第2章 - 丸亀市

第2章 機能整備の方針
2-1
基本理念と基本的機能
基本構想では、6 つの基本理念と、その下に 15 の基本的機能を定めています。基本計画では、
これらの基本理念と基本的機能に基づきながら、より具体的な整備方針を示します。
丸亀市市庁舎等整備基本構想
■基本理念と基本的機能■
1.
親しみやすく、市民が集える施設
(1)
市民交流、協働のスペースの確保
(2)
情報発信と共有の場の整備
(3)
親しみやすい議場等の整備
2.
誰もが利用しやすい、人にやさしい施設
(4)
利用しやすい環境の整備
(5)
わかりやすさの向上
3.
安全・安心の拠点として市民の暮らしを守る施設
(6)
優れた耐震性能の確保
(7)
防災拠点機能の確保
4.
機能性と効率性を兼ね備えた施設
(8)
利用者の利便性の向上
(9)
プライバシーに配慮した相談スペースの確保
(10)
執務環境の整備
(11)
長期的な経済効率を意識した整備
5.
地球にやさしい環境に配慮した施設
(12)
グリーン庁舎化の推進
(13)
施設の長寿命化
6.
景観に配慮し、まちづくりにつながる施設
(14)
丸亀城歴史エリアにふさわしい景観形成
(15)
にぎわい空間の演出
13
整備方針
2-2
基本計画では、基本構想で定めた(1)~(15)の基本的機能に沿って、より具体的な整備方針を
定め、この整備方針に基づき設計を進めます。
(1)
市民交流、協働のスペースの確保
丸亀市総合計画が掲げる「協創でつながるまち 丸亀」の実現に向け、市庁舎等複合施設に
は市民活動と市民交流を促進するために市民交流活動センターを整備します。
【整備方針】
①
市民活動を支援する市民活動推進機能の整備
②
市民交流を促す多目的機能の整備
①
市民活動を支援する市民活動推進機能の整備
・男女共同参画や国際交流の啓発・推進のための専用スペースや、市民活動団体が共用利
用できる作業スペース、交流スペースなど、市民活動の場を整備します。
・市民活動の支援のための相談スタッフの配置や、情報交換のための情報コーナーを設置
します。
・市民と行政の交流、ワークショップ、セミナーなど、さまざまな目的に利用できるスペ
ースや電子機器・通信機器を整備します。
市民協働スペース
呉市庁舎
14
②
市民交流を促す多目的機能の整備
・音楽の発表会、ダンスの練習、セミナーなどの多様な目的に対応できるスペースの整備
を検討します。
・期日前投票や献血の際の待合、災害時の一時避難場所など、多様な使い方のできる空間
を設置します。
・将来のニーズの変動や様々な学習活動に対応できるように、可動間仕切りにより分割で
きるなどフレキシブル*1 な部屋のしつらえを検討します。
・利用者間の交流が促進されるように、誰もが自由に立ち寄ることができる明るく開放的
なロビーやラウンジなどの共用空間を整備します。
多目的空間
市民交流ラウンジ
大府市庁舎
東広島市庁舎
展示用空間
談話コーナー
上野原市庁舎
小諸市庁舎
カフェ
小諸市庁舎
*1 フレキシブル:柔軟性のあるさま。融通のきくさま。
15
(2)
情報発信と共有の場の整備
市民協働の推進のためには、市民、議会、行政が意見を交換し、情報を共有することが大切
です。市庁舎と市民交流活動センターを併設するメリットを活かして、市民・議会・行政が共
同で利用できる情報コーナーなど、市民協働のための環境を整備します。
【整備方針】
①
様々な情報の発信と共有を促進する空間の整備
②
市庁舎と市民交流活動センターの連携
③
公文書館機能(一部機能)の整備
①
様々な情報の発信と共有を促進する空間の整備
・市庁舎と市民交流活動センターのロビー空間等を活用し、市民と行政が情報を発信・共
有できるコーナーを設置します。
・市民活動や市政に関する情報、市民の文化活動の成果発表、本市の特産品の紹介など多
様な情報提供が行えるコーナーや、ボートレースまるがめを PR するスペースを設置し
ます。
・内部の様子が街路空間からも伺え、人々を惹きつけるような明るく開放的なロビーなど
の配置やしつらえを検討します。また、多様な市民活動イベントや、文化活動の作品展
示などにも対応できる仕組みを検討します。
防災ギャラリー
情報コーナー
鈴鹿市庁舎
東広島市庁舎
16
②
市庁舎と市民交流活動センターの連携
・市庁舎と市民交流活動センターは、建物として明確に区分できる構造とし、協働の促進
も意識した配置を検討します。
交流ロビー
庁舎と交流施設の間の通り抜け空間
小諸市庁舎
呉市庁舎
③
公文書館機能(一部機能)の整備
・市政や市の歴史に関する知識の普及と、それを市民共有の情報として市民が利用できる
よう、歴史的価値のある公文書の閲覧受付カウンターや、閲覧スペース、展示スペース
を設置します。
公文書展示閲覧室
三豊市文書館
17
(3)
親しみやすい議場等の整備
本市の最高意思決定機関としての独立性を重視するとともに、市民に身近に感じられる開か
れた議会とするために、市民の傍聴の利便性を高め、情報発信ができる議会を目指します。
【整備方針】
①
市民にとって身近な議会
②
積極的な情報発信が行える議会
①
市民にとって身近な議会
・議場は、市民がアクセスしやすい動線や配置とします。
・エレベーターやスロープによる議場へのアプローチ、車椅子用傍聴席、親子傍聴席、授
乳室の設置などユニバーサルデザイン*1 に配慮します。
・議場は市民が議会を身近に感じられるように、傍聴席と議員席との床レベルなどを検討
します。
段床式議場
平土間式議場
鈴鹿市庁舎
小諸市庁舎
*1 ユニバーサルデザイン:文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利
用することができる施設・製品・情報の設計。
②
積極的な情報発信が行える議会
・市民が議会活動を身近に感じられるように、市民利用も考慮した議会図書室の整備を検
討します。
・議会資料の電子化等に対応できるよう、議場や委員会室等でのタブレット端末等の使用
環境の整備を検討します。
・議会活動の発信のため、本会議や委員会の中継設備の整備、庁舎ロビーなどの目に付き
やすい場所へのモニターの設置を検討します。
・来庁者などに議会の開催状況や日程に関する情報を提供できる仕組みを検討します。
18
(4)
利用しやすい環境の整備
市庁舎等複合施設の整備にあたっては、誰もが安全で快適に利用できる施設となるように、
「香川県福祉のまちづくり条例」や「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」
を遵守し、ユニバーサルデザインに配慮します。
「丸亀市総合計画」が目指す環境に配慮した社会づくりの理念を踏まえ、公共交通や自転車
の利用者にも配慮した整備を行います。
【整備方針】
① ユニバーサルデザインに配慮した施設の整備
② 金融機関・ATM・売店などの利便施設の整備
③ 十分な駐車場の整備
④ 公共交通・自転車・徒歩への対応
①
ユニバーサルデザインに配慮した施設の整備
・車椅子の方や高齢の方、妊娠されている方など誰もがスムーズに移動できるように、建
物内外には極力段差を設けず、十分な通路幅やエレベーターを確保するなどの検討を行
います。
・車椅子の方や高齢の方にも利用しやすいように、窓口や記帳台などは足元スペースに余
裕のあるローカウンター形式のものを併設します。
・車椅子の方やオストメイト*1 の方にも対応した、誰でも利用できる多機能トイレを設置
します。
・子供連れの来庁者も安心して利用できるように、キッズコーナー、授乳室、ベビーベッ
ドやおむつ交換台などのスペースや設備を設置します。
多機能トイレ
キッズコーナー
呉市庁舎
呉市庁舎
*1 オストメイト:腹部などに排泄のため開口部-ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を造設した人のこと。
19
②
金融機関・ATM・売店などの利便施設の整備
・会計窓口の近くに金融機関の出張所などの配置を検討します。
・市民が利用しやすい位置に、ATM や売店、災害時の飲料提供にも役立つ災害対応型自
動販売機の設置を検討します。
③
十分な駐車場の整備
・来庁者用駐車場は、市民交流活動センターの利用者も視野に入れ、想定される収容台数
を確保できるように整備します。
・駐車場の収容台数確保にあたっては、既存の大手町第一・第二駐車場等の大手町にある
公共駐車場の活用も視野に入れ、検討します。
・安全性と駐車のしやすさに配慮し、ゆとりある駐車スペースを確保します。
・来庁者の利用状況に応じて、土日祝日などに丸亀城を訪れる観光客の利用にも対応可能
な駐車場となるよう検討します。
・高齢の方、障がいのある方、妊娠されている方などが安全に建物まで移動できるよう、
建物の入り口付近におもいやり駐車スペースを確保します。
・建物入り口付近に車寄せを設けるなど、快適に来庁できる仕組みを検討します。
おもいやり駐車場
東広島庁舎
④
公共交通・自転車・徒歩への対応
・環境への負荷が少ない公共交通の利用を促進するために、敷地内にコミュニティバスの
乗降場の設置を検討します。
・自転車利用を促進するために十分な駐輪場を確保します。
・人と車の動線に配慮した、安全な歩行者空間を確保します。
20
(5)
わかりやすさの向上
市民サービス向上のため、来庁者が迷うことなく目的の場所にたどり着けるよう、ユニバー
サルデザインに配慮した、わかりやすい空間構成や案内表示を目指します。
【整備方針】
①
わかりやすい空間構成
②
わかりやすい案内表示
①
わかりやすい空間構成
・市民の利用頻度が高い窓口部門は、来庁者の利便性に配慮し低層階へ配置します。
・来庁者が迷わず目的の窓口へたどり着けるように、窓口部門が一望できる開放的で視認
性のよい待合ロビーを検討します。
待合ロビー
飯田市庁舎
21
②
わかりやすい案内表示
・高齢の方や障がいのある方、外国の方に配慮し、触知案内図*1、点字ブロック、音声案
内、多言語表記、文字情報端末等の設置を検討します。
・ピクトグラム*2、番号や色分けを活用し、遠くからでも一目でわかる案内表示を検討し
ます。
・窓口部門における呼び出しは、音声と電子掲示板により行うなど、多様な手段を利用し
た案内方法を検討します。
窓口の案内表示
点字ブロックとインターフォン
天童市庁舎
東広島市庁舎
触知案内図
ピクトグラム
東広島市庁舎
国土交通省標準案内用図記号
*1 触知案内図:文字(点字)・図形(凹凸)などを使い、視覚障がいの有無に関わらず誰にでもわかりやすい
案内図。
*2 ピクトグラム:対象物や情報から視覚イメージを抽出し、図記号で表したもの。
22
(6)
優れた耐震性能の確保
市民の安全・安心な暮らしを支える拠点として、高度な耐震性、耐火性などを有した建築物
とし、災害時にも速やかに関係組織や機関と連携して、対応・対策が取れる施設づくりを目指
します。
【整備方針】
①
①
業務継続可能な耐震性能の確保
業務継続可能な耐震性能の確保
・市庁舎等複合施設は「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準(国土交通省)」における
「災害応急対策活動に必要な施設」として、構造体の耐震安全性:Ⅰ類*1、建築非構造
部材の耐震安全性:A類*2、建築設備の耐震安全性:甲類*3 を目指します。
・災害応急対策活動に必要な施設として、業務継続を最優先に、被災後速やかに対策・対
応に取り掛かれるよう、免震構造の採用を検討します。
・室内の機器・備品が地震動により転倒や機能停止とならないように対策を検討します。
概要
地震時の揺れ
建物の損傷
耐震構造
制震構造
免震構造
構造体の堅さと強さで地
震に抵抗
制震ダンパーによる地震
力の吸収
免震ゴムなどの絶縁体に
よる地震力の低減
地面に対して建物内での
地面に対して建物内での
地面に対して建物内での
揺れが 2~4 倍程度
揺れが 1~3 倍程度
構造体・仕上材・設備
構造体・仕上材・設備
の損傷の可能性
の局所的損傷の可能性
一部機能停止の可能性
業務継続性
建設費比率
初期費用に
対する修復費
修復に時間が必要
業務継続に制限が
出る可能性
局所的な修復が必要
揺れが 0.5~1.5 倍程度
ほとんど損傷を生じない
地震直後から
業務継続可能
100
105 程度
110 程度
15%程度
5~10%程度
0~5%程度
23
*1 構造体の耐震安全性
耐震安全性の
分類
重要度
係数*4
耐震安全性の目標
対象施設
Ⅰ類
1.5
大地震動後、構造体の補修をすることなく建築物を使用で
きることを目標とし、人命の安全確保に加えて十分な機能
確保が図られるものとする。
災害応急対策を行う庁舎、病
院など
Ⅱ類
1.25
大地震動後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を
使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて機能
確保が図られるものとする。
避難所となる学校など
Ⅲ類
1
大地震動により構造体の部分的な損傷は生じるが、建築物
全体の耐力の低下は著しくないことを目標とし、人命の安
全確保が図られるものとする。
上記以外の公共建築
*2 建築非構造部材の耐震安全性
耐震安全性の
分類
耐震安全性の目標
対象施設
A類
大地震動後、災害応急対策活動や被災者の受け入れの円滑な実施、又は
危険物の管理の上で、支障となる建築非構造部材の損傷、移動等が発生
しないことを目標とし、人命の安全確保に加えて、十分な機能確保が図
られるものとする。
災害応急対策を行う庁舎、病
院など
避難所となる学校など
B類
大地震動により建築非構造部材の損傷、移動等が発生する場合でも、人
命の安全確保と二次災害の防止が図られていることを目標とする。
上記以外の公共建築
*3 建築設備の耐震安全性
耐震安全性の
分類
耐震安全性の目標
対象施設
甲類
大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防止が図られているとと
もに、大きな補修をすることなく、必要な設備機能を相当期間継続でき
ることを目標とする。
災害応急対策を行う庁舎、病
院など
避難所となる学校など
乙類
大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防止が図られていること
を目標とする。
避難所となる学校など
*4 重要度係数:建築物に要求される機能等に応じて、大地震動により建築物に生ずる変形を抑制するとともに、
強度を向上させるための係数。
24
(7)
防災拠点機能の確保
新しい市庁舎の整備にあたっては、現在消防庁舎内にある危機管理課及び災害対策(水防)
本部室を市庁舎内に移転し、災害対策拠点としての環境を整備します。
【整備方針】
①
災害対策(水防)本部機能の整備
②
機能維持のためのインフラ整備
③
一時避難場所の整備
①
災害対策(水防)本部機能の整備
・現在消防庁舎内にある危機管理課と災害対策(水防)本部室を新市庁舎内に移転し、他
の行政機能や医療救護本部等と緊密な連携が取れるような配置を検討します。
・災害対策(水防)本部室は、災害時の被害状況を即座に把握する情報通信機器の設置を
検討します。
・可動間仕切壁などにより、災害の規模や特性に応じて、レイアウト変更が可能な仕組み
を検討します。
・災害時に迅速な対応が取りやすいように、災害対策(水防)本部室は市長室と同じフロ
アへの配置を検討します。
災害対策(水防)本部室
災害対策本部の例
25
②
機能維持のためのインフラ整備
・業務継続計画(BCP)*1 に対応するため、電力供給や通信網の多系統化、非常電源の確
保、給排水設備の耐震性能強化、貯水タンクや雨水の利用設備の設置を検討します。
*1 業務継続計画(BCP):(Business Continuity Plan)災害や事故などの不測の事態を想定して、業務継続の
視点から対応策をまとめたもの。危機発生の際、重要業務への影響を最小限に抑え、仮に中断しても可及的
速やかに復旧・再開できるようにあらかじめ策定しておく行動計画のこと。
③
一時避難場所の整備
・市民交流活動センターの一部を、帰宅困難者や市民などを受け入れる一時避難場所とし
て利用できるような配置やしつらえを検討します。
・災害時にはロビーなどの共用空間を利用して、市民へ迅速かつ正確な情報提供が行える
仕組みを検討します。
・敷地内の駐車場等のオープンスペースに、災害発生時に利用できるマンホールトイレ*1
や、かまどベンチ*2 などの設置を検討します。
*1 マンホールトイレ:災害時に下水道管路にあるマンホールの上に簡易なトイレ設備を設け、使用するもの。
*2 かまどベンチ:災害時の炊き出しに利用するかまどを装備したベンチ。
26
(8)
利用者の利便性の向上
これまで大手町地区周辺の公共施設に分散している本市の事務所機能を、新しい市庁舎に集
約することにより、来庁者の利便性の向上を図ります。また、市民利用が多い窓口部門につい
ては、特に動線や案内表示、ユニバーサルデザインなどに配慮し、安全で利用しやすい環境を
目指します。
【整備方針】
①
市庁舎機能の集約
②
わかりやすい市民窓口の整備
①
市庁舎機能の集約
・来庁者の利便性を図るため、大手町地区周辺に分散している事務所機能を新しい市庁舎
内に集約します。
本館
別館
南館
西館
全機能
全機能
全機能
全機能
新 市 庁 舎
健康課
地域包括
支援センター
教育委員会
生活環境部
保健福祉
生涯学習
センター
センター
27
危機管理課
災害対策
(水防)本部
消防庁舎
②
わかりやすい市民窓口の整備
・市民の利用頻度が高い窓口部門は低層階に集約するとともに、複数の手続きが可能な総
合窓口の設置を検討します。
・来庁者に親切でわかりやすいサービスの提供ができるよう、総合案内を設置するととも
に、来庁者に声をかけて窓口へ案内し、申請書類の記入支援などを行う案内係(コンシ
ェルジュ)の導入を検討します。
・窓口部門の待合スペースでは、窓口番号案内表示機や電子掲示板、大型モニターを設置
し、また、音声案内を行うなど窓口サービスの向上を図ります。
総合案内
窓口番号案内モニター
窓口番号案内モニターの例
甲府市庁舎
窓口番号発券機
総合窓口のイメージ
呉市庁舎
四街道市庁舎
28
(9)
プライバシーに配慮した相談スペースの確保
来庁者が安心して相談できる環境を創出するため、プライバシーに配慮した窓口や相談室を
整備します。
【整備方針】
①
プライバシーに配慮した窓口・相談環境の整備
①
プライバシーに配慮した窓口・相談環境の整備
・来庁者が周囲を気にせず、相談や手続きを行えるように、仕切パネルのあるローカウン
ターや、個室型の相談室の設置などプライバシーに配慮した環境を整備します。
カウンターの仕切パネル
個別相談室
長浜市庁舎
呉市庁舎
29
(10) 執務環境の整備
効率的で職員が働きやすい施設の実現のために、部門間の連携や職員間のコミュニケーショ
ンが図りやすい機能的なオフィスレイアウトを目指します。また、長期的な視野に立って行政
需要の変化に対応できる空間構成を検討します。
多くの個人情報などを適切に管理するために、情報セキュリティの確保を徹底します。
【整備方針】
①
柔軟性の高い執務空間の整備
②
効率的な会議室の配置
③
書庫のスリム化によるスペースの有効利用
④
高いセキュリティの確保
①
柔軟性の高い執務空間の整備
・執務空間は仕切りのないオープンフロアを基本とし、職員相互のコミュニケーションが
取りやすく、組織改編や行政需要の変化に柔軟に対応できる空間とします。
・執務空間はできる限り柱がない無柱空間となるように、適切な構造スパンを検討します。
・情報技術の発展に伴う機器交換にも柔軟に対応できるように、フリーアクセスフロア*1
とします。
・適切な文書管理を行い、執務空間は収納棚の高さを抑えて見通しの良い空間づくりを検
討します。
・相互関係性が高い部課は近接して配置し、部門横断的な業務が行いやすいように部課の
配置を検討します。
執務空間
鈴鹿市庁舎
*1 フリーアクセスフロア:床の上にネットワーク配線などのための一定の高さの空間をとり、その上に別の床
を設け二重化したもの。
30
②
効率的な会議室の配置
・各部課の会議や打合せ、また臨時的な業務空間としても利用できるように、各フロアに
小規模な会議室を配置します。
・会議室は並べて配置し、可動間仕切壁により、目的に応じた規模で利用ができるよう柔
軟性のある仕組みを検討します。
・災害対策(水防)本部室や議会用の会議室は、その主目的のために利用されていない期
間には、職員の共用会議室として利用するなど、効率的な仕組みを検討します。
会議室:可動間仕切壁
会議室:ガラスパーテーション
潟上市庁舎
③
小諸市庁舎
書庫のスリム化によるスペースの有効利用
・文書管理による文書量のスリム化を引き続き推進し、収納スペースの効率的な利用を図
ります。
・文書保管スペースの縮減のため、長期保存文書は、集密書架を活用するなど省スペース
化を図ります。
集密書架
潟上市庁舎
31
④
高いセキュリティの確保
・市民交流活動センターの夜間、休日利用に支障がないよう、市庁舎と市民交流活動セン
ターの間には、明確なセキュリティラインを設定します。
・市庁舎の夜間や休日の開庁を考慮し、開庁する対象の部署や範囲に応じた、適切なセキ
ュリティラインを構築します。
・重要情報を扱う部屋などは、IC カード*1 による入退室管理など、適切なセキュリティシ
ステムの導入を検討します。
IC カード
IC カードによる入退室管理システムの例
*1 IC カード(integrated circuit card; ICC)
:集積回路(IC)を組み込んだカード。
(11) 長期的な経済効率を意識した整備
社会の変化に伴う市民と行政の関係性や、行政組織の変化だけでなく、技術の進歩にも対応
できる柔軟性を備えた環境を整備し、長期的に経済性の高い施設を目指します。
【整備方針】
①
高いフレキシビリティ*2 の確保
①
高いフレキシビリティの確保
・階高や床面積、床荷重などは一定のゆとりを確保し、将来の変動に対応できる柔軟性の
ある空間構成を検討します。
・仕切りのないオープンフロア、オフィスレイアウトや情報機器の更新を容易にするフリ
ーアクセスフロアなど、組織改変にも柔軟に対応できる執務空間を整備します。
・窓口カウンターは、割付変更が可能となる仕切りパネルを設置します。
*2 フレキシビリティ:柔軟性、変化への対応能力
32
(12) グリーン庁舎化の推進
市庁舎等複合施設の整備にあたっては、
「丸亀市緑の基本計画」や「丸亀市公共工事におけ
る環境配慮指針」などの本市の計画・指針とともに、
「官庁施設の環境保全性に関する基準(グ
リーン庁舎基準)
」
〈国土交通省の技術基準〉に沿った計画を行います。
【整備方針】
①
自然エネルギーの活用
②
換気・空調エネルギーの削減
③
照明エネルギーの削減
④
その他の環境配慮
⑤
エネルギーの利用管理
①
自然エネルギーの活用
・香川県の恵まれた日照時間(約 2,000 時間/年)を有効活用して、太陽光発電や太陽熱
利用などの再生可能エネルギーの採用を検討します。
・年間を通じて恒温状態にある地中熱を利用し、空調負荷を低減する換気システムの導入
を検討します。
グリーン庁舎のイメージ(国土交通省 HP より)
33
②
換気・空調エネルギーの削減
・最もエネルギー消費の多い換気・空調を重点的にコントロールするシステムの構築を検
討します。
・電力需要の高い昼間の電力消費の削減(ピークカット)を行うために、電気とガスのハ
イブリッドによる空調熱源や、水蓄熱システムなどの採用を検討します。
・風向きに合わせた開口の配置やエコボイド*1 の設置など、室内に自然風を積極的に取り
入れる仕組みを検討します。
・空調負荷の低減のため、ナイトパージ*2 が行える開口制御や、断熱材の強化、気密性・
断熱性の高いサッシや Low-E 複層ガラス*3、
ダブルルーフ*4 などによる断熱性能の向上、
室内への直射光を遮蔽するルーバー*5 や深い庇などの採用を検討します。
・使用時間が限定される会議室などの個室は、個別制御が行いやすい換気・空調方式の採
用を検討します。
*1 エコボイド:煙突効果を利用した自然換気とトップライトからの自然採光を目的とした吹き抜け空間。
*2 ナイトパージ:外気温が低下する夜間に自然通風を図り、涼感を得ると同時に室内の温度を下げ、翌日の温
度上昇を抑制する方式。
*3 Low-E 複層ガラス:Low Emissivity(低放射)の略で、複層ガラスのうち、その内面部に特殊な金属膜を設
けたもの。
*4 ダブルルーフ:二重の屋根を設けることで空気の断熱層をつくり、屋上面の断熱効果を高める仕組み。屋外
機の架台や太陽光パネルを利用する方法もある。
*5 ルーバー:細長い板を隙間を空けて平行に並べたもの。
34
③
照明エネルギーの削減
・恵まれた日照時間を活かし自然光を積極的に取り入れ、照明エネルギーを低減するため
の仕組みを検討します。
・消費エネルギーが少なく、長寿命な LED 照明の採用を検討します。
・トイレや倉庫などには、人の出入りを感知し、照明を自動的に点灯・消灯する人感セン
サーの採用を検討します。
・窓際の執務空間などには、外部からの昼光の強さに応じて自動的に照度調整を行う昼光
センサーの設置を検討します。
④
その他の環境配慮
・再生資材やリサイクル率の高い材料を積極的に採用し、建設発生材の抑制や再利用を検
討します。
・雨水利用を検討します。
・外構の舗装材は、ヒートアイランド現象*1 の緩和、下水道設備の負荷低減などに効果の
ある透水性舗装の採用を検討します。
・建物外周部には、植栽や緑地を設けるなど、周辺の環境に配慮します。
・公用車の電気自動車化に備えた充電ステーションの設置を検討します。
*1 ヒートアイランド現象:アスファルト道路や建物によって地表面が覆われることにより、都市部の気温が郊
外部に比べて高温を示す現象。
⑤
エネルギーの利用管理
・消費エネルギーの削減を図るため、運用管理計画について、BEMS*2 などによる機器・
設備運転管理システムの導入を検討します。
*2 BEMS:Building Energy Management System の略称であり、正式には建物の使用エネルギーや室内環境を把
握し、これを省エネルギーに役立てていくためのシステムと定義され、具体的には計測・計量装置、制御装
置、監視装置、データ保存・分析・診断装置などで構成されるシステムとされる。
35
(13) 施設の長寿命化
耐久性のある仕上材や仕様の採用はもとより、中長期保全計画や点検マニュアルの作成によ
り、予防保全*1 が行える体制を確立し、長期にわたり機能を維持できる施設を目指します。
【整備方針】
①
ライフサイクルコスト*2 に配慮した計画
①
ライフサイクルコストに配慮した計画
・耐久性の高い構造体や仕上材の採用、規格品の積極的な採用を検討します。
・庇やバルコニーなどのメンテナンススペースを各階の外周に設置するなど、外壁の補修
が行いやすい仕組みを検討します。
・設備配管の集約配置や、ゆとりある保守点検スペースの確保により、保守点検や設備の
増設に対応しやすい構造を検討します。
・中長期保全計画や点検マニュアルの作成、予防保全が行える体制の確立など、長期にわ
たり機能を維持できるような仕組みを検討します。
*1 予防保全:建築物などの部分あるいは部品に不具合・故障が生じる前に、部位あるいは部品を修繕あるいは
交換し、性能・機能を所定の状態に維持する保全方法。
*2 ライフサイクルコスト:建物の生涯を通じた費用。
36
(14) 丸亀城歴史エリアにふさわしい景観形成
市庁舎等複合施設の計画敷地は、丸亀城の大手門前に位置することから、景観形成、建物の
配置や高さに配慮するとともに、敷地へのアプローチや交通状況に配慮した計画とします。
【整備方針】
①
丸亀城の景観に配慮した建物の配置・高さ
②
丸亀城の景観にふさわしい外観デザイン
①
丸亀城の景観に配慮した建物の配置・高さ
・建物の配置は、丸亀城の大手門に通じる南北道路(市道大手町通町線)に与える圧迫感
や閉鎖感に配慮します。
・計画敷地は建物高さ制限 25m の高度地区にあり、丸亀城の眺望に配慮した高さとなるよ
う検討します。
②
丸亀城の景観にふさわしい外観デザイン
・「丸亀市景観計画ガイドライン」に従い、建物の屋根や外壁等は丸亀城歴史エリアにふ
さわしい素材・色彩を選択します。
・丸亀城からの見え方に配慮し、落ち着いた風合いの屋根や屋上の素材・色彩を選択する
とともに、設備機器を屋上に設置する場合には、建物と一体的にデザインした目隠し壁
で囲うなどの処置を検討します。
丸亀城
保健福祉センター:陸屋根に屋根を設けた例
本市のHPより
本市の「景観計画ガイドライン」より
37
(15) にぎわい空間の演出
丸亀城や市民ひろばなどの観光・にぎわい機能との連携を考慮するとともに、JR丸亀駅か
ら商店街を通って丸亀城にいたる回遊性を意識した、歩きたくなる歩行者空間の創出を目指し
ます。
【整備方針】
①
歩行者空間の充実
②
周辺施設との連携
①
歩行者空間の充実
・大手門に通じる南北道路(市道大手町通町線)は、大手町地区のシンボルロードと呼べ
る重要な公共空間であるため、周辺の景観との調和に配慮したベンチや街路樹などの整
備を検討します。
・歩行者空間からも、市民交流活動センターでの活動や人の動きが感じられ、にぎわいを
生み出すような建物の配置やデザインを検討します。
・南北道路(市道大手町通町線)は、自動車の乗り入れの制限も含め、歩行者が安全・安
心に移動できる空間となるよう整備します。
②
周辺施設との連携
・市民ひろばなどからの人の流れに配慮し、建物の配置や敷地内動線を検討します。
・隣接する消防庁舎や保健福祉センターとの連携や、大手町第一・第二駐車場からの人の
動線に配慮した建物の配置や敷地内動線を検討します。
38