P1-A29 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2016 左内側膝蓋大腿靭帯再建術・外側支帯解離術後の extension lag に対し,HAL single joint が有効であった一例 1) 1) 1) 1) 喜瀬 直紀(PT) ,後藤 恭輔(PT) ,小谷 尚也(PT) ,福田 宏幸(PT) 2) 3) 4) 4) 斉田 和哉(OT) ,鎌田 聡(MD) ,森下 登史(MD) ,井上 亨(MD) 3) 塩田 悦仁(MD) 1)福岡大学病院 リハビリテーション部 2)福岡大学病院 リハビリテーション部 OTR 3)福岡大学病院 リハビリテーション科 MD 4)福岡大学病院 脳神経外科 MD Key Words HAL single joint・extension lag・フィードバック 【目的】 左内側膝蓋大腿靭帯再建術・外側支帯解離術後の後遺 の入れ方が分かる」「痛くない」といった感想が得られた。 また,HAL−SJ 使用前後に表面筋電図による評価を行 症により著明な extension lag が生じ,ロボットスーツ い使用前後の筋電図波形を比較した。筋電図波形が大き HAL® 単 関 節タイプ (HAL-SJ) を使 用して即 時 的 な くなったものとしては内側広筋・外側広筋。波形が小さく extension lag 改善に加えて表面筋電図の使用前後変 化が認められた症例を経験したので報告する。 【方法】 筑波大学システム情報工学研究科山海研究室で開発さ なったものとしては縫工筋が認められた。 【考察】 現在の主な extension lag の改善を目的とした理学 療法においては大腿四頭筋 setting・EMS(Electrical れたロボットスーツ Hybrid Assistive Limb®(HAL®) Muscle Stimulation)を併用したものが主となってい は身体を動かそうとするときに皮膚表面に現れる微小な電 る。しかし,これらは治療課程において大腿四頭筋の収 位(生体電位)を検出して下肢に障害を持つ方や筋力の 縮の有無・強さを触診や視診により客観的に確認するこ 低下した方の筋力・歩行機能をサポートする装着型の自 とは可能であるが,患者自身が主観的に筋の収縮・異常 立 歩 行 支 援 ロ ボット で あ る。今 回 我 々 が 使 用し た 収縮を確認すすることは難しいと考えられる。また,本症 HAL-SJ は名称のとおり一つの関節のみを介助するもの 例においても徒手的な自動介助運動・EMS では運動感 であり,目的筋の生体電位発生状況・強度をモニターに 覚をフィードバックすることは困難であり,改善には至ら て確認しフィードバック・ネガティブフイードバックするこ なかった。HAL-SJ を使用することで視覚的情報をもと とにより膝・肘関節の目的筋促通・抑制に重点を置いた に主観的なフィードバック・ネガティブフィードバックが可 ものである。 能であり,extension lag 改善に繋がったのではないか 各電極の貼付部位や HAL-SJ 装着方法に関しては「ロ と考える。また,「痛くない」といった感想に関しては, ボットスーツ HAL® 単関節タイプ(HAL-SJ)取扱い説 装着者が筋力を発揮するよりも先に関節を駆動させること 明書」に記載されている通りに実施した。通常の理学療 ができるため少ない関節の負担で運動が可能であったた 法のなかで膝関節伸展運動のみ単関節 HAL® を術後7日 めと考えられる。 目に実施した。生体電位を検出する電極添付部位は1セッ 【まとめ】 ト目(大腿直筋・大腿二頭筋)2セット目(外側広筋・半 本症例では HAL-SJ を用いた急性期リハビリテーショ 腱様筋)3セット目(内側広筋・半膜様筋)とした。患者 ンにより著明な extension lag を即時的・持続的に改善 にモニターにて生体電位を確認してもらい1セット20回を できた。目的筋の生体電位発生状況・強度を確認,フィー 3セット実施した。また,HAL−SJ 使用前後にて筋電図 ドバック・ネガティブフィードバックができることにより目 評価を行い,電極添付部位は内側広筋・大腿直筋・外側 的筋の促通・抑制が可能であり,extension lag が改善 広筋・縫工筋・大腿筋膜張筋・半腱様筋・半膜様筋・大 腿二頭筋に貼付した。 【結果】 HAL-SJ 使用前は extension lag50° であった。単関 していく可能性が示唆された。 【倫理的配慮,説明と同意】 ロボットスーツ HAL® 単関節タイプ(HAL-SJ)を用 いたリハビリテーションについては,ヘルシンキ宣言に基 → 節 HAL® 初回(術後7日目)で extension lag50° づき福岡大学病院倫理委員会の承認と患者から書面によ 35° と改善がみられた。実施中に疼痛の訴えはなく「力 る同意を得て実施した。
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