地区連の頁 北海道 ─札幌市─ 建設業人材確保・育成支援事業 1.はじめに 近年、地元建設業においては、若者の新規就業者 の減少と従事者の高齢化が顕在化しており、人材不 足に直面している。このような状況を受け、札幌市 では平成27年度より「建設業人材確保・育成支援 事業」を創設し、企業の人材確保・育成に係る取組 みを支援するための助成事業と建設業の意義や魅力 を伝えるためのPR事業を行っている。 2.助成事業 企業向けの支援策として、以下4つの助成事業を 行っている。 ⑴ 女性用トイレ・更衣室に対する助成 近年の工事現場では、女性の進出が期待されてい るものの、トイレに関しては男女共用であるなど十 分なものと言い難く、これらの労働環境は女性従事 者に敬遠される理由のひとつにもなっている。こう した環境を改善するため、建設局所管工事において、 女性用トイレ・更衣室を設置した場合、50万円を 上限に助成する制度を設けた(写真−1はトイレ・ 更衣室の設置事例)。 ⑵ 女性用装備品購入に対する助成 男性サイズが主流の作業服や安全帯等の装備品は、 女性従事者の体型に合わない物も多いため、安全面 において十分ではない場合がある。このことから建 設局所管工事の女性従事者の装備品等の購入に対し、 1人あたり3万円を上限に助成する制度を設けた (写真−2は作業服・安全帯の助成事例)。 ⑶ インターンシップ受け入れに対する助成 インターンシップは学生が実際に働くイメージを 掴むことで、建設業界への就労意欲を促すことに加 え、就職前後のイメージギャップの解消につながり、 就職後間もない離職対策としても期待されている。 こうした若者を受け入れている企業の負担を軽減 し、インターンシップの促進を図るため、受入れ企 業に対し10万円を助成する制度を設けた。 ⑷ 除雪オペレーター免許取得に対する助成 冬期の市民生活に直結する除排雪事業の担い手で ある除雪オペレーターが不足傾向にあり、将来の市 民生活に支障をきたすことが懸念されていることか ら、除雪機械の免許取得に係る負担額の約半分にあ たる4万円を助成する制度を設けた。 3.PR事業 建設業は、重要な社会的使命を担い、魅力とやり がいがある職業であることを若者などに発信してい くため、現場見学ツアーを開催している。ツアーの 実施にあっては、地元建設業界のみなさまの多大な るご協力をいただきながら、市の若手職員からなる プロジェクトチームにより企画、運営を行った。 ⑴ 夏休み親子土木施設見学ツアー 夏休み中の小学生の親子を対象に、2日間開催し た。両日とも午前中は舗装の敷き均し体験(写真− 3)を行い、午後はそれぞれ、地下鉄車両基地、トン ネル工事、下水道工事などの現場見学を行った。 ⑵ 土木施設めぐり女子ツアー 土木を学んでいる女子学生を対象に、トンネル工 事や公園整備などの現場見学を行うとともに、既に 現場で活躍している先輩女性技術者との交流を図る ため座談会を開催した(写真−4)。 写真−3 舗装敷き均し体験 写真−4 座談会の様子 4.おわりに 昨年度、初の取組みであったが、利用者や参加者 からは好評をいただいており、今年度も改善を図り ながら、継続実施している。詳しくは、札幌市建設 局ホームページを参照いただきたい。 写真−1 設置事例 52 月刊建設16−07 写真−2 助成事例 (札幌市 建設局 土木部 技術管理担当課 須志田 健)
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