空 、 緑

空 、緑
小野澤繁雄
とりつきの丘のすそべは寺にして屋根の傾斜が大きく迫る
足先に不意打つごとくリコリスの花七月終りみることになる
月 決 (め) は 北 海 道、 高 知 県 に の み 見 え て ほ か は 月 極 (駐 車 場) な る と
縦横に花枝のびてミソハギ科百日紅に架かる説明
枝の下足をとどめてまた鳴くを待たんとおれど蟬は鳴かずに
もろこしが遅く植わってその畑に夏の間はこれで揃いか
みちの上に裏返っている蟬をみるこの町内はテント組み上げている
いろいろと云われていても布団出したたいている人ききなれし音に
水音は水路よりしてかたわらの川はながれず黙ってもいる
人が住む中間色を挟み込みあとはふたいろ夏のみちゆく
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展景 No. 83
展景 No. 83
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