あなたの心を、カルバラーの沙漠にしてはならない

東京ジャーミイ金曜日のホトバ
2016 年 10 月 14 日
あなたの心を、カルバラーの沙漠にしてはならない
尊敬すべき信仰者の皆様!
私たちは、ヒジュラ暦1438年のムハッラム月を迎え
ています。このムハッラムという月は、尽きること
のな い祝福と叡智に満ちており、私たちの預言者
(彼の上にアッラーの平安と祝福あれ)は、これを
誰がそれをもたらしますか
「美徳の月」と呼んでおられま した。そして悲し
むべきカルバラーの事変が起きたのもこの月であり
ます。それは私たちの心に、深い傷を与 えました。
兄弟、姉妹の皆様!
カルバラーとは、イスラームのウンマ(共同体)にお
けるすべての信仰者に共通する何世紀にも及ぶ痛み
であり、また悲しみであります。たとえどこにいよ
うとも、どの宗派に属そうとも、心に信仰を持ち、
神のみ使いを愛し、そのサハーバ(教友)たちを愛
し、またそのご家族を愛する信仰者ならば誰しもが
抱えている、同じひとつの苦しみであります。
親愛なる兄弟、姉妹の皆様!
このカルバラーについて、適切なあり方で読み、理
解することこそ、今の私たちに課されている責任で
あります。これを物語に作り変えてしまったり、歴
OF ISLAM
史上のよくある出来事として一般化すべきではあり
ません。私たちはこの悲しむべき出来事から、学び
を得るべきなのであります。
カルバラーを理解するとは、何よりもまず、フサイ
ン(彼にアッラーの御満悦あれ)とその友人たちが自
らの命を犠牲にしたその道がすなわちクルアーンの
道であり、ムハンマド・ムスタファ(彼にアッラー
の平安と祝福あれ)の道であったのだと知ることを
意味しています。彼らが自らの命を犠牲に捧げたそ
の道の、最も高い価値を理解し、またそれを選び取
るということを意味しています。かつて彼らがそう
したように、真実、倫理、美徳、尊厳、そして名誉
のために努力するということを意味しているのです。
兄弟、姉妹の皆様!
今日(こんにち)、カルバラーについて、私たち全員
が新たな認識を身につけてゆかねばなりません。カ
ルバ ラーは統一と連帯のためのよりどころであ
り、決して分断や離別のためにあるのではありませ
ん。カルバラーと は、私たちが一体となるために
あるのです。全能の主がお命じになられた通りであ
ります。「あなたがたは神 と使徒に従いなさい。
そして論争して意気をくじかれ、力を失なってはな
らない。(8章46節)」
取ることにより、自らの進むべき方向を形づくるこ
とに あるのです。歴史の1ページに留まって、道を
見失うことではありません。カルバラーが私たちに
課している 義務と責任とは、私たちが自らの心の
扉を、お互いに大きく開き合うことであります。私
たちの心を、カルバ ラーの沙漠に変えてしまわな
いようにすることであります。私たちの預言者(彼
の上に平安あれ)の呼ぶ声、 「おお、神のしもべた
ちよ、互いに兄弟でありなさい!」とのお言葉に、
心の底から耳を傾けることであります。
兄弟、姉妹の皆様!
私たちは今もなお、イスラームの諸地域においてカ
ルバラーが続いているのを、悔悟の念と共に目撃し
ています。残酷な人々が今もなお、カルバラーの非
道をもって彼ら自身の兄弟、姉妹の血を流し、苦し
めています。偉大な文明の中心地のひとつであるア
レッポが、私たち人類の目の前で、今日も爆撃にさ
らされています。多くの罪なき人々がアレッポで、
またその他の多くのイスラームの地域において、毎
日、まるでカルバラーのように殺されているので
IS
EASY
す。子供たちの、女性たちの、そして罪なき人々の
ご遺体ががれきの下から運び出される光景が暴いた
のは、人道ががれきの下に葬り去られているという
事実であります。何故なら人類はこの恐怖と暴虐
を、ただ沈黙して見続けているのです。
兄弟、姉妹の皆様!
この痛ましい出来事の数々を前に、私たちはより広
い見識と深い洞察力を身につける必要があります。
私たちは共に分かち合う価値を高め、今一度、お互
いが創造において平等であること、宗教における兄
弟、姉妹であること、そして喜びも悲しみも共にし
ているのだということを、はっきりと宣言しなくて
はなりません。本日のホトバをフサイン(彼に神の
御満悦あれ)の祈りの言葉をもって終えたいと思い
ます。「おお、神よ!主にこそ、最も大いなる賞賛
あれ。おお、神よ!私たちの父祖たる預言者をお造
りになったことを感謝します。私たちにクルアーン
を下され、またその深さをお教え下さったことを感
謝します。おお神よ!真実を見る目と、真実を聞く
耳と、真実を思う心をお与え下さったことを感謝し
ます。おお、神よ!私たちを、感謝する者の一人と
してお認めください。誤った者たちを遠ざけた、信
仰者たちの守護者の一人としてお認めください!」
全体規則)
今日(こんにち)、私たちの責任とは、歴史から学び
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