キャリア教育・就職支援についてのセッション

キャリア教育・就職支援についてのセッション
亜細亜大学
国際交流センター
国際交流課
調査役
寺尾
浩一
皆さま、改めましてこんにちは、亜細亜大学国際交流センターの寺尾と申します。こち
らに書いてあります、
『アジア夢カレッジ』というのは、プログラムの名称でございまして、
なぜこの名称を付けたのかというのは、後でご説明させていただきます。また、平成 24 年
度には文部科学省の「経済社会への発展をけん引するグローバル人材育成支援事業」にも
採択されております。これが採択された理由の一つが、実は『夢カレッジ』の取り組み、
特に海外インターンシップの取り組みが非常に高く評価されたというふうに、後から、文
部科学省様よりお話をいただきました。また、2015 年度には日本インターンシップ学会の
『槇本賞』を頂戴いたしまして、その評価点も非常に高かったと、後から、委員の先生方
からお話もいただいた次第でございます。
そんな中で、なぜこのようなプログラムを作り、そして、今年 13 年目になるんですが、
これを継続できたのかという、舞台裏を少しお話しさせていただきたいと思っております。
本日の内容でございますが、亜細亜大学、大きな大学ではございませんので、本学の紹
介。それから、留学・インターンシッププログラムの紹介。そして、『アジア夢カレッジ』
のインターンシップの開発の仕方というところをメインにお話をさせていただいて、その
中でも、この中で取り入れている評価システムというところを、少し触れさせていただき
ます。
それから、このプログラムは、ただ単にプログラムに参加すればいいというものではな
くて、それを支えるサポート体制が必要だというお話をさせていただき、最後まとめとい
うところで、この 10 数年間続けていての変化、それから、われわれが次にやらなければい
けないこと、というのを簡単にお話をさせていただきたいと思っております。
まずは、本学の紹介でございますが、経営学部は、経営学科とホスピタリティ・マネジ
メント学科の 2 学科ございます。それから、経済学部と法学部。国際関係学部の中には、
国際関係学科と多文化コミュニケーション学科というものがございます。それから、今年
の 4 月に始まりました、都市創造学部というところで、実はこの学部も 2 年生のときに、
百数十名がアジア圏に分散して、全員が留学とインターンシップを行うというところでご
ざいます。このインターンシップの開発にも『アジア夢カレッジ』の手法が使われている
ということでございます。
学生総数が 6,938 名というところでして、所在地は東京都武蔵野市、日本で一番住みた
いといわれている吉祥寺から JR 中央線で西に 2 駅行ったところにある武蔵野市ですね。周
りは非常に畑が多く、静かな所に位置する大学でございます。創立は 1941 年ということで、
今年で 75 周年を迎えるという大学でございます。
さて、留学・インターンシッププログラムの紹介なんですが、先に、留学の方から、お
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話をさせていただきたいと思います。実は、『AUAP』という亜細亜大学アメリカプログラム
が 28 年前に、約半年間留学しても 4 年間で卒業できるという留学システムという形で構築
されました。それまでは、半年留学してしまうと、どうしても半年卒業が遅れてしまうと
いうことで、その当時主流だったのが、いわゆる交換留学型の留学だけでございました。
これを何とかしたいという形で、本学がそのとき、東大からお迎えした衞藤瀋吉先生が学
長になられたこともあり、急速に留学プログラムを進めましょうということになりました。
これは 5 カ月間のアメリカ留学、語学留学だけでございます。それから、今はですね、
このアメリカ留学は約 13,000 人が、このプログラムを経験しているというところです。そ
れからこのプログラムを基に、短期プログラム、これは世界 14 カ国、15 地域で、3 週間か
ら 5 週間の短期プログラムを行っております。
この中で、語学留学だけですと、学生さんの希望者がなかなか伸びないということもあ
りまして、プログラムは多数あるんですけれど、そのうちの 1、2 の地域に関しては、短期
の 1、2 週間のインターンシップと言いますか、職業体験と言いますか、そのようなプログ
ラムも併せております。
それから、赤字で示した、本日中心にお話しさせていただく、亜細亜大学中国プログラ
ムというところで、中国の大連という日本と歴史的にも非常につながりのある都市を選び
まして、5 カ月間で留学とインターンシップを組み合わせた日本初のプログラムを、亜細亜
大学で作って、運用しているというところでございます。
これは、先ほど申し上げました交換留学型でございますから、従来の語学留学というと
ころでございます。皆さんの大学も一緒だと思いますが、1 年間のプログラム。ただこれに
関しても、1 年間語学留学だけで海外に行って帰ってきます。確かに、語学の能力は相当上
がるんです。だけども、これが就職活動に向き合うためのマインドセットができているか
というと、実はこれはできていないというところもあって、3、4 年前ぐらいから、例えば、
1 年間行く中で、夏休みですとか、春休みとか現地であると思うんですけれど、自分で企業
を見つけてきて、就業体験させてもらう、もしくは、インターンシップをやらせてもらう
というようなことをやっています。
それから、学生が見つけられない場合に関しては、われわれのネットワークを通じて、
長期で留学する学生さんも、現地で 1 年間いる間に、就業体験を行うということもやらせ
ております。
それから、この「国際・多文化インターンシッププログラム」というのは、これは実は、
科目名称でございまして、国際関係学部の学生が、3 年生の夏休みを使って、東南アジアを
中心にインターンシップを行うというプログラムでございます。
この科目でインターンシップ先を開発する手法も、実は『アジア夢カレッジ』で使った
手法を全部そのまま使っており。そこで紹介させていただきました、シンガポール、マレ
ーシア、中国、香港、韓国、計 4 週間でございます。
「アメリカグローバルキャリアプログラム」というのは、エージェント型と書いてあり
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ますが、エージェントさんに入っていただいて、アメリカ、ロサンゼルスで展開している
プログラムですが、ここだけはエージェントさんの紹介で企業さんを紹介していただいて、
学生を派遣するということでございます。
短期間で、どうしてもアメリカに学生を送りたいということを考えていたのは、こちら
はロサンゼルスで行っているんですけれども、一番上のアメリカプログラムでは、ワシン
トン州の 3 大学に送られておりまして、この3大学での語学留学が終わった後に、ロサン
ゼルスまで来させて、そこでインターンシップをさせようと考えたからです。短期での企
業開拓が難しかったものですから、エージェントさんにお願いしたと。ただ、このエージ
ェントさんも、後で話しますが、普通のエージェントさんではないと。お互い支え合うも
のだというのがございます。
それで『夢カレッジ』のインターンシップの開発の①でございますが、大連外国語大学
という周恩来が作った大学でございますが、そこに 2004 年度に第 1 期生が 1 年生として入
ってまいりまして、実際に学生たちが、大連に行くのは、2 年生の夏、終わりぐらい、8 月
の終わりぐらいでございます。そこから 5 カ月間、1 月の終わりぐらいまで。前半の 4 カ月
間は語学をきっちり勉強してもらいます。学校で語学をきっちり勉強してもらう。それか
ら、残りの 1 カ月間、約 5 週間ですが現地の企業でインターンシップを行うということに
なっております。
実は、当初は 5 カ月間のちょうど真ん中にインターンシップを入れておりましたが、学
生たちは、やはり、インターンシップをメインに考えてしまうので、インターンシップが
終わった瞬間に、大学での勉強も手を抜くようになってしまい、良い結果が生まれなくな
ったので、最後にインターンシップを持っていました。大連においては厳冬期でございま
して、マイナス 20 度を超える日もあるのですが、そのような事情があって、一番最後のほ
うに持っていくと。
また、大連を選んだ理由でございますが、当初は北京・上海も考えました。ただ、北京・
上海は、われわれが 2004 年に 1 期生を迎え入れるために、2002 年から準備を始めた段階で、
もう既に、日本の大手の大学さんがいろんなところに触手を伸ばしていたという状況があ
り、その中でわれわれが一緒にやっていくというのは難しいというのを感じました。
そこで、代替地を考えたときに、いろいろ調査に入っていたんです。大連というところ
で、日本の製造業が中心で、日本との歴史的なつながりが非常にあるということ、また大
連という都市が非常にコンパクトにまとまった都市ということもありました。製造業の地
域と、それから市内中心部。市内中心部には、サービス業等もありますが、1 日で回ろうと
思えば、全部回れる。そんな理由もあって、大連に展開しようということになりました。
このプログラムは、入学した段階で、そこで『アジア夢カレッジ』をやりたいですとい
う人に手を挙げてもらいます。手を挙げていただき、2 年の夏休みまできっちり勉強しても
らいます。もう一つございまして、書いてありますが、中国語検定 3 級を必ず取らす。こ
れを取れない人は、1 年半準備しようが何しようが、行かせないという厳しい派遣要件を決
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めました。
これは現地中国で、やはり中国語を駆使しつつ、現地の同じ世代の人たちとコミュニケ
ーションを取ってもらいたいという、学校側の狙いもあって、この中国語に関しては一切
妥協しないということで、進めてまいりました。それもあって、例えば応募の段階では 40
人ぐらい今いるんですが、ひどいときには、15~16 人途中で脱落します。
また、1 年生と 2 年生前期の必修科目は全部修得して行かなければいけない。これも理由
がございます。単位を認定するときに、先生方の中に必ず出席点というのがあるんだそう
です。この出席点について、1 年生のときはそんなに難しいことではないので、出席がちゃ
んとできない人を海外に送って、企業の方にお預けして、そこでインターンシップお願い
します、何ていうことはできないと考えたんです。今日ちょっと体調が悪いから、日本の
授業のように、「私、今日休みます」なんてことを、5 週間の中でされてしまったら、その
後が続かないと思ったんですね。ですから必修科目は絶対取らせる。そして出席管理も厳
しく行うというようなことをやりました。
ですから、学生にとってはせっかく遊べると思って大学に入ったのに、そうでもなかっ
たという感想が結構出てきたりしました。終わると、まあまあ良かったねという話になり
ます。
それと目的でございます。ここに書いてございますが、現場体験を、われわれは重視い
たしました。現地企業、現地機関の仕事の内容を理解する、それから、中国人社員の方々
の労働観を理解する。業種や職種について具体的な理解を深める。仕事に向かう責任感と
自立心を養う。コミュニケーション能力を鍛える。大きな目的 5 個でございます。
ですから、欧米型のように、将来私はこの企業に勤めたいので、だから、この企業でイ
ンターンシップをします、というよりは、働くことって何ですかとか、いうことを大学に
入ってから 1 年半かけて、事前教育をし、そして、現場でそれを理解させるというスタン
スを取りたいと考えました。
この開発も簡単にいくものではございませんでした。大体、現地へは 1 年に 6 回ぐらい
出張しまして、1 回の出張が 10 日間ぐらいです。1 日 10 社程度訪問して、この趣旨にご理
解、ご賛同いただいて、本学の学生を受け入れてくださいというお願いをするわけです。
また、企業の方々からも、いろいろなご意見を承りました。現場サイドでは受け入れたい
が、本社に聞いてもらわないと困るとかですね。他にも現地と日本側での差があったりで
すとか。
私は、実はもともとは、人事に 12 年ほどおりまして、何をやっていたかと言うと、職員
の目標管理制度。それから、人事考課制度というものを作っておりました。あともう一つ、
事務職員の研修制度なんかも作っておりました。この三つの制度を立ち上げる中で、実は、
これがこの大連の企業開拓に、役に立ってくるポイントがあったんですね。
企業の方とお話しするとき、企業のニーズを知らないと、最初 2003 年頃、企業の方の中
でもインターンシップということをご理解いただけなかったんです。いろんなところを廻
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りましたし、日本にいたときも 1、2 年で 30 社ぐらいに私は、提案をしているんですね。
人事に籍を置きながら、もう一つ発令をされておりました。こちらの『夢カレッジ』担当
の発令をされていましたので、企業にアポイントを取って、学生の受け入れ先を探すとい
うので、1 日 30 社。1日が終わる頃には喉がガラガラになっています。そんな日々を 1 カ
月続けていた時代でございます。
本日のように、素晴らしい会があって、各大学さんの取り組みが発表されるなんて時代
ではございませんでしたので、企業開拓には大変苦労した時代でございます。ただ、そん
な経験が、後々、非常に役に立ってくるというのも後でお話をいたします。
現在ですと、大連は約 30 社から 40 社の企業さんにご協力をいただいております。これ
面白いことにですね、実は、中国政府機関の一つに本学の学生がお世話になったりですと
か、日本政府機関にもお世話になったりしております。
それから、始めた頃には、全く相手にしていただけなかった、ホテルとかですね、ホテ
ルはいろんな仕事があり、1 カ月間では短いというお話をいただいて、たくさん断られてい
ます。ただ、ホテルに就職したい学生さんは、たくさんいるんですね。そこで何とかホテ
ルをと思っていたのですが、今年になってホテルさんも OK になってきた。
これ実は、理由があります。大連は製造業中心の町だったんですが、チャイナプラスワ
ンという状況の中から、企業様が東南アジアの方にどんどん動いていくと、現地の駐在員
なんかも少なくなってくる。日本式サービスというのは、重要なんですが、中国人に伝わ
るまでに時間がかかるので、中国企業としては、中国のお客さんを対象に、顧客対象を変
えてきたんですね。
そうすると、どういうことが起こってくるかというと、多分ご想像できると思うんです
が、サービスの質が落ちてくるんです。そうすると売り上げも自然と落ちてくるんです。
そこで、もう一回、日本式サービスを取り入れたい。これは日本人顧客は、まだ急激に増
えませんから、何をするかというと、日本式サービスが素晴らしいことは世界中で言われ
ているので、日本式サービスを中国人顧客に対して、中国でも提供したいというふうにな
ってきたんですね。
そうすると、インターンシップの在り方が少し変わってきました。今まではお荷物だっ
た学生のインターンシップが、実は、日本でアルバイトをしていて、企業が作る接客マニ
ュアル、あれが頭に入っている学生さんが欲しいですというふうになってくるんです。そ
れで、例えば、ホテルの中に入っている日本食レストランですとか、それから受付のとこ
ろで、日本式のサービスを中国人に教えてくださいという形になってくるわけです。
十数年前は、こんなこと絶対あり得ませんでしたが、時代が変わってくると、こんなに
も変わってくるんだと思って、最近は驚いているところです。
このプログラムではですね、三つの実習機会ということで企業様にお願いしております。
学習機会の 1 が大連事業所・機関の理解、現地でどんなことをやっているのかという理解。
それから学習機会の 2 は、もちろん現場での実習でございます。われわれはとにかく現場
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重視の大学でございます。ですから、「経済社会を発展牽引するグローバル人材育成支援事
業」の中でも、『行動力のあるアジアグローバル人材の育成』を掲げたのはそこでございま
して、決して、リーダーを送り出すということは一切言っておりません。現場でコツコツ
と仕事を拾い上げ、きちんとやり抜く学生を社会に送り出したいと考えています。
学習機会の 3、中国人社員、それから職員、日本人駐在員の方々からのご指導をいただき
たいということです。これも一つ面白いのですが、これは中国独特なのかもしれません。
特にサービス業の企業の方から言われるのが、企業の方でいろんな仕事を通じて働くこと
ということを、うちの会社で勉強してほしいというのはもちろんですがもう一つお願いが
ありますと言われます。それはその企業に勤めている現地の中国人社員の、うちの学生と
ほぼ同年代の子が多いんですけども、その人たちに対して、日本語を教えるだとか、日本
の文化はこういうものですよということを、同世代として教えてほしいという依頼がござ
います。これは中国の教育のバックグラウンドの中で育ってきた若い人たちが、実は日本
と中国で違うこと、日本の企業の中身も中国と全然違うよっていうことを、学生から中国
人社員に伝えてもらうということを、どうも企業の方はお考えのようでございまして、最
近特に多いのは、インターンシップは受け入れますが、きちんと日本の文化だとか、歴史
だとかっていうことをある程度分かった子たちを送ってください。なぜならば、現地社員
とコミュニケーションを取らせたいからですというご依頼をいただきます。
さて、その学習機会の 1 です。これは実際、2003 年のときに、われわれが各企業様にイ
ンターンシップとはこういうことをお願いしたいんですということをペーパーにまとめた
ものになります。それを抜き出してまいりました。なぜならその時代、何度も申し上げま
すが、インターンシップということをご理解いただけなかったので、中身をわれわれで作
らなければいけなかったんですね。
1 としては、大連事業所の理解でございますから、代表者・責任者の方から会社全体のお
話。それから中国、そして、大連で仕事をすることとはどういうことなんですかというお
話。それから日本本社は日本国内事業所、海外事業所・機関の展開の中で、大連事業所・
機関の位置付けとはどういうところにあるんですかということですね。大連事業所・機関
の設立発展経過、それから事業内容等々を、まずは、概論的なお話で教えてくださいとお
願いしました。
2 番目でございます。現場での実習というところで、製造業・サービス業、業務の現場で
の就業体験。製造業系については、このプログラムを始めるにあたって、中小企業を研究
されている先生を 1 人採用し、この方が製造業系に非常に強いので、細かい話がたくさん
出ておりますが、生産プロセスの現場体験や実際にラインに入ったりもしました。生産管
理、品質等々も現場の方から教えていただく。それから、顧客管理についても教えていた
だく。それから、サービス業系に関しては、営業ですとか、仕入れ流通、販売、アフター
サービス、等々で仕事をお願いできないでしょうか、というところです。
企業様を廻っているときにはですね、支店長様のかばん持ちでも結構でございますなど
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と言いながら、企業を廻っていたんですけれど、それだけではご理解いただけないので、
こういう細かいところを示していったということです。
それから、3 番目でございます。中国人社員・職員、日本人駐在員からのご指導というこ
とで、中国人の方、日本人の方から、日常的な現場でのご指導をいただきます。これは仕
事に関するだけではなくて、実際、特に駐在員の方からは、もし将来こういうような仕事
をしたいのであれば、こういうことに注意して仕事をしなさいですとか、それから、海外
で仕事をしたいときには、こんなことも必要ですよというところをですね、直接現場の指
導者の方に、お話しいただくようなこともお願いいたしました。
それから、もう一つはですね、中国人新入社員向けの研修実習プログラムというのがあ
り、当時は例えば、一つは、特に製造業でやっていたんですが、日本語の授業を無料で行
うなんてことをやっていました。そこに対して、本学の学生がアシスタントに入るという
ようなこともありました。
あとは、中国人社員に教え込むためにはマニュアルがございますので、それと同じもの
を教えてくださいという話はしました。QCサークルですとか、5S等の小集団活動とい
うようなところも、社内勉強会というところも、できれば参加をさせていただきたい、と
いうことでした。
それから、現場の班長等々からの日常的なご指導。これは 5 週間のインターンシップ期
間中、学生たちは毎日、日誌を書かなければいけません。業務日誌を書きます。その業務
日誌を見て、そこに対して、現場の方からご指導いただくというところでございます。
それから、キャリア形成でございますが、ここに関しては、先ほど駐在員の方からとい
うお話をさせていただきましたが、そこの中でキャリア形成に関してもお話をしていただ
く。実はこれ、インターンシップのプログラムだけでは、あまりうまくいくものではござ
いませんで、現地ではオムニバス講義で現地の企業の支社長様等々を中心に、全 13 回のオ
ムニバス講義を組んでおります。その中でも、あえて、本学の学生と、それから中国人学
生、ルームメイトが中国人学生なんですが、この 2 者の全部で 20 人ぐらいが、毎回、毎週、
企業の方のお話を聞く。そして、全体として大連での日系企業がどう動いているのかとい
うお話を、頭の中に入れていく。座学と実習というのはペアでないと、なかなかうまくい
かないんだというのが、この 10 年間の気付きでございます。
それから日本人駐在員の方の活動への同行、これは主に、営業同行というところでござ
います。企業の中では守秘義務等々もございますので、あくまでそれに差し障らないとこ
ろで、営業をするというところで同行させてください、ともお願いいたしました。
しかしですね、これをお願いしても最初の 1 年間で OK ですとおっしゃっていただけた企
業は 2 社でした。これに関しては、2 社ということで、全く開拓がうまくいかないというと
ころでございました。中には、「何で亜細亜大学のために、うちがやらなければいけないん
だ」等、散々、いろんなことを言われていまして、でも、学生の留学インターンシップの
期間が迫ってまいりまして、何とかしなければいけないところで、次に使った方法が、や
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はりヒューマンネットワークでした。
たまたま本学の理事長がその当時、瀬島龍三、あの伊藤忠の瀬島龍三でございますが、
伊藤忠というのは中国ビジネスを最初に展開した商社でございます。その瀬島龍三の右腕
として、初めて中国ビジネスを展開した藤野先生という方に本学の講師としておいでいた
だくと。講師としてといってもですね、授業を受け持ってもらうわけではなくて、われわ
れと一緒に企業開拓をしていただくというところでございます。
ここから劇的に変わってまいります。やはり中国という国が人間同士のつながりの中で、
物事が動いているんだなあと痛感した時期でもございましたし、これによって、半年間で
20 社を、残りの半年間で 30 社までいくことができたというところです。
企業との関係ということもございますが、先ほど申し上げたとおり、われわれ職員がい
きなり企業に行って、インターンシップお願いしますと言ったところで、企業の方として
は、どんなインターンシップかご理解いただけませんし、世の中に大学職員が本当に企業
のニーズをつかんでいるかどうかというところもあって、私が企業の方とお話しできると
きに使えたツールが、人事課時代に培った、例えば人事考課の制度、それから、目標管理
の制度、研修制度を作るときに企業の方とたくさんお話をして、それを基に制度を作らな
ければいけなかったんですね。そのときのお話がつなぎとなって、良好な関係ができてく
るということがある。やはり、企業サイドに立って理解をしてみないと、なかなかうまく
いかないというのが、実は、こんなところで生きてくるわけでございます。
それから 4 番目、大学プログラムとしての位置付けと書いてありますが、本日午前中の
お話の中でも、大学全体として、このインターンシップを位置付けなければいけないとい
うお話が、いろんな方からあったと思います。
本学はこれを遂行する上で、学長の下に、『アジア夢カレッジ』運営委員会というものを
設置して、学長の直下で動くというようなところをやっておりました。それが、今はいい
感じで動いていると思います。
それから、評価システムというお話があったと思いますが、社会で活躍するために必要
なリテラシーということで、学生を送り出すために、五つの能力を設定いたします。ビジ
ネスリテラシー、グローバルリテラシーの中で、リーダーシップ、問題解決力、コミュニ
ケーション、それから、環境適応、言語適応という五つの分野を設定しまして、そのそれ
ぞれの能力 5 項目に分けています。例えばリーダーシップであれば、交渉力とか、主体性
とかいうところで、分かれた表を作りました。
それから、あともう一つ、学生にも使っているところです。先ほど意識付けというとこ
ろの中で、最初の意識付けは、海外に行くと点数が上がりますよというようなところだけ
言っていたんですけど、実はそうではなくて、この中身が重要なんですというところを、
学生だけでなく、保護者相手にも、この説明会を実施しております。保護者の方にご理解
いただくのが、実は一番の早道だと最近思っております。
それから、就職につながるところでは、「異文化体験、語学だけではだめですよ」なんて
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ことを、これも実際研修に使っている資料でございます。どういうふうに成長して、どの
ように考えたんですかというところを、あなた自身が考えなきゃいけないんですというこ
とを、事前研修会の中でやります。
この図はちょっと見にくいんですが、通常いろんな環境設定をしますと、受け入れるだ
け、皆さんから向かって左側なんですが、そうではなく、その環境を自ら積極的に利用し
なさいというような、意識付けを行っている。
これがその評価表なんですけれども、先ほど言った、五つの能力が頂点、5 項目かかって
おりますが、前にまず 5 段階評価をします。そして、行っている間にまた 5 段階評価をし
て、最後に『夢カレッジ』の終わりは、受け入れていただいた企業の方に、同じシートで 5
段階評価をしていただく。そうすると個人の認知度と企業の認知度が違うんですね。帰国
後、何を利用するかというと、その点数の高さではなくて、実は企業の考え方・見方と学
生の見方がどう違いますかということを、次のキャリア指導に生かしていくということ。
海外留学で、最大化させるサポート体制として、留学・インターンシップ前、中、それ
から後で、このような研修を実施しております。今のお話と同じ内容でございます。ただ
単に、学生に理解させるだけではなくて、保護者も呼んで一緒に理解するというようなこ
とをやっております。
海外インターンシップは花盛りで、いろんなところでインターンシッププログラムがご
ざいます。全てが全てというわけではありませんが、やはり、学生の成長を促すインター
ンシッププログラムというところをご利用いただきたいです。
先ほどご説明した、ロサンゼルスでやっているものは、実は元リクルートにいた方が作
った会社でして、学生をどう指導するかということを、やはりその会社の中で分かってい
る方が、その会社をやっていたので、そこにお願いしたということでございます。ただ単
に、現地に行って会社に派遣するだけでは、これは、遺跡巡りツアーと何も変わりません
ので、そうではなくて、そこに行って、どう学生が成長するかということを考えたプログ
ラムが必要ですよというところが書いてあります。
私が、一番最後に書いてあります、自己中コミュニケーションですが、これが一番問題
でして、本日、経済同友会の方が、コミュニケーションのお話をされていましたが、コミ
ュニケーションというのはビジネスの世界では、課題解決するためのツールでございます
から、私は非常にみんなから人気があります。だから、皆さんとお話もできるということ
がビジネスの世界に求められているのではないということを、これも現場から聞いたお話
を研修の中でお伝えしたりしています。
企業の中で求めるもの、コミュニケーション能力は高いんですね。これをわれわれでは
どうするかというと、では、その企業が求める能力があるのであれば、それを逆算して、
留学インターンシップの中で身に付けてください。それを帰国後、就職活動に生かしてい
きましょうという、逆算方式を学生にも教えているというところでございます。
語学力はですね、あの中にもありましたけれど、語学力だけで、コアコンピテンシーと
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してあるわけではございません。実は、一つの、コアコンピテンシーと別のところに位置
付けされているものなので、プラスアルファ評価しかないんだと。語学力が高いから、企
業に採用されるというわけではない、ということを、学生の親、それから学生に対しても、
このプログラムを通じて、われわれが訴えているところでございます。
それから、もう一つ言っているのは、残念ながら、留学に行けない学生もおります。経
済的なこともあっていけない学生もおります。その中で言っているのは、企業は海外に行
った人だけを採用しているんじゃないんですよと、日本にいる、例えば、人事ですとか、
財務にいる人たちも、総務にいる人たちもグローバルマインドがないと、実は海外で活躍
されている方のサポートはできないので、今、企業が一番力を入れているところは、この
間接部門の人たちに対して、グローバルマインドセットをどう行うかという研修が非常に
増えているということでございます。ですから、行けなくても、日本の中でもこれが必要
なんですよということを話して、学生に教えているということです。
私の話は、以上でございます。ありがとうございました。
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