4.新技術説明会について(実施後フォローアップ、来年度の実施) 【産連展開部(産学連携支援G)】 ステレオCDのサラウンド再生 富山大学 理工学研究部(工学) 教授 安藤 彰男 1 録音された音 •CDに録音された音 ‒直接音:楽器などから直接マイクロホンに到達 ‒拡散音:部屋の響き、暗騒音 •音の性質 ‒直接音:チャネル間の相関が高い ‒拡散音:チャネル間の相関が低い(場合によっては 負の相関) 2 直接音と拡散音 拡散音 拡散音 拡散音 直接音 3 音の臨場感の要素 •音の迫力 ‒音の大きさに依存 •空間性 ‒音の方向性 ‒音の広がり感/音によって包み込まれる感覚 •音の種類と空間性 ‒直接音 → 音の方向性 ‒拡散音 → 音の広がり感/包み込まれ感 4 ステレオ音響 •直接音 ‒左右スピーカの間に提示 ‒サウンドステージをうまく再現 •拡散音 ‒左右スピーカで表現 ‒前方以外から到達する音も、前方から再生 5 5.1 チャネル •特徴 ‒センターチャネル:音像の安定化 ‒サラウンドチャネル:拡散音の効果的な再生 L LS C LFE R L: Left R: Right C: Center LFE: Low Frequency Effect LS: Left Surround RS: Right Surround RS 6 従来技術とその問題点 • 電気メーカによる方法 • 前方2chから原音、サラウンドチャネルから合成した残 響音を再生 • 音色の変化が問題 • NTTのRevtrina法 • 推定した残響音をサラウンドチャネルから再生 • 残響音の少ない録音には不向き 7 新技術の特徴・従来技術との比較 • 前方の音像定位をもたらす直接音成分を抽出 する方法を開発 • 拡散音成分を原音と直接音成分との差分で 算出し、サラウンドチャネルから再生 • 従来技術との比較 – 受聴位置での音色の変化なし – 屋外での背景音などが抽出可能 8 直接音成分の推定 •直接音:チャネル間の相関が高い •直接音の抽出:チャネル間相関を利用 ‒あるチャネルの信号を、他のチャネルから推定 振幅スペクトル 振幅スペクトル Lch Rch 周波数 周波数 推定 周波数帯域ごとに推定 係数を求める 9 Rch信号によるLch信号の推定 振幅スペクトル 振幅スペクトル Lch 周波数 周波数 拡散音 ー 振幅スペクトル + Rch Lch直接音 周波 10 市販CDによる実験 • チャネル間相互相関係数: – 直接音成分> 原音 > 拡散音成分 コンテンツ名 原音 直接音成分 拡散音成分 Over the rainbow 0.7521 0.9101 -0.3998 Quiet night 0.2386 0.7983 0.0691 Zueignung 0.5474 0.6484 -0.4938 Symphony no.3 0.4172 0.4745 -0.3865 Capriccio 0.7685 0.8620 -0.5840 Impromptus 0.3581 0.6012 -0.2674 O mio babbino caro 0.7002 0.7657 -0.6053 11 4チャネル再生 直接音/拡散音 分離 拡散音(左) 拡散音(右) 直接音 L LS R RS 12 想定される用途 • 家庭用AVアンプへの応用。 • 業務用ディジタルオーディオワークステーショ ン(DAW)への応用。 • アップミックス/ダウンミックスへの応用。 13 実用化に向けた課題 • 音楽録音を用いた動作確認を実施。 • 音楽以外の音素材による動作確認を予定。 • 処理のリアルタイム化を行い、ハードウエア、 あるいはプラグインソフトとして開発していく。 14 企業への期待 • ハードウエア技術、あるいはプラグインソフト 開発の技術を持つ、企業との共同研究を希望。 • また、DAWを開発中の企業、オーディオ分野 への展開を考えている企業には、本技術の導 入が有効と思われる。 15 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :オーディオ信号処理装置、 オーディオ信号処理方式、およびオー ディオ信号処理プログラム • 出願番号 :特願2016-089417 • 出願人 :富山大学 • 発明者 :安藤彰男 16 産学連携の経歴(任意) • 1980年 日本放送協会(NHK)入局 • 1983年-2002年 音声認識の研究に従事。この間、 米国ベル研究所、BBN社、我が国のNTTと共同研究 を実施 • 2002年-2013年 8Kスーパーハイビジョン用22.2 チャネル音響システム開発に従事 • 2013年富山大学教授 17 お問い合わせ先(必須) 国立大学法人富山大学 研究推進機構 産学連携推進センター 産学連携コーディネーター 岡田 哲朗 同上 髙橋 修 TEL 076-445-6391(岡田)、6120(髙橋) FAX 076-445-6939 e-mail [email protected](岡田) [email protected](髙橋) 18 技術仕様 •分析方法:重畳加算法に基づく完全再構成系 •周波数分析:2048点MDCT(修正離散コサイン変換) •帯域通過フィルタ:23帯域聴覚フィルタ •直接音推定:1.5秒ブロック毎 •直接音推定法:最小二乗法(周波数帯域ごとに推定) •入力信号チャネル数:2チャネル以上 •標本化周波数、量子化ビット数:入力に依存 19
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