講演ダイジェスト 第347回 技術サロン 東京都区部の下水道事業「経 営計画 2016」の取り組み 栁 雄 東京都下水道局計画調整部計画課長 経営計画2016 主要施設の展開 今回策定した経営計画2016は,2020年の東京オリン 再構築事業では,管路施設について経済的耐用年数 ピック・パラリンピックだけでなく,その後の東京の を設定し,区部全体の再構築手法を明確化していきま あり方を見据えて下水道サービスのさらなる向上に取 す。管路施設の法定耐用年数は50年ですが,80年程度 り組むことを大きな目標としています。 でライフサイクルコストの年平均費用が最小になると これまでの経営計画では計画期間を3年間としてい の考えから,80年を経済耐用年数としました。対象と ましたが,今回の経営計画では平成28 ~ 32年度の5 なっているエリアを整備年代ごとに3期に分け,年代 年間に拡大しました。また,計画目標年次を平成32年 の古い都心の4処理区を第一期再構築エリアとして 度末と,東京オリンピック・パラリンピック前年の平成 優先的に進める計画で,平成41年度までの5年間で 31年度末の2段階に設定し,中長期的な目標を立て, 老 3,500kmの枝線の再構築を行います。この再構築事業 朽化施設の再構築や浸水対策,震災対策,合流式下水 の効果は大きく,平成27年度までに都心4処理区の 道の改善対策,高度処理,エネルギー・地球温暖化対策 40%程度を再構築した結果,道路陥没件数は7割程度 を推進。 維持管理の充実に取り組むこととしています。 減少しました。 平成6~9年度の下水道事業費は年平均2,363億円 浸水対策は現在,時間雨量50mm対応が基本となっ でしたが,財政再建が行われ,平成10 ~ 13年度には ていますが,大規模地下街がある地区や甚大な浸水被 年平均1,725億円まで一気に下がりました。平成22 ~ 24 害が発生している地区では整備水準をレベルアップ 年の経営計画2010から予算が徐々に上がっていき,今 し,75mm対応にも踏み出していきます。中長期的に 回の経営計画2016では8,900億円,単年度で1,800億円 は地下街対策地区9地区,市街地対策地区4地区を目 (初年度1,700億円)と大幅に増額しています。これは 標としています。 経営計画2013より23%増加していることになります。 震災対策は管路施設の耐震化を5年間で1,000カ所, 内訳は,再構築に4,044億円,浸水対策に1,922億円, 防災上重要な施設と緊急輸送道路を結ぶ道路のマン 耐震対策に1,196億円と,再構築で全体の45%を占め ホールの浮上抑制対策も5年間で約190kmが完了する ています。この数字は経営計画2013の時の48%と比べ 予定です。水再生センターとポンプ所でも平成31年度 ると弱冠少なくなりました。今回最も割合が増えたの 末までに耐震対策を完了する予定で,非常時の自己電 が,浸水対策で18%から22%に増加しています。 源の確保も図っていくことにしています。 高度処理 エネルギー・ 83億円 地球温暖化対策 1%(2%) 443億円 5%(5%) 合流改善 647億円 耐震対策 7%(8%) 1,196億円 13%(13%) 汚泥処理 135億円 4,044億円 浸水対策 2%(1%) 1,992億円 浸水対策 用地費・事務費 360億円 4%(5%) 22%(18%) 再構築 (機能向上) ( %)は前計画の 経営計画2013における割合 5年間の建設事業費を増加 経営計画2013(H25~27):4,350億円(1,450億円/年) ⇒経営計画2016(H28~32):8,900億円(1,780億円/年) 23%増 施策別事業費 16 —— 下水道機構情報 Vol.11 No.23 東京の下水道を支える職員の計画的,継続的な育成 を行い,下水道サービスの安定的な提供を目指してい 再構築 45%(48%) 事業を支える体制 きます。そのためにも,設計,積算等を委託している 東京都下水道サービスを,ともに下水道を支える重要 なパートナーとして,一体的な事業運営を行い,将来 にわたって,安定的な運営体制を図っていきたいと思 います。
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