医療情報学会・人工知能学会 AIM 合同研究会資料 SIG-AIMED-002-17 医療 IT 市場の動向と AI 応用の可能性について The trends of Healthcare IT and the key driver for AI application 依田 佳久 1 Yoshihisa Yoda1 1 テクマトリックス株式会社 1 Techmatrix Corporation A small introduction of what I learn from the opportunity to visit several IT start-up in Indian healthcare market. The clear target and purpose should be the primary key for the AI application. In the case of Chinese Healthcare IT project, we can learn how to build the scheme to aggregate the valuable data in natural way. In order to accelerate the application of AI in Japanese healthcare market, the leadership of the government and the academic society would be the key driver, especially as for the creation of public consensus to utilize healthcare record. ンサルテーションを目的として必然性のある情報の 流れを、結果として集積している。 海外の医療 IT 事情 インド国内の医療系 IT スタートアップ企業を複 数訪問する機会があった。ある企業の例では、スマ ートフォンを利用したチャットによる医師へのオン ライン相談サービスを提供している。 BOT により医師に必要な情報の事前収集、在宅の 採血等臨床検査サービスとの連携、薬品の宅配便配 送と、日本の規制下ではおおよそ困難なサービスが 現実に提供されいる。 通常の診療所を訪問した場合の 20%以下の費用 で同サービスを実現することにより、都市に対して より地方、富裕層に対してより相対的下層の人々に 医療サービスを提供することを目指している。切実 な社会要請に応えるサービスである。 チャットによる相談であることから、医師と患者 の対話が全て文字ベースで記録され、過去3万ケー スを越える実際の診察対応履歴が存在し、機械学習 のベースデータとすることで上記の BOT は開発さ れ、医師の患者対応時間の60%削減を実証してい た。明確な目的が先にある。 国内の医療 IT とその可能性 日本国内においても行政通知、関連するガイドラ インの整備を背景として、クラウドへの医療情報の 集積、関連する市場は確実に立ち上がりつつある。 一例として医用画像管理システム、 いわゆる PACS 分野では、ここ数年でクラウド型のシステム利用に 移行する病院が全体の 20%に近づくという市場分 析がある。 当社事業の例では、2016 年 9 月末現在で、 600 施設、約8,000 万検査の医用画像をクラウド環 境で保存管理している。 同様に遠隔画像診断サービス事業では、累積で約 650 万検査の画像を遠隔地にいる専門医師に転送し、 その診断レポートを依頼元施設に返送している。但 し、これらは個別の医療機関との契約に基づく情報 の管理サービス事業であり、学術的研究目的であっ ても、その横断的な分析、ビッグデータとしての利 用には結びつかない。 中国の新興 IT サービス事業に参加している例で は、北京大学を中心として、3級、2級、1級(中 国では1→3級の順に、病院の規模が上がり中核病 院を意味する。 )の階層を辿って、診断に悩む病理画 像を集積することで、難解症例、希少症例を北京大 学に集積しようとしている。そのデータベースによ り病理診断の分野での専門教育のインフラを構築し ようとするプロジェクトである。 研究のための集積ではなく、実際の診断支援、コ 第 3 次といわれる人工知能技術への社会的な注目 の高まりの背景には、ハードウェアの処理能力の飛 躍的な向上、今や一般報道でも引用されるディープ ラーニングという言葉にも代表される情報処理技 術・ソフト面の進展の両輪がある。 残る課題として対象領域ごとのデータの集積、も しくは本来は既に集積されている良質の大量データ の利用に関する社会的了解の形成が必要と考える。 行政、学会のリーダーシップに期待する。 1 医療情報学会・人工知能学会 AIM 合同研究会資料 SIG-AIMED-002-17 1つの追加的な観点として、東京大学の橋田浩一 先生の提唱する PLR(Personal Life Repository)等の考 え方に基づき、医療情報の所有について明確に個人 に主権を移すことで、個人単位での利用目的に対す るが明確な同意、オプトイン表明が可能となり、公 正に研究目的で利用可能な情報データベースが構築 される可能性にも期待する。 2
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