第8回 平成 28 年 10 月 22 日(土) 10: 40~11:50 『海外展開の実際』 佐藤産業株式会社 さ と う ともひこ 代表取締役社長 佐藤 友彦 氏 尾道出身で、家業である佐藤産業を 29 歳で受け継ぎ、30 歳で拠点をベトナムに移し て佐藤産業ベトナムを設立した後、38 歳で佐藤産業タイランドを設立し、昨年 40 歳で 帰国した。佐藤産業は 1918 年設立で 100 年近くの歴史を持つ。元々輸入雑貨として手 編み笠や編み笠を製造・販売していたが、家具製造に 1973 年移行した。 経営理念は、近江商人に倣い、 「四方よし」 (売り手よし、買い手よし、世間よし、働 き手よし)とし、使命としては、F1 層(25-35 歳)の女性をターゲットとするインテ リア家具を販売することによりユーザーの生活をより快適にすることである。取扱い商 品は Cerise ブランドで、低価格に設定してある。取引先はニトリや島忠をはじめとす る 100 社(2,000 店)にのぼる。ビジネスモデルは、日本で情報を元に商品企画、ベト ナム工場で生産、船舶で輸送し日本に輸入、日本全国で販売というものである。現地工 場の製品は 3 つのルートで日本で販売されるほか、アジア市場にも直接販売されている。 海外進出の背景としては、中国の家具による収益圧迫、家具業界の先行き不安、 ASEAN の流通経路整備や関税優遇が挙げられ、家具メーカーとして生き残りに加え、 事業の再構築・拡大を進出の目的とした。最初に進出したベトナムの会社は、現在、ホ ーチミンの近くに所在する東京ドーム一個分の広さの工場で月 35,000 本を製造し、従 業員は 400 名である。10 年で現地化できたが、建設許可がなかなか下りないこと、食 事や勤務条件をめぐる 2 回のストライキ、債務超過、社員の不正の発覚、反中国デモに 巻き込まれるなど苦労の連続であり、社長として、その都度問題を探り、自分のモーテ ィベーションを保ちつつ社員のやる気を引き出しながらオープンに解決してきた。 佐藤代表取締役社長 会社案内動画の上映 ベトナムの会社の成長の段階を整理すると、高品質の商品を親会社に販売、独自の販 売先の開拓、日本以外での販売比率を増加させる、現地化しベトナム人に経営を任せる、 自社で資金調達、ということになる。海外では日本の常識が通用せず、大体 10 年で現 地化ができた。これまで学んだことは、机上より現地でまずやってみる、データよりも 現場で情報を集める、失敗から学ぶ、フィードバックから改善する、である。 講義後の質問は多く出され、F1 と他の層との違いについての質問に対し、F1 はとト レンドが変わりやすいが家族層は安定していること、海外で労働についての考え方が違 う場合の対処に関する質問に対しては、飲食をともにするなど徹底したコミュニケーシ ョンを取ること、メンタルの強さの秘訣はとの質問に対し、トレーニングを受けたり日 頃から回りに感謝すること、現地でのネットワーキングはどのようなものかとの質問に 対し、上場企業や財閥のトップと会えたり、地域貢献により現地をよく知ることができ ることがプラス、との回答があった。
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