最近のメキシコ・ペソの動向と今後の見通しについて

最近のメキシコ・ペソの動向と今後の見通しについて
2016年11月16日
<米国の大統領選挙を受けたメキシコ市場の動き>
米国の大統領選挙が11月8日(現地、以下同様)に実施され、共和党のトランプ氏が勝利しました。各種世論
調査では同氏の劣勢が伝えられていただけに、同氏の勝利はサプライズとして受け止められました。
保護貿易政策への懸念などから投資家のリスク回避姿勢が強まり、新興国の金融市場は売り圧力にさらされ
ました。その後、トランプ次期大統領が財政刺激策により米国景気を活性化するとの期待、米ドルや米国金利
が上昇したことを背景に、投資家の間でメキシコを含む新興国市場から米国市場に資金を移動する動きが強
まったことが下落材料になりました。
メキシコはNAFTA(北米自由貿易協定)を通じて米国と密接な貿易関係にありますが、トランプ氏はNAFTAを
批判し、米国とメキシコ国境間の壁建設や不法移民の取り締まり強化を公約していました。そのため、大統領選
挙戦において、トランプ氏が支持率を上げた報道がなされると、メキシコ・ペソが下落するという展開でした。同
氏の勝利により、メキシコ経済の行方への不安感が他の新興国に比べて強まったことで、メキシコの金融市場
は総じて軟調となっています。
メキシコ・ペソの推移
8.0
( 円/メキシコ・ペソ )
( 2015年10月末 ~ 2016年11月15日 )
7.5
円/メキシコ・ペソ相場
7.0
6.5
6.0
5.5
5.0
4.5
15/10
16/1
16/4
16/7
16/10
(出所)ブルームバーグ
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メキシコの金利推移
7.5
(%)
( 2015年10月末 ~ 2016年11月15日 )
10年国債
7.0
6.5
6.0
5.5
15/10
16/1
16/4
16/7
16/10
(出所)ブルームバーグ
<緊急会見、次回MPCに注目>
11月9日、トランプ氏の米国大統領選挙勝利を受けて、メキシコ経済への影響を危惧した売り圧力が高まり、メ
キシコ・ペソは大きく下落しました。
メキシコのミード財務公債相と中央銀行のカルステンス総裁は9日に緊急会見を開き、国民や市場関係者に
冷静さを保つように呼びかけるとともに、必要な時は措置をとる姿勢を示しています。
会見では、具体的な施策は発表されませんでしたが、メキシコ中央銀行は、11月17日に次のMPC(金融政策
決定会合)を開くことになっています。また、米国金利の引き上げが示唆されている12月のFOMC(米国連邦公
開市場委員会)の翌日にも、会合を予定しています。市場動向に応じて追加利上げや為替介入などの対応策
が検討されると思われます。
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<今後のメキシコ市場の見通し>
トランプ氏の勝利により、メキシコの株式・債券市場やメキシコ・ペソの先行きに悲観的な見方が強まっていま
す。
しかし、具体的な政策パッケージは現時点ではほとんど明らかにされていません。短期的には調整局面が続
く可能性がありますが、今後徐々に具体的で実現性のある政策案が明らかになるにつれて政策の不透明感が
薄まり、過度に悲観的な見方が修正されるとみています。
足元では、トランプ氏は、選挙戦で対立した共和党主流派の協力を得るため、政権の要である大統領首席補
佐官にプリーバス党全国委員長を起用するなど、安定した政権運営に向けて、現実路線の政権運営へ動き出
しています。不法移民の強制送還は一部にとどめるなど公約の一部も修正しはじめました。
また、メキシコ政府は、プライマリー収支の黒字をめざすなど財政健全姿勢を維持しているため、中長期的に
は、原油依存からの脱却をめざす構造改革の進展や財政収支の改善により、メキシコ金融市場はファンダメン
タルズに照らして適正な水準で推移するものとみています。
メキシコに関連する政策に対してのトランプ氏の発言の変化
米国大統領選挙前
国境の壁
不法移民
NAFTA
米国大統領選挙後
「メキシコ国境に壁を建設。費用はメキシコが
払う。」と発言。
「一部はフェンスでも良い」と発言。
「1,100万人の全不法移民の強制送還」と発
言。
「犯罪者か犯罪歴のある人物、ギャングや麻
薬密売人ら200万~300万人が対象」、その他
の不法移民の扱いは「国境を安全にし、全て
が正常化してから決める」と留保。
再交渉か脱退を言明。メキシコで生産された自
直接言及していない。
動車に高い関税を課す方針を表明。
以上
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