ロケットソフトウェアジャパン株式会社

Success StoriesーICT
ロケットソフトウェアジャパン株式会社
米国のビジネス用ソフトウェア開発のグローバル企業である Rocket Software は、2015 年 4 月に日
本法人・ロケットソフトウェアジャパン株式会社を横浜市に設立。2016 年 4 月には札幌市に研究開発
拠点を設立した。メインフレーム向けソフトウェアを軸にしつつ、更に 3 つの新製品も展開し、世界有数の
規模を誇る日本の IT 市場でシェア拡大を目指す。
Rocket Software(以下 Rocket)は、1990 年に
米国マサチューセッツ州ボストンで設立されて以来、
IBM の OEM ビジネスをベースに、主力のメインフレー
ム*向けソフトウェアに加え、アプリケーション管理、デ
ータ移行、ネットワーク管理等、多岐にわたる分野
のソフトウェア開発で成長を遂げてきた。また、近年
では、アナリティクス、バックアップ&リカバリー、ライフ
Rocket Software 米国本社概観
サイクルマネジメント、クラウド、モバイル、オープンソ
ース、モダナイゼーションなど幅広い領域で、150 以
上の製品の提供をしている。
*企業の基幹業務システムなどに用いられる汎用大型コンピュータシステム。
現在、米国の他、英国、ドイツ、フランス、ロシア、
オーストラリア、中国、日本など世界中に 1,300 人
の従業員と、31 の拠点を有し、1,600 社のパートナ
ー企業、15,500 社の顧客、1,000 万人のエンドユ
ーザーを持つグローバル IT 企業となっている。
世界で活躍するソフトウェアベンダーの強み
Rocket は、多種多様な製品でグローバルに展
開する一方、製品の徹底したローカリゼーションにも
注力している。例えば、米国発モデルのソフトウェア
であれば、米国仕様がグローバルスタンダードになる
のが一般的だが、Rocket はメイン顧客だけではなく、
世界中の顧客の業種、技術などに合わせたソリュー
ションの提供を実現し、顧客の信頼を獲得してきた。
また、「ローカルで一番良いようにすべき」という考え
のもと、生産国以外の国で製品を使用するための
言語対応(NLS:National Language Support)に
ついても、高い水準で実行してきた。製品開発力と
ともに、製品提供後の顧客サポートも重視するビジ
ネスモデルが、変化の激しい IT 業界で 26 年にわた
ってビジネスを維持・拡大してきた Rocket の強みと
なっている。
日本進出の背景
Rocket は、2015 年 4 月に横浜市にロケットソフ
トウェアジャパン株式会社(以下、ロケットジャパン)
を設立した。日本進出の背景について、同社・代
表取締役の末原尚登氏は「世界 3 位と言われる
日本の IT 市場への進出は、当社にとって必須であ
った。また、日本顧客の品質・フォローに対する高い
要求に応えられる体制を作っていきたいと考えてい
た」と語った。「日本の IT 市場が巨大であると同時
に、日本は『メインフレーム大国』と呼ばれ、当該市
場において世界有数の規模を誇っている。中核製
品にメインフレーム向けソフトウェアを持つ当社にとっ
て、既存・新規の双方のビジネスで大変魅力的で
あった。更に 2015 年にリリースしたメインフレーム内
データの統合、多様な環境下のアプリケーションの
連携、企業情報のデータ分析、などの 3 つの新製
品も投入して、日本での販路拡大を目指す。また
Rocket が強みとしている顧客フォロー戦略を日本で
も実行していきたい。これまで日本の顧客は、米国
本社で生産された製品について、米国に英語で問
い合わせを強いられるという問題が少なからずあった。
海外製品の日本語対応の取組み強化の要望もあ
り、そうした課題解決のためにも、日本に拠点を築く
必要があった」と末原氏は話す。
横浜拠点開設からわずか 1 年後の 2016 年 4 月
に、日本の IT 集積地の一つである札幌市に第二
の研究開発拠点を設立した。「横浜拠点設立時
から、札幌への進出は視野に入れていた。札幌で
は、優秀な IT 人材を多数雇用することができたが、
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今後は、横浜と札幌の両オフィスの連携も強めてい
きたい」と末原氏は意気込む。
しているが、その製品数も相当多くなってきている。
当社および当社の製品価値を伝えられる人を、計
画的に増やしていきたい。また、自治体や企業健
保等が抱える医療制度の課題に対し、当社のソフ
トウェア製品を活用し、効率化や分析予測による
Rocket の日本進出戦略
Rocket は、2015 年より以前から、日本法人設
立を検討していたという。その理由について、「日本
の顧客の品質レベルに応えるには、きちんとした体
制をとる必要があった。長年にわたって情報収集や
顧客の拡大など、徐々に準備をするとともに、人員
確保の見通しが立ったため、日本法人の設立に踏
み切った」と末原氏は当時を振り返る。
ロケットジャパンは、横浜市での拠点設立に際し
て、神奈川県の 2015 年外国企業立地促進助成
金制度に採択されている。末原氏は「ご支援いただ
き、大変感謝している。おかげさまで、素晴らしいオ
フィス環境でビジネスを行えている」と語った。
未病予防、ビッグデータ対応等で患者数の減少に
貢献するビジネスを計画している」と語った。
代表取締役 末原氏(横浜本社)
IT 大国・日本での今後の事業展開
現在、約 50 名の従業員を擁するロケットジャパ
ン。末原氏は、「IT 業界で経験を積んだ優秀なメン
バーが集結しており、当社にとってさらなる成長へ向
けての新たなステップを踏み出せている」と語る。日
本での開発・生産体制が整いつつある同社にとって、
次なる展開は営業力の強化と、ヘルスケア分野に
おける ICT ビジネスを推進する団体への参画だとい
う。「当社は創業以来、大手メーカーの OEM パート
ナーとして、高いレベルの品質を維持してきたと自負
ジェトロのサポート
日本法人設立に際し、ジェトロ対日投資・ビジネ
スサポートセンター(IBSC)は、登記に関するコンサ
ルテーション、会社設立に関する情報提供、関連
する市場情報の提供等の支援を行った。ジェトロの
サポートに対して、「横浜のオフィス開設当初から、
わからないことが多い中、自治体と連携して、いろい
ろとアドバイスをいただき大変助かりました。当社が
成長していく過程で、今後も長いお付き合いをお願
いしたい」と末原氏は述べた。
(2016 年 7 月取材)
同社沿革
1990 年
米国・マサチューセッツ州ボストンにて、Rocket Software 社が創設
2015 年 4 月 神奈川県横浜市に日本オフィスを設立
2016 年 4 月 北海道札幌市に研究開発拠点を設立
ロケットソフトウェアジャパン株式会社
設立:
2015 年
事業概要:
企業向けビジネス用ソフトウェア製品の研究、開発、販売等
親会社(グループ):
Rocket Software, Inc.
住所:
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい 3-6-3 MM パークビル 12 階
URL:
http://www.rocketsoftware.com/ja/homepage-0
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