連合|男女平等参画 - 日本労働組合総連合会

発行日 2009 年 3 月 4 日
連合男女平等参画推進ニュース№16
連合・構成組織・単組・地方連合会の統一目標
運動方針に男女平等参画を明記する・女性組合員比率の女性役員を配置・女性役員ゼロ組織をなくす
「オーストラリアのペイ・エクイティー(賃金公平原則)」
調査報告についての学習会を開催
2009 年2月9日(月)に開催した連合本部第 16 回男女平等推
進員会における標記学習会についてご報告します。
サービス・流通連合(JSD)から国際局部長の本田小枝子さ
んを講師に招き、委員・事務局あわせ計 20 名が参加しました。
オーストラリア連邦政府が主導して進めている「ペイ・エクイ
ティー(賃金公平原則)
」の施策について説明を受けました。ま
た、政府の施策に対する労組の関わりについて、JSDが行った
ACTU(オーストラリア労働組合評議会)や、SDA(商店流通関連労働組合)のヒアリングを
含む現地調査報告を受けました。
ただいま、講演録を作成中です。
以下、本田小枝子JSD国際局部長の講演概要
【「ペイ・エクイティー」を調査した背景】
本田小枝子
サービス・流通連合
国際局部長
JSDはこの6年間で組合員が増えており、増加した組合員のほとんど
はパートです。パートのうち、9割は女性です。つまり、JSDの現在の
構成は、正社員とパートの比率6:4ですが、パート組合員が過半数を超
えるのは、時間の問題です。
そこで、パートの均等待遇に具体的にどう取り組んでいくかが課題とな
り、
「ペイ・エクイティー(賃金公平原則)
」に関心を持ったわけです。
オーストラリア政府が主導する「ペイ・エクイティー」の施策が、保守
政権時代の施策であることや、政府が率先して賃金平等について企業への
理解を求め、そのための手法を提示している点に注目しました。
また、政府の施策に対し、労働組合の関わりを把握する目的で、JSD
が定期的に交流を行っている労組にヒアリングを行いました。
JSDでは、今後産業労使間で「職務評価」がテーマになると考えてお
り、今回の調査を活かしていくこととしています。
EOWA(オーストラリア・職場における女性の機会均等庁)のキャッチコピー・EOWAのホームページより転載
【オーストラリアの取組み】
○オーストラリアでは、連邦政府が
EOWA(職場における女性の機
会均等庁)を設置し、1999年
の「職場における女性の機会均等
法」に基づき、100 人以上の企業に
同法の実施報告を毎年義務づけ、
女性の機会均等の推進企業を表彰
し、均等賃金の取り組み事例をH
Pで公表しています。
○平等報酬法の対象となるのかどうかは、勤続期間、雇用上の地位、パートか、フルタイムか、
有期・臨時雇用であるかどうかは問題ではありません。
○企業にとってのペイ・エクイティーのメリットとして、従業員の定着率を高めることと「選ば
れる使用者」となることにより優秀な人材を採用できることが挙げられます。また、法律上、
平等賃金を支払う義務があるので、企業が性別に基づく差別だと訴えられた時には訴訟という
直接リスクが発生します。さらに、使用者としての悪評や職場の人間関係悪化による生産性の
低下などという間接リスクも発生します。
○ペイ・エクイティーは、内部的にも、外部的にも株主や顧客の支店からも評判を高めるだけで
なく、その過程でブランド・イメージを高め、労働者とその家族、地域、社会の質を高めます。
つまり、企業CSR(企業の社会的責任)の判断基準の一つになります。
○EOWAは、企業が賃金分析を行うためのペイ・エクイティー(賃金公平原則)ツールを作成
し、活用促進をはかっています。
○政府の情報を得て、JSDは、SDA(商店流通関連労働組合)との定期交流の場で、政府が
EOWAを設置した経緯と、労組の関わりについてヒアリングを行いました。
○オーストラリアでは、1980 年代にオーストラリア労使委員会において、各職業の価値が判定さ
れ、全職業における共通のレベルが設定されました。はじめに委員会が判定した金属業界を 100
としたもので、小売業界の賃金係数について委員会より打診があり、92.4%を労使共通で提出
しました。この賃金係数は毎年の賃金交渉や最賃設定に使用されています。
○日本では、均衡・均等の努力はあくまでも企業労使となります。業界横断的な職務評価制度は
できていません。JSDにおいてもプロセールス資格制度をつくってきたけれど、賃金とは連
動していません。今後は適正な職務評価制度、それに連動した賃金制度がますます求められて
くると思います。
男女間賃金格差の国際比較
(内閣府
平成 19 年版「男女共同参画白書」より)
(備考)1.マレーシアは国連データベース, 米国は商務省
「Statistical Abstract of the United States」,その他の
国はILO「LABORSTA」より作成。
2.男性賃金を100とした場合の女性賃金の値。
3.賃金は常用一般労働者の決まって支給する現金給与額及び
賞与額(時間,日,週又は月当たり比較)。
4.日本,英国は2003年,フィリピン,オーストラリア,フラ
ンスは2004年,マレーシアは1997年,その他の国は2005年のデ
ータ。
5.労働者の範囲は,必ずしも統一されていない。
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