CIM対応三次元地盤モデルデータ報告書・1章・2章

第Ⅰ編 一般
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1.研究概要
1.1 一般概要
研究テーマ
CIM に対応するための地盤情報共有基盤ならびに三次元地盤データモデル標
準の検討
研究期間
自:平成 26 年 8 月 16 日
至:平成 28 年 8 月 31 日 (2 年間)
研究内容
本研究は CIM で活用可能な信頼性の高い地質地盤モデルの作成支援を目的と
して,以下に示す「研究課題Ⅰ」および「研究課題Ⅱ」を実施した。
研究課題Ⅰ:三次元地盤モデル作成の基となる地盤情報の管理と公開を支援する情
報共有基盤の開発
課題
テーマ
メタデータの標準仕様作成
主な研究・開発の内容
地盤情報DBを構築するために必要なメタデータの標準仕様の策定
電子納品を支援する基盤3種類の開発
Ⅰ
電子成果品の二次利用を支援する基盤3種類の開発
地盤情報共有基盤の開発
Web-GIS公開システムの開発と地盤情報データベースの基本設計
各プログラム管理用ウェブサイトの開発
研究課題Ⅱ:CIM で活用可能な三次元地盤データモデルの標準化
課題
テーマ
主な研究・開発の内容
三次元地盤モデル 形状データの標準仕様策定(提案)
三次元地盤モデルデータの
標準仕様作成
三次元地盤モデル 属性データの標準仕様策定(提案)
三次元地盤モデル 管理データの標準仕様策定(提案)
Ⅱ
CIM対象別(分野別)地盤
モデルの作成事例
構造物基礎地盤や道路(トンネル)など9種類の事例紹介
サーフェスモデラーの開発
地盤情報共有基盤の開発
関連するプログラム7種類の開発
各プログラム管理用ウェブサイトの開発
研究成果
三次元地盤モデル作成を支援するデータ標準と共有基盤の作成と公開
注 公開とは,一般への無償公開を指す。
研究機関
一般社団法人 全国地質調査業協会連合会
住所:〒101-0047
東京都千代田区内神田 1-5-13 内神田 TK ビル 3F
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1.2 実施工程
本研究全体の実施工程と内容を 図-1.2.1 と 表-1.2.1 にまとめた。
Ⅰ 地盤情報の管理・公開支援用情報共有基盤の開発
メタデータの標準仕様作成
Web-GIS公 開シ ス テム
二次利用支援
Ⅱ 三次元地盤データモデルの標準化
概略工程
地盤情報共有基盤の開発
☆電子納品を支援する基盤開発
:座標値の読取処理等4種類
☆電子成果品の二次利用を支援
する基盤開発:
メタデータ抽出処理等3種類
Web-GIS公開システム構築
平成26年度
三次元地盤モデルデータ
の標準仕様作成
三次元地盤情報
共有基盤の開発
☆サーフェスモデラーの開発
・OCU Geomodeller
・Terramod_BS(BS-Horizon)
☆関連するプログラムの開発
・標高データ取得処理
・入力データ作成処理
・地質の論理モデル作成処理
・パネルダイアグラム推定処
理
・三次元可視化処理
・ボーリングモデル作成
・管理用ウェブサイト
☆三次元地盤モデル 形状データ
☆三次元地盤モデル 属性データ
☆三次元地盤モデル 管理データ
試験公開を経て一般へ公開
CIM対 象別 (分 野別 )地盤
モデルの標準仕様作成
構造物基礎地盤,道路(トンネ
ル),河川堤防,ダム(堤体),
土工(切土,堤体材料),道路
(斜面),地すべり,地質調査全
般
平成27年度
平成28年度
実証実験(高知県内他)
試験公開を経て一般へ公開
図-1.2.1 研究内容と実施状況
表-1.2.1 実施工程
H26
H27
H28
実 施 項 目
8
9
10
11
12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
4
5
6
7
8
(1)三次元地盤モデル作成の基となる地盤情報 の管理と公開を支援する情報共有基盤の開発
1)地盤情報のメタデータの標準仕様作成
2)地盤情報の共有基盤の開発
(2)CIMで活用可能な三次元地盤データモデル の標準化
1)三次元地盤データモデルの標準仕様の作成
2)CIM対象別(分野別)の地盤モデルの標準仕様
3)サーフェスモデラー及び関連プログラム開発
(3)実証実験
(4)3Dモデラー調査
(5)委員会の開催
●
●
当初計画
研究実施
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●
●
1.3 本研究における用語の定義
① ボーリングデータ類:ボーリング交換用データ(XML),土質試験結果一覧表データ(XML)
およびデータシート交換用データ(XML)。
② 三次元地盤モデルデータ:三次元地盤モデルの地層境界面の形状を保存するデータ。
③ 三次元地盤モデル属性データ:②において,地層境界面間に存在する各地層の地層名や
地盤常数などを保存する属性テーブルデータ。
④ ツ ー ル (ア プ リ ): サー バ あ る い は ク ライ アン ト パ ソ コ ン で 稼働 する プ ロ グ ラ ム の こと
で,実行形式(exe)やインタプリタ形式などは問わない。
⑤ VRML:「Virtual Reality Modeling Language」の略。ウェブブラウザで三次元形状を
表現するためのマークアップ言語とファイル形式のこと。通常はブラウザに,専用のプ
ラグインアプリを組み込んで 3DCG 表現する。現状では,以下の⑥より高機能であり,一
部の 3D プリンタが対応している。
⑥ WebGL:「Web Graphics Library」の略。ウェブブラウザで 3DCG を表示させるための
JavaScriptAPI である。最新のブラウザであれば,特別のプラグインは必要としない。
1.4 研究状況の変化により開発を中止したツール(プログラム類)
① 断面図作成用及び平面図作成用 CSV コンバータ
研究当初,サーフェスモデルから任意の断面と平面の各データを CSV 形式でエクス
ポートできるコンバータを開発する計画であったが,本研究の成果であるウェブ版
OCU ジオモデラーの出力形式を「3D-DXF 形式」にすることができたため,両コンバー
タを開発する意義が失われたと判断して両方のプログラムの開発を中止した。
ビ ュ ー ア : Bentley View V8i (SELECTseries 4)
図-1.4.1 サーフェスジオモデラーの出力データを CAD ビューアで図化した例
② 鉛直一次元地盤柱状体モデルデータ生成用 XML コンバータ
研究当初,一部のマイクロゾーニング用シミュレーションプログラムのデータ形式
である標記 XML 形式データを開発する計画であったが,その後の調査によりニーズが
殆ど無いことが判明したためコンバータの開発を中止した。なお,その分の労力をサ
ーフェスジオモデラーの出力形式を「3D-DXF 形式」にすることに傾注した。
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1.5 委員会の開催
本研究の内容や成果について,産官学で構成される「CIM 対応地盤情報共有基盤ならび
に三次元地盤データモデル標準化委員会(以後,委員会)」に適宜報告し,得られた有識者
からの意見等を参考にして,本研究で構築した各種標準データモデル,システムや実証結
果を自己評価した。
表-1.5.1 に示すように,委員会委員の構成は,三次元地盤モデリング研究のパイオニア
である大阪市立大学,日本情報地質学会,国土交通省,土木研究所,県下の市町も含めて
地盤情報並びに防災情報の公開に先進的に取り組んでいる高知県および地質調査業者であ
る。
表-1.5.1 委員会の構成員
氏 名
委員長
委員
事
務
局
備 考
年 度
升本 眞二
大阪市立大学 大学院理学研究科 教授
学識経験者
根本 達也
大阪市立大学 大学院理学研究科 講師
学識経験者
白土 正美
国土交通省 大臣官房技術調査課 工事監視官
∼2015年度
山下 眞治
国土交通省 大臣官房技術調査課 工事監視官
2016年度
高須 博幸
国土交通省 大臣官房技術調査課 課長補佐
永田 耕之
国土交通省 大臣官房技術調査課 建設技術調整室課長補佐
森下 淳
国土交通省 大臣官房技術調査課 課長補佐
∼2015年度
宮川 康平
国土交通省 大臣官房技術調査課 課長補佐
2016年度
佐々木 哲也
(独)土木研究所 地質・地盤研究グループ
土質・振動チーム 上席研究員
学識経験者
阿南 修司
(独)土木研究所 地質・地盤研究グループ
(特命事項担当)上席研究員
学識経験者
野々垣 進
オブザ
ーバー
所 属
(独)産業技術総合研究所 地質情報研究部門
情報地質研究グループ 研究員
∼2015年度
2016年度
学識経験者
北川 尚
高知県 東京事務所 理事
2014年度
中島 俊彦
高知県 東京事務所 参事
2015年度
小松 信彦
高知県 東京事務所 副参事
2016年度
秋山 泰久
(一社)全国地質調査業協会連合会 情報化委員長
(国際航業(株) 技術本部防災部 国土情報G 技術担当部長)
照屋 純
(一社)全国地質調査業協会連合会 情報化委員
(日本工営(株) 名古屋支店 技術部 部長)
海津 優
(一財)日本建設情報総合センター
システムエンジニアリング部 部長
影山 輝彰
(一財)日本建設情報総合センター
建設情報研究所 研究開発部 主任研究員
川島 広人
(一財)日本建設情報総合センター
建設情報研究所 研究開発部 主任研究員
土屋 彰義
(一社)全国地質調査業協会連合会
中田 文雄
(一社)全国地質調査業協会連合会
安藤 潤
(一社)全国地質調査業協会連合会
坂森 計則
(一社)全国地質調査業協会連合会
和田 里絵
(一社)全国地質調査業協会連合会
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∼2015年度
2016年度
表-1.5.2 は,委員会の開催概要である。
なお,CIM のデータモデルの検討に当たっては,JACIC の CIM 技術検討会のメンバーを務
める全地連情報化委員会と連携した。
表-1.5.2 委員会の開催概要
日
1回
時
2014年 12月 21日 (金 )
場
所
全地連会議室
14時 ∼ 16時
主 な 議 題
委員の紹介
本研究の趣旨説明
質疑応答
2回
2015年 6月 9日 (金 )
全地連会議室
13時 30分 ∼ 15時 30分
委員の紹介
研究課題Ⅰの経過報告
研究課題Ⅱの計画説明
質疑応答
3回
2016年 2月 17日 (水 )
全地連会議室
13時 30分 ∼ 15時 30分
委員の紹介
研究課題Ⅰの経過報告
研究課題Ⅱの経過報告
実証実験の計画説明
質疑応答
4回
2016年 8月 22日 (月 )
全地連会議室
13時 30分 ∼ 15時 30分
委員の紹介
報 告 書 (案 )の 報 告
質疑応答
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2. 研究内容と成果について
2.1 研究の背景
ボーリングデータを主とした地盤情報の管理と公開は幾つかの機関で行われているが,
それらは必ずしも CIM におけるデータの三次元化を念頭においたものではない。また現在,
「こうち地盤情報公開サイト」や「(公社)地盤工学会全国電子地盤図」のように,ボーリ
ングデータ等を使用して作成した三次元地盤図などの公開もはじまっているが,それらの
データフォーマットや公開形態は公開する機関(主体)の仕様に依存しており,標準化や統
一がなされていないのが現状である。
本研究は三次元という切り口で汎用的な地盤情報の共有基盤を開発するとともに,デー
タモデル標準を検討しており,地盤情報分野における既往の研究と一線を画するものと考
えている。
三次元地盤モデルは,実体モデルではなく技術者の解釈を加えた推定(想像)モデルであ
るという点が大きな特徴である。よって,CIM で活用可能な信頼性の高い高精度の地盤モ
デルを作成するには,三次元地盤モデルの基となる地盤情報を如何に正確に入手するかが
極めて重要になり,具体的には以下の 4 項目の課題を克服する必要があると考えている。
① 地盤情報の精度と信頼性の確保
⇒実際に電子納品されたボーリングデータの中には,誤った位置情報が記載されて
いるケース,複数本のボーリングが同じ座標値を持っているケースなど,信頼性
に欠けるものが少なからず存在している。
② 地盤情報の数量の確保
⇒モデリングの対象範囲内に,地盤情報が均一に分布することが望ましい。特に,
広域の三次元地盤モデルを構築する場合,CIM 対象である単一の公共事業での調
査成果のみでは,信頼性の高い地盤情報の数量を確保できない場合もあり得る。
③ 地盤情報を広く利用できる情報共有基盤の構築
⇒国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」など,公開と利活用が進んでいる行政機関
が存在する一方,電子納品そのものが普及していないため,地盤情報の公開と利
活用が困難となっている地方自治体なども存在している。
④ 地盤情報と三次元地盤モデルデータの標準化
⇒地盤情報の管理・公開様式は公開主体が独自に決めているため,地盤情報のデー
タフォーマットは国内的に統一されていない。
本研究は,上記 4 つの課題に対応し,情報共有基盤の開発と公開ならびに,三次元地盤
データモデルの標準化を行うことを目的として実施した。
2.2 CIM における三次元地盤モデルの構築と本研究との関係
図-2.2.1 は,CIM における地盤の三次元モデルの構築と業務成果品の作成手順のイメー
ジである。図に示す「三次元モデル作成(含む属性付与)」と「事業(業務)共有フォルダ」は,
現在の地質・土質調査成果電子納品要領(案)には規定のない部分である。
CIM 制度が採用された場合,上記の電子納品要領(案)は改訂されると考えられるので,そ
の際に本研究の成果が取り入れられることを念頭に置いて本研究を進めることにした。
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本 研 究 は 、赤 枠 内 を 実
施するために必要な
方法等を提案する。
[出 典 : 全 地 連 ・ CIM 対 応 ガ イ ド ブ ッ ク ]
図-2.2.1 CIM における三次元地盤モデル構築の手順
2.3 研究課題Ⅰ[三次元地盤モデル作成の基となる地盤情報の管理と公開を支援する情報共
有基盤の開発]について(表-2.3.1 参照)
国土交通省及び地方自治体が実施する地質調査業務などへの支援も視野に入れ,情報共
有基盤としての各種標準を検討すると共に支援ツール類を開発した。
国土交通省は,ボーリングデータ類を「国土情報公開サイト KuniJiban」から,著作権
を設定せずに公開している。すなわち,何人も自由に利用できるようになっている。この
ことは,国が進める「オープンデータ」と「ビッグデータ」の範疇に該当すると考えられ
るため,前述の情報共有基盤云々の検討と開発対象には,ボーリングデータ類がオープン
データとビッグデータとして利用されることも視野に入れることにした。
なお,支援ツール類は「FOSS(Free and Open Source Software)」として公開をおこなっ
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ている(本研究では,支援ツール類への著作権を設定しない)。
表-2.3.1 研究実施項目Ⅰの実施内容(成果)
項 目
1)地盤情報メタデータの標準仕様作成
策定したデータ標準
ボーリングデータ類のメタデータ
項 目
開発したプログラム群
電子納品を支援する基盤の開発(位置座標の確認)
・ウエブ版 座標値の読取りと確認処理(2種類)
・ウエブ版 位置座標の確認処理
・ウエブ版 測地系の変換処理
2)地盤情報共有基盤の開発
電子成果品の二次利用を支援する基盤の開発
・ウエブ版 メタデータ抽出処理
・ウエブ版 地盤データの抽出処理
・ウエブ版 土質試験結果一覧表の表示処理
・Web-GIS公開システム構築
2.3.1 地盤情報メタデータの標準仕様作成について
メタデータとは,データベースに登録されている(生)データを効率的に検索するために
使用するインデックスデータのことであるが,本研究では「検索方法」も含めた。
ボーリングデータ類に係わるメタデータ仕様の開発に当たっては,三次元地盤モデルの
構築に必要なパラメータとなる地盤常数を的確かつ迅速に検索できるように配慮した。
図-2.3.1 は,ボーリングデータ類を電子地図上で検索すると仮定したときに,クライア
ントとサーバ間で行われる情報の流れ方(イメージ)である。本研究では,様々な検索方法
を想定して最も検索効率が良くなるメタデータの標準仕様(スキーマ)を開発した。
検討に当たっては,総務省平成 24 年度実証事業「情報流通連携基盤の地盤情報における
実証に係る請負」で構築されたボーリングデータ類のメタデータ標準(XML Schema)を参考
にした。このメタデータ標準(XML Schema)は一般に公開されており,自由に使用・加工す
ることが許可されているためである。
図-2.3.1 ボーリングデータ類を電子地図上で検索する場合の情報の流れ方(イメージ)
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2.3.2 地盤情報共有基盤の開発について
地 盤 情 報 ( 属 性 値 )の メ タ デ ー タ 標 準 仕 様 に 則 り , ボ ー リ ン グ デ ー タ 類 と 地 盤 情 報 を
Web-GIS データベースに登録・検索・閲覧するための情報共有基盤(公開・提供システム)
を開発した。
三次元地盤モデルの信頼性には,その基となる地盤情報の位置の正確性が大きな影響を
与えるため,共有基盤の中にはボーリングデータ類の位置情報チェックツールも開発の上
組み込むことにした。
(1)電子納品を支援する基盤の開発
国土交通省の電子納品運用ガイドライン【地質・土質調査編】(H22 年 8 月)には,ボー
リングを実施した位置を電子地図上にプロットしてその座標値が正しいことを確認した後
で納品すること,という規定があり,同ガイドラインには電子納品時に添付するチェック
シートの見本が掲載されている。これは,ボーリングした位置の情報(緯度・経度)が不正
確であると,そのボーリング情報の再利用価値がほぼゼロになってしまうために設けられ
た規定である。
本研究ではこれらの背景から,ボーリングデータの電子納品時にも使用できると共に,
本研究の成果である三次元地盤モデルの地盤情報の属性テーブルを作成する際にも利用で
きるボーリングデータの位置座標確認ツール他 2 種類を開発した。
ツール類の概要を以下に略記する。
・座標値の読取り処理:パソコン版とスマートフォン版の 2 種類からなり,電子地図
の中心位置座標(緯度・経度)を読み取ることができる他,公開されている地図タイ
ルの重ね描き機能がある。
・位置座標の確認処理:業務管理ファイルの登録情報とボーリングデータの主な標題
情報を表示する一方,業務範囲の境界線とボーリング地点を図示する機能がある。
・測地系の変換処理:ボーリングデータの旧測地系を新測地系ら変換し,新旧の場所
を図示する機能がある。
本ツールは,フリーツールとして一般に公開・提供されている「地質情報ポータルサイ
ト(位置座標読取り・確認ウェブサイト)」をカスタマイズした。
(2)電子成果品の二次利用(利活用)を支援する基盤の開発
納品されたボーリングデータなどの電子成果品を所内で再利用(一次利用)したり,一般
に提供して利用して貰う(二次利用)場合,その多くは地盤情報データベースを構築するこ
とや,地盤情報を適宜抽出して統計処理ことなどであろう。
本研究ではこれらの背景から,ボーリングと土質試験結果一覧表データを二次利用する
際に有用であろうと考えた 2 種類のツールを開発した。
ツール類の概要を以下に略記する。
・ボーリングデータ類のメタデータ抽出処理:ボーリング交換用データから,地盤情
報 DB に登録するために必要なメタデータを自動的に抽出するツールであって,複数
のボーリング交換用データ(XML)を直接読み込める機能と,抽出結果を目視確認する
と共に CSV ファイルで保存できる機能がある。
・地盤情報の抽出処理:ボーリングデータと土質試験結果一覧表データから,地層別
の地盤常数を自動的に抽出するツールであって,複数のボーリング交換用データ
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(XML)を直接読み込める機能と,抽出結果を目視確認すると共に CSV ファイルで保存
できる機能がある。
本ツールは,フリーツールとして一般に公開・提供されている「地質情報ポータルサイ
ト(メタデータの抽出処理ウェブサイト他)」をカスタマイズした。
(3)Web-GIS 公開システム
①ボーリングデータ類と三次元地盤モデルデータと同属性データを登録し,電子地図あ
るいはキーワード検索によって公開・提供するためのシステムであって,Web-GIS サ
ーバの部分と,クライアントのウェブブラウザ内で稼働するツールから構成される。
②前項で策定された地盤常数(属性値)とメタデータの各標準仕様に則り,地盤情報デー
タベースの設計を行って,メタデータなどの登録ツールも併せて開発した。
③実証実験で使用した Web-GIS サーバは,専門業者からクラウド型をレンタルした。
④本研究期間中,平成 28 年(2016)熊本地震が発生した。事務局では,本研究で開発した
Web-GIS 公開システムを利用して,同地震の復旧・復興を支援する地盤情報公開サイ
トを立ち上げ,本システムが実用の域に達していることを実証した。
図-2.3.2 は,
その支援サイトの画面例である。
図-2.3.2 開発した Web-GIS 公開システムを利用した熊本地震復興支援サイト(合成)
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2.4 研究課題Ⅱ[CIM で活用可能な三次元地盤データモデルの標準化]について
表-2.4.1
研究実施項目Ⅱの実施内容(成果)
項 目
1)三次元地盤モデルデータの標準仕様作成
策定したデータ標準
三次元地盤モデル 形状データの標準仕様策定(提案)
ボーリングモデル,テクスチャモデル,准三次元(地質)断面図,
サーフェスモデル,ソリッド・ボクセルモデル,柱状体モデル,
パネルダイヤグラム
三次元地盤モデル 属性データの標準仕様策定(提案) 上記に同じ
三次元地盤モデル 管理データの標準仕様策定(提案) 上記に同じ
2)CIM対象別(分野別)地盤モデルの
仕様作成標準
構造物基礎地盤,道路(トンネル),河川堤防,ダム(堤体),
土工(切土,堤体材料),道路(斜面),地すべり,地質調査全般
項 目
3)サーフェスモデラー
及び関連するプログラムの開発
開発したプログラム群
サーフェスモデラーの開発
・ウェブ版 OCU Geomodeller
・Terramod_BS(BS-Horizon)[改良][地層境界面の形状推定プログラム]
関連するプログラムの開発
・ウェブ版 標高データ取得処理
・ウェブ版 入力データ作成処理
・ウェブ版 地質の論理モデル作成処理
・ウェブ版 准三次元断面図作成処理
・ウェブ版 三次元可視化処理
・ウェブ版 ボーリングモデル(イメージ)作成
・各プログラム管理用ウェブサイト
2.4.1 三次元地盤データモデルの標準化
(1)標準化の対象としたデータ類
三次元地盤データモデルの標準化に関して,以下に示す 3 種類のスキーマを検討した。
①三次元地盤モデルデータ:地層境界面推定方式(サーフェスモデル)により作成され
た地層境界面の形状データを保存・格納するためのデータ標準。
②三次元地盤モデル属性データ:地層境界面推定方式により作成された地層境界面間
の属性データを保存・格納するためのデータ標準。検討に当たっては,ソリッドモ
デルのデータ構造との関係を念頭に置いた。
③上記 2 種類のメタデータ:Web-GIS 公開システムで三次元地盤モデルを公開するた
めに必要なメタデータのデータ標準。
(2)CIM の対象とデータモデル
構造物基礎や河川堤防など,以下に示す CIM の主な対象ごとに最も適切と思われる登録
項目などを検討し,それらを集約して地盤情報のデータモデルを策定した。
「構造物基礎地盤」,「道路(トンネル)」,「河川堤防」,「ダム(堤体)」,「土工(切
土,堤体材料)」,「道路(斜面)」,「地すべり」,「地質調査全般」
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2.4.2 三次元地盤情報共有基盤の開発
(1)地層境界面推定方式による三次元地盤モデル推定ツール(OCU ジオモデラー群)
開発した OCU ジオモデラー群は,地層境界面を基礎とするモデリングシステムの一つで
ある「OCU Geomodeller」を,著作権者の許可を得てカスタマイズしたものである。
OCU ジオモデラー群は,図-2.4.1 に示すように一つのプログラムではなく,(4)(5)(6)
から構成される 3 個のメインプログラムと 6 個のサブプログラムから構成されている。
この中で「(5)サーフェスモデルの推定」から出力される三次元地盤モデルのデータは,
研究当初は専用のデータ形式で保存する予定であったが,開発の過程で汎用の CAD データ
形式である「3D-DXF」で直接保存できるように変更された(図-2.4.2 参照)。
各プログラムの詳細については「6.地盤情報共有基盤(OCU ジオモデラー群)の開発」を
参照されたい。
図-2.4.1 OCU ジオモデラー群を構成する各プログラムと処理の流れ
図-2.4.2 サーフェスモデラーによる形状データ(左,イメージ)と出力データ(右)
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