固液界面その場観察法の開発と応用

固液界面その場観察法の開発と応用
Keyword : 固液界面、その場観察、電気化学
研究の背景
二次電池および燃料電池の固液界面では物質の吸着脱離、酸化還元、溶解析出といったさ
まざまな電気化学プロセスに加え、電解液の分解、電極の劣化などの予期せぬ副反応が同
時に起こっており、エネルギー変換・利用効率や耐久性の向上を図るためには、これらの理
解と制御が不可欠である。
研究の狙い
固液界面現象をその場観察するための基盤技術の開発と、その実用材料への応用を推進し
ている。デバイス劣化の要因たる副反応、反応中間体の生成、電極表面の電子的・幾何的
構造変化といった反応の全容を解明し、これらの情報を材料設計指針に落とし込むことによ
って、戦略的な物質・材料研究を先導したい。
最先端研究トピックス
その場AFM測定システムの模式図.
一致
その場XAFS測定システムの模式図.
白金表面
ナフィオンの吸着
白金酸化物形成
ナフィオンの脱離
シリコン酸化膜の電気化学的成長
‐世界初の固液界面その場XPS‐
白金表面上におけるナフィオンの電位依存吸着脱離挙動
文献
その場XPS測定システムの模式図.
• T. Masuda, et al., Appl. Phys. Lett. 103 (2013) 111605-1. • 増田卓也, 燃料電池 15[1] (2015) 35.
• T. Masuda, et al., J. Phys. Chem. C 117 (2013) 15704. • 増田卓也, 化学と工業 69[5] (2016) 394.
• T. Masuda, et al., J. Phys. Chem. C 116 (2016) in press. DOI: 10.1021/acs.jpcc.6b00895.
実用化の目標
まとめ
 電気化学AFM測定によってナフィオンの白金表面への電
位依存吸着脱離挙動をその場観察した。
 XAFS法によって酸素還元および水素発生反応用白金系
触媒の局所構造を決定した。
 固液界面における電気化学反応を世界で初めてその場
XPS測定した。
 電気化学AFM測定を二次電池界面における表面析出
層形成過程のその場観察に応用する。
 燃料電池における普遍的課題、酸素還元反応中間体の
その場XAFS測定に挑戦する。
 実験室型装置をベースとしたその場XPS測定システム
によって全固体電池のオペランド分析を行う。
極限計測分野 表面物性計測グループ
増田 卓也
E-mail: MASUDA.Takuya●nims.go.jp
URL: http://samurai.nims.go.jp/MASUDA_Takuya-j.html
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