No.0203 2016 年 11月1日 発行 http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp ㈱せんにち(大阪府) 「玉子焼が目指すのは、 安全・安心の家庭の味 未来へ向けて取組み加速!」 JmHACCPを取得した工場で生産される玉子加工品 大阪府で玉子加工品を手掛ける㈱せんにちは、原料・品質・技術にこだわった、家庭の味 を目指す商品を生産する。徹底した衛生・品質管理で、今年6月にはJmHACCPを取得。今 後はマルナカグループの唯一の製造機能として、新たな業容拡大にむけさまざまな取り組 みを進めている。 玉子加工品を中核に展開 売の中央魚類㈱を中核とするマルナカグループ に加入、現在はグループの製造機能を担う。 ㈱せんにちは昭和23年(1948年)に製糖会社 生産設備では、本社工場(大阪府吹田市)で玉 として創業以来、玉子加工品を中心にして68年の 子加工品、あんこ工場(同)では、小豆の風味を最 歴史を重ねてきた。平成25年(2013年)に㈱ホウ 大限に生かしたあんこを独自製法で生産する。玉 スイが100%株式取得したことにより、水産物卸 子加工品では、全国3ヵ所に協力工場がある。 本社工場では厚焼、だし巻などの玉子加工品を 日産平均で3㌧生産。年末年始の最繁忙期では、 伊藤 透 取締役執行役員製造本部長 生産量は約1.5倍になる。販売先は約9割が業務 惣菜ホットニュース 用で、スー パ ーマーケットなどの 量 販 店 や 外 食 チェーンに供給している。 原料・品質・技術にこだわり 「当社が目指すのは、家庭でお母さんが作る玉 子焼。焼きたて、手焼きのおいしさを実現するため 1 だし巻き4切 江戸前厚焼玉子 手焼風刻み錦糸 伊達皮3枚 に、他 社とは 一 線を画した生 産 体 制を敷 いてい 成機を導入すると、1時間あたり600∼800個を る」 と伊藤透取締役執行役員製造本部長は語る。 生産できるが、同社ではオペレーターが常時手を 同社の玉子加工品は、原料・品質・技術にこだ 加えて焼き上げる。自動撹拌に加えて箸で均等に わり、且つ、高 度な品 質・衛 生 管 理を徹 底してい かき混ぜることで、ふっくらと食感の良い玉子焼 る。 に仕上がる。奥野憲三製造本部工場管理課長兼 原料は、 トレーサビリティを確立し、厳選した鶏 大阪工場長は、生産量は1時間あたり280∼300 卵を使用。鳥インフルエンザなどの疫病リスクを 個程度だが、 「混ぜ方、フライパンの温度、箸の入 回避するために、一定距離を置いた農場から購入 れ方にこだわり研究を重ね、冷めてもやわらかく する。一般的に大量生産される玉子加工品は、原 おいしい商品を作り上げてきた」 と自負する。 料として殺菌処理された液卵を使うことが多い。 しかし、同社は未殺菌のホール卵(殻を割った状 また、最 近では 加 工 頻 度 に対 するニーズも高 態のもの)を使用する。原料段階から手間をかけ まっており、1㎜単位でカットする技術も活躍して ることで、おいしさを追求しているためだ。このこ いるほか、黒糖を使った焦げのあるもの、甘めの とに加え、品質面では2次加熱による殺菌工程を 寿司用玉子などの引き合いが増えてきた。 ほとんど実施しない。2次殺菌すると、味や食感へ JmHACCPを取得 のダメージが大きく、 「おいしさを破壊してしまう」 と、伊藤取締役は語る。 殺菌工程をほとんど経ないため、本社工場では 同社は大阪の本社工場で6月、 ( 一社)日本惣菜 衛生管理を徹底。特にカット・包装工程では、厳格 協会のJmHACCPを取得した。未殺菌卵を使うた な衛生環境を実現し、微生物汚染に関しても徹底 め菌数コントロールは必須の工程だったが、取得 した人材教育と設備環境を実現している。 により 「さらに強力な工場体制」 (伊藤取締役) と 生産技術では、 「手焼きに勝るものはない」 とい なった。 う信念のもと、家庭で作る玉子焼の味を目指した 伊藤取締役は、 「当初は取得のハードルが高い オペレーションを整備している。通常、自動玉子焼 と思ったが、自分たちが徹底してきた管理体制で 匠厚焼玉子 黒糖を使った厚焼玉子RMK 惣菜ホットニュース 2 Rおはぎ6個 一つ一つ確かな品質で生産 安全・安心な生産体制を完備 クリアできると感じるようになった」 と取得までの 奨し、パート、アルバイトとしてスタートした優秀な 経緯を振り返る。同工場では約90人が生産に従 人材の確保を行っている。 事しているが、すでにHACCP並の教育・指導を徹 同社の経営理念は、 底していたため、従業員からも特に抵抗なく受け ①心が豊かになる商品を提供し、社会の食文化に 入れられたという。 貢献します。 奥野工場長は、取得してから「従業員の意識が ②おいしさへの追求を信念に、日々研究を積み重 レベルアップした」 と感じている。現在も定期的に ね『食のプロフェッショナル』 とし存在し続けます。 衛生管理などの講習会を行い、日頃から衛生意識 ③社員が自らの可能性と創造性を磨き、成長でき を高めている。 る場であり続けます。 の3つの柱だ。 「将来10∼20年後には、マルナカ 未来へ向けたプロジェクト始動 グループ唯一の製造機能として、グループの水産 同社は今年から、 「せんにち未来プロジェクト」 取締役はさらなる業容拡大を展望する。 をキックオフした。5∼10年後に、同社がどのよう お客さま第一の信念と、安全と安心を徹底した な企業になっていて欲しいか、プロジェクトチーム 食提供の思いを込めて、同社の成長はこれからも を部署横断で設置し、若い社員も積極的に携わっ 続いていく。 物を使った惣菜を広く展開していきたい」 と伊藤 ている。 伊藤取締役は、 「親が子に自慢できるような会 社になっていきたい」 と将来の夢を語る。現行の2 工場も老朽化が進むことから、最新設備への切り 替え、人材育成なども進めていく。 昨今の人手・人材不足の課題に対しては、 「契 約社員化」を推進。若い人材のキャリアアップを推 本社工場外観 ㈱せんにち 代 表 者:代表取締役 田代 充 所 在 地:大阪府吹田市東御旅町 4 番 26 号 電 話:06-6381-1477 事業内容:水産練り製品 (厚焼・おぼろ等) 、惣菜 (玉 子加工、錦糸等) 、冷凍食品の製造販売、外 食産業に関する食材の販売 ホームページ http://sennichi.jp/ 人の手を入れることで、家庭の味を再現 惣菜ホットニュース 3
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