第20回日本ワクチン学会学術集会 メディアフォーラム 特別企画 「国民のための予防接種のあり方」 議論概要と提言 2016年10月23日 第20回日本ワクチン学会学術集会 会長・武下文彦、特別企画座長・岡部信彦 1 第20回日本ワクチン学会特別企画 「国民のための予防接種のあり方」 2016年10月22日 3.日本のワクチンにおけるアンメット・メディカルニーズ 1.百日咳含有ワクチン接種スケジュールからみた欧米とのワクチンギャップ 2.日常臨床の現場から、国民へワクチンの有効性をどうすれば伝えられるか 今回の麻しん再興と平時のワクチン接種の重要性 3.日常臨床の現場から、国民へワクチンの安全性をどうすれば伝えられるか (1)有害事象と副反応 (2)安全性の評価方法:米国のVEARS-VSD-CISA の紹介とわが国の現状 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 予防接種推進専門協議会 岡田賢司 2 図1.小児科定点から報告された百日咳の年別・年齢群別割合 (2000~2015年) 100% 90% 80% 70% 60% 6.9 0.5 3.8 3.7 4.0 8.2 9.5 1.0 5.5 3.8 4.3 6.7 11.5 13.4 24.3 1.2 8.6 26.7 36.7 37.0 40.5 2.8 12.2 7.7 4.1 11.0 10~14歳・20歳以上 4.0 3.7 16.1 ・患者発生動向:正確には把握できていない。 6.3 15.2 13.0 50% 11.8 ・現行の百日咳含有ワクチン効果:? 5.4 8.5 6.3 10.8 40% 8.4 9.1 7.9 30% 20% 45.0 44.0 6.9 5.6 5.6 5.5 7.7 7.8 7.0 7.2 37.9 33.0 4.7 4.4 8.6 4.6 4.3 8.2 8.5 8.6 6.1 20.4 1.乳幼児 12.0 10.6 ・患者発生動向:把握できている。 0% ・現行の百日咳含有ワクチン効果: 維持されている 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 1歳 2~4歳 4~6歳 6~8歳 25.0 3.6 2.7 10.6 20.7 18.7 5.7 7.4 5.8 8.7 10.1 6.4 6.3 6.3 6.5 7.1 6.1 6.9 8.8 6.2 5.8 6.6 7.5 9.8 6.3 12.9 17.1 19.1 5.9 7.7 7.9 6.5 16.2 15.5 5.6 4.4 8.6 17.1 15.2 7.0 10% 0歳 31.2 4.3 5.3 4.7 4.8 10.6 22.9 48.2 2.1 7.4 5.0 4.9 30.9 2010年 2011年 2012年 20.13年 2014年 2015年 8~10歳 10~14歳 15~19歳 20歳以上 ワクチン戦略による麻疹および先天性風疹症候群の排除およびワクチンで予防可能疾患の疫学 *全国約3000の小児科定点医療機関 並びにワクチンの有用性に関する基礎的臨床的研究(岡部班)およびワクチンにより予防可能な 3 からの臨床診断に基づく 疾患に対する予防接種の科学的根拠の確立及び対策の向上に関する研究(大石班)報告書から作図 先進諸国のDTaP-IPV 接種スケジュール 初回免疫(乳児期) 生後(か月) 追加接種(1~3歳) 追加接種2(4~8歳) 追加接種3 (9歳以降) 2 3 4 5 6 北米 カナダ 米国 DTaP‐cIPV‐Hib ○ or DTaP‐cIPV‐Hib-HB DTaP or DTaP‐cIPV‐Hib ○ or DTaP‐IPV‐Hib-HB ○ ○ 18か月: DTap‐cIPV‐Hib 4-6歳:DTaP‐cIPV 14-16歳: Tdap (or Td) ○ ○ 15-18か月: DTaP 11歳: Tdap 4-6歳:DTaP 欧州 12 か月 オーストリア DTaP‐cIPV‐Hib-HB ○ ○ 7歳: DTaP-cIPV ベルギー DTaP‐cIPV-Hib-HB ○ ○ ○ デンマーク DTaP-cIPV-Hib or DTaP‐cIPV-Hib-HB ○ ○ 12 か月 5歳: DTaP-cIPV (Tdap) フィンランド DTaP-cIPV-Hib ○ ○ 12 か月 4歳: DTaP-cIPV 14-15歳: TdaP (10年おきにTd) フランス DTaP‐cIPV-Hib-HB ○ 11 か月 6歳: Dtap-cIPV 11-13歳: TdaP-cIPV ドイツ DTaP‐cIPV-Hib-HB or DTaP-cIPV-Hib ○ ○ ○ 5-6歳: Tdap 9-17歳: TdaP-cIPV スウェーデン DTaP‐cIPV-Hib-HB DTaP‐cIPV-Hib ○ 5-6歳: DTaP-cIPV 14-16歳: Tdap スイス DTaP‐cIPV-Hib ○ 4-7歳: DTaP-cIPV 英国 DTaP‐cIPV-Hib ○ ○ ○ オーストラリア DTaP‐cIPV-Hib-HB ○ 11-15歳: Tdap DTaP(トリビック) 13-18歳: Td-cIPV cIPV (イモバックス) DTaP-cIPV DTaP-sIPV 10-15歳: Tdap 日本 DTaP-sIPV or DTaP-cIPV ニュージランド DTaP‐cIPV-Hib-HB 15か月: DTaP‐cIPV-Hib-HB ○ 11-14か月: DTaP-cIPV-Hib-HB or DTaP-cIPV-Hib 12 か月 ○ ○ ○ 15-24か月: DTaP‐cIPV-Hib 3-5歳: DTaP‐cIPV 5-7歳: DTaP-cIPV アジア・ オセアニア ○ ○ ○ ○ ○ 6週 ○ ○ 4歳: DTaP‐cIPV 18か月: DTaP-sIPV またはDTaP-cIPV DTaP-sIPVまたは DTaP-cIPV 4歳: DTaP-cIPV 14-16歳: Tdap 11歳: DT 11歳: Tdap WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. 2015 global summary http://apps.who.int/immunization_monitoring/globalsummary/schedules 改変 DTaP: diphtheria and tetanus toxoids and acellular pertussis, cIPV : conventional inactivated poliovirus sIPV : sabin-strain derived inactivated poliovirus Tdap; tetanus, diphtheria, and pertussis for adolescents and adults, , Hib: Haemophilus influenzae type b, HB : hepatitis B virus 4 ワクチンの果たしてきた役割(日本) ワクチンがなかった1950年代に比べ感染症の死者数は激減 年平均死亡者数 1950年前後 最近数年 百日咳 10,000~17,000人 ジフテリア 2,000~3,800人 0~1人 0人 破傷風 2,000人 0~5人 ポリオ 数百~1,000人 0人 麻疹 数千~20,000人 0人 日本脳炎 2,000人前後 0~1人 出典:「国民衛生の動向」 5 2014年 2011年 2010年に比較すると 拡大傾向は少ない 麻しんワクチン接種率が高くなっているお蔭! WHOがら排除状態認定 (2015年3月27日) 6 平時から、1歳になればすぐに接種の 呼びかけのお蔭! 96.2% 6年連続して目標の95%以上を達成 1期世代の患者は未接種児が多かった 1位 栃木県 96.2% 平時からの高いワクチン接種率の有効性 を示している 7 92.9% 目標の95%以上には一度も到達していない 1位 新潟県 97.0% 就学時健診で接種歴の調査と未接種児への 接種勧奨で95%以上を達成したい 8 有害事象と副反応 有害事象 ⇒ 時間的関連性のみ 投薬や予防接種の後に起こる、体にとって有害なあらゆる事象や出来事。 ワクチン接種との 因果関係は問わない。 副反応 ⇒ 時間的関連性+因果関係 ワクチン接種により発生する、免疫の付与以外の反応。 通常の医薬品で言う「副作用」と同義 ※副作用:有害事象のうち当該医薬品との因果関係が否定できないもの *紛れ込み:有害事象であるにも関わらず、副反応だと認識されるもの。 有害事象 時間的関連性 副反応 時間的関連性 + 因果関係 ※副反応検討部会などで検討している報告は因果関係を問わず広く収集した有害事象 9 副反応報告制度(2013年4月~) 副反応疑い報告制度(2016年10月~) 1.ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査(多屋班) 2.子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究(祖父江班) 1.インフルエンザワクチン接種後のアナフィラキシー例の学問的解析 2.HPV ワクチン接種後の痛み症例などの神経学的解析 *1990年 CDC が創設 10 日本のワクチンにおけるアンメット・メディカルニーズ 1.百日咳含有ワクチン接種スケジュールからみた欧米とのワクチンギャップ 多くの関係者のお蔭で、ギャップは解消されつつあるが、接種スケジュール の点では、百日咳含有ワクチンは追加接種の時期の検討が必要です。 2.日常臨床の現場から、国民へワクチンの有効性をどうすれば伝えられるか 今回の麻疹再興から見えてきた平時のワクチン接種の重要性を 熱が冷めないうちに、本学会の提言として、広く社会に発信していきたい。 3.日常臨床の現場から、国民へワクチンの安全性をどうすれば伝えられるか 産・学・官で三位一体となり、絶えずワクチンの安全性を監視し、 起こった事象を科学的に評価していることを、本学会の提言として、 広く社会に発信していきたい。 11 予防接種行政の最近の動向 厚生労働省健康局健康課長 正林 督章 12 予防接種法改正の概要 (1).予防接種の総合的な推進を図るための計画の策定 ○ ○ 厚生労働大臣は、「予防接種の総合的な推進を図るための計画」を策定。 少なくとも5年に一度検討し必要に応じ計画を変更。 (2).定期接種の対象疾病の追加 ○ ○ 一類疾病はA類疾病、二類疾病はB類疾病に変更。 定期接種の対象疾病として、A類疾病にHib感染症、小児の肺炎球菌感染症及びヒ トパピローマウイルス感染症を追加。 ○ B類疾病について、新たなワクチンの開発や感染症のまん延に柔軟に対応できるよ う、政令で対象疾病を追加できることとする。 (3).副反応報告制度の法定化 ○ 副反応報告制度を法律上に位置付け、医療機関から厚生労働大臣への報告 を義務化。 ○ 報告に関する情報整理及び調査については、(独)医薬品医療機器総合機構に行わ せることができることとする。 ○ 厚生労働大臣は、報告の状況について(4)の評価・検討組織に報告し、その意見 を聴いて、必要な措置を講ずる。 (4).評価・検討組織への付議 ○ 厚生労働大臣は、予防接種施策の立案に当たり、専門的な知見を要する事項につ いて、評価・検討組織(厚生科学審議会に予防接種・ ワクチン分科会を設置)に 意見を聴く。 13 「予防接種に関する基本的な計画」に基づくPDCAについて 予防接種に関する基本的な計画(平成26年3月28日) 第三 予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に係る目標に関する事項 ・ 基本的考え方 (前略)本計画は、今後の状況変化等に的確に対応する必要があることから、法第 三条第三項に基づき、少なくとも五年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは、こ れを変更するものである。ただし、予防接種施策の実施状況並びにその効果、意義及び 成果については、工程表を策定した上で分科会等の場で一年ごとにPDCAサイクル (計画・実行・評価・改善)による定期的な検証を行い、当該検証の結果を踏まえ必要が あると認めるときは、五年を待つことなく本計画を見直すよう努めることとする。 基本計画策定から2年が経過したことから、これまでの厚生科学審議会予防接 種・ワクチン分科会などにおけるこれまでの取り組みも踏まえ、基本計画に基づくP DCAサイクルによる定期的な検証について整理を行い、今後の進め方について 専門家からのヒアリング等を開始している。 14 新たなワクチンの開発について 予防接種に関する基本的な計画(平成26年3月28日) 第五 予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進する ための基本的事項 ・ 基本的考え方 国は、国民の予防接種及びワクチンに関する理解と認識を前提として、「予防接種・ワ クチンで防げる疾病は予防すること」という基本的な理念の下、ワクチンの研究開発を推 進する。また、日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)を踏まえ、国内外の感 染症対策に必要なワクチンを世界に先駆けて開発することを目指す。 医療ニーズ及び疾病負荷等を踏まえ、開発優先度の高いワクチンを選定した。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 麻しん・風しん混合(MR)ワクチンを含む混合ワクチン 百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合(DPT―IPV)ワクチンを含 む混合ワクチン 経鼻投与ワクチン等の改良されたインフルエンザワクチン ノロウイルスワクチン RSウイルスワクチン 帯状疱疹ワクチン 今後、ワクチンの研究開発を促進するための環境整備について検討していく。 15 ワクチン・血液製剤産業タスクフォース ○ ワクチン、血液製剤の安定的な供給に関する課題に対 応することを目的として、産業のあり方を含め、抜本的な 対応を検討するために、ワクチン・血液製剤産業タスクフ ォースを設置。 ○ 以下の諸問題に対する抜本的な対応をゼロベースで検 討し、顧問から今後の施策提言を頂いた。 · 我が国のワクチン・血液製剤の安定供給体制をどう すべきか · 企業・厚労省・承認機関における透明性の高いガバ 16 ナンスのあり方をどのように構築するか 第20回日本ワクチン学会特別企画 「国民のための予防接種のあり方」 日本におけるワクチンの研究開発推進について 平成28年10月22日 一般社団法人 日本ワクチン産業協会 理事長 菊池 正彦 17 ワクチン産業ビジョン(2007年)の骨子 ワクチン産業ビジョンのポイント 1.ワクチンメーカーは、研究開発・製造に特化したスペシャリティーファーマを目指す 2.そのためには、国内メガファーマとの戦略的連携が必要である ~ 開発・市販後の補完 ~ 3.さらに、シーズ獲得のため、外資との戦略的協力・国内研究機関との 共同研究を進める 4.国内市場の拡大、外資メーカーからの技術移転、外国市場への展開により 収益構造を改善する 5.収益を研究開発に充当することで、継続的な新製品の上市につなげる 6.(産業育成には)国の政策的な関与が不可欠 出典:2007年厚生労働省ワクチン産業ビジョン資料より、ポイントを抜粋しステップワイズに記載 18 ワクチンに関するこれまでのJICA国際協力の事例 ベトナム • 「麻疹ワクチン製造施設建設計画」 無償資金協力(2003年-2005年) • 「麻疹ワクチン製造基盤技術移転プロジェクト」 – 協力期間 :2006年3月から2010年3月 – 相手国機関名:保健省ワクチン・生物製剤研究基盤センター – 日本側協力機関名:北里第一三共ワクチン株式会社 • 「麻疹風疹混合ワクチン製造技術移転プロジェクト」 – 協力期間 :2013年 05月 19日 ~ 2018年 03月 31日 インドネシア • 「生ワクチン製造基盤技術プロジェクト」 「ポリオ麻しんワクチン製造施設建設計画、製造材料整備計画」無償資金協力 – 協力期間 :1989年 09月 ~ 1996年 08月 – 先方関係機関 :保健省、生物製剤公社(Bio Pharma) – 日本側協力機関名: (財)阪大微生物病研究会 (財)日本ポリオ研究所 19 産学官連携の事例 アジュバント開発研究 産学官コンソーシアム 認可済み、臨床試験中、開発中のアジュバントによるヒト細胞、マウス個体の 生物反応を総合的に解析したデータベースを構築 ⇒ 厚生労働省、医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN) 、第一三共・ 田辺三菱等 新規汎用型ワクチンアジュバント研究 ⇒ 科学技術振興機構(JST)、NIBIOHN、北九州市立大学、第一三共 経鼻ワクチン ⇒ AMED、国立感染症研究所、阪大微生物病研究会 ジカウイルス感染症に対する試作ワクチンの研究 ⇒ 日本医療研究開発機構(AMED)、阪大微生物病研究会、 千葉県衛生研究所 20 内閣官房主導の官民連携会議 21 ① 研究開発推進 ーイノベーションから接種者へのアクセスを見据えた産学官連携ー 国の予防接種行政に関する施策、および、ワクチン事業を促 進させる施策推進 ワクチン開発に必要な体系的な疫学調査(対象疾患の原因ウイルス等 、患者数、疾患重症度等)の強化 研究開発段階からの勧奨接種対象疾病の検討 • 設備投資等へのリスクテイク等 研究開発推進のための、産官学が連携する環境の整備 • オープンイノベーションの推進支援:基礎研究分野への支援の拡充 • 新規技術によるワクチン等の開発ガイドラインの整備 • 技術の進歩に則した対応・ガイダンス(カルタヘナ法への対応等) • 基準・規制要件等の国際的協調 • 治験実施施設の整備(特に、幼児・小児) 22 ② 規制・基準の国際協調を通じた 研究開発促進および効率化 国際協調の更なる推進 規制に関する国際協調および基準等の標準化の推進 • 革新的ワクチンの国際共同開発・海外展開を推進するだけでなく、海外から の製品導入の促進につながる 承認後の出荷試験に関する相互承認システムの導入 • 低分子医薬品に認められている日・EU相互承認協定を、ワクチンにも適用 することにより、重複する試験を回避することが可能となる 生物製剤関連規制(国家検定・生物学的製剤基準等)の 改善 SLP(サマリー ロット プロトコール)を踏まえた国家検定の合理化 ・適正化を再検討 科学的に不要または代替可能な試験項目の見直し 国家検定および自家試験データの共有など、官民連携による品質 試験方法の改良につなげられる対策実施 23 ③ 必要なワクチンの安定供給体制整備 安定供給における厚生労働省と企業との更なる連携強化 ワクチン製造固有の課題(*)を考慮した供給調整体制の確立 (*)製造から出荷まで長期間を要し急な増産・供給対応は困難有効期間が低分子医薬品と比較して短期間 審議会の議論に先立つ科学的議論の場の設置と産業界の参加( 日本版ACIP) 官民が連携した安定供給のための施策 • 製品を安定供給させるための総合的な官民連携体制の構築 • アウトブレイクに備えた備蓄ワクチンの強化(種類、量) • 安定供給に必要な適正備蓄の検討および経済的支援 危機管理体制の強化 • 『細胞培養ワクチン実生産施設整備等推進事業」の継続的な危機 管理対応と国の積極的な協力 ⇒ 維持事業の設立、発生時の具体的な連携策、 24 ④ ワクチン産業ビジョンに基づく政策の推進 国・厚生労働省によるワクチンビジョンの明確化および推進 国としてのVPD(Vaccine Preventable Disease)に対するコミットメント 高齢化社会や疾病構造の変化、新興・再興感染症への危機管理対応等 を踏まえて、感染症対策の基本方針を常に更新 • 2007年「ワクチン産業ビジョン」の進捗確認、および継続更新 • 2014年「予防接種に関する基本的な計画」に基づく年間計画を明示し、その 定期的な見直しによる現況に沿った予防接種・ワクチン施策推進 勧奨接種ワクチンの費用償還制度を含めた検討プロセスの改善 勧奨接種候補ワクチンの研究・開発早期からの産官学連携 開発後期から勧奨接種指定までシームレスな検討を可能とするための、審 査管理課・PMDA・国立感染症研究所および健康課・結核感染症課との 有機的連携強化 勧奨接種ワクチンの費用償還のあり方を明確にすることにより、勧奨接種検 討プロセスの短縮化 25 ワクチン産業は日本の成長戦略へ貢献できるか? イノベーティブワクチンの創生 ワクチン・血液製剤産業TF 国内の優れた研究開発によって シーズ、技術を豊富に創出し、 産官学連携による イノベーティブワクチンの創生 ワクチン・血液製剤供給体制 のあり方 大手5社で世界のワクチンの約8割の市場を占める ⇒ 製造販売事業者における ガバナンスやコンプライアン スのあり方について ⇒ 安定供給の確保 ⇒ 研究開発の推進 ⇒ 海外展開の推進 → 企業規模が必須 ソース: PhRMA VACCINE FACT BOOK 2013 ・日本の成長戦略 への貢献 ・国際貢献 26 日本の成長戦略への貢献 ー世界の公衆衛生への貢献ー 新規ワクチン研究 アジュバント研究 投与デバイス研究 日本の英知の結集 オープンイノベーション 製造規模の確保 投資力の確保 企業サイドに求められること 安定供給の使命 先行投資へのリスクテイク 健全な財務体質 規模 国や行政に期待すること グローバルメガに対応できる 国家戦略 産業育成への官民対話 オープンイノベーションの積極 的展開への支援 27 第20回 日本ワクチン学会シンポジウム 予防接種に対する 国民の認知の現況 高野 聡 毎日新聞 医療福祉部編集委員 28 〇特ダネを書きたい 〇弱者に寄り添いたい 〇社会をよくしたい 29 30 31 32 さまざまな医療情報が交錯 適切に回答できるのは 専門家である医師だけ 33 「国民のための予防接種のあり方」 第20回ワクチン学会学術集会での議論を踏まえた提言 予防は治療に勝る医療介入であり、ワクチンは感染症予防の重要な ツールの一つである。ワクチンを取り巻く環境は昨今大きく変化してきて いるが、日本全体の公衆衛生向上のため、また日本が国際社会の 一員として相応の貢献とリーダーシップを示すために、本学術集会での 議論を踏まえて、会長・武下文彦、特別企画座長・岡部信彦として 以下の提言を行いたい。 34 第20回ワクチン学会学術集会での議論を踏まえた提言 1. 残されたワクチンギャップの解消: 欧米諸国と日本では公費で接種できるワクチンの数が大きく異なると いういわゆる「ワクチンギャップ」を解消するための各界関係者の努力が 実を結び、ここ数年の間にかなりの改善が見られていることは大きな成 果といえる。しかし、小児ワクチンを中心に、接種手技や質のギャップ はまだ残っていることを改めて認識し、今後もこれらの課題解消のため の努力を、我々は継続していく。これからのワクチンは、急性感染症の 予防に限らず、慢性感染症及びがん等の予防の観点からも重要であ ることの認知を高めていく。 35 第20回ワクチン学会学術集会での議論を踏まえた提言 2. 研究開発活動の促進: 現在直面する公衆衛生上の課題、および予測される公衆衛生危機 に対応できる新規ワクチンの研究開発を積極的に推進する。さらに、 必要なワクチンの定期接種化への方針を開発段階から議論する場を 検討する。国内での使用を前提としたものと、主に海外で使用される 「顧みられない熱帯病」などに対するワクチンの双方について、効率的 な研究開発のための方策を産学官それぞれが模索するとともに3者 の連携を強化して、その成果を国内のみならず海外にも展開する必 要がある。 36 第20回ワクチン学会学術集会での議論を踏まえた提言 3. 質の高いワクチンの製造、安定供給: 予防接種の拡充を国家戦略として位置づけ、産業育成への官民対 話や産学官でのオープンイノベーションの積極的展開を推進・支援す る。 37 第20回ワクチン学会学術集会での議論を踏まえた提言 4. 予防接種の普及・啓発の推進: 「予防接種・ワクチンで予防できる疾病は予防すること」という大原則 がある。また、予防接種はその疾病が蔓延しているという前提の下で 費用対効果の高い感染症対策である。しかし、予防接種に関する 人々の理解や認知は十分とは言えないため、予防接種による感染症 の予防効果及び副反応のリスク等の情報について、広く人々が正しい 情報・知識を得られるよう、啓発を推進していく。そのために、予防接 種の効果について、「見える化した」情報を提供するなどの具体的な 検討をする。 38
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