェックする等の対
クーリング・オフを書面で申し出ている。その
応をする。代理店が使用している電話勧誘用マ
ため、契約先である A 社は取引形態およびトラ
ニュアルが、消費者に誤解を生じさせない内容
ブルの状況を把握しておらず、対応が遅れた。
になっているか確認し、電話勧誘における正し
このように、電話勧誘販売においては、勧誘を
い説明を徹底する。消費者からの苦情や契約に
行う事業者と契約先が異なるケースもあるため、
関する問い合わせも、当社まできちんと報告が
契約先の事業者を確認することが望ましい。ま
上がるように体制を整える。また、現在、特商
た、本事案においては、販売業者 A 社が特商法
法に則 った法定書面を作成する準備をしてい
上の問題点を認め、契約は無条件解除となった
る」
とのことであった。そのうえで、A 社は、今回
が、A 社のように、代理店の拡大や勧誘手法の
のトラブルは C 社の説明不足やオーバートーク
拡大を行うことにより、取引における法の適用
も原因だと考えるので、相談者への負担がない
の有無や基本的な法ルールへの認識が不足した
ように対応する。相談者が支払った費用は全額
まま営業を続けている場合がある。そこで、こ
返金すると回答した。
のような事業者によるトラブルが寄せられた場
のっと
合には、早急な実態調査の依頼と法定書面の交
後日、相談者から解約金の負担なく解約でき
付等を始めとする特商法上のルール認識を徹底
たとの報告があり、相談を終了した。
することを求めていくこととなる。
2016.11
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