金融テーマ解説 - マネックス証券

金融テーマ解説
Financial Market Update
2016/10/27
チーフ・アナリスト
大槻 奈那
金融政策に関する個人投資家アンケート
~マイナス金利の不人気は定着するも、投資家マインドはやや改善
マネックス証券では、10 月 31 日~11 月1日の金融政策決定会合を前に、個人投資家向けに日銀
の金融政策に関するサーベイを行った(実施期間:10 月 7 日~11 日、回答者数:745 名)
。
個人投資家の間には、マイナス金利政策に対する否定的な見方がすっかり定着してしまった。
「ど
んな金融政策が取られれば、投資に強気になれるか」という定例の質問に、今回初めて、
「マイナ
ス金利の停止(利上げ)
」という選択肢を設けたところ、これまで最も支持されていた「ETF/JREIT
の更なる増額」をおさえ、最多の回答を得た(図表 5)
。
「日銀のマイナス金利はインフレ期待醸成に貢献しているか」という問いに対しては、過半数の
50.3%の個人投資家が「貢献していない」と答える一方、
「貢献している」という答えは 11.1%と
これまで同様低位に留まった(図表 1)
。
一方、投資や消費を積極化する動きも若干ながら見え始めた。
「マイナス金利導入以降、投資意欲
が高まった」という回答は、依然として「減退した」とする回答を下回っているものの、比率は
前回調査からは若干持ち直し、直近 3 回の調査の中では最も高かった(図表 4)
。
直近のマネックス証券「個人投資家サーベイ」
(16 年 10 月調査)によれば、個人投資家は日本の株
式市場に対してやや強気になっている(図表 7)
。Brexit 問題の落ち着きや大統領選の不透明感後
退等の海外要因も関係しているが、金融政策に当面大きな動きはなさそうだという見方が広がっ
たことも寄与しているとみられる。
来週の金融政策決定会合で政策維持が決定されれば、個人投資家のセンチメントは更に回復に向
かう可能性が高いだろう。
【金融政策に関するアンケート結果のポイント(10 月 7~11 日実施)】
 「日銀のマイナス金利導入はインフレ期待醸成に貢献しているか」という問いに対しては、
過半数の 50.3%の個人投資家が「貢献していない」と答える一方、
「貢献している」という答
えは 11.1%とこれまで同様低位に留まった(図表 1)
。

1年前に比べて「家計を引き締めている」という回答は、
「緩めている」という回答を大きく
上回る 34.8%に上った(図表 2)。しかし、9 月調査よりは消費にやや積極的になっており、
「家計を引き締めている」とする回答の比率は低下した。

消費に関する補足質問として、今回「現在の金融・経済情勢下では、貯金を増やすべきだと
思うか、取り崩して投資や買い物をすべきだと思うか」と聞いたところ、
「貯金を取り崩して
買い物や投資をすべき」という回答は、
「貯金を増やすべき」という回答を若干ながら上回っ
た(図表 3。前回調査なし)。
-1–
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
マイナス金利以降の投資意欲の変化度合いについて訊ねたところ、前回までの調査同様、
「投
資意欲が高まった」という回答は、
「減退した」という回答を下回った(図表 4)
。但し、
「高
まった」という回答は 13.7%と、前回調査の 8.8%からは改善し、依然低位ながら直近 3 回
の調査の中では最も高かった。

「今後日銀がどのような金融政策を行ったら、投資に強気になれるか (複数回答可)」という
質問について、今回初めて、
「マイナス金利の停止(利上げ)」という選択肢を設けたところ、
これまで最も多かった「ETF/JREIT の更なる増額」という回答を上回り、一番多くの支持を得
た(図表 5)。

一方、追加緩和の時期の予想を訊ねたところ、
「次の金融政策決定会合で追加緩和がある」
(今
回でいえば 11 月 1 日)という回答は、今回わずか 2.3%で、過去の調査の中で最も低かった
(図表 6)
。

同時に実行したマネックス証券「個人投資家サーベイ」(16 年 10 月調査)によれば、個人投
資家は日本株に対してやや強気になっている(図表 7)
。
これは、上記の通り、不人気が定着したマイナス金利について、
“深掘り”されるというリス
クが遠のいたことが背景の一つにあると思われる。来週の金融政策決定会合でも、市場の予
想通り、マイナス金利の深掘りがなければ、個人投資家のセンチメントは更に改善する可能
性があるだろう。

回答者のプロフィールについては調査の概要と回答者の属性 を参照。株式投資の経験が 10
年以上の割合が 60%と高いのが特徴である。
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【アンケート結果のデータ】
(出所はすべてマネックス証券の実施したアンケート調査)
【図表 1】日銀のマイナス金利導入は、インフレ期待の拡大に貢献していると思いますか(直近回答者
数 745 名)
2016年10月 11.1%
50.3%
38.5%
2016年9月 9.4%
51.8%
38.8%
2016年2月
25.0%
0%
20%
貢献している
46.0%
40%
貢献していない
29.0%
60%
80%
100%
わからない/どちらともいえない
【図表 2】昨年の今ごろと比べて、家計支出を引き締めていますか、緩めていますか(直近回答者数
745 名)
2016年10月
34.8%
2016年9月
44.9%
2016年8月
37.7%
0%
20%
引き締めている
9.0%
56.2%
4.7%
50.4%
9.1%
40%
53.2%
60%
緩めている
80%
変わらない
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100%
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【図表 3】現在の金融・経済情勢下では、貯金を増やすべきだと思いますか、取り崩して買い物や投資
をするべきだと思いますか(回答者数 745 名)
貯金を増やすべ
きだ
26.0%
どちらともいえな
い
43.8%
貯金を取り崩し
て買い物や投資
をすべきだ
30.2%
【図表 4】今年 1 月の日銀のマイナス金利導入決定後、あなたの投資意欲に変化はありましたか?(直
近回答者数 745 名)
2016年10月
64.3%
13.7%
2016年9月
8.8%
2016年8月
10.7%
0%
22.0%
59.0%
32.1%
76.0%
20%
投資意欲が高まった
40%
13.3%
60%
投資意欲は変わらない
80%
投資意欲が減退した
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100%
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【図表 5】日銀がどのような金融政策を行ったら、投資に強気になれますか?(複数回答)
280
マイナス金利政策の停止(金利引き上げ)
ETF・JREITの更なる増額
215
国債買い入れ増額/買い入れ対象の拡大(財投
145
機関債、地方債、長期社債等)
国債の直接引き受け(いわゆるヘリコプターマネー)
135
マイナス金利幅の拡大
129
イールドカーブ操作の深化(更に長期の金利に目標
93
を設けるなど)
その他
49
0
50
100
150
200
250
300
【図表 6】次回の金融政策決定会合で追加緩和が実施されると回答した割合(毎回の調査で「次の追加
緩和はいつだと予想しますか?」という質問に対して、それぞれの時点で、最も近い金融政策決定会
合で追加緩和があると思うと回答した人の比率。直近回答数 745 名)
40%
37.6%
35%
30%
30.0%
25%
20.6%
20%
15%
17.9%
17.6%
16.3%
10%
5%
2.3%
0%
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【図表 7】市場に対する見方(DI=「上昇すると思う」と回答した割合から「下落すると思う」と回答
した割合を引いたポイント)
(円)
22,000
80
日本株DI
70
強
気 60
20,000
日経平均終値
18,000
50
16,000
40
30
23
14,000
20
弱
気 10
12,000
5
10,000
0
-10
12/2
8
12/10
13/6
8,000
14/2
14/10
15/6
16/2
16/10
(出所)マネックス証券「個人投資家サーベイ」16 年 10 月調査
■調査の概要と回答者の属性
調査方式:
調査対象:
回答数:
調査期間:
インターネット調査
マネックス証券に口座を保有している個人投資家
745
2016 年 10 月 7 日~10 月 11 日
【性別】
男性
女性
85.6%
14.4%
【年齢】
未成年
20 代
0.1%
3.5%
【金融資産】
500 万
500 万未満
~1000 万
24.3%
17.7%
【売買頻度】
デイトレ
週に数回
4.0%
16.2%
【株式投資のご経験】
1 年未満
1 年~5 年
7.2%
16.8%
30 代
10.5%
40 代
30.5%
50 代
26.6%
60 代
21.9%
1000 万
~2000 万
19.2%
2000 万
~5000 万
23.5%
5000 万
~1 億
10.5%
1 億以上
4.8%
月に数回
30.6%
数ヶ月に 1 回
32.1%
それより少ない
17.1%
5 年~10 年
16.4%
10 年以上
59.6%
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70 歳超
6.9%
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