整数論と代数幾何の狭間で

「整数論と代数幾何の狭間で
-理論的な証明と具体例の構成は別問題- 」
日 時:平成 28 年 11 月 21 日(月)
午後 4 時 30 分~午後 5 時 30 分
(45 分の講演と 15 分の質疑応答)
場 所:相模原キャンパス L1 号館 4 階 42 講義室
演 者:酒井 祐貴子(一般教育部基礎教育センター)
「n を 3 以上の整数とすると xn +yn = zn を満たす自然数 x, y ,z は存在しない。」
これはフェルマーの最終定理と呼ばれる定理です。中学校で学ぶ三平方(ピタゴラス)の定理で
平方(2 乗)の部分が n に変わっただけですが、17 世紀にフェルマーがこの予想を述べてから、実
に 300 年以上もの間この予想は証明されず、多くの数学者たちを虜にしてきました。
この定理は 1994 年にアンドリュー・ワイルズによって証明されましたが、証明では岩澤理論や
志村‐谷山予想という日本人数学者の業績が大きな役割を担っています。志村‐谷山予想とは、大
雑把に言うと「楕円曲線と保型形式という対象がうまく対応する」という定理ですが、演者はここ
数年、楕円曲線を別の対象に変えたとき、類似の定理を満たす具体例をどうやって構成するか、と
いう研究を行ってきました。
演者の専門は整数論や代数幾何といわれる分野ですが、特に整数論では未だにかなり昔の定理を
引用して研究に使うことがあります。例えば演者の研究でも 200 年ほど前の定理を用いたことがあ
ります。本セミナーではそういった数学独特(?)のエピソードも交えつつ、整数論とはどういう
学問なのか、また演者の研究が整数論の中でどのような位置づけにあるかを、なるべく多くの方に
理解していただけるよう紹介したいと思います。
主 催:北里大学一般教育部研究委員会
共 催:一般教育部基礎教育センター
連絡先:教学センター事務室
042-778-8083