組織と管理 - 京都大学

組織と管理
−組織行動論とは−
経営学入門
組織行動論の目的
• 組織行動の構造(仕
組み)と過程(動き)を
理解して、その管理に
役立てる
• 組織と個人の違いと
その関係
– 組織はどのように個人
を動かすか
– 個人はどのように組織
を動かすか
統制
説明
予測
1
組織で動いている
•
企業、政府、NPOは組織として動いてい
る
–
•
「非合理的な」面も持つ組織の問題
–
•
経営の一側面としての組織の経営
規則、人情、独自の価値観、人間関係等々
組織活動の実証的な把握の面白さ
–
組織はヒーローではなく、ただの人間集
団...
組織行動論からの成果
•
•
•
•
•
•
•
•
品質と生産性の改善
対人スキル
多様な就労形態の従業員に対応
グローバル化に対応
部下へのエンパワーメント(権限委譲)
イノベーションと変革の促進
現在の瞬間のマネジメント
倫理的なジレンマの改善
ステファン・P・ロビンス『組織行動のマネジメント』ダイヤモンド社、
第1章より
2
組織行動論の視点の活用
ひどい合併劇:合併した会社は良く価値が向上しない
•
–
–
–
バランスシート上だけで計算した改革とM&A
過去の売上や資産を勘定、BSのお化粧
向上しない生産性と品質改善
ハゲタカ・ディールメーカーのよくやる手
例:カネボウ
•
–
–
–
会社をどう活かすかの議論が不在
繊維畑出身の高齢役員による旧来事業生存と高成長の化粧
品事業分野売却のおかしな提案
BSのお化粧だけでなく、競争力のための組織改善が必要
組織行動論の位置づけ
•経営学の範囲
–経営戦略論
–会計・ファイナンス
–マーケティング
–人的資源管理
–オペレーション・マネジ
メント
–経営情報論
経営管理論
(資源ベースの視点)
↑
組織行動論
Organizational Behavior /
Organizational Theory
↓
企業経済学
(企業行動の経済学)
3
企業の組織活動:堀場製作所
•[事業内容] 科学計測機器、環境用計測機器等
の計測機器の製造販売。分析・計
測に関する周辺機器の製造販売
•[創業]
1945年
•[資本金]
96億4千万円
•[上場]
東証,大証1部上場
•[代表者]
代表取締役社長 堀場 厚
•[従業員数] 3,984名
•[事業所]
国内(京都本社)等の国内や海外
•[売上高]
924億9千万円
※データは2005年
製品群
4
掘場製作所という企業組織
•
私たちとの関わり
製品の消費者、従業員、経営者、株主、お得意先、
地域住民、環境保護運動家
•
組織内部での関係
–
–
–
•
3700人の社会集団とその職場生活
計測機器メーカーとしての価値観、生き方
国内、海外の事業所ネットワーク
組織外での関係
–
–
–
京都大学、トヨタ自動車などとの取引、協力関係
掘場製作所グループ
さまざまな地域との関係、国際的な評価
堀場製作所の企業文化
おもしろおかしく
社是:おもしろくおかしく
個人にとっても社会にとっても「おも
しろおかしく」過ごせない人生は不毛
なものです。21世紀は、いままでの
社会以上に個人の発想や行動が、
全体につながっていく社会です。21
世紀は「おもしろおかしく」が一層重
要性を増す時代といっても言いすぎ
ではありません
いやならやめろ
出る杭を伸ばす
5
• 組織社会の時代
「人は組織の中で生まれ、暮らし、死ぬ」
企業、大学、病院、政府、自治体、警察、宗
教
個人では
達成でき
ない活動
を組織が
提供
技術の高度化
複雑性の増大
消費者として
組織と私たち
との関わり
・財・サービスの提供
・治安・安全
・癒し・心の豊かさ
・平和・安全・自由
組織
経営者・管理者として
•経営管理活動
•計画、評価、調整
•資源の貯蓄配分
の意思決定
組織の参加者として
学校: 学生・教員・事務
企業: 従業員、管理者
政府: 公務員、議員、
首長
6
ステークホルダー
(利害関係者)と
組織
消費者
顧客
株主
地域住民
管理者
競争相手
従業員
企業組織
メインバンク
納入業者
親会社
政府
自治体
関連子会社
独特の考え方
1
集合的属性
2
3
方法論的個人主義の限界
市場メカニズムの限界と
組織による調整活動の効率性
7
組織行動論の講義内容
組織行動論講義
キー概念
1.組織行動論の視点
第 1, 2回.組織行動論の考え方
と組織能力
2.組織の構造とデザイン
第 3, 4回 組織のとらえ方と環境
適応の意義
第 5, 6回 組織の基本的な構造
とデザイン
3.ミクロ組織行動論
第 7、 8回 リーダーシップ、モティ
ベーション
4.学習する組織
第 9,10回 組織文化と組織学習
5.組織の変革について
第11、12回 組織のイノベーション
と変革
6.日本的経営について
第13,14回 日本的経営の組織特
性と変化
• 組織能力と環境適応
• 組織の構造とデザイン
• リーダーシップとモティベー
ション
• 組織の文化と学習
• 組織の変化とイノベーショ
ン
• 日本的経営の過去と現在
様々な概念
• 組織能力
– 組織の持つ技能や学習能力
• 組織デザイン
– 環境に合わせて構造をデザインすること
• 組織文化
– 組織の持つ価値観、考え方
• 組織の学習能力
– 組織が、情報や知識を共有し、実践する能力
• 組織の変革
– 変革主体が、組織の変革を導いていくこと
• リーダーシップ
– 条件に応じて、指導能力を発揮すること
8
テキスト、資料
1.
テキスト関連
1.
テキスト
•
•
2.
辞典・事典
•
•
•
2.
桑田耕太郎・田尾雅人『組織論』有斐閣、1998年。
リチャード・L・ダフト『組織の経営学』東洋経済新報社、2002年。
岡本康雄編『現代経営学辞典』(改訂増補版)、同文舘, 1996。
金森久雄ほか編『有斐閣 経済辞典』(第3版)、有斐閣, 1998。
Nicholson, N. (ed.), Blackwell Encyclopedic Dictionary of
Organizational Behavior, Blackwell: Oxford, England, 1995.
資料
•
•
前半講義資料は下記のwebsiteにあります。
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~wakaba 「講義資料」
9