新しい製品,変わらない価値, 高度化する課題

ご挨 拶
新しい製品,
変わらない価値,
高度化する課題
今日のネットワーク社会に対応する新しい製品を設計するからといって,必ずし
も新たなエンジニアリング課題に直面するとは限りません.ただ,私たちが日々
取り組んでいるエンジニアリング課題を克服することは以前よりはるかに困難に
なっています.品質,イノベーション,市場投入期間,コスト管理などの製品価値
によって勝者と敗者が決まることは,今後も変わらないと考えられますが,この急
速に移り変わる環境の中でエンジニアリング課題の飛躍的な変化に適切に対応
できる企業だけが勝者になれるでしょう.
Rob Harwood(ANSYS,
業界マーケティング担当ディレクター)
ANSYS Advantage 誌の本号では,
急成長している「モノのインターネット
(IoT)」がもたらすエンジニアリングチャ
ンスおよび課題に焦点を当てています.
では,IoT とはどのようなものでしょう
か?
多くの場合,私たちは IoT を「モノ」
の観点から見ています.個人用情報機器
が世界的に急増し,携帯電話やタブレッ
トなどの個人用電子機器が大きな注目を
集めていますが,これにはもっともな理
由があります.大手の情報技術研究・顧
問会社である Gartner 社に
よ る と,2020 年 ま で に 260
億台以上の個人用機器が利
用されるようになり,3,000
億ドルを超える収益と,1 兆
9,000 億ドル以上の経済価値が生まれる
とのことです.他方では,現在,IoT の
有望なトレンドとして,ネットワーク接
続された「モノ」が産業界に普及しつつ
あります.
これは,
「産業用モノのインター
ネット(IIoT)」と呼ばれます.このト
レンドは,コネクテッドカー,携帯用医
療機器,ドローンのほか,軍事アプリケー
ションなどのほぼすべての産業分野に見
られます.
しかし,IoT は「モノ」以上のもので
す.IoT には,これらの「モノ」を調整
して互いに接続するロバストなグローバ
ルネットワークや,「モノ」のデータを
実用的な情報に変換できる膨大なソフ
トウェアがデータセンターによってホス
ティングされるクラウドも含まれます.
これらの各 IoT コンポーネントは,単
体で最高の性能を発揮するだけでなく,
IoT ソリューションに組み込まれたとき
にも効率的に動作するように設計する必
要があります.
業界を問わず,高度な通信機能やセン
シング機能などの機能を利用しようとす
る企業は,IoT を構成する「モノ」,ネッ
トワーク,クラウドシステムによる影響
を受け,ビジネスモデルや製品ラインの
大変革を迫られる可能性があります.
ANSYS のお客様の多くは,こうした影
響がどのようなものになるか,またエン
ジニアが変化に対応するのではなく,変
なエンジニアリング課題は変わっていま
せんが,こうした課題を克服することが
以前より困難になっています.当社は,
お客様がこれまで直面してきた様々な共
通のエンジニアリング課題を特定しまし
た.これらの課題は,IoT 製品の開発と
いうプレッシャーのため,以前よりはる
かに複雑になっています.当社が特定し
たエンジニアリング課題には,サイズ,
重量,
電力 / 冷却,
センシング / コネクティ
ビティー,信頼性 / 安全性,統合性 / 耐
久性などがあります.
当社と Aberdeen Group
社との共同調査により,クラ
ス最高水準の企業では,エ
ンジニアリング部門の垣根
を取り払うことで,これらの
高度化したエンジニアリング課題に取り
組んでいることが分かりました.こうし
た戦略に不可欠なのがシミュレーション
です.エンジニアリングシミュレーショ
ンは,次世代の製品がどのようなもの
であっても,重要なツールであり続け,
IoT の世界における成功を大きく左右す
ると思われます.ANSYS では,広範囲
のシミュレーション機能を用意しており,
IoT から生まれる機会を活かしたいと考
えている企業を支援する準備ができてい
ます. A
「業界を問わず,企業は IoT による
影響を受ける可能性があります.
」
© 2016 ANSYS, INC.
化をリードするにはどうしたらよいか頭
を悩ませています.
IoT は,素晴らしい新世界のように思
えるかもしれませんが,製品開発の中心
的な理念はそのまま引き継がれていま
す.顧客は,期待通りに動作するロバス
トな製品を求めています.こうした製品
を開発すれば,保証費用を最小限に抑え
ると同時に,
スマートな製品をタイムリー
に提供するという約束を果たすことがで
きます.企業は,引き続きイノベーショ
ンに取り組んで,製品性能の向上および
戦略的優位の確保を図るとともに,製品
をできるだけ迅速に市場投入し,常に競
争相手の一歩先を行かなければなりませ
ん.それだけでなく,社内の製品開発コ
ストを最小限に抑え,収益を最大限に高
める必要もあります.
IoT の観点から見ると,多くの基本的
「モノのインターネット」において
スマート製品の成功を左右する
エンジニアリングシミュレーション(英語)
ansys.com/iot1
ANSYS ADVANTAGE
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