に3年以上を要したことから、先 行きを懸念する声が地元長崎に 今後は荷物も積載できる貨客船や中・小型客船 性も同社を悩ませた。 洋の造船所に金のなる木がある」 かつて同造船所は大型客船建造 を手がけていたが、 年の「ダイ るまでになってしまった。 らみ続け、計2400億円を超え 納期は大幅に遅延した。損失は膨 らにボヤの発生も追い打ちをかけ、 造船市場は供給過剰で世界的に足元の受注が激 隻を受注。初期 同社の客船事業をめぐっては、 年に米・クルーズ船 大 手から 豪華大型客船 11 ヤモンドプリンセス」 、 「サファイヤ 元は沸き立った。 携わるため、地域経済を潤すと地 る計画だった。建造には数千人が くことで、事業全体の黒字化を図 客船を連続して受注・建造してい 「楽観的、拙速な判断で受注して 船には前例がなかった。最初から た。しかし、今回の2隻の大型客 設計を下地に建造することができ 手がけた同型の客船があり、その 絶えていた。この2隻には他社が 設計する船だったにもかかわらず しかし、見通しは甘かった。当 初 カ月程度と見ていた基本設計 段階では赤字が見込まれるものの、 プリンセス」完成以降は建造が途 2 04 甘かったコスト見通し 損失は2400億円超 と欧州では噂になったほどだ。さ も力を入れる。祖業の造船事業にメスを入ること た。長崎造船所で働けば数カ月で で同社は造船部門の苦境を乗り切る構えだが、 数百万円を得られるとあって「東 し、液化天然ガス(LNG)運搬船などの建造に に集中する。また、他社とのアライアンスを強化 18 一部の技術者を欧州から呼び寄 せたため、コストはさらに増加し 10 減。先行きは楽観できない状況だ。 長崎造船所での大型客船建造は今回の2隻で終了か 10 72 Zaikai Kyushu / DEC.2016 社内での 〝重工長崎〟 の位置づけさらに低下 は広がっていった。欧米人が好む 内装工事のノウハウが不足してい た上に客室のWi―Fi装備など 発注側の要求に迅速に対応できず、 やはり建造継続は難しかったか─。三菱重工 再発注や調達先変更などの悪循 業(東京)は 月 日、長崎造船所(長崎市)で 環を誘発。船内にビール醸造所を 建造中の大型客船の受注凍結などを発表した。 求められるなど特殊な技術の必要 巨額損失で 「祖業」 の造船事業を 抜本見直しへ 企業 FOCUS 三菱重工 しまった」 (関係者)のが痛手の遠 ない」との判断を下した。 阪市、同 位)との提携協議は 招いた。三菱らしからぬ詰めの甘 達などさまざまな分野での劣化を 者との契約の詰めや工程管理、調 同社の元エンジニアは「この空 白の期間が技術に止まらず、発注 を残したいという思いもある。許 反省している。一方で造船の技術 造で大きな損失が出てしまい深く 長は記者 会見で「大型客船の建 型の客船に絞り込む。宮永俊一社 搬船など付加価値が高く、他社 案などを想定している。LNG運 などを他社の造船所が建造する 重工が受注、設計したコンテナ船 入れ 社と合流させる案や、三菱 三菱重工の商船事業の設計部 門などを分社化し、出資を受け 中・韓が手がける船の多くは技 術力があまり必要ないばら積み船 に瞬く間に追い抜かれてしまった。 国や財閥 系が主導する中・韓勢 取り巻く環境厳しく 業界の 「再編不可避」 か さの根源は、さまざまなノウハウ される範囲で技術を残したい」と 造船所で建造実績が少ない船は引 の建造だが、日本は建造シェアで 年度中に結論を出す考えだ。 の伝承がうまくいかなかったこと 述べるなど、客船事業への未練も き続き長 崎造船所(長 崎市)で 国市場の成長で一定の需要が続く 4月に立ち上げた社内の事業評 価委員会は、 大型客船について「中 とになる。 での大型客船事業の火が消えるこ 工だけで、同社が撤退すれば国内 を建造できるのは日本では三菱重 野が分社化され、船種を主力のL 同造船所の造船事業に関して は 年 月に客船を除く商船分 建造する見込みである。 争力が下がったのが主な要因だ。 中国の %、韓国の %に大きく 一方、将来的には建造能力に余剰 NG運搬船などにフォーカスする めて残念。長崎には造船技術が集 て、 「造船を取り巻く環境は目ま 記者会見で鯨井洋一副社長は同 造船所の人員削減の可能性につい 効率化が進められている。 発船取引の焦げ付き、三菱重工も 崎重工業はブラジル向け資源開 き残りを図ってきた。しかし、川 ってはいろいろ手を打つことは否 つきまとう問題である。場合によ を計上してしまった。 段階」と述べ、明言を避けた。 た。競争激化や世界的な市況低 の抜本的見直し」を9月に発表し 西海市、同 位) 、名村造船所(大 建造首位) 、大島造船所(長崎県 路に立たされている。 度々輩出した名門部門は今、岐 (中村 幸喜) かけた再編は不可避の状況だ。 が活 発化。国内勢も生き残りを 迷により、中・韓では再編の動き 同社の祖業である造船事業は 今や連結売上高のわずか %程 定できないが、今はまだ検討中の 造船業を巡っては、川崎重工業 も業績が悪化している「造船事業 価値船建造へ船種を絞ることで生 積し、多くの人材もいるので、地 ぐるしく変化している。どのよう いた円高や、人件費増でコスト競 水をあけられている。最近まで続 34 域の雇用が確保されるよう会社 同社は大型客船の建造を凍結す る一方、他社との連携は強化する 長崎での造船事業は継続 他社との連携・提携模索 海外から取り寄せなければならず、 まざまな支援をしてきた。県は 「極 「コスト面でも事業継続は得策で 37 大型客船の建造遅延で巨額損失 10 側に要請していきたい」としている。 に生産の最適化を図るかは、常に 15 方向だ。今治造船(愛媛県今治市、 度に縮小している。かつて社長を 5 の部品や内装などの設備の一部は が発生する」と指摘。大型客船用 の新造船建造シェアはわずか %。 1990年 代までは造 船 量で 世界トップだった日本だが、 年 を物語っている」と無念の表情で のぞかせた。 万㌧超の大型客船 16 話す。 因になってしまったようだ。 同社は今後、国内から部品を 調達しやすい 万㌧以下の中・小 4 そのため、三菱重工業などはL NG運搬船に代表される高 付加 3 これまでに県や長崎市は同社が 客船を連続建造できるように、さ 10 3 Zaikai Kyushu / DEC.2016 73 10 19 15 他社との連携を強化する三菱重工
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