資料6 第1回不正防止策ワーキング・グループ用 不正防止に係る 課題と防止策等 品川成年後見センター所長 齋藤修一 不正防止に係る課題と防止策等 (1) 後見制度支援信託の課題・防止策 一定の成果:特に、横領・背任等の発生リスクの防止策 [課題] ①本人の自己決定の尊重の軽視や後見人への不信が前提 保佐・補助は本人による申立てが多い。(保佐人等候補者を自ら選ぶ機会) ・本人・親族申立ての支援:後見実施機関による代理申立ての活用(参考1∼3) ②普遍化へのコンセンサスの不十分と地域経済の影響への軽視 参考資料:東大教授・増田寛也「人工減少社会」の設計図 財産管理の本来的あり方の議論と新たな監督機能の仕組みづくりが必要 ・金融機関における被後見人の預金保全(別途報告:城南信用金庫前理事長) ・監督機能の円滑化・強化(誤った身上監護の防止も):下記(2) (2) 後見監督人選任数の増加の課題・解決策 増加し続けている。 (平成23年1,751件⇒平成27年4,722件) [課題] 家裁による(直接の)監督が困難な事態(特に、身上監護関連)が懸念される。 家裁との連携のもと ・後見関係団体及び行政の関与による、新たな監督法人の設立(参照イメージ図) 1 参考1 社協代理申立を進めるための「特区申請」(1) 1 品川区・区社協の「特区申請」による規制緩和の提案 <平成18年6月30日付で、内閣官房構造改革特区推進室へ提案> ① 市区町村長申立権を拡大し、社会福祉協議会にもその権限を付与すること ② 本人・配偶者・4親等内の親族の委任に基づき、社会福祉協議会に代理申 立てを可能とすること <上記提案をするに至った理由> 後見等開始審判の申立てが容易になる。 成年後見制度の活用が活発になる。 権利擁護が格段に進む。 <上記提案をするに至った背景> ○ 平成18年度に法人後見の受任数約40件となり、後見ニーズが多いことを 実感した。(後見ニーズの実態的把握が前進=後見需要) ○ 同年度に市民後見人養成講座を開催した。(後見の担い手=後見供給) 区内の後見需要に対する後見供給を円滑に行いたい。 2 参考2 社協代理申立を進めるための「特区申請」(2) 1 市区町村長申立権の拡大 ① 社協は地域権利擁護事業を実践している団体である。 ② 老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する 法律に規定されている首長申立権を社会福祉法に規定する社協会長に付 与する改正か社協会長に同申立権を委任できる規定改正を主張した。 (同申立権の拡大に伴う戸籍謄本の交付請求も可能となる改正も戸籍法施行規則別 表第一に掲げられている法人に追加してもらいたい) 回答:平成11年の成年後見制度の法改正を検討した法制審議会での議論の 経過と戸籍謄本等の請求は国または地方公共団体に準ずるものとして 取り扱われるので、社協はこのような公法人には該当しない。 2 社協による代理申立 本人・家族・親族申立てが事実上、困難になる場合が多い。 申立手続の複雑と労力 申立人の困難事情:病弱、遠方に居住、高齢等 ○増加する認知症高齢者等と後見等開始審判の申立ての需要が多くなる。 ○代理申立の費用負担のネックとなる。 規制緩和が必要と考えた。 3 参考3 社協代理申立を進めるための「特区申請」(3) 3 社協による代理申立に係る法的問題 ① 弁護士法第72条:非弁護士による法律事務取扱の禁止を定めている。 ② 平成18年当時の家事審判規則第5条(非弁護士でも代理できる根拠規定) ・同条第1項:事件の関係人は、自身出頭しなければならない。但し、やむを得 ない事由があるときは、代理人に出頭させ、又は補佐人とともに出頭するこ とができる。 ・同条第2項:弁護士でない者が前項の代理人または補佐人となるには、家庭 裁判所の許可を受けなければならない。 ・同条第3項:家庭裁判所は、何時でも、前項の許可を取り消すことができる。 回答:非弁護士であっても、報酬を得る目的なく無償で、非訟事件に関する業 務を行う場合には、弁護士法72条の規定に違反しない。 委任状(申立人と代理人との間)と代理人許可申請等 平成19年3月13日代理申立て、4月20日付後見開始の審判(現在167件) 家事審判法を見直し、「家事事件手続法」平成25年1月1日施行 [現在の根拠規定] 家事事件手続法第22条・第27条・第51条①② 4 参照 新たな監督法人のイメージ図 家庭裁判所 行政・後見関係団体等の関与 選任・解任 特に、家庭裁判所との密接な連携・役割分担 (仮称)後見サポートセンターの設置 支援機能(助言・連絡調整等) ※身上監護に係る支援を重視 後見実施機関 後見実施機関 後見実施機関 親族後見人 市民後見人 NPO法人 一般社団法人 親族後見人 市民後見人 NPO法人 一般社団法人 親族後見人 市民後見人 NPO法人 一般社団法人 等 等 等 [備考] 後見実施機関は、原則として市区町村に1カ所必置する。 (仮称)後見サポートセンターは、人口規模・地理的状況等を踏まえ、かつ家庭裁判所(本庁50、 支部203及び出張所77)の設置数330を超える設置が求められる。 5 資料6 金融機関における被後見人の預金保全について 一般社団法人しんきん成年後見サポート 代表理事 吉原 毅 後見業務にかかる横領事件等の防止策として「後見制度支援信託」が利用さ れていますが、信託銀行以外の金融機関においても適切な支援・管理が可能で あることから、下記の提案をいたします。 1.金融機関において「特約書」を作成し、大口の預金支払いは家庭裁判所が 発行する「指示書」にもとづき実行する。 2.大口預金や通常使用しない定期預金等の「届け印」を後見人と後見監督人 の 二者によるものとし、支払いに関し相互牽制を行うことにより横領事件等 の発生防止を図る。 【届け出例】 山田 太郎 成年後見人 一般社団法人しんきん成年後見サポート 代表理事 吉原 毅 後見監督人 弁護士 鈴木 一郎 印 印 ・なお、いずれの場合も通常の小口入出金を行う普通預金口座は、円滑な 後見業務を行うため後見人のみの届け印とする。 ・通常使用する普通預金口座に対し、二者で管理する大口預金口座からの 定額自動送金による資金移動も可能とする。
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