クロスボーダー現物出資の留意点

Transaction M&A News
クロスボーダー現物出資の留意点
Issue 93, October 2016
In brief
クロスボーダーとなる現物出資としては、内国法人が外国法人に対して現物出資を行うケースや、逆に外国
法人が内国法人に対して、現物出資を行うケース等が考えられます。これらのクロスボーダーの現物出資は、
外国法人が、日本に支店を有している場合に、これを法人成りさせるケースや、内国法人が、資本ストラクチ
ャー変更の一環として、保有している子会社株式を海外の子会社へ移転させる際に用いられることがありま
す。本ニュースレターでは、クロスボーダー現物出資の留意点について、特に 2016 年度税制改正での改正
点を中心に説明いたします。
In detail
1.
適格現物出資から除かれる現物出資について
2016 年度税制改正後の法人税法第 2 条 1 項十二の十四号括弧書では、以下のものは適格現物出資から
除かれるとされています。
1.
外国法人に国内にある資産又は負債として政令で定める資産又は負債の移転を行うもの(当該国内資
産等の全部が当該外国法人の恒久的施設に属するものとして政令で定めるものを除く)
2.
外国法人が内国法人又は他の外国法人に国外にある資産又は負債として政令で定める資産又は負債
の移転を行うもの(当該他の外国法人に国外資産等の移転を行うものにあっては、当該国外資産等が
当該他の外国法人の恒久的施設に属するものとして政令で定めるものに限る)
3.
内国法人が外国法人に国外資産等の移転を行うもので当該国外資産等の全部又は一部が当該外国
法人の恒久的施設に属しないもの(国内資産等の移転を行うものに準ずるものとして政令で定めるもの
に限る)
ここで、下線部の箇所が 2016 年度税制改正での改正点となります。
2.
2016 年度税制改正大綱における改正点について
①一点目の項目について
従来より、外国法人に対して、国内にある資産又は負債として政令で定める資産又は負債(国内にある不動
産、国内にある不動産上の権利、鉱業権、採石権、その他国内事業所帰属の資産(外国法人の 25%以上保
有株式を除きます)又は負債)の移転を行うものは適格現物出資からは除かれていました。
これについて、2016 年度税制改正により、この適格現物出資から除かれるものから、更に上記括弧書のもの
が除かれることとなりました。具体的には、日本の恒久的施設に対する現物出資であれば、日本の課税権が
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失われることはないと考えられるため、外国法人に対する現物出資であっても、日本の恒久的施設に対する
ものであれば必ずしも非適格現物出資とはしないということになりました。
②二点目の項目について
従来、外国法人が内国法人に対して国外資産等を現物出資する場合には、適格現物出資の範囲から除か
れていました。これにより、国外資産等の含み損が日本へ持ち込まれることの課税上の弊害が防止されてい
ます。
この、国外資産等の含み損が日本へ持ち込まれることの課税上の弊害を防止するという観点からも、外国法
人が他の外国法人に国外資産等を現物出資により移転させる場合で、当該国外資産等の全部又は一部が
当該移転により当該他の外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係るものとなる現物出資について、適格
現物出資の範囲から除くこととされました。
③三点目の項目について
従来、内国法人が外国法人に対して現物出資を行う場合、対象資産が国外資産等であれば、特段適格現
物出資の範囲より除かれてはいませんでした。このため、内国法人が現物出資前に内部取引により国外の恒
久的施設に資産を移転し、国内資産等を国外資産等にすることで、当該現物出資が適格現物出資となり、日
本の課税権が失われることがありました。
これについて、2016 年度税制改正により、内国法人が外国法人に国外資産等を現物出資する場合であって
も、この国外資産等が、その現物出資の日以前 1 年以内に内国法人の本店等から内部取引により、国外資
産となったものであれば、適格現物出資の範囲から除くこととされました。
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