別紙様式(別添) 世界農業遺産への認定申請に係る承認及び日本農業遺産への認定 申請書 概要情報 農業システムの名称:さぬきのため池農業システム 申請地域名:さぬき地域(⾼松市・丸⻲市・坂出市・善通寺市・観音寺市・さぬき市・東 かがわ市・三豊市・土庄町・小豆島町・三木町・直島町・宇多 津町・綾川町・琴平町・多度津町・まんのう町 団 体 8市9町) 名:さぬきのため池農業システム農業遺産推進協議会 組 織 構 成: 【地方公共団体】⾼松市・丸⻲市・坂出市・善通寺市・観音寺市・さぬき市・ 東かがわ市・三豊市・土庄町・小豆島町・三木町・直島町・ 宇多津町・綾川町・琴平町・多度津町・まんのう町、香川県 【そ の 他 関 係 団 体】かがわグリーン・ツーリズム推進協議会、一般社団法人香川 経済同友会、公益社団法人香川県観光協会、香川県土地改良 事業団体連合会、香川県製粉製麺協同組合、香川県農業協同 組合、香川県農業経営者協議会、国立大学法人香川大学、香 川用水土地改良区、独立行政法人日本貿易振興機構香川貿易 情報センター、本場さぬきうどん協同組合 都道府県所在地までのアクセス: 高松空港 羽田空港から⾼松空港まで 1 時間 20 分。 面積:2,398 ha ※各種統計データより求めたため池受益水田のうち二毛作を実施している面積(平成 27 年度) 人口/うち農業人口:980,936 人/70,957 人 地域の主な生計源:農林水産業、食品製造業、サービス業、観光業 別紙様式(別添) 農業システムの概要情報: 当地域は、温暖・少雨の瀬戸内気候に属し、山間部から海までの距離が短く河川が急勾 配であり降雨は短時間で流出してしまうことから、古くから干ばつの被害に悩まされてき た。このため、先人たちは全国一⾼密度となる 14,619 ヶ所ものため池と水路網を築造する ことにより、農業用水を確保してきた。 限られた水を有効に活用するため、独自のため池ネットワークを発達させ、親池、子池、孫 池へと繰り返しながら何度も水を利用することや、番水や水ブニなどの水利慣行と、走り水な どの節水かんがい方式を組み合わせることで、降雨の少ない当地域でも多様な農作物の栽培を 可能にしてきた。 当地域の農業経営面積規模は零細であるが、ため池や水路網の築造により、温暖な気候や水 はけの良い土壌条件を有効に利用し、水稲の裏作に⻨や露地野菜など多様な作物を栽培する二 毛作体系を確立して、食料の確保と所得の向上を図ってきた。現在では、⻨のほか、レタス、 ブロッコリー、たまねぎ、にんにくといった全国有数の生産量を誇る農作物が、水稲との二毛 作で栽培されるなど、当地域において二毛作農業は必要不可欠な栽培体系となっている。 また、古くからうどんの原料となる小⻨生産だけでなく、製塩業や醤油生産、出汁に使うイ リコ漁が盛んであった土地柄から、農作業の節目などにうどんを食す文化が育まれた。現在で は、生産量・消費量とも全国一の「うどん県・香川」として、世界的にも注目を集めるととも に、うどんに関連する産業は地域の経済と雇用を支えている。 ため池を継承する組織は、堤防の草刈りや池干しなどの維持管理を継続する中で結束力を⾼ め、雨乞いを起源とする踊りのほか、ため池築造の水利功労者を祀った供養祭など、多くの祭 事・行事を受け継ぎながら、固有のため池文化を今に伝えている。加えて、ため池ネットワー クによって連続性を有した水環境は、多様な水生生物を育み、オニバスやニッポンバラタナゴ など当地域の希少種が守られてきたことからも、ため池が農村地域の生物多様性を保全する上 で、重要な因子となっていることが分かる。また、二毛作農業の歴史の中で、まんばや葉ごぼ うなど地域固有の伝統的野菜も栽培が継承されており、これらを使った郷土料理も各家庭に伝 わる。 こうした農業・農法・農文化を、農家だけでなく非農業者も含めた農村地域全体で守り継い だ結果、 「ため池・二毛作・うどん」といった全国に誇る資源が生まれ、特有の農村景観と多様 な生物や農作物を育み、持続的な農業システムが形作られてきた。 世界的に見ても、人口増加に伴う食料問題や、気候変動及び政情不安による穀物価格の変動 リスクが懸念されるなか、当地域において営まれてきた、農地を効率的に利用する二毛作栽培 や、水を無駄なく利用するため池ネットワーク、さらには、それに伴い育まれてきた地域固有 の歴史や伝統、農文化、景観、生物多様性などを包括した「ため池農業システム」は、少雨・ 乾燥の慢性的水不足や食料問題を抱える地域にも応用しうる食料増産と環境調和を示すモデル と言える。 少⾬で⽇照時間が⻑く、古くから⼲ばつに悩まされてきた本県では、限られた水を有効に活⽤するため、厳格 な水利慣行などを駆使して、全国一高密度な“ため池ネットワーク”を構築し、安定した農業基盤を築いてきまし た。また、水はけの良い農地を有効に利⽤して、稲の裏作として、⻨をはじめとした多様な二毛作栽培により、 食料と生計を確保しています。こうした“ため池農業システム”は、連続した水環境の形成による生物の多様性の 保全、維持管理を継続する中で形成された地域の結束力や祭事・行事の継承、うどん文化の発展、ため池と条里 制の遺構を残した農地が創り出す独自の農村景観など、今後も持続すべき重要な価値を有しています。 (2)生物多様性及び生態系機能 (1)食料及び生計の保障 ・ため池ネットワークが育む生物多様性 ・まんば、葉ごぼうなど多様な伝統的野菜の継承 ・⻨の遺伝⼦資源の保存と優良品種の開発 ・二毛作で生産される多様な農産物 ・ため池農業システムが育んださぬきうどん ・地域に根ざした6次産業化の取り組み 零細な経営面積 温暖・少雨な気候 農地を効率的に 利用する二毛作栽培 全国一の密度で築造 されたため池・水路網 農作業の節目に食されたうどん 地域に根差したうどん文化 (3)知識システム及び適応された技術 ・ため池ネットワークの発達 ・高い適応力を有する独自の水利慣行や節水技術 ・ため池農業システムをフル活⽤した⽶⻨二毛作技術 ・さぬきうどんの独特の製法・技術 (4)文化、価値観及び社会組織 ・ため池農業システムを継承する社会的組織 ・水の恵みに感謝した伝統的な祭事・行事 ・独自のうどん文化 ・ため池農業システムにまつわるその他の食文化 (5)優れたランドスケープ及び土地と水資源管理の特徴 ・ため池や農作物が創り出すさぬき地域独特の農村景観 ・レクレーションの場や観光資源でもあるため池の水辺空間 ・多様な主体が参画したため池ネットワークの保全管理 日本最大級の貯水量を誇る満濃池 多くの観光客が訪れる豊稔池
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