16-D-0690 2016 年 11 月 17 日 株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。 野村不動産マスターファンド投資法人 【据置】 長期発行体格付 格付の見通し 債券格付 (証券コード:3462) AA 安定的 AA ■格付事由 (1) 15 年 10 月 1 日に旧野村不動産マスターファンド投資法人、旧野村不動産オフィスファンド投資法人及 び旧野村不動産レジデンシャル投資法人を新設合併消滅法人とする新設合併方式により成立し、10 月 2 日に東京証券取引所(不動産投資信託証券市場)へ上場した総合型の J-REIT。16 年 9 月 1 日に旧トップ リート投資法人(旧 TOP)を吸収合併した。資産運用会社を野村不動産投資顧問、スポンサーを野村不 動産(NRE)グループとする運用体制が継続されている。現行ポートフォリオは全 272 物件で構成され、 (想定)取得価格ベースで 9,328 億円と、総合型 J-REIT において最大の資産規模を有する。 (2) 本投資法人は大型かつ総合型 J-REIT としての優位性や、NRE グループとの間での「賃貸バリューチェー ン」を活用し、戦略的資産入替(SPR:Strategic Property Replacement)を積極的に進めている。16/8 期 以降、スポンサー開発物件である「Landport 柏沼南Ⅱ」を含めた計 5 物件を 213 億円で新規取得した一 方、築古のオフィスビル等計 16 物件を 341 億円で売却した。加えて 16 年 9 月の旧 TOP との合併を通じ、 19 物件、1,374 億円(想定)を新たに組み入れたこともあり、足元の資産規模は 16/2 期末時点と比べ 17.6%拡大している。ポートフォリオの分散の観点からは、上位 10 物件への集中度が 16 年 4 月時点の 26.0%から足元で 25.4%へ、東京圏所在物件の比率が 79.9%から 82.8%へと安定した推移がみられる。16 年 9 月末時点の平均稼働率が 99.0%を示す賃貸事業運営のトラックレコードや、景気感応度に応じて、 収益の安定化が見込めるセクター(物流施設、商業施設(居住地立地)及び居住用施設等)と、収益の上 昇が期待できるセクター(商業施設(駅前立地)及びオフィス等)との分散にも配慮したアセットミック ス等を考慮すると、NRE グループとの強固な協働体制も背景に、ポートフォリオ・キャッシュフローの 安定性は維持されるものと JCRでは考えている。財務面では、資産総額ベースの簿価 LTV が 16/2 期末 の 43.4%から、旧 TOP との合併により足元では 45.0%(想定)へやや上昇しているものの、鑑定評価額 の増加に伴い、16/8 期末時点で 522 億円のポートフォリオ含み益(含み損益率 6.7%)を有しており、一 定の財務バッファーは確保されているとみている。また、有利子負債の金利低減や固定化、長期化等の取 り組みも継続されている。以上を踏まえ、格付を据え置き、見通しを安定的とした。 (3) 本投資法人ではサスティナブルポートフォリオ(資産入替サイクルによってクオリティ、パフォーマンス を高位安定させるポートフォリオ)の構築に向け、中長期運用戦略に基づき、引き続き SPR を積極的に 推進していく方針である。この SPR の取り組み状況をはじめ、今後 5 年程度で 1.5 兆円の達成が目標とさ れているポートフォリオの外部成長及び内部成長の動向や、保有物件の経年対応(ポートフォリオ平均築 年数が 19.1 年)に注目している。なお、旧 TOP との合併を通じて取得し、テナントから 17 年 6 月での 退去予告が出ている「イトーヨーカドー東習志野店」に関しては、NRE グループとの協業も踏まえた今 後の対応状況に留意していく。 (4) デット・ファイナンスでは、主力行を中心に 33 の取引先とのレンダーフォーメーションが維持されてい るほか、借入極度額計 500 億円のコミットメントライン設定により、流動性の担保も手当てされている。 引き続き、旧 TOP との合併に伴い足元でやや上昇した LTV への対応も勘案した、増資を含めた適切なレ 1/3 http://www.jcr.co.jp/ バレッジコントロールの継続や、有利子負債に関する一段の返済期限の分散化、借入残存期間の長期化な ど、財務運営に関する各種施策の実施状況及びその実効性をフォローしていく。 【主な新規取得物件の概要】 Landport 柏沼南Ⅱ ・16 年 4 月に竣工した鉄骨・鉄筋コンクリート造合金メッキ鋼板ぶき 3 階建の、スポンサー開発による大型 の新築物流施設。テナントは 2 社で、現行稼働率は 100%である。 ・本物件の北西方には常磐自動車道「柏 IC」が、また、南西方には国道 16 号が位置するなど、物流施設とし て最寄りの IC 等への接近性は良好。周辺では柏市沼南中央土地区画整理事業が進行中であるほか、近隣に 沼南工業団地が存しており、旧来から中・大規模工場や配送センター等が建ち並ぶエリアとなっている。 工業専用地域に立地していることから、24 時間稼働等の物流操業環境が整備されていることに加え、後背 人口の多さや JR 常磐線「我孫子駅」への専用シャトルバス運行など、雇用確保の面でも一定の優位性を有 しているものとみられる。 ・本物件は、1 階、2 階両フロアのバースへ接車可能なスロープを備えている。また、梁下有効高さ 5.5m∼ 6.5m、柱スパン 11m×11m グリッド採用、余剰容積率を活用したメザニン設置などで増床可能等、高機能 かつ多様なテナントニーズに対応可能な仕様となっている。駐車場台数が 144 台(うち自動車駐車場 131 台、トラック待機場 13 台) 、約 150 人が同時利用できる休憩コーナーの設置といった就労環境への配慮も 含め、最新の設備、スペックを備えた高い競争力を有する施設と考えられる。 取得日:16 年 9 月 1 日 取得価格:10,800 百万円 鑑定評価額:11,000 百万円(同:16 年 4 月 30 日時点) (担当)杉山 成夫・松田 ■格付対象 発行体:野村不動産マスターファンド投資法人 【据置】 対象 長期発行体格付 対象 野村不動産オフィスファンド投資法 人第 2 回無担保投資法人債(投資法 人債間限定同順位特約付及び適格機 関投資家限定) 野村不動産オフィスファンド投資法 人第 6 回無担保投資法人債(特定投 資法人債間限定同順位特約付) 野村不動産オフィスファンド投資法 人第 7 回無担保投資法人債(特定投 資法人債間限定同順位特約付) 野村不動産オフィスファンド投資法 人第 9 回無担保投資法人債(特定投 資法人債間限定同順位特約付) 野村不動産オフィスファンド投資法 人第 10 回無担保投資法人債(特定 投資法人債間限定同順位特約付) 野村不動産マスターファンド投資法 人(旧野村不動産マスターファンド 投資法人)第 1 回無担保投資法人債 (特定投資法人債間限定同順位特約 付) 野村不動産レジデンシャル投資法人 第 2 回無担保投資法人債(特定投資 法人債間限定同順位特約付) 格付 見通し AA 安定的 発行額 発行日 償還期日 利率 格付 50 億円 2005 年 3 月 16 日 2020 年 3 月 16 日 2.47% AA 50 億円 2007 年 3 月 19 日 2017 年 3 月 17 日 2.21% AA 45 億円 2007 年 3 月 19 日 2028 年 3 月 17 日 2.90% AA 40 億円 2010 年 11 月 26 日 2017 年 11 月 24 日 1.52% AA 60 億円 2014 年 11 月 25 日 2024 年 11 月 25 日 1.02% AA 30 億円 2014 年 10 月 30 日 2024 年 10 月 30 日 0.87% AA 50 億円 2012 年 2 月 24 日 1.03% AA 2/3 http://www.jcr.co.jp/ 2017 年 2 月 24 日 信康 格付提供方針に基づくその他開示事項 1. 信用格付を付与した年月日:2016 年 11 月 14 日 2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:杉山 主任格付アナリスト:杉山 成夫 成夫 3. 評価の前提・等級基準: 評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の 種類と記号の定義」 (2014 年 1 月 6 日)として掲載している。 4. 信用格付の付与にかかる方法の概要: 本件信用格付の付与にかかる方法(格付方法)の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp/)の「格付 関連情報」に、 「J-REIT」 (2014 年 6 月 2 日)の信用格付の方法として掲載している。 5. 格付関係者: (発行体・債務者等) 野村不動産マスターファンド投資法人 6. 本件信用格付の前提・意義・限界: 本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。 本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性 の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。 本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入 手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。 7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者: ・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表 ・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明 8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要: JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、 独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。 9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし ■留意事項 本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。 ■NRSRO 登録状況 JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付していま す。 ■本件に関するお問い合わせ先 情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026 3/3 http://www.jcr.co.jp/
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