これを塗れば、いろいろな“モノ”が曇らない ~有機溶剤を

<記者用説明文>
これを塗れば、いろいろな“モノ”が曇らない
DIC 株式会社
神成広義、永浜定
学会発表番号
1PC42
~有機溶剤を使わないコーティング材料~
<研究成果のポイント>
一般的な
クリア塗料
●有機溶剤を使わない環境に調和した水性塗料で、長い間曇り止め効果を持続する。
開発品
●色々なモノ(基材)へ塗ることができ、透明で水に馴染み易いコーティング材料。
<研究成果の概要>
水に馴染み易い(親水性)コーティング材料は、基材の表面に、曇り止めや汚れにくくす
る性能を与えます。これまでの親水性コーティング材料は、親水性を持続できる期間が
短く、限られた基材にしか塗ることができませんでした。そこで、色々な基材に付着し
やすい部位と親水性の部位を有する高分子材料を網目(ネットワーク)構造とすること
で、色々な基材に付着し、長期間にわたり親水性を持続できる親水性コーティング材料
を開発しました。開発品は、風呂場の鏡や窓ガラス、ゴーグルなどの曇り止めとしての
使用が期待できます。
図1. 開発品(親水性コーティング材料)の
防曇効果
開発品をコーティングした
ガラス(右):
氷点下まで冷やしても曇ら
ない(結露しない)
<研究成果解説文>
これを塗れば、いろいろな“モノ”が曇らない
第 25 回ポリマー材料フォーラム
予稿集
~有機溶剤を含まないコーティング材料~
P101
著者名: 神成広義 1*、永浜定 1
著者所属
1. DIC 株式会社
堺工場
* E-mail: [email protected]
親水保持性と種々の基材への密着性を有する親水性ポ
一般的な
クリア塗料
リウレタンによるコーティング剤を開発した。従来、親
開発品
水性コーティングには界面活性剤や親水性高分子の塗布
などが検討されてきた。しかし、界面活性剤は基材から
流出しやすいため親水保持性に劣り、親水性高分子を高
密度に架橋する手法では密着する基材は限定的であった。
そこで、基材密着性と基材追従性に優れるウレタン樹脂
をベースに用い、親水性樹脂とネットワーク構造を形成
図1. 開発品(親水性ウレタンコート)の防曇効果
することで、長期間にわたり親水性を保持できるコーテ
ィング材料を開発した。開発品は、ウレタン樹脂と親水
Si
Si
性樹脂で構成される。一般的なクリア塗料と開発品を塗
Si
Si
親水性樹脂
ハイドロゲル層
ウレタン樹脂
Si
布したガラス板を冷却し、比較したところ、開発品を塗
装したガラス板は優れた防曇効果を示した(図 1)。これは、
空気界面側には親水性樹脂が、基材界面側にはウレタン
樹脂が配向した状態でネットワーク化することで、塗膜
表面にハイドロゲル層を形成したことを示している(図
2)。
基材
△
Si
基材
図2. 塗装時におけるハイドロゲル層形成イメージ
Si
Si