スライド 1 - 鹿児島県肉用牛改良研究所

「避けるべき交配」
子牛セリ市名簿掲載 例
・近交係数 ・血統 ・血縁
・遺伝子保有確率
・遺伝的(不良形質・保因状況)
・初産や小柄な母牛
など
2-2 自家保留用(繁殖仕向育成牛)
その1
鹿児島県の産肉能力の推移
日本食肉格付協会 黒毛和種去勢牛・測定項目平均値
BMSNo.
7
枝肉重量kg
500
6.5
6.5
477.4
476.8
6.4
476.0
480
473.9
470.1
6
460
455.5
5.5
5.4
5.2
437.7
5
431.8
5.5
5.4
444.1
5.3
5
5.6
448.9
440
5.1
脂肪交雑
枝肉重量
4.5
420
4
400
10
12
14
16
18 年 20
22
24
26
27
遺伝的不良形質
肋骨の異常
奇肋骨欠損
(カブ)
尾部(無尾)
肛門閉塞
陰部(色,形状)
舌の異常
白舌
中接
奥接
毛色の異常
マンセン,スダレ,
ノリ口,股白,
赤毛(MSHR)
乳房部の異常
乳頭数不足
乳座・乳房部白斑
乳頭色(乳赤)
血統の全国的な似通いが顕著に
平成26年度供用中の雌牛頭数
全 国
父牛名号
鹿児島
551,116頭
頭 数
割 合
父牛名号
103,381頭
頭 数
割 合
平茂勝
60,063
10.9
金 幸
19,623
19.0
勝忠平
36,994
6.7
百合茂
12,164
11.8
百合茂
36,595
6.6
平茂勝
11,903
11.5
安福久
31,348
5.7
安福久
11,487
11.1
金幸
28,874
5.2
勝忠平
9,507
9.2
安平
24,276
4.4
安糸福
7,785
7.5
忠富士
19,555
3.5
忠茂勝
2,279
2.2
福之国
19,394
3.5
神徳福
1,852
1.8
福栄
15,213
2.8
金幸福
1,549
1.5
安糸福
13,918
2.5
安 平
1,452
1.4
合 計
51.9%
35%
合 計
77.0%
62%
繁殖雌牛の近交係数は上昇傾向
①産肉能力(枝肉重量・脂肪交雑)を追求し,販売収入向上を目指す。
特に牛肉輸入自由化以降・・・
黒毛和種の特徴を活かして・・・・・
②産肉能力の向上を目指した種雄牛改良及び造成
③産肉能力が高い特定種雄牛が多く交配で利用される
④特定種雄牛の産子の割合が多くなる。
うち繁殖雌牛として導入保留される雌♀産子が多くなる。
⑤父や,母方の祖先(父・祖父・・・)が似通った母
牛が多くなる。
近交係数が上昇
父と母の血統にどのくらい共通部分があるか
を表したもの
例)
親子交配は最低でも25%以上の近交係数
きょうだい交配は最低でも12.5%以上の近交係数
①先に現れる変化
②後から現れる変化
・遺伝的不良形質の発現
・遺伝病の発生
・発情がきにくい
・体が小さい
・もの食いが良くない
・肢が短い
・繁殖性の低下
(分娩間隔の長期化…)
・飼いにくい
・遺伝的多様性の損失
・発育が明らかに遅い
繁殖雌牛の近交係数は上昇傾向
登録雌牛の出生年ごと近交係数
H10
6.1%
H20
H26
8.6%
8.7%
鹿児島県産黒毛和種で発生する流死産に関する調査
(鹿児島大学農学部,和牛登録協会県支部)
母牛の年齢が若い
母牛の近交係数が高い
流産
死産
子牛虚弱
子牛の近交係数が高い
発生率
繁殖牛経営の根幹となる
母 牛
健康で,子を産み,育てること
子 牛
元気に,育つこと
を損なう恐れがある。
1 これまで行われてきた輪番交配・系統
間交配を今後も進めていく
種雄牛A(但馬系)
種雄牛B(気高系)
種雄牛C(栄光系)
2 遺伝子保有確率を利用した交配を行う
始祖牛の遺伝子を持っている確率
金水9
宝春
第20平茂 宝勝
益華福
31.2
4.5
48.7
12.1
秀幸福
19.2
7.5
37.1
28.6
忠福
茂金波
安福
神高福
23.9
7.1
3.0
34.7
23.5
7.0
0.0
34.3
県有種雄牛系統図
「白抜き」:繋用中
記載例
490
但馬血量25%以上
華 春 福
( 原 4756,H16, 金 幸 )
栄光を祖先
とする系統
栄
(登録番号,生年,母の父)
〃
50%以上
〃
100%以上
当所が,種雄牛の遺
伝子保有確率を表
示する際に設定
している「始祖牛」
光
田尻を祖先
とする系統
田
尻
(予兵1507,S14)
第5 栄光
田福土井
(黒2628,S26,大野)
(黒2685,S26)
金 水 9
(育43,S41,栄山)
1
金
徳
(高939,S59,第20平茂)
2
富
97
金
幸
(原2865,H5,神高福)
金
金
564
金 光 幸
383
金 幸 福
587
金
(育6,S34)
安美土井
(育48,S46)
伸 幸 福
11
(原5562,H23,金幸)
609
(育146,S54,宝春)
61
田安土井
秀 幸 福
(原5406,H21,百合茂)
607
(原4243,H13,平茂勝)
第1 5 金水
土 橋 幸
(原5248,H20,平茂勝)
(原4241,H12,第15金水)
澄
(原1648,S59,第20平茂)
34
金 幸 作
(原4031,H11,神高福)
375
(原1640,S60,第20平茂)
3
332
忠 福
56
(育129,S51,茂金波)
松 貴 幸
一
620
茂
神 高 福
4
(原5563,H23,安平)
(高839,S53,若花)
忠
(原2625,H3,第20平茂)
(高929,S56,宝徳)
金 安 正
454
勝
124
益 金 平
578
(原4481,H14,第20平茂)
478
金 政 治
有 希 美
12
財 金 茂
益 乃 幸
豊
参
気
(高63,S29,礼斉)
高
(育9,S34,錦福)
隼
信
(高369,S42)
豊
川
(育20,S40,豊参)
利 金 平
(原5705,H24,金幸)
福 美 勝
(原3049,H6,宝徳)
226
茂 美 福
(原2016,S62,隼信)
第 3 隼信
紋 次 郎
(高938,S56,田森土井)
福
130
157
(育142,S54,菊美土井)
宝
6
政
(原1921,S62,宝徳)
貫 太 郎
安谷土井
(原3678,H9,第20平茂)
(育85,S51,田森土井)
257
467
(育67,S45,光竜)
7
紋
295
(育134,S49,気高)
(原2441,H2,宝勝)
増 華 秀
625
松 華 幸
(原5706,H24,金幸)
福 光 徳
(原5774,H24,忠茂勝)
神 平 野
630
庭 梅 藤
(原5818,H24,勝忠平)
智 美 勝
633
桃 茂 華
(原5819,H24,忠茂勝)
茂 春 福
629
(原4878,H17,金幸)
博 中 福
(原5773,H24,神徳福)
松 茂 美
9
谷
秋
472
(黒11623,S58,茂茅波)
佐多気高
安
522
(原4030,H11,神高福)
342
和 華 政
(原4121,H11,安平)
福
(育180,S55,安美土井)
(原1683,S60,茂富士)
栄
371
忠 茂 勝
谷福土井
美 津 福
(育950,S60,菊美土井)
(原2748,H4,田森土井)
勝百合山
(原4370,H13,神高福)
431
吾 平 藤
忠 広 勝
安 福
安
(原5085,H19,金幸)
(原1255,S57)
(原2208,H1,安福)
平
437
安
安 平 照
(原3412,H8,照長土井)
(原4503,H14,紋次郎)
喜 亀 忠
(原5136,H19,谷照)
556
土 瀬 波
( - ,H25,金幸)
福 峯 栄
(原4716,H16,平茂勝)
福 隆 栄
645
亀 忠 昭
菊美土井
( - ,H25,金幸)
(育5,S29)
菊則土井
308
菊 美 津
(原3994,H11,菊安土井)
明
忠 本 勝
541
若 武 者
(原3536,H8,第20平茂)
485
土 幸 波
(原5494,H22,勝忠平)
647
(原4478,H14,平茂勝)
(原5084,H19,平茂勝)
534
595
(原5445,H22,百合茂)
岡 幸 藤
533
229
593
(原5133,H19,紋次郎)
(原4238,H12,忠福)
398
宮 貞 福
(原4918,H18,金幸)
540
土 龍 波
(原4675,H16,菊谷)
安福165の9
(原2886,H7,菊照土井)
岡 茂 福
神 通 力
(原5446,H21,神徳福)
安 鶴 福
福
326
591
太
(原1737,S60,宝徳)
平 茂 勝
隼 福 美
(原3855,H10,神高福)
敏 気 高
第20平茂
622
(原3249,H7,菊安土井)
(原4653,H15,第20平茂)
第15気高
武 勇 伝
(原2980,H6,第20平茂)
第2 安鶴土井
(原1823,S61,豊川)
勝
華 忠 良
(原5564,H23,忠茂勝)
(黒14423,H19,平茂勝)
(原5046,H18,忠福)
(育175,S47,気高)
608
(原5245,H20,第5隼福)
512
537
第 5 隼福
宝
561
(原3756,H8,第20平茂)
金 湧 水
(高388,S43,光竜)
(原4756,H16,金幸)
神 徳 茂
(原5244,H20,平茂勝)
140
金 吉 幸
第 8 気高
華 春 福
(原4201,H12,第20平茂)
559
美 智 勝
隼
490
(原5132,H19,平茂勝)
益 華 福
(高1689,S60,田安福)
29
357
542
(原4906,H17,神高福)
530
美 華 忠
(原3831,H10,第20平茂)
(原4717,H16,平茂勝)
(原4858,H17,平茂勝)
514
274
483
(原5353,H21,和華政)
621
(原4788,H16,平茂勝)
505
但 馬 福
(育176,S51,茂金波)
(原5352,H21,金幸)
580
(原4676,H16,神高福)
495
神 徳 福
(原2979,H6,宝勝)
(原5905,H25,忠茂勝)
419
美
(原2402,H2,但馬福)
(原5704,H24,金幸)
635
忠 茂 丸
(原4573,H15,平茂勝)
21
菊照土井
谷 照
(育32,S41,熱土井)
(育100,S48,田照土井)
(原2376,H2,安谷土井)
茂 光
茂 福
茂 金 波
茂 重 波
(予兵1869,S18)
(高22,S23)
(育7,S32)
(高634,S47)
550
安 藤 照
(原5200,H19,平茂勝)
413
美 千 照
(原4449,H14,平茂勝)
茂 虎 路
(原5202,H19,神高福)
558
忠 達 幸
三福を祖先
とする系統
(原5203,H20,平茂勝)
612
政 忠 幸
(原5633,H23,金幸)
東
高
(育187,第66栄光)
益
広
(黒99,S24,第3高麗)
初
春
(高126,S33,第6栄光)
宝
春
(育13,S36,三島)
寿
高
第 5 夏藤
(育204,H5,気高)
(黒高982,H9,祐徳)
宝
徳
(育128,S45,藤花)
吉
1
(育63,S48,福好)
31
寛
徳
(原2126,S63,豊川)
470
豊 乃 国
(黒13938,H15,第20平茂)
三
福
(予兵1509,S13)
北金波1
(黒13195,H10,菊照土井)
536
北金出水
(原5083,H19,平茂勝)
遺伝子保有確率・近交係数を考慮した適正な交配方法
県内で活躍している繁殖雌牛の血統や遺伝子保有確率・近交係数を基に,適正な交配種雄牛を記号で表記しました。
下表を参考に,雌牛の長所を伸ばしつつ欠点を補い,どのような繁殖素牛を保留するかを考慮しながら「鹿児島黒
牛」の改良を進めましょう。
繁殖雌牛の血統
№
父
母の父
1
2
3
4
5
6
金幸
7
8
9
10
11
12
母の祖父 金水9 宝春
神高福
忠福
安平
平茂勝
紋次郎
神高福
遺伝保有確率(%)
第20平茂
宝勝 忠福
茂金波
安福
神高福
近交
係数
(%)
32.7
6.9 39.8 25.4 25.2
6.7
0.0 43.6
11.8
32.9
4.7 38.5 25.6 34.7
9.3
0.0 24.8
10.0
31.3
3.3 35.9 23.4 12.7
5.8
6.4 24.9
7.6
31.7
3.6 37.3 24.4 13.5
4.2
0.2 25.0
8.1
第5隼福 34.4
4.0 39.1 24.8 26.2
7.1
0.1 26.3
10.3
但馬福 32.3
4.6 35.0 28.3 12.7
9.4
0.0 24.8
9.0
第20平茂 33.7
9.7 34.6 12.8 36.3
9.5
0.0 62.4
12.1
31.9 11.1 12.8 34.5 35.2
9.3
0.0 62.4
11.8
40.3 10.2 17.5 17.1 37.4 10.0
0.0 62.8
16.4
0.0 24.8
8.6
4.4 25.7 18.8 18.4
8.9 12.8 29.0
6.5
3.2 13.2 12.4 12.5
8.0 12.5 24.7
3.4
宝勝
金徳
忠福 第20平茂 33.2
安糸福 平茂勝 32.1
安平 隆美 31.3
4.7 34.5 12.7 57.3 15.5
交配種雄牛(最適:◎,適:○,可:△,不可:×)
金
幸
福
金
吉
幸
益
華
福
喜
亀
忠
華
春
福
土
龍
波
忠
茂
丸
松
茂
美
安
藤
照
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
○
○
○
○
○
○
○
◎
◎
◎
◎
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
○
○
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
繁殖牛の血統を踏まえた適正交配に心がけましょう!
・近交係数
・血統
・血縁
・遺伝子保有確率・遺伝的(不良形質・保因状況)
・初産や小柄な母牛
・遺伝的不良形質の発現
など
・遺伝病の発生
・遺伝的多様性の損失
・繁殖性の低下(分娩間隔の長期化…) ・分娩事故
1 避けるべき交配
前回の話
2-1 子牛販売用
2-2 自家保留用(繁殖仕向育成牛)
その1
鹿児島県の産肉能力の推移
日本食肉格付協会 黒毛和種去勢牛・測定項目平均値
BMSNo.
7
枝肉重量kg
500
6.5
6.5
477.4
476.8
6.4
476.0
480
473.9
470.1
6
460
455.5
5.5
5.4
5.2
437.7
5
431.8
5.5
5.4
444.1
5.3
5
5.6
448.9
440
5.1
脂肪交雑
枝肉重量
4.5
420
4
400
10
12
14
16
18 年 20
22
24
26
27
2-2 自家保留用(繁殖仕向育成牛)
環 境
要 因
成 績
①産肉能力
育種価
枝肉重量
ロース芯面積
皮下脂肪厚
脂肪交雑
旨味成分
<産肉能力>
枝肉重量
ロース芯面積
皮下脂肪厚
脂肪交雑
<種牛能力>
分娩間隔
②種牛能力
発育
分娩間隔
体型
その2
系統・血統
繁殖能力
哺育能力
強健性(耐病性)
飼養技術
飼養環境
生年
性別
と殺月齢
気象 など
2-2 自家保留用(繁殖仕向育成牛)
その3
1)母牛の育種価を調べましょう。
育種価照会や登録書,子牛セリ市名簿の子牛の期待育種(母育種価+父育種価/2)などから,母牛の育種
価を調べましょう。(県内育種価判明率90%以上)
2)牛群内の母牛を,産肉能力などで分けましょう。
グループA:育種価が高く雌産子を残す牛
グループB:血統,体型,登録点数,種牛能力などが良く雌産子を残す牛
グループC:その他(産子は市場販売,淘汰,不良因子)
3)後継牛を残す母牛を決めましょう。
※後継牛=自家保留牛(繁殖仕向け育成牛)
残す能力(産肉能力や体型,分娩間隔など)から選びましょう。(惜しい点も把握)
2-2 自家保留用(繁殖仕向育成牛)
【交配種雄牛】
(栄光系)
金吉幸
益華福
秀幸福
その4
【母牛】
父 種雄牛A(但馬ハーフ系)
祖父 種雄牛B(気高系)
祖祖父 種雄牛C(但馬系)
・肉用牛改良研究所では,主に栄光系(発育・増体・体型),気高系
(発育・増体),但馬系(肉質),但馬ハーフ系(肉質・増体)の4系統
に分けています。
・4系統の良い特徴を取り込むため系統間で順番に交配する。
2-2 自家保留用(繁殖仕向育成牛)
母牛の育種価を補う種雄牛を選び,
牛群の改良をしましょう。
A
A
B
B
県平均
県平均
C
県平均
枝重
枝重
サシ
サシ
A
母牛2
B
県平均
A
県平均
A
C
枝重
A
A
母牛1
県平均
A
県平均
C
サシ
B
県平均
※繁殖性や強健性を考えて体格があまり小さくなら無いように注意
B
その5
県有種雄牛による適正交配推進事業
未経産牛
県有種雄牛
(父は県有種雄牛)
・肉改研が指定する繁殖雌牛(未経産牛)に,県有牛種雄牛(肉改研が適正交配として指
定)の交配を実践し,受胎が確認された場合に,「忠茂勝」の精液を特別分譲する。
対象繁殖雌牛
(未経産牛で父が次の種雄牛)
交配種雄牛
金幸福,金吉幸
土龍波,松茂美,安藤照
華春福
金吉幸,土龍波,安藤照
忠茂勝,喜亀忠
金吉幸,土龍波,松茂美
安藤照