資料3 平成28年10月19日 第1回不正防止WG 家庭裁判所における不正防止策の現状と 今後の在り方等について 成年後見制度利用促進委員会 委 員 村 田 斉 志 1 後見人等による不正の状況 不正報告件数 (単位:件) 900 800 専門職 831 専門職以外 700 専門職 600 約48億1000万円 約44億9000万円 40 521 約33億4000万円 500 400 約56億7000万円 専門職以外 50 662 624 被 害 額 (単位:億円) 60 約29億7000万円 30 311 300 20 200 10 100 0 (18) (6) 平成23年 平成24年 ※1 ※2 (14) 平成25年 (22) 平成26年 (37) 平成27年 (約5億6000万円) (約1億3000万円) (約3億1000万円) (約9000万円) (約1億1000万円) 0 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 括弧内の数値は,専門職の内数である。 各年の1月から12月までの間に,家庭裁判所が不正事例に対する一連の対応を終えたとして報告された数値であり, 不正行為そのものが当該年に行われたものではない。 不正事案の9割以上は,親族などの専門職以外の方が後見人等のケース → 後見人としての責任や義務についての知識不足が原因の場合も多い。 (例)親のお金だから,自分の生活費として自由に使ってもいいと思っていた。 被後見人の財産を借用し,被後見人から引き継いだ事業の資金に使ったが,返済できなくなった。 1 2 裁判所の不正対策 Ⅰ 適切な事務の遂行 ① 定期的な監督の実施 後見等監督事件数と 後見人等の報酬付与事件数の推移 家庭裁判所による後見等事務の監督 (単位:件) 250,000 後見等監督事件 210,340 200,000 後見事務報告書 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 財産目録 1 預貯金 ・・・・・・ 2 不動産 ・・・・・・ 3 有価証券 4 現金 預金通帳の写し 170,078 ○○銀行 ・・・・・・ 140,913 150,000 ・・・・・・ 100,000 88,539 74,573 定期的に財産状況の報告を求める 内容に応じて不正行為がないか更なる調査を実施 50,000 後見人等の報酬付与事件 0 後見人等に報酬を与える判断をする前提として 監督と同様の報告を求め,事務をチェック 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 後見人等の報酬付与 34,098 45,091 58,918 76,420 101,088 後見等監督処分 40,475 43,448 81,995 93,658 109,252 ○ 家庭裁判所は定期的に後見人等に財産状況等の報告を求め不正行為の有無をチェック ○ 監督事件数や報酬付与事件数は年々増加傾向 → 監督強化の現れ 2 ② 不正把握時の被害拡大防止に向けた迅速な処理態勢の構築 被害拡大を防止する措置 不正をうかがわせる情報 後見事務報告書 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 財産目録 ・・・・・・・・・・・・・ 1 預貯金 ・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 2 不動産 ・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 預金通帳の写し 3 有価証券 4 現金 ・・・・・・ ・・・・・・ ○○銀行 不自然な報告内容 【銀行等】 【家庭裁判所】 後見人の権限剥奪 親族等からの情報提供 銀行等に 出金停止協力依頼 最優先案件として できる限り迅速に処理 家庭裁判所は,不正行為をうかがわせる情報を把握した場合には,被害拡大 を防ぐために組織を挙げて迅速に措置を講じることができるよう,あらかじめ各 担当者の役割を明確化するなどして,事務処理態勢を構築している。 3 Ⅱ 専門職の活用 ①不正の未然防止における 専門職関与のイメージ ②不正拡大防止における 専門職関与のイメージ 問題のある 後見人 財産の管理が複雑・困難な場合 家庭裁判所が 不正をうかがわせる情報把握 専門職後見人 専門職の後見人 権限剥奪 (財産管理権を失う) 管理すべき本人の財産が複雑・困難な場合など には,不正を未然に防止するために,弁護士や司 法書士等の専門職の後見人を選任 新たな後見人を選任 (財産管理権の付与) 後見人による不正がうかがわれる場合には,問題の ある後見人の財産管理権を失わせ,専門職後見人に 財産 管理権を与えることで,被害拡大を防止 ※ 専門職後見人等による不正が発生している点については,家庭裁判所と専門職団体とが緊密に連携し, 不正防止に向けた具体的な対策を進める。 4 Ⅲ 後見制度支援信託 後見制度支援信託の利用状況 後見制度支援信託の仕組み (人) 12000 10000 8000 6000 4000 2000 ○ 本人の財産のうち,日常的な支払をするのに必要十分な 金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない 金銭を信託銀行等に信託 ○ 信託財産を払い戻したり,信託契約を解約したりするには あらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要 本人の財産を適切に保護するための方法の一つ 0 H24.2∼ H24.12 H25.1∼ H25.12 H26.1∼ H26.12 H27.1∼ H27.12 年別 利用者数 98 540 2764 6563 累計 利用者数 98 638 3402 9965 ※1 ※2 後見制度支援信託は,平成24年2月1日に導入された。 後見人が代理して信託契約を締結した成年被後見人数及び 未成年被後見人数である。 5 Ⅳ 地域との連携① − 社会的ネットワークにおける家庭裁判所の役割 社会的ネットワークのイメージ (第1回利用促進WG資料の再掲) 家庭裁判所 連携 (後見人等候補者の推薦,不正情報の共有等) 連絡調整機能 社会全体で後見人を支援 福祉専門職 法律専門職 後見人等 行政機関 福祉関係団体 地域住民・NPO法人等 本人 医療機関 金融機関 ○ 不正事案の多くは,親族後見人の後見事務に対する理解不足からくるもの →社会的ネットワークによって後見人を多くの方が支援すれば,不正事案は自ずと減少 ○ 不正事案が発生した場合でも,家庭裁判所は,社会的ネットワークから得た情報を活用し, 不正行為を早期に把握して,迅速に対応を講じることが可能 6 Ⅴ 地域との連携② − 関係機関に対する期待 身上監護を担うことのできる後見人等の確保といった観点から, 親族後見人や市民後見人への期待の高まり 社会的ネットワークによる バックアップへの期待 金融機関からの協力への期待 管理する 金融資産が多くて 困っていたけど これで安心ね 報告・相談 【連絡調整機能】 【親族後見人】 日常的な 支援・指導 【親族後見人】 新たな金融サービス 【地域金融機関】 【市民後見人】 親族後見人や市民後見人に対する 継続的なバックアップ態勢の構築 (先進的な取組例・・・品川区,大阪市) 後見人の財産管理事務の負担を軽減する 後見制度支援信託以外の金融サービスの提供等 7
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