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別紙
諮問第1003号
答
1
申
審査会の結論
「○○警察署交通規制係○○が特定の交通事故捜査を行うに当たり、○○に対する
異常な捜査手法の根拠となる公文書」について、その存否を明らかにしないで開示請
求を拒否した決定は、妥当である。
2
審査請求の内容
(1)審査請求の趣旨
本件審査請求の趣旨は、東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号。以下「条
例」という。)に基づき、審査請求人が行った「平成28年○月○日午後○時頃に、警
視庁○○警察署交通規制係○○(個人名)職員が交通事故捜査を行うに当たり、○○
(交通事故の関係者)に対し、「あなたは○○語しか分からないでしょう」「あなたは
○○人だから、発言をする権利はありません」等と極めて人種差別的かつ高圧的な態
度で当該申出を拒絶したが、このような異常な捜査手法の根拠となる公文書」の開示
請求に対し、警視総監が平成28年2月2日付けで行った非開示決定について、その取
消しを求めるというものである。
(2)審査請求の理由
審査請求書における審査請求人の主張を要約すると、以下のとおりである。
ア
非開示決定の理由は、
「特定の個人」又は「特定の交通事故事件捜査」に関する請
求であることを理由とするものである。
イ
審査請求人は、「特定の個人」又は「特定の交通事故事件捜査」に関する開示は
できない旨、処分庁より架電されており、これに対して審査請求人は、「一般的な
交通事故事件捜査」の手法の根拠となる文書を開示してほしい旨、申し出ている。
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しかしながら、非開示決定は上記申出を漫然と無視しているものである。
ウ
非開示決定を取り消し、該当文書を開示すべきと考える。なお、このように人の
話を聞かずに事務処理を行うことは社会人として問題があると考えるので念のた
め申し添える。
3
審査請求書に対する実施機関の説明要旨
理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおり
である。
(1)条例10条該当性について
当該開示請求は、特定の個人及び特定の交通事故事件捜査に関する請求であり、開
示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、条例7条2号に規定する
個人情報、条例7条4号に規定する犯罪の予防・捜査等情報及び条例7条6号に規定
する行政運営情報を開示することとなるため、条例10条に基づき、当該公文書の存否
を明らかにしないで開示請求を拒否する。
(2)条例7条2号該当性について
当該開示請求に係る公文書の存否を答えることにより、特定の個人を識別すること
ができる情報を開示することとなるため。
(3)条例7条4号該当性について
当該開示請求に係る公文書の存否を答えることにより、特定の個人が警察職員であ
るか否かを答えることになり、犯罪の予防、捜査その他の公共の安全と秩序の維持に
支障を及ぼすおそれがあると認められるため。
(4)条例7条6号該当性について
当該開示請求に係る公文書の存否を答えることにより、特定の個人が交通事故の関
係者等であるか否か等を答えることになり、当該交通事故の関係者等からの信頼を損
ない、その結果、今後の交通事故原因の調査等について協力が得られなくなるなど、
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交通事故に係る正確な事実の把握が困難になり、交通事故処理に係る事務の適正な遂
行に支障を及ぼすおそれがあると認められるため。
(5)審査請求人の主張について
審査請求人は、開示請求時に「特定の個人」、「特定の交通事故事件捜査」を指定し
た上で異常な捜査手法の根拠となる公文書を開示請求するとしていたが、審査請求時
には一般的な交通事故事件捜査の手法の根拠となる文書を開示してほしい旨主張す
る。
実施機関は、審査請求人に対し、警察官の氏名等を削除した開示請求であれば、一
般的な交通事故事件捜査の根拠規程の開示は可能であることを説明したものの、審査
請求人はこのままの請求内容を維持するとのことであった。
したがって、審査請求の趣旨は、特定の交通事故における、特定の警察職員の発言
の根拠を求めるものであると判断した。
4
審査会の判断
(1)審議の経過
審査会は、本件審査請求について、以下のように審議した。
年
月
日
審
7日
議
経
過
平成28年
4月
諮問
平成28年
5月27日
新規概要説明(第142回第三部会)
平成28年
6月14日
実施機関から理由説明書収受
平成28年
6月30日
実施機関から説明聴取(第143回第三部会)
平成28年
7月29日
審議(第144回第三部会)
平成28年
9月16日
審議(第145回第三部会)
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(2)審査会の判断
審査会は、実施機関及び審査請求人の主張を具体的に検討した結果、以下のように
判断する。
ア
本件請求文書について
本件審査請求に係る請求文書は、
「平成28年○月○日午後○時頃に、警視庁○○警
察署交通規制係○○(個人名)職員が交通事故捜査を行うに当たり、○○(交通事
故の関係者)に対し、「あなたは○○語しか分からないでしょう」「あなたは○○人
だから、発言をする権利はありません」等と極めて人種差別的かつ高圧的な態度で
当該申出を拒絶したが、このような異常な捜査手法の根拠となる公文書」
(以下「本
件請求文書」という。)である。
実施機関は、本件請求文書の存否を答えるだけで、条例7条2号、4号及び6号
で定める非開示情報を開示することとなるとして、条例10条に基づき、その存否を
明らかにしないで開示請求を拒否する決定を行った。
イ
条例の定めについて
条例7条2号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する
情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合するこ
とにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定
の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を
害するおそれがあるもの」を非開示情報として規定している。また、同号ただし書
は、「イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定さ
れている情報」、「ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にするこ
とが必要であると認められる情報」、「ハ 当該個人が公務員等…である場合におい
て、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公
務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」のいずれかに該当する情報につい
ては、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない旨規定している。
条例7条4号は、「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維
持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施
機関が認めることにつき相当の理由がある情報」を非開示情報として規定している。
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条例7条6号は、「都の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しく
は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることによ
り、…当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼす
おそれがあるもの」を非開示情報として規定している。
条例10条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否
かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公
文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定
している。
ウ
本件請求文書の存否応答拒否の妥当性について
審査会が確認したところ、本件請求文書に係る開示請求については、特定の部署
における職員の氏名、交通事故の関係者を具体的に名指しして行われているため、
本件請求文書の存否について応答することにより、特定の個人が警視庁の特定部署
に所属する職員であるか否か、特定の個人が特定日時に発生した交通事故の関係者
であるか否かという「個人に関する情報で特定の個人を識別することができるも
の」を開示することとなると認められることから、条例7条2号本文に該当する。
次に、同号ただし書該当性について検討する。
まず、警察職員の氏名についてであるが、実施機関では、管理職にある警察職員
の氏名は慣行として公にしているが、それ以外の警察職員については、その氏名を
公にしていないとのことである。そこで審査会が確認したところ、○○警察署交通
課所属の管理職職員には、本件請求文書に係る氏名の者は存在しないことから、本
件請求文書に係る警察職員の氏名は同号ただし書イには該当せず、その内容及び性
質から同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
また、交通事故の関係者の情報については、その内容及び性質から同号ただし書
イ、ロ及びハのいずれにも該当しない。
以上のことから、本件請求文書の存否を答えるだけで、条例7条2号に規定する
非開示情報を開示することとなるため、同条4号、6号該当性を判断するまでもな
く、条例10条に基づき本件開示請求を拒否した実施機関の決定は、妥当である。
よって、「1
審査会の結論」のとおり判断する。
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(答申に関与した委員の氏名)
久保内
卓亞、鴨木
房子、木村
光江、寺田
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麻佑