「教員の「研究不正」 2

平成 28 年 10 月 21 日
関係各位
国立大学法人福岡教育大学長
櫻井
孝俊
「教員の「研究不正」に係る告発状」に関する調査結果について(報告)
2016 年 9 月 1 日付文書にて「教員の「研究不正」に係る告発状」が提出されたため,本学においては,
国立大学法人福岡教育大学研究活動不正防止規程(以下,「規程」という。)に基づき,国立大学法人福
岡教育大学研究活動不正調査委員会(以下,「委員会」という。)を設置し予備調査を実施させました。
委員会の調査報告を受け,研究不正の事実は全く認められず,10 月 11 日付文書にて告発者に通知したと
ころです。
本学に設置された福岡教育大学教職員組合の掲示板や,一部SNS等によって,本事案の内容が明ら
かにされていました。規程第 30 条によれば,不正行為の事実がないと認定した場合は,原則として調査
結果を公表しないものと規定されていますが,既に調査事案が外部の知るところとなっていることから,
調査結果を公表することとしました。よって,不正行為の事実がないと認定したときの措置を定めた規
程第 30 条第 2 項による「被告発者の不利益発生防止策の実施及び名誉回復に係る措置」として,本事案
について下記のとおり報告します。
記
1.告発内容及び調査方法について
① 告発内容
「修士論文抄録」がそのまま「福岡教育大学体育研究センター紀要」に本学教員を共著者として掲
載されていることが,大学教員による「盗用」に当たる,というものである。
② 調査方法
当該告発に係る紀要や論文の確認,関係者への聞き取り調査等に基づき,国立大学法人福岡教育
大学研究活動不正調査委員会において審議(予備調査)を行った。
2.調査結果について
① 結果
委員会の調査結果報告を受け,研究不正の事実は全く認められないと判断した。
②
理由
以下のとおりいずれも適切であった。
(1) 「盗用」について
執筆した当該院生が自身の修士論文抄録の内容を紀要に投稿したものである。その際,筆頭
著者である当該院生が共著者名を記載しているものであり,
「国立大学法人福岡教育大学研究活
動不正防止規程」において「他の研究に従事する者等のアイディア,分析・解析方法,データ,
研究結果,論文又は用語を当該者の了解又は適切な表示なく流用すること」と規定された「盗
用」にあたる部分は全くない。修士論文抄録と同様の内容の論文を紀要等に投稿することは,
二重投稿にも当てはまらず,適切なことである。
(2) 「不適切なオーサーシップ」について
告発者が「不適切なオーサーシップ」をもって「盗用」と解していることも考えられるため,
検討を行った。当該院生及び被告発者への聞き取り調査の結果,被告発者の当該院生の研究遂
行及び論文作成への貢献については筆頭著者である当該院生の認めるところであり,適切であ
る。
(3)修士論文抄録を紀要等に投稿することについて
(1)で述べたとおり諸規程等に照らして,修士論文と同様の内容の論文を紀要等に投稿す
ることは,二重投稿に当てはまらず,不正行為となる要素は微塵もない。教員養成を使命とす
る本学において,殊に教科教育法に関する研究成果を広く教育関係者に発信していくことは大
切なことである。修士論文を学位論文として大学に提出して完結させるのでなく,これらの成
果を発表することは,教育界への貢献として意味のあることだと考えられ,修士論文抄録を紀
要に投稿しているという方法もその一つだと思われる。なお,
「修士論文抄録」は大学の内部資
料であり,公表論文とはみなされないものである。
以上