ワンチップARMスパコンの Cプログラム処理性能

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1 クリックでラズパイの 10 倍高速化!? …
ARM FPGA のポテンシャルを探る
ワンチップ ARM スパコンの
C プログラム処理性能
三好 建文
Zynq(ザイリンクス)
2コアCortex-A9+FPGA
写真 1 ARM プロセッサ・コアと演算回路が自由に作れる FPGA
が 1 チップになった Zynq を搭載する定番 ZYBO ボードを使うと C
プログラムがどれくらい高速化できるか体感する
Digilent 社の直販価格は 189 ドル.日本では,代理店のアヴネットの他,
秋月電子通商などで 25,000 円程度で購入できる
BCM2837(ブロードコム)
4コアCortex-A53 1.2GHz
写真 2 比較対象としてラズベリー・パイ 3 のソフトウェア処理
性能も評価する
表1 比較に用いるプロセッサ・ロジックの動作周波数
動作部
ZYBO
ソフトウェアで記述した処理を FPGA などのハー
ドウェアで動かす目的は,千差万別です.とはいって
も,最大の目的は,処理を速くすること(処理時間を
短くすること)ではないでしょうか.
そこで,簡単なプログラムを例に,FPGA(Field
Programmable Gate Array)を使うことによって,C
言語で記述されたプログラムを,どのくらい手軽に,
どのくらい速くすることができるかを体験してみま
しょう.
実験環境
動作周波数
ARM プロセッサ
650MHz
FPGAロジック部 100MHz
ラズベリー・パイ 3 ARM プロセッサ
1.2GHz
(Digilent 社)を使用します(写真 1)
.ZYBO の Digilent
社における直販価格は,送料を考えなければ,189 ド
ルと安価です.日本の代理店や小売店でも 25,000 円程
度で入手できます.
また,絶対的な性能の比較のために,ラズベリー・
パイ 3 でも同じプログラムを実行してみることにしま
す(写真 2).
評価で使用するデバイスの動作周波数は表 1 の通り
です.
● ハードウェア…約 2 万円の ARM FPGA ボード
ZYBO
● 評価用 C プログラム…円周率計算 & マンデル
ブロー描画で評価
プロセッサによるソフトウェア処理の一部をハード
ウェア化するため,ARM プロセッサ・コアと FPGAが
1 チップになった Zynq(ザイリンクス)を使用します.
ターゲット・ボードには,Zynq 評価ボードの ZYBO
評価には,円周率を計算するプログラムとマンデル
ブロー描画を行うプログラムの 2 種類を用います.
ソフトウェアのコンパイルは,最適化オプションで
ある -O3 を付けて実行します.
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2016 年 12 月号