CIM対応三次元地盤モデルデータ報告書・4章

第 Ⅲ 編 研 究 課題 Ⅱ
[ CIM で 活 用 可 能 な 三 次 元 地 盤 デ ー タ モ デ ル の 標 準 化 ]
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4.CIM で活用可能な三次元地盤モデルデータの検討
4.1 三次元地盤モデル
4.1.1 三次元地盤モデルの定義と種類
本研究では,三次元位置情報を持つ地盤モデルを「三次元地盤モデル」と定義づけた。
本 研 究 の 対 象 と し た 三 次 元 地 盤 モ デ ル を 表 -4.1.1 に ま と め , 各 モ デル の イ メ ー ジ を 図
-4.1.1 ∼ 図-4.1.3 に示す。
① 一 次 元 地 盤 モ デ ル :ボ ーリ ング デー タは ,孔 口の 座標 値 (X,Y, Z)と 掘進 角度 と方 位
の各位置情報を持っているため,三次元地盤モデルとして扱うことができる。
② 準三 次元 地盤 モデル:地質断面図,地質平面図や空中写真などは二次元形状であるが,
三次元位置情報を付加することによって,三次元地盤モデルとして扱うことができ
る。すなわち,二次元の CAD データは,緯度・経度・標高の三次元位置情報を持っ
ていないため,CIM で活用するためには何らかの方法でこれらの位置情報とのリン
クを設定する必要がある。
③ 三次 元地 盤モ デル :狭義の立体モデルのことである。現在の仕様書と電子納品要領に
は作成要領に関する記載が無いので,全ての公共事業で品質の揃った成果品を作成
するためには,両者と積算基準の改訂が必要になろう。
ボーリングモデルと準三次元地盤モデルに関する記述は,厳密的には「三次元表示方法
の標準化」となるが,本研究ではこれら全てを三次元地盤モデルとして扱うことにした。
表-4.1.1 本研究で対象とした三次元地盤モデル
モ デ ル 名 称
特
記
事
項
一 次元 地盤 モデ ル
ボ ーリ ング モデ ル
ボ ーリ ング 柱状 図から 層序 等を 抽出 した モデル
準 三次 元地 盤モ デル
テ クス チャ モデ ル(準三次 元平 面図 ) 三 次元 地形 表面 に地質 平面 図な どを 貼り 付けた モデ ル
準 三次 元断 面図
従 来手 法の 地質 断面図 に空 間情 報を 付与 したモ デル
三 次元 地盤 モデ ル
サ ーフ ェス モデ ル
地 層あ るい は物 性値層 によ る境 界モ デル
ソ リッ ドモ デル
ボ クセ ルモ デル
属 性デ ータ をボ ックス セル と接 点の 両方 を対象 とす る
柱 状体 モデ ル
平 面的 には セル ,深さ 方向 は地 層境 界で あるモ デル
パ ネル ダイ アグ ラム
三 次元 地盤 モデ ルから 作成 され た任 意の 断(平)面図
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図-4.1.1 ボーリングモデルと準三次元モデル(地質断面図)の見本
(左 )国 土 地 理 院 色 別 標 高 図
(中 )産 総 研 シ ー ム レ ス 地 質 図
(右 )国 土 地 理 院 国 土 基 本 図
図-4.1.2 準三次元モデル(テクスチャモデル)の例
図-4.1.3 三次元地盤モデルの例(イメージ) 1)
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4.1.2 三次元地盤モデルデータの構成
図-4.1.4 と表-4.1.2 は,CIM 対応の三次元地盤モデルデータの基本構成のイメージで
ある。ここに示した各モデルデータは,全ての三次元地盤モデルに適用する。
図-4.1.4 三次元地盤モデルデータの基本構成(イメージ)
表-4.1.2 三次元地盤モデルデータの基本構成
種 類
内
容
管 理デ ータ ・ 形状 デー タと 属性デ ータ の双 方を 管理 するた めに 使用 する 。
・ 形状 デー タと 属性デ ータ を関 連づ ける ための 「共 通 ID」を 使用 する。
・ 地盤 情報 デー タベー スを 構築 する 際は ,検索 用キ ーワ ード とし て使用 する 。
形 状デ ータ ・ 三次 元地 盤情 報の形 (形 状 )を再 現で きる 三次元 座標 値を 持つ 。
・ 座標 系は ,CAD内 のロー カル 座標 系で は無く 「平 面直 角座 標系 」とす る。
・ 高さ は「 標高 (T.P.)」と する 。
・ オブ ジェ クト 型とし て構 成す る。
・ 属性 情報 と関 連づけ るた めの IDを 付与 する。
属 性デ ータ ・ 個々 の形 状デ ータの 属性 を保 存す る。 属性の 例は ,「 地層 ・岩 体区分 」, 「岩 級
区 分」 ,「 土質 区分」 ,「 地盤 強度 」や 「弾性 波速 度」 など であ る。
・ 形状 デー タと 関連づ ける ため のIDを付 与する 。
・ 複数 の属 性デ ータ (テー ブル :フ ァイ ル)が存在 する 場合 には ,それ らを 関連 づけ
る ため のジ ョイ ント (ブリ ッジ )デ ータ を使 用する 。
* ジ ョ イ ン ト デ ー タ:複 数 の 属 性 デ ー タ を 関 連 づ け る た め に 使 用 す る テ ー ブ ル デ ー タ の こ と 。研
究 者 に よ っ て は ブ リ ッ ジ デ ー タ (テ ー ブ ル )と 称 し て い る 場 合 も あ る 。
(1)形状データと属性データの分離と共通 ID の使用(図-4.1.5 参照)
本研究では,形状データと属性データを分離して個別に管理する方法を提案する。 こ
の際, 形 状デ ータと 属性デ ータ を関 連づ けるた めに 「共 通 ID」を使 用する 。
図-4.1.5 三次元モデルデータの構成
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1)を参考にして作成
(2)形状データと属性データの関係(図-4.1.6 参照)
一般的に,形状データは図-4.1.6(上) に示すように CAD ツールや三次元ジオモデラー
などで作成されたオブジェクトの集合体として表現され,属性データは図-4.1.6(下) に
示すように「行がオブジェクト」,「列が属性項目」とした属性テーブルとして表現さ
れることが多い。
同一のオブジェクトを示す「ID」を統一化することにより,形状データと属性データ
を統一して取り扱うことができるようになる。
属性データが複数存在する場合や,CIM の施行段階により属性データが増えた場合には,
次項で記述するようにこれらを関連づけるジョイント(ブリッジ)データを使用する。
図-4.1.6 形状データと属性データの関係(図-8.2.5 と同じ) 1)を参考にして作成
4.1.3 三次元地盤モデルの属性データの取り扱い
(1)空間による属性データの変化への対応
図-4.1.7 三次元地盤モデルの属性データ
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従来の三次元地盤モデルは,図-4.1.7(左) のように地層の属性データは 1 層に付き 1
種類としてモデリングすることが殆どであったが,現実の地盤では図-4.1.7(右) のよう
に一つの地層に複数の属性データが存在することが普通である。 本研究においてはこの
ように,一つの境界内で複数の属性データを扱えるように検討を行った。その想定例を
図-4.1.8 に示す。
図-4.1.8 三次元地盤モデルの属性データ(想定イメージ)
(2)ジョイントデータの採用
公共事業が開始された直後の地質調査によって,1 つの形状データに対して 1 種類の
属性データが作成されたとしても,CIM の段階が進むなどによって当該地域の地質に関
する知見が増えると,複数の属性データが作成されることが想定される。例えば,当初
は地質に関する属性データがボーリング柱状図の「岩石・土名」のみであったものが,
ボ ーリ ング 本数 の増 加や 広域 ∼挟 域の 地質 踏査 の実 施な どに より ,「 地 層 ・ 岩 体 区 分 」
や 「岩 級区 分」 などが 追加 され る, とい ったケ ース であ る。
本研究では,複数の属性データを相互に関連づけることのできる「ジョイントデータ」
の概念を導入することを提案する。図-4.1.9 は,ジョイントデータのイメージである。
図-4.1.9 地盤の属性データに関するジョイントデータ(イメージ)
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4.1.4 三次元地盤モデルデータの座標系
本研究で推奨する座標系は「世界測地系」の「平面直角座標系」とし,成果品には当該
範囲が第Ⅰ(1)系から第ⅩⅨ(19)系まである座標系のどれに属しているかを記載する。
換算には,図-4.1.10 に示す国土地理院の専用ウェブサイトなどを利用するとよい。
地質・土質成果電子納品要領(案)(以下,納品要領と略す)に準拠して納品されるボーリ
ング交換用データの位置座標は「緯度・経度」であるため,平面直角座標系を併記するよ
う納品要領を改訂するよう提案する。
標高基準面は,納品要領と同じ「T.P.」とする。
(左 )納 品 要 領 に は 平 面 直 角 座 標 系 の 記 載 欄 が な い 。 (右 )平 面 直 角 座 標 へ の 換 算 [国 土 地 理 院 ] 2)。
図-4.1.10 三次元地盤モデルデータの座標系
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4.2 CIM における三次元地盤モデルデータ
ここでは,公共事業で CIM が導入された場合,三次元地盤モデルデータ(以下、本文のみ
「モデルデータ」と略す)のあり方についての考察結果を記載以下のようにする。
4.2.1 三次元地盤モデルデータの汎用性(図-4.2.1 参照)
CIM の各段階で作成されたモデルデータは,次の段階でも再利用されること,発注者で
ある国土交通省の各事務所等においても閲覧可能なように,汎用性と継続性を兼ね備えた
データ構造を持つ必要がある。
追加 ・ 更新
計画 モ デル
調査 モ デル
継承
利用
追 加・ 更 新
設 計モ デ ル
継承
利用
追 加・ 更 新
追 加 ・更 新
施 工モ デ ル
継承
利用
管 理 モデ ル
継承
利用
利用
三 次元 モ デル を 共有 す る場( モデ ル 空間) ⇒CIM 事 業者[ 国 土交 通 省な ど]
図-4.2.1 CIM の各段階と三次元地盤モデルデータ
図-4.2.2 は,例をトンネルに取ってその CIM の施行 5 段階に区分した場合に,モデルデ
ータがどのように作成されるかなどを想定した結果である。
図-4.2.2 CIM 施行の各段階におけるモデルデータのイメージ(例,トンネル) 3)を基に作成
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以下は,CIM の各段階における三次元地盤モデルの概要(イメージ)である。
① 計画段階:5 万分の 1 地質図などの既存資料と地表踏査等で得られた地質・地盤情報
を基にして,比較的広範囲の三次元地盤モデル(サーフェスモデル)を作成し,内在す
る可能性のある地質リスクを評価する。
② 調査段階:ボーリング調査や物理探査結果等の地質調査結果を基にして,対象区域の
三次元地盤モデルをパネルダイアグラムあるいはサーフェスモデルにより作成する。
作成に当たっては,①で構築した地盤モデルを継承するが,新しい知見により適宜修
正することになる。 また,地下水流動解析を行う場合には,属性値として透水係数な
どを明確化する。
③ 設計段階:②で構築された地盤モデルを参照しつつ必要な三次元設計を行う。 その
際,②の地盤モデルデータは三次元設計データにインポートあるいは関連付けられる。
なお,この段階で三次元地盤モデルの修正などが必要となった場合には,調査段階の
基準等を採用する。
④ 施行段階:施工実績により得られた知見により,②で構築した地盤モデルを適宜修正
する。 実際には②の地盤モデルデータ,あるいは③の設計モデルデータのいずれかが
修正されることになる。
⑤ 管理段階:必要に応じ,②∼④で構築・修正された三次元モデルデータを参照するこ
とになる。
4.2.2 三次元地盤モデルの詳細度とモデルの予測度の各レベル(提案)
CIM 技術検討会では,三次元モデルの詳細度を示す LOD(Level of Detail)を導入すべき
という提案がなされた。 本研究では,これを受けて三次元地盤モデルの詳細度を以下のよ
うに提案する。
また,三次元地盤モデルは地質や地盤技術者がイメージしたモデルであることから,新
に予測度という概念の導入を提案する。
(1)詳細度の提案
CIM 技術検討会で検討されている LOD の例を表-4.2.1 に示す。
ここで重要なのは,詳細度 200 と 300 に記載されている「BIM Forum の定義」である。
すなわち,前者(LOD=200)には「近似値での数量・・・」と定義づけられていることであ
り,後者(LOD=300)には「正確な数量・・・」と定義づけられていることである。
地質調査の成果である三次元地盤モデルは,地質調査によって得られた客観的事実デ
ータのみによる事実モデルではなく,コンピュータ(モデラーや三次元 CAD)の支援を受
けて地質・地盤技術者が仮想空間上に構築したイメージ(予測・推測)モデルである。よ
って,図面上に描かれている地質区分などの境界(点・線・面)の座標は,確定した値で
は無く,あくまでも推測された値となる。
以上から,本研究においては,三次元地盤モデルの詳細度を表-4.2.2 のように提案す
る。
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表-4.2.1 詳細度の例[土工部(道路)の詳細度]
詳細度
BIM Forum の定義
土工部のモデル化
活用イメージ
図面縮尺
100
モデルの要素は、記号や一般的な表現で表現される。
対象位置や範囲を表現す
るモデル
事業計画説
1/2500 ∼1/5000
(概略設計平面図)
200
モデルの要素は、近似値での数量、大きさ、形状、位
置、方位の情報を持った装置や部品によって図形的に表
わされる。また、形状以外の属性情報もモデルの要素に
付加することができる。
対象による概略の影響範
囲が確認できる程度のモ
デル
関係者協議
1/1000
(道路平面図)
300
モデルの要素は、正確な数量、大きさ、形状、位置、方
一般部の土工部の影響範
位の情報を持った装置や部品によって図形的に表現され
囲が確認できる程度のモ
る。また、形状以外の属性情報もモデルの要素に付加す
デル
ることができる。
土工部の
情報化施工
1/100 ∼ 1/500
(道路平面図)
(道路断面図)
350
モデルの要素は、正確な数量、大きさ、形状、位置、方
詳細度300 に加えて大き
位、及び部材間の接続部の装置や部品も図形的に表現さ
な構造物や接続部も併せ
れる。また、形状以外の属性情報もモデルの要素に付加
てモデル化
することができる。
用地確定、
視距の確認
1/50 ∼ 1/200
(構造一般図)
(交差点図)
400
モデルの要素は、正確な数量、大きさ、形状、位置、方
位の情報を持った装置や部品によって図形的に表現さ
詳細度350 に加えて小構
れ、装飾や製作、組み立て、配置のための情報を含む。 造物も含む全てをモデル
また、形状以外の属性情報もモデルの要素に付加するこ 化
とができる。
各種構造物との干渉
チェック、
数量集計、
走行安全性の検討
1/10 ∼ 1/50
(小構造物図)
500
モデルの要素は、施工時の実際の値が付与された形状を モデルは詳細度400と同
有する。また、形状以外の属性情報もモデルの要素に付 様。施工時の実際の値が
加することができる。
付与されたモデル
同 上
表-4.2.2 三次元地盤モデルの詳細度(提案)
詳細度
CIMの段階
100程度
企画・計画
(事業計画 )
150程度
・地質調査によって作成できる程度の形状情報
調 査
・境界面のみの属性情報
(関係者協議)
・形状情報と属性情報は分離しない
・ボーリングモデル
・准三次元断面図
・サーフェスモデル
・パネルダイアグラム(サーフェス)
200程度
・地質調査によって作成できる程度の形状情報
調査・解析 ・地層や物性値等による属性情報
(設計・施工) ・形状情報と属性情報はIDによる関連付けの上,
個別に管理する
上記に加え
・ソリッド・ボクセルモデル
・パネルダイアグラム(ソリッド)
300程度
・掘削土工により判明した観察に基づく形状情報
・地層や物性値等による属性情報
・形状情報と属性情報はIDによる関連付けの上,
個別に管理する
施工・
維持管理
地盤モデルでの定義
・基盤地図情報や既存資料を利用して作成で
きる程度の形状情報
・境界面のみの属性情報
・形状情報と属性情報は分離しない
地盤モデルの例
・テクスチャモデル
・ボーリングモデル
・准三次元断面図
・サーフェスモデル(簡易版)
・テクスチャモデル
・准三次元断面図
・サーフェスモデル
・ソリッド・ボクセルモデル
・パネルダイアグラム
条件:いずれの詳細度でも「三次元地盤モデルの予測度レベル(PLOGM)」を明記する。
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(2)三次元地盤モデルの予測度(提案)
前項で記述したように,三次元地盤モデルはイメージ(予測・推測)モデルであるため,
モデルの予測程度を明記する方が,モデルが持つ性格が利用者に正しく伝わるであろう
と考え,モデルの予測度(Prediction Level of
Geomodel)という概念を導入することに
した。
表-4.2.3 は,三次元地盤モデルの予測度(案)であって,レベルが高いほど三次元での
表現力は向上しているが,その反面技術者によるイメージング(予測・推測)の程度が増
している,ということを意味している。
表-4.2.3 三次元地盤モデルのモデル化度(提案)
レベル
地盤モデルでの定義
予測の程度
地盤モデルの例
1
・現地調査(観察・計測等)結果のみから作成される地盤モデル
・次元は問わない
少ない
(実測図)
・ボーリング柱状図
・現地測定結果
・(トンネル)切羽観察図
2
・技術者が解析・考察等により予測した地盤モデル
・2D-CADで扱うことのできる二次元形状情報で構成される
・属性情報の有無は問わない
大きい
(予測図)
・地質断面図
・解析断面図
3
・技術者が解析・考察等により予測した地盤モデル
・3D-CADで扱うことのできる准三次元形状情報で構成される
・属性情報の有無は問わない
大きい
(予測図)
・准三次元断面図
・工学的地質図
・テクスチャモデル
4
・ジオ・モデラーの支援を受けて技術者が解析・考察等により予測した地盤モデル
・3D-CADで扱うことのできる三次元形状情報で構成される
・境界面程度の属性情報を形状情報と同一で管理
極めて大きい
(参考図)
・サーフェスモデル
・ソリッドモデル
・パネルダイアグラム
5
・ジオ・モデラーの支援を受けて技術者が解析・考察等により予測した地盤モデル
・3D-CADで扱うことのできるオブジェクト型三次元形状情報で構成される
・属性情報は形状情報とは個別に管理するが,IDによって双方を関係づける
極めて大きい
(参考図)
・サーフェスモデル
・ソリッドモデル
・パネルダイアグラム
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4.3 三次元地盤モデルのデータ仕様(案)
4.3.1 ボーリングモデル
(1)適用
本規定は,CIM 対象業務等においてボーリング柱状図を立体的に表現するなど,三
次元情報として取り扱う必要が生じた場合に,ボーリングモデルに関する属性データ
のデータセットに関する仕様を提案するものである。
データの保存方法から「簡易版」と「詳細版」の 2 種類を提案する。
(2)概要
「三次元地質断面図」あるいはサーフェスモデルのような「立体モデル」を作成す
る時に必然的に作成される「地層・岩体境界線」,「岩級区分線」や「土質境界線」
に関する属性データから,ボーリングモデルの属性データとして必要な情報を抽出す
ることにより作成する。手順例を図-4.3.1 に示し,手順の詳細を「6.2. OCU ジオモ
デラー群の特徴」に記載する。
図-4.3.1 ボーリングモデルの属性データの作成(イメージ)
(3)ボーリングモデルのデータ構成
表-4.3.1 は,ボーリングモデルのデータ構成である。
表-4.3.1 ボーリングモデルのデータ構成
情 報名
説
明
管 理デ ータ 属 性デ ータ を管 理する ため のデ ータ であ るが,簡易 版は ボー リン グ交換 用
デ ータ に属 性デ ータを 書き 込む ため 管理 データ ファ イル は作 成せ ず,詳 細
版 につ いて のみ 作成す る。
形 状デ ータ ボ ーリ ング 交換 用デー タ(XML)をそ のま ま利 用する 。
属 性デ ータ 地 質断 面図 など を作成 する 際に 必然 的に 作成す るこ とに なる「 地層・岩 体
区 分」, 「岩 級区 分」や「 土質 区分」 など ,断面図 の凡 例に 準拠 するも の
で あっ て, 簡易 版と詳 細版 のい ずれ につ いても 作成 する 。
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(4)簡易版の属性データ(案)とデータ仕様(案)
① 属性データ(案)
原則として,平成 20 年 8 月版の『地質・土質調査成果電子納品要領(案)』に規定
されているデータ基準に準拠する。 図-4.3.1 に従って区分した層序をボーリング
交換用データ(XML)の「<地層岩体区分>タグ」に記録し,参照する地層区分表(属性
テーブル)や引用先情報などは「<フリー情報>タグ」に記載する(図-4.3.2 参照)。
なお,記載例と登録例を「6.2. OCU ジオモデラー群の特徴」に示した。
<地層岩体区分>
<地層岩体区分_上端深度></地層岩体区分_上端深度>
<地層岩体区分_下端深度></地層岩体区分_下端深度>
<地層岩体区分_地層岩体名></地層岩体区分_地層岩体名>
</地層岩体区分>
<フリー情報>
</フリー情報>
図-4.3.2 簡易版ボーリングモデル属性データの登録位置
② データ仕様(表-4.3.2 参照)
表-4.3.2 に,簡易版のデータ仕様(案)を示す。格納場所については,混乱と間違
いを避けるために,オリジナルのボーリングデータの格納場所(サブフォルダ)から
変更することを提案する。
表-4.3.2 簡易版のデータ仕様(案)
項
概
目
要
内
容
ボ ーリ ング 交換 用デー タに 追記
デ ータ 仕様
XML
フ ァイ ルの 命名 規則
BEDnnnn.XML
格 納場 所
¥BORING¥CIMMODEL
(5)詳細版の属性データ(案)とデータ仕様(案)
① 管理データ(表-4.3.3 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な管理データが異なると想定される
ため,全てを埋める必要は無い。
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表-4.3.3 詳細版ボーリングモデルの管理データ(案)
情 報名 (例 )
管 理情 報
内
容
事 業名 ,調査 名, ボーリン グ名 ,調査 者名 ,調査位 置住 所,調 査開 始期 日
, 調査 終了 期日 ,ボー リン グ交 換用 デー タファ イル 名, 孔口 座標 1), 孔 口
標 高,総掘 進長 ,地質 情報 名 2),オリ ジナ ルデ ータ リン ク 3),形状 デー タフ
ァ イル 名,属 性デ ータファ イル 名,ジ ョイ ントデー タフ ァイ ル名, 改訂履
歴 (実施期 日, 理由 ,実施 者氏 名等 )
注記事項
1) 座標:緯度・経度,平面直角座標系の系番号と X(南北)座標・Y(東西)座標。
2) 地質情報名:地層岩体区分など,属性データの地質情報名と同じ内容。
3) オリジナルデータリンク:以下の各管理ファイルから抽出した管理データ。地質情報管理フ
ァイル(BORING.XML),ボーリングコア写真管理ファイル(COREPIC.XML),土質試験及び地盤調
査 管 理 フ ァ イ ル (GRNDTST.XML), そ の 他 管 理 フ ァ イ ル (OTHRFLS.XML), 報 告 書 管 理 フ ァ イ ル
(REPORT.XML),図面管理ファイル(DRAWING.XML)。
② 属性データ(表-4.3.4 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な属性データが異なると想定される
ため,全てを埋める必要は無い。
ボーリング柱状図の属性のうち「地質情報」に関する見本を表-4.3.5 に示す。な
お,この完成見本は,ボーリング柱状図を三次元 CAD ツールで扱う上に必要な属性
データのインポートデータとして利用されることを想定している。
表-4.3.4 詳細版ボーリングモデルの属性データ(案)
情 報名 (例 )
地 質情 報
内
容
共 通 IDコー ド 1), 深度 ,地 質情 報名 2), 堆 積(優先)順 位 3), 特記事 項
注記事項
1) 共通 ID コード:CIM の全段階を想定して作成すると良い。
2) 地質情報名:地質断面図の断面線を描画する際に使用した地質情報のことであって,初期段
階では地層・岩体区分名,岩級区分名,土質区分名や N 値などを登録するが,調査や地質解
析が進むことにより弾性波速度値,密度や減衰常数など必要な地質情報を適宜追加する。
3) 堆積(優先)順位:地層・岩体区分等で最も下位層からの堆積順位を表す番号など。
表-4.3.5 詳細版ボーリングモデルの属性データ(完成見本)
深度
(m)
減衰常数
h
湿潤密度
(g/cm 3 )
607
0.03
1.8
②
821
0.05
1.7
①
226
1,152
0.02
2.0
③
7.5
167
852
0.03
1.9
②
9.0
175
892
0.03
1.5
②
Ac
8.0
192
979
0.03
1.8
①
Dg
31.0
299
1,525
0.02
2.0
③
M3
Dc
12.0
260
1,326
0.03
1.8
①
礫質土層
G2
Dg
36.8
312
1,591
0.02
2.0
③
礫質土層
G2
Dg
50.0
338
1,722
0.02
2.1
③
RW
-
700
2,100
0.01
2.1
-
ID
堆積
順位
BEDnnn1-11
11
1.5
埋土
B
As
2.0
119
BEDnnn1-10
10
2.6
粘性土層
M1
Ac
4.0
161
BEDnnn1-09
9
7.5
礫質土層
G1a
Ag
23.0
BEDnnn1-08
8
9.7
砂質土層
S1a
As
BEDnnn1-07
7
10.7
砂質土層
S1v
As
BEDnnn1-06
6
17.2
粘性土層
M2
BEDnnn1-05
5
19.6
礫質土層
G2
BEDnnn1-04
4
20.6
粘性土層
BEDnnn1-03
3
27.0
BEDnnn1-02
2
43.2
BEDnnn1-01
1
−
地層・岩体区分
基盤面
記号
実測 N 値
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Vs
(m/s)
Vp
(m/s)
非線形
特 性
③ データ仕様(表-4.3.6 参照)
表-4.3.6 詳細版のデータ仕様(案)
項
概
要
目
内
容
独 自の デー タ仕 様(属性デ ータ ,管 理デ ータ )
デ ータ 仕様
CSVまたは EXCEL
格 納場 所
¥BORING¥CIMMODEL
(6)形状データと三次元表示見本(図-4.3.3 参照)
ボーリングモデルの形状は,ボーリング交換用データ(XML)の登録情報を元にして,
三次元 CAD で作成することを基本とする。
一方,VRML や WebGL など疑似円柱を描画できるビューアを利用すると,図-4.3.3 の
ように柱状図を三次元的に表示することができる。これは,疑似円柱(柱状図の形状)
にテクスチャ(柱状図のイメージ)を貼り付けて表示する,という技術である。
このため,本研究では柱状図のカラーイメージを作成するツールを開発して公開す
ることにした。「6.3.1 (8)ボーリングモデル(イメージ)の作成」を参照されたい。
図-4.3.3 ボーリングモデルの三次元表示(見本)
- 43 -
(7)コア写真またはボアホール(TV)カメラ画像の三次元表示(見本)
図-4.3.4 は,ボアホールカメラ画像を三次元
表示したものである。円柱の周囲にカメラ画像
をテクスチャとして張り込んだものであって属
性値は特にないが,このような表示方法の可能
性があるという見本として掲載した。
図-4.3.4 ボアホールカメラ画像の三次元表示(見本)
(8)表示上の注記事項
図-4.3.3 のようにボーリングモデルを三次元表示する場合,視覚効果のために円柱
状のモデル太さを実際の掘削口径よりもかなり誇張することがあり得る。 このような
ケースでは,ビューアには「実際の口径/掘削深度比ではない。」といった注記を表
示する。
- 44 -
4.3.2 テクスチャモデル
(1)適用
本規定は,CIM 対象業務等において,テクスチャモデルを構築するために最低限必
要なデータセットと,併せて作成される属性データに関する仕様について定めたもの
である。
(2)概要
テクスチャモデルとは,三次元地形表面に地質平面図などを貼り付けたモデルのこ
とを指し,具体的には地表面のワイヤーフレームモデルに地質平面図,オルソ処理し
た空中写真,斜め写真,スケッチやルートマップなどを貼り付けた(テクスチャマッピ
ング)モデルのことである。
対象図面の主な例を表-4.3.7 に,見本を既出の図-4.1.2 に示した。
表-4.3.7 テクスチャモデルの主な対象図面
種
類
図 面類
特
記
事
項
地 質平 面図 ,空 中写真 ,斜 面ス ケッ チ, SARなどに よる 変動 図, ハザ
ー ドマ ップ (計 測震 度,液 状化 危険 度, 洪水, 津波 ,土 砂災 害警 戒区
域 ,火 山)など
(3)利用場面
・新規事業を計画するに当たり,地質リスクの早期検出などを目的として,既存資
料や地表踏査で得られた知見を基に対象範囲の概略地質状況を把握する場合。
・関係者間協議用の資料として,あるいは住民説明用の資料として作成する場合。
企画・計画段階において,地質などの三次元形状を表示するだけで目的を達するよ
うな場合は,テクスチャモデルの鳥瞰図(イメージ)を作成する。
テクスチャモデルは,サーフェスモデルなどの地表面となることが多い。
(4)構築段階
企画・計画段階で新規に構築され,調査段階と施工段階では新しく得られた知見に
よって改良する。
道路防災点検など,維持・管理段階で新規に作成する場合もあり得る。 この場合は,
定期的な点検や診断の成果を随時追加/改良する。
- 45 -
(5)データ構成(表-4.3.8 参照)
表-4.3.8 テクスチャのデータ構成
情 報名
説
明
管 理デ ータ ・ 形状 デー タと 属性デ ータ を管 理す るた めのデ ータ 。
・テ クス チャ モデル 全体の 形状 に関 する 情報 ,座標 系に 関す る情 報やフ ァ
イ ル形 式な どの 情報, など 。
・テ ク スチ ャモデ ルを 作成 する ため に参 照した ボー リン グや 現地 調査結 果
に 関す る情 報, など。
形 状デ ータ ・ワ イヤ ーフ レーム 自体と ,それ に貼 り付け るテク スチ ャデ ータ の各形 状
か ら構 成さ れる 。
・ テク スチ ャデ ータは ,イ メー ジデ ータ のみと して 扱う 。
・ワ イヤ ーフ レーム 自体は ,後述 する サーフ ェスモ デル と同 じ扱 いをす れ
ば 良い ので ,こ こでは 記述 しな い。
属 性デ ータ ・ 形状 デー タに 関連づ けら れた 地質 情報 などで ある 。
・形 状デ ータ がイメ ージデ ータ のた め ,可能 であれ ば使 用す るカ ラーコ ー
ド (RGB形式 )に 対応 する属 性デ ータ を保 存する 。
(6)管理データ(表-4.3.9 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な管理データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.9 テクスチャモデルの管理データ(案)
情 報名 (例 )
管 理情 報
内
容
事 業名 ,調査 名, 調査者名 ,調 査担当 者名 ,調査開 始期 日,調 査終 了期 日
, 平面 図等 の境 界座標 1), 地質 情報 名 2), オリ ジナ ルデ ータ リン ク 3), 形状
デ ータ ファ イル 名,属性デ ータ ファ イル 名,ジョイ ント デー タフ ァイル 名
, 改訂 履歴 (実 施期 日,理 由, 実施 者氏 名等 )
注記事項
1) 座標:緯度・経度,平面直角座標系の系番号と X(南北)座標・Y(東西)座標。
2) 地質情報名:地層岩体区分など,属性データの地質情報名と同じ内容。
2) オリジナルデータリンク:以下の各管理ファイルから抽出した管理データ。 地質情報管理
ファイル(BORING.XML),ボーリングコア写真管理ファイル(COREPIC.XML),土質試験及び地盤
調査管理ファイル(GRNDTST.XML),その他管理ファイル(OTHRFLS.XML),報告書管理ファイル
(REPORT.XML),図面管理ファイル(DRAWING.XML)。
(7)形状データ
本項で記述するのは,ワイヤーフレームに貼り付けるイメージテクスチャのデータ
セットのみとする(図-4.3.5 参照)ため,平面図に類するものであれば全て取り扱うこ
とができる。
形状データとしては,テクスチャ(平面図)の南北と東西の各座標があれば良い(標高
はワイヤーフレーム自体が所有する)。
- 46 -
CAD あるいはビューアの仕様により,「北西隅座標−南東隅座標の組み合わせ」あ
るいは「南西隅座標−北東隅座標の組み合わせ」として利用すればよい。
形状データの作成手順については「5.3 テクスチャモデル」に記載する。
(左 )ワ イ ヤ ー フ レ ー ム
(中 )テ ク ス チ ャ (表 層 地 質 図 )
(右 )テ ク ス チ ャ モ デ ル
図-4.3.5 テクスチャモデルの作成イメージ
(8)属性データ(表-4.3.10 参照)
表-4.3.10 テクスチャモデルの属性データ(案)
情 報名 (例 )
地 質情 報
内
1)
容
2)
共 通 IDコー ド ,深 度,地 質情 報名 ,カラ ーコー ド− 地質 情報 対比デ ータ
3)
, 特 記 事項
注記事項
1) 共通 ID コード:CIM の全段階を想定すると良い。
2) 地質情報名:地質平断面図の凡例に記載されている地質情報のことであって,具体的には地
層・岩体区分名,地質構造,風化帯区分,変質帯区分および地質学的属性などである。なお,
テクスチャモデルが案内図,概観図や参照図として利用されるだけの場合には,地質平面図
等に使用されている全ての凡例の中から,適宜抽出されたものでも良い。見本として,地質
平面図の凡例を図-4.3.6 に示す。
3)カラーコード−地質情報対比データ:テクスチャモデルに使用する地質図などが単色に塗り分けら
れ ている 場合,ビ ューア がポ イント ごとのカ ラーコ ード を読み 取ること ができ るな らば,対比表
によって属性値を判別することができる。
図-4.3.6 地質平面図の凡例(見本)
- 47 -
テクスチャモデル(地質平面図)の属性データの完成見本を表-4.3.11 に示す。 なお,
この完成見本は,ボーリング柱状図を三次元 CAD ツールで扱う上に必要な属性データ
のインポートデータとして利用されることを想定している。
表-4.3.11 テクスチャモデルの属性データ(完成見本:部分)
ID
堆積
順位
記号
カラー
コード
Gmap-007
7
新生代
第四紀
崖錐堆積物
tl
D9D9D9
Gmap-006
6
新生代
新第三紀
中新世
湯長谷層群
水野谷層
Ya
FFFF99
Gmap-005
5
新生代
新第三紀
中新世
湯長谷層群
五安層
Ys
FF99FF
Gmap-004
4
新生代
古第三紀
漸新世
白水層群
白坂層
Sm
3399FF
Gmap-003
3
新生代
古第三紀
漸新世
白水層群
石城挟炭層
Ss
339933
Gmap-002
2
中生代
白亜紀
後期
双葉層群
足沢層
Fg
009900
Gmap-001
1
中生代
白亜紀
前期
花崗岩
Gr
996633
地質時代
地層・岩体区分
(9)データ仕様(表-4.3.12 参照)
表-4.3.12 テクスチャモデルのデータ仕様
デ ータ 種類
フ ァイ ル形 式(例 )
備
考
管 理デ ータ
CSV,EXCEL
形 状デ ータ
dwg,dxf, CSV
3Dモデ ラー やビ ューア の仕 様に よる
テ クス チャ デー タ
jpg,png, tiff
イ メー ジデ ータ
属 性デ ータ
CSV,EXCEL
属 性管 理ツ ール の仕様 によ る
- 48 -
4.3.3 準三次元断面図
(1)適用
本規定は,CIM 対象業務の全ての段階で,準三次元断面図を構築するために最低限
必要なデータセットと,併せて作成される属性データに関する仕様について定めたも
のである。
準三次元断面図がイメージデータの場合,垂直に配置したワイヤーフレームに地質
断面図のようなイメージテクスチャを貼り付けることになるため,広義的にはテクス
チャモデルの範疇に入る。 しかし,平面図と断面図との違いがあるため「項」を変え
て記載することにした。
(2)概要
準三次元断面図は,従来から作成されている地質断面図,速度層断面図や地山条件
調査結果図などを基にして,CIM 対応に必要な三次元空間情報を付加した形状データ
(オブジェクト型)と,地質情報などを付加した属性データから構成される。
表-4.3.13 準三次元断面図として扱う内容
種
類
図 面類 (共 通 )
特
記
事
項
・地 質・土質 調査 成果 電子 納品 要領 に準 拠して 作成 され た地
質 断面 図等 のデ ータ。
・ 三次 元CADツ ール やビュ ーア を使 用し て三次 元的 に表 現で
き るよ うに 必要 な空間 情報 が付 与さ れて いるこ と。
地 質断 面図
・ 層序 に基 づく 断面図 。
・ 土質 断面 図や ボーリ ング 集合 柱状 図な どを含 む。
物 性値 断面 図
・ 速度 層断 面図 や比抵 抗層 断面 図な ど。
総 合解 析断 面図
・地 質区 分 ,岩級 区分 ,地 下水 面 ,ル ジオン 値や速 度値 など
を 総合 的に 評価 して作 成さ れる 断面 図。
図-4.3.7 準三次元地質断面図(見本)
- 49 -
(3)利用場面
・新規事業を計画するに当たり,地質リスクの早期検出などを目的として,既存資
料や地表踏査で得られた知見を基に対象範囲の概略地質状況を把握する場合。
・関係者間協議用の資料として,あるいは住民説明用の資料として作成する場合。
(4)構築段階
企画・計画段階で新規に構築され,調査段階と施工段階では新しく得られた知見に
よって改良する。
(5)データ構成(表-4.3.14 参照)
表-4.3.14 準三次元断面図のデータ構成
情 報名
説
明
管 理デ ータ ・ 形状 デー タと 属性デ ータ を管 理す るた めのデ ータ 。
・準 三次 元断 面図全 体の形 状に 関す る情 報,座標系 に関 する 情報 やファ
イ ル形 式な どの 情報, など 。
・準 三 次元 断面図 を作 成す るた めに 参照 したボ ーリ ング デー タや 現地調 査
結 果 (デー タ )な どに関 する 情報 ,な ど・
形 状デ ータ ・ 三次 元CADで 作成 された 地質 断面 図デ ータの こと 。
(CAD)
・二 次元 CADで作 成さ れた 地質 断面 図デ ータ (SXFな ど )の場 合は ,三次 元CA
Dに よって 平面 直角 座標系 の座 標値 を付 与する 必要 があ る。この 場合 ,断
面 線の 始点 ,終 点と全 ての 屈曲 点の 平面 直角座 標値 ,お よび 二次 元CAD
の ロー カル 座標 値を関 連付 けた デー タが 必要と なる 。
形 状デ ータ ・テ クス チャ データ とは,レ ンダ リン グ技術 によっ て断 面図 枠(ワイ ヤー
(イ メージ )
フ レー ム)に壁 紙の ように 貼り 付け られ る図面 デー タの こと 。
属 性デ ータ ・ 形状 デー タに 関連づ けら れた 地質 情報 などで ある 。
・ CADデー タの場 合は,三 次元 的座 標を 持つポ リゴ ン,ポ リラ イン やポイ
ン トに 属性 を付 与し, それ らを 一つ のテ ーブル とし てま とめ る。
・形 状デ ータ がイメ ージデ ータ の場 合は ,可 能であ れば 使用 する カラー コ
ー ド (RGB形 式対 応する 属性 デー タを 保存 する。
- 50 -
(6)管理データ(表-4.3.15 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な管理データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.15 準三次元断面図の管理データ(案)
情 報名 (例 )
管 理情 報
内
容
事 業名 ,調査 名, 調査者名 ,調 査担当 者名 ,調査開 始期 日,調 査終 了期 日
, 断面 図等 の始 点座標 1), 断面 図等 の終 点座標 1), 断面 図等 の屈 曲点座 標 1)
,地質 情報 名 2),オリ ジナ ルデ ータ リン ク 3),形状 デー タフ ァイ ル名,属性
デ ータ ファ イル 名,ジ ョイ ント デー タフ ァイル 名, 改訂 履歴 (実 施期 日,
理 由, 実施 者氏 名等 )
注記事項
1) 座標:緯度・経度,平面直角座標系の系番号と X(南北)座標・Y(東西)座標。
2) 地質情報名:地層岩体区分など,属性データの地質情報名と同じ内容。
3) オリジナルデータリンク:以下の各管理ファイルから抽出した管理データ。地質情報管理フ
ァイル(BORING.XML),ボーリングコア写真管理ファイル(COREPIC.XML),土質試験及び地盤調
査 管 理 フ ァ イ ル (GRNDTST.XML), そ の 他 管 理 フ ァ イ ル (OTHRFLS.XML), 報 告 書 管 理 フ ァ イ ル
(REPORT.XML),図面管理ファイル(DRAWING.XML)。
(7)形状データ
本書で提案する準三次元断面図の形状データは,以下の 2 種類とする。
・三次元 CAD:三次元座標(平面直角座標)を使用して準三次元断面図を作成する。
・二次元 CAD:従来通り二次元ローカル座標値を使用して断面図を作成する。別途
実空間座標値(平面直角座標値)との関係表を作成し,両者の関係を別途
CSV ファイルに保存する(図-4.3.8 参照)。
A1∼A4:平面直角座標系による
断面 図の四隅の 座標値
(断面図の余白を含む)
a1∼a4:二次元 CAD のローカル
座標値(余白を含む)
注:イメージの場合,余白は透
明にするとよい
図-4.3.8 二次元断面図と準三次元断面図の関係(イメージ)
- 51 -
(8)属性データ(表-4.3.16 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な属性データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.17 に記した地質情報名と堆積(優先)順位については,テクスチャモデルと
の共通点が多いので,ここでは説明を省略する。
表-4.3.16 準三次元断面図の属性データ(案)
情 報名 (例 )
地 質情 報
内
1)
容
2)
共 通 IDコー ド , 深度 ,地 質情 報名 , 堆 積(優先)順 位 3), 特記事 項
注記事項
1) 共通 ID コード:CIM の全段階を想定すると良い。
2) 地質情報名:準三次元断面図の断面線を描画する際に使用した地質情報のことであって,具
体的には地層・岩体区分名,地質構造,風化帯区分,変質帯区分,地山等級,地山弾性波速
度層区分,地下水位,湧水状況や地質学的留意点(リスク情報)などである。なお,準三次元
断面図が案内図,概観図や参照図として利用されるだけの場合には,オリジナルの地質断面
図等に使用されている全ての凡例の中から,適宜抽出されたものでも良い。
3) 堆積(優先)順位:地層・岩体区分等で最も下位層からの堆積順位を表す番号など。
(9)データ仕様(表-4.3.17 参照)
表-4.3.17 準三次元断面図のデータ仕様
デ ータ 種類
フ ァイ ル形 式(例 )
備
考
管 理デ ータ
CSV,EXCEL
形 状デ ータ
dwg,dxf, CSV
3Dモデ ラー やビ ューア の仕 様に よる
テ クス チャ デー タ
jpg,png, tiff
イ メー ジデ ータ
属 性デ ータ
CSV,EXCEL
属 性管 理ツ ール の仕様 によ る
- 52 -
4.3.4 サーフェスモデル
(1)適用
本規定は,CIM 対象業務の全ての段階で,三次元地盤モデルの一形態であるサーフ
ェスモデルを構築するために最低限必要なデータセットと,併せて作成される属性デ
ータに関する仕様について定めたものである。
(2)概要(サーフェスモデルの定義)
一般的に,サーフェスモデルとは,表面形状のワイヤーフレームモデルにテクスチ
ャを貼ったモデルのことであるが,本研究での CIM 対応三次元地盤モデルでは,サー
フェスモデルとは,地層などの境界面のワイヤーフレームモデルに,地層区分などの
属性を持つテクスチャを貼り付けたモデルと定義づけた(図-4.3.9 参照)。
これらの各境界面には,一般的に以下のような特徴がある。
・ワイヤーフレームを構成する格子の位置情報(X,Y,Z)のうち,標高(Z)はスプ
ライン関数など面の推定式を利用して推定された「推測値」であること。
・地層の論理モデル,属性データおよび結果であるサーフェスモデルは,地質技
術者等が解釈したイメージである。
すなわち,数学的な手法を援用しているが,サーフェスモデルは地質技術者等が想
像した推定モデルであるため,二次利用などにあたってはこれらの点に十分留意する
必要がある。
出 典 : 大 阪 市 立 大 学 OCU-GeoModeller 資 料
図-4.3.9 サーフェスモデル(イメージ)
本研究では,サーフェスモデルの境界面について,その属性の種類によって「地層
境界面(ユニット=層序)モデル」,「物性値境界面(クラス)モデル」及び「総合解析境
界面(クラス)モデル」の 3 種類に区分することにした(表-4.3.18 参照)。
- 53 -
表-4.3.18 本研究におけるサーフェスモデル
種
類
特
記
事
項
地層境界面
・地層境界をワイヤーフレームモデルとして数学的に表現し,属性
(ユニット=層序)モデル
データである地層区分をテクスチャとして貼り込んだモデル。
・通常は,地表踏査やボーリング調査によって得られるランダム点
の地層データ(岩石・土区分)から,地質技術者等がジオモデラー
を使用して,地層境界面の三次元形状をワイヤーフレームモデル
として推定することが多い。
・一方,複数作成した地質断面図(データ)から,任意点の境界標高
を多数読み取り,そのX,Y,Zデータから三次元形状を推定する方
法もある。地質技術者の解釈の度合いが強い分,ボーリングデー
タだけから推定するモデルよりも,高い精度で複雑な地質モデル
が推定できる可能性がある。
物性値境界面
・物性値境界をワイヤーフレームモデルとして数学的に表現し,属
(クラス)モデル
性データである物性値区分をテクスチャとするモデル。
・物性値境界には,速度層,比抵抗層などがある。
・一般的に,物理探査結果は二次元断面図(データ)として表される
ことが多いが,複数の側線(断面図)が存在する場合では,それら
から任意点の境界標高を多数読み取り,そのX,Y,Zデータから三
次元形状を推定する方法が採用される。
・三次元物理探査の場合は,解析結果から直接ソリッド・ボクセル
モデルを作成することが多い。
地質評価境界面
・様々な知見を基にして総合的に解析して作成した地質の評価境界
(クラス)モデル
を,ワイヤーフレームモデルとして数学的に表現し,属性データ
である地質評価区分をテクスチャとするモデル。
・様々な知見とは,地質(岩種)区分,岩級区分,地下水面,ルジオ
ン値や速度値などである。
・地質技術者が地質を評価して作成する総合解析断面図(データ)か
ら,任意点の境界面の標高を多数読み取り,そのX,Y,Zデータか
ら三次元形状を推定する方法が採用される。
ジ オモ デラ ー(GeoModeller):三次 元地 盤モ デルを 作成 する ため のコン ピュ ータ プロ グラ ム。
(3)利用場面
新規事業の調査段階で,地質リスクの早期検出などを目的として,既存資料や地表
踏査で得られた知見を基に対象範囲の概略地質状況を把握する場合。
関係者間協議用の資料として,あるいは住民説明用の資料として作成する場合。
(4)構築段階
調査段階で新規に構築され,施工段階では新しく得られた知見によって改良する。
- 54 -
(5)データ構成(表-4.3.19 参照)
表-4.3.19 サーフェスモデルのデータ構成
情 報名
説
明
管 理デ ータ ・ 形状 デー タ, 入力情 報と 属性 デー タを 管理す るた めの デー タ。
・ モデル を作 成す るために 使用 した 入力 情報,モデ ラー 名称, 曲面 推定方
法 ,パ ラメ ータ 群やフ ァイ ル形 式, など 。
・モ デ ルを 作成す るた めに 参照 した ボー リング や現 地調 査結 果に 関する 情
報 ,な ど。
入 力デ ータ ・ モデ ルを 作成 するた めに 使用 した 地質 構造モ デル デー タ。
・ 地層 の堆 積と 侵食を 勘案 して 作成 した 論理モ デル デー タ。
・ 推定 計算 に使 用した パラ メー タデ ータ 。
形 状デ ータ ・サ ーフ ェス データ: 曲面 推定 によ って 計算さ れた 四角 (三 角 )メ ッシュ の
デ ータ 群。 ワイ ヤーフ レー ムモ デル デー タと同 じ形 状で ある 。
・サ ーフ ェス モデル データ: 論理 モデ ルに従 って計 算さ れた 四角 (三 角)メ
ッ シュ のデ ータ 群。
属 性デ ータ ・ 形状 デー タに 関連づ けら れた 地質 情報 ,など 。
・ 三次元 座標 を持 つポリゴ ン,ポ リラ イン やポイン トに 属性 を付 与し,そ
れ らを 一つ のテ ーブル とし てま とめ る。
(6)管理データ(表-4.3.20 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な管理データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.20 サーフェスモデルの管理データ(案)
情報名(例)
管 理情 報
内
容
事 業名 ,調査 名, 調査者名 ,調 査担当 者名 ,調査開 始期 日,調 査終 了期 日
,地 質情 報名 1),モ デル各 端部 2)の 座 標 3),入 力デー タリ ンク 4),曲 面推 定方
法 とパ ラメ ータ リンク 5),オリ ジナ ルデ ータリ ンク 6),形 状デ ータ ファ イル
名 ,属 性デ ータ ファイ ル名 ,ジ ョイ ント データ ファ イル 名, 改訂 履歴 (実
施 期日 ,理 由, 実施者 氏名 等 )
注記事項
1) 地質情報名:地層岩体区分など,属性データの地質情報名と同じ内容。
2) 各端部:正方形や長方形の場合では四隅あるいは対角部分の各座標値を指し,異形の場合は
全ての端部の座標値をさす。
3) 座標:緯度・経度,平面直角座標系の系番号と X(南北)座標・Y(東西)座標。
4) 入力データリンク:層序などを判定したボーリングモデルファイル。
5) 曲面推定方法とパラメータ:形状曲面の推定に使用した数学モデルと層相判別条件。
6) オリジナルデータリンク:以下の各管理ファイルから抽出した管理データ。地質情報管理フ
ァイル(BORING.XML),コア写真管理ファイル(COREPIC.XML),土質試験及び地盤調査管理ファ
イル(GRNDTST.XML),その他管理ファイル(OTHRFLS.XML),報告書管理ファイル(REPORT.XML),
図面管理ファイル(DRAWING.XML)。
- 55 -
(7)入力データ
以下に例示する各データを入力データ群として保存する。
・ 地 層 境 界 面 な ど の 位 置 と 標 高 を 記 録 し た ボ ー リ ン グ モ デ ル デ ー タ (表 -4.3.21 参
照)。
・ボーリングモデルデータを求めるために使用した地質凡例(総合柱状図)データ(表
-4.3.22 参照)
表-4.3.21 サーフェスモデルを求めるためのボーリングモデルデータ(見本)
B層
AU層
AV層
AD層
DG層
DU層
DD層
R層
D9D9D9
FFFF99
FF99FF
3399FF
339933
0066FF
009900
996633
16.7
17.1
20.2
31.2
35.1
36.0
9E+09
9E+09
16.1
16.2
19.7
31.0
34.5
36.0
9E+09
0.0
2.7
19.8
20.0
22.2
30.4
35.8
37.0
9E+09
0.0
1.4
14.5
9E+09
9E+09
9E+09
9E+09
9E+09
20.0
0.0
1.0
14.0
14.9
19.5
23.1
9E+09
9E+09
28.0
0.0
9E+09
16.9
17.3
20.7
28.7
34.0
37.0
9E+09
61226.8
0.0
2.0
18.3
18.5
21.6
30.0
35.3
50.0
9E+09
61176.7
0.0
0.3
17.3
17.5
20.9
28.2
29.0
32.9
35.0
7112.8
61393.9
0.0
0.5
16.2
16.5
20.3
26.9
34.9
40.0
9E+09
7112.9
61278.9
0.0
0.7
18.1
18.4
21.5
28.6
29.8
33.0
9E+09
7015.5
61095.2
0.0
0.8
6.2
9E+09
9E+09
9E+09
9E+09
9E+09
11.0
id
Y(東西)
X(南北)
GL
CK-00378901
7012.5
61362.6
0.0
9E+09
CK-00378902
7010.7
61299.7
0.0
CK-00378903
7018.2
61218.4
CK-00378904
7022.0
61138.9
GS-19940003
7080.5
61131.5
PK-19940003
6990.2
61357.1
PK-19940004
6994.0
PK-19960011
6991.3
PK-19980002
PK-19980003
PK-20060026
9E+09:当該にデータが無いことを示す。
表-4.3.22 表-4.3.21 の地質凡例(総合柱状図)データ(見本)
年代
地層
完
新
世
完
新
統
更
新
世
地質名
記号 境界面
堆積/侵食
色
埋土・盛土層
B
S8
堆積/侵食
D9D9D9
更
新
統
軟岩層
上部層
AU
S7
堆積
FFFF99
火山灰層
AV
S6
堆積
FF99FF
下部層
AD
S5
堆積
3399FF
上部砂礫層
DG
S4
堆積
339933
上部層
DU
S3
堆積
0066FF
下部層
DD
S2
堆積
009900
RW
S1
堆積
996633
- 56 -
(8)形状データ
サーフェスモデルは,実際に観測や計測されたデータとは異なり,ボーリングデー
タ,地表地質踏査,地質断面図や物理探査解析断面図などから空間形状と属性データ
を数学的に補間(推定)して作成した結果である。
以下に例示する各データを形状データ群として保存する(表-4.3.23 参照)。 なお,
属性データとの関係や CIM 全体像を勘案して,最も適切な管理用「ID」を付与する。
表-4.3.23 サーフェスモデルの形状データ群(案)
情 報名 (仮 称 )
サ ーフ ェス デー タ
内
容
・ 地層 境界 等の 空間形 状を 推定 した 結果 。
・ メッ シュ (四 角 )デー タと TIN(三角 )デ ータ がある 。
パ ラメ ータ デー タ
・形 状 曲面 の推定 に使 用し た数 学モ デル (例 ,Bスプ ライ ン関
論 理モ デル デー タ
・ 地層 の層 序関 係等を 論理 的に 表現 する ための デー タ。
サ ーフ ェス モデ ルデー タ
・サ ー フェ スデー タと 論理 モデ ルデ ータ から,サー フェ スモ
数 )と実際 の計 算に 使用し たパ ラメ ータ 。
デ ルを 作成 した 後のデ ータ 。
図-4.3.10 サーフェスモデルの形状データ群(イメージ)
(左 )サ ー フ ェ ス デ ー タ (メ ッ シ ュ デ ー タ )
(右 )サ ー フ ェ ス モ デ ル デ ー タ (3D-DXF)
注 詳 細 に つ い て は 「 5.5.3 論 理 モ デ ル の 作 成 に つ い て 」 を 参 照 さ れ た い 。
図-4.3.11 論理計算を行う前と後の形状データ(イメージ)
- 57 -
(9)属性データ(表-4.3.24 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な属性データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。以下は留意点である。
・形状データとリンクするための「共通 ID」を付与する。
・境界間情報を一つの属性データとしてまとめる。
・同一の境界面間であっても,図-4.1.8 に示した速度層のように水平距離により属
性データが変化する場合には,属性データの設計に十分留意する必要がある。これは,
物性値である速度層や比抵抗層の境界を境界面とする場合に発生することが多いから
である。
表-4.3.24 サーフェスモデルの属性データ(案)
情 報名 (例 )
内
容
共 通 IDコー ド 1), 深度 ,地 質情 報名 2), 堆 積(優先)順 位 3), 特記事 項な ど
地 質情 報
注記事項
1) 共通 ID コード:CIM の全段階を想定すると良い。
2) 地質情報名:地層境界などを区分する際に使用した情報のことであって,具体的には地層・
岩体区分名,地質構造区分,風化帯区分,変質帯区分,地山等級区分,地山弾性波速度層区
分,地下水位,湧水状況や地質学的留意点(リスク情報)などであるが,これらを保存したデ
ータファイル名でもよい。堆積(優先)順位が記載されている必要がある。
3) 堆積(優先)順位:地層・岩体区分等で最も下位層からの堆積順位を表す番号など。
属性データ(地質情報)は,三次元地盤モデルを三次元 CAD ツールで扱う上に必要な
属性データのインポートデータとして利用されることを想定している。
表-4.3.25 サーフェスモデルの属性データ(完成見本)
id
地質名
Surf1-31
埋土・盛土層
B
S8
Surf1-23
完新統上部層
AU
Surf1-22
完新統火山灰層
AV
Surf1-21
完新統下部層
AD
Surf1-13
更新統上部砂礫層
DG
Surf1-12
更新統上部層
Surf1-11
更新統下部層
Surf1-01
軟岩層
記号 境界面
Vs
(m/s)
N値
2.0
119
S7
4.0
S6
23.0
S5
9.0
S4
31.0
DU
S3
DD
S2
RW
S1
Vp
(m/s)
減衰常数
h
湿潤密度
3
(g/cm )
非線形
特 性
607
0.03
1.8
②
161
821
0.05
1.7
①
226
1,152
0.02
2.0
③
175
892
0.03
1.5
②
299
1,525
0.02
2.0
③
12.0
260
1,326
0.03
1.8
①
36.8
312
1,591
0.02
2.0
③
700
2,100
0.01
2.1
-
-
- 58 -
(10)データ仕様(表-4.3.26 参照)
表-4.3.26 サーフェスモデルのデータ仕様
デ ータ 種類
フ ァイ ル形 式(例 )
備
考
管 理デ ータ
CSV,EXCEL
入 力デ ータ
Original
3Dモデ ラー の仕 様によ る
形 状デ ータ
dwg,dxf, CSV
3Dモデ ラー やビ ューア の仕 様に よる
属 性デ ータ
CSV,EXCEL
属 性管 理ツ ール の仕様 によ る
- 59 -
4.3.5 ソリッド・ボクセルモデル
(1)適用
本規定は,CIM 対象業務の全ての段階で,三次元地盤モデルの一形態であるソリッ
ド・ボクセルモデル(以後,ボクセルモデル)を構築するために最低限必要なデータセ
ットと,併せて作成される属性データに関する仕様について定めたものである。
(2)概要
ボクセルモデルとは,モデル全体を小さな立方体(空間格子)の集合体として表現す
るものであって,通常はサーフェスモデル(地層などの境界面モデル)の形状と境界面
間の属性データを微小立方体に付与することにより作成される。
属性データとしては,「地層名(層序)」の他に,「弾性波速度情報」,「比抵抗情
報」,「岩級区分情報」,「岩盤分類情報」や「ルジオン値情報」などが挙げられる。
表-4.3.27 ボクセルモデルで扱う主な内容
種
類
測 定デー タ群
特
記
事
項
地 層名 (層 序 ),地下 水(位 ),透 水係数 ,ル ジオン 値,速度 値(VP,VS)
, N 値,一 軸圧 縮強 さ,密 度・ 単位 体積 重量な ど
判 定デー タ群
地 質 (岩種 )区分 ,岩級 区分 ,地 山区 分, など
(3)利用場面
地盤強度等の FEM 解析,地下水流動や浸透流解析,地震動予測や液状化危険度判定,
施工管理などを実施する場合。
関係者間協議用の資料として,あるいは住民説明用の資料として作成する場合。
(4)構築段階
調査段階では,地質解析の必要性が発生した場合に実施する。
施 工 段 階 で は , 地 質 や 土 質 に よ る 土 工 量 を 計 算 す る 場 合 に 実 施 す る (図 -4.3.12 参
照)。
なお,地質リスク等の出現により,設計段階あるいは施工段階でもボクセルモデル
を作成することがあり得る。
図-4.3.12 土工(掘削)の適用研究の例
- 60 -
4)
(5)データ構成(表-4.3.28 参照)
表-4.3.28 ボクセルモデルのデータ構成
情 報名
説
明
管 理デ ータ ・ 形状 デー タ, 入力情 報と 属性 デー タを 管理す るた めの デー タ。
・ モデル を作 成す るために 使用 した 入力 情報,モデ ラー 名称, 曲面 推定方
法 ,パ ラメ ータ 群やフ ァイ ル形 式, など 。
・モ デ ルを 作成す るた めに 参照 した ボー リング やサ ーフ ェス モデ ルに関 す
る 情報 ,な ど。
形 状デ ータ ・ 立方 体の 空間 位置と サイ ズに 関す る情 報を保 存す る。
・ 立方 体のサ イズ が全 て同 じ場 合,ボ ック スの 辺長 ,始 点座標 (X, Y, Z),
方 向 (方位 )と各 辺の個 数(Xn,Yn, Zn)を 指定す るだ けで よい 。
・三 角錐 の一 種であ る立方 体 (正四 面体 )を幾何 学的 に分 割す る場 合は ,分
割 のル ール を保 存する 。
・ 三角錐 の形 状が 全て 異る 場合 は,全 ての 格子 点の 座標 値(Xm, Ym,Zm)を
保 存す る。
属 性デ ータ ・ ボク セル に関 連づけ られ た地 質情 報, など。
・ ボク セル ごと に区分 した 属性 デー タを テーブ ルデ ータ とし てま とめる。
(6)管理データ(表-4.3.29 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な管理データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.29 ボクセルモデルの管理データ(案)
情 報名 (例 )
管 理情 報
内
容
事 業名 ,調査 名, 調査者名 ,調 査担当 者名 ,調査開 始期 日,調 査終 了期 日
,地 質情 報名 1),モ デル各 端部 2)の 座 標 3),ボ クセル の形 状デ ータ 4),サ ーフ
ェ スモ デル リン ク 5), オリ ジナ ルデ ータ リンク 6), 形状 デー タフ ァイル名,
属 性デ ータ ファ イル名 ,ジ ョイ ント デー タファ イル 名, 改訂 履歴 (実 施期
日 ,理 由, 実施 者氏名 等)
注記事項
1) 地質情報名:地層岩体区分など,属性データの地質情報名と同じ内容。
2) 各端部:正方形や長方形の場合では四隅あるいは対角部分の各座標値を指し,異形の場合は
全ての端部の座標値をさす。
3) 座標:緯度・経度,平面直角座標系の系番号と X(南北)座標・Y(東西)座標。
4) ボクセルの形状データ:立方体か三角錐体かなど,ボクセルの形状を記載すると共に,各ボ
クセルの位置を容易に検索するために必要な情報(検索のルール)。
5) サーフェスモデルリンク:ボクセルモデルを作成するために使用したサーフェスモデルデー
タ群のリンク情報(格納先の URL など)
6) オリジナルデータリンク:以下の各管理ファイルから抽出した管理データ。地質情報管理フ
ァイル(BORING.XML),ボーリングコア写真管理ファイル(COREPIC.XML),土質試験及び地盤調
査 管 理 フ ァ イ ル (GRNDTST.XML), そ の 他 管 理 フ ァ イ ル (OTHRFLS.XML), 報 告 書 管 理 フ ァ イ ル
(REPORT.XML),図面管理ファイル(DRAWING.XML)。
- 61 -
(7)形状データ(図-4.3.13 参照)
通常,ボクセルモデルとは立方体(正六面体)モデルであって,最小の形状データと
して重心位置の座標と辺の長さがあれば表現できる。
地盤の形状や性質が急変している部分にはボックスのサイズ(レベル)を小さくした
り,遷移部分には立方体を分割した三角錐モデルを併用する場合もある。
形状データの作成に当たっては,属性データ(次項)との関係および CIM 全体像を勘
案して,最も適切な管理用「ID」を付与する。
出典:日本工営資料
出 典 : 5)
図-4.3.13 ボクセルモデルの例
(8)属性データ(表-4.3.30 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な属性データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.30 ボクセルモデルの属性データ(案)
情 報名 (例 )
地 質情 報
内
容
1)
共 通 IDコー ド , ボク セル の位 置, 地質 情報名 2), 特記 事項
注記事項
1) 共通 ID コード:CIM の全段階を想定すると良い。
2) 地質情報名:地層境界などを区分する際に使用した情報のことであって,具体的には地層・
岩体区分名,地質構造区分,風化帯区分,変質帯区分,地山等級区分,地山弾性波速度層区
分,地下水位,湧水状況や地質学的留意点(リスク情報)などであるが,これらを別途保存し
たデータファイル名でもよい。
- 62 -
属性データは,三次元地盤モデルを三次元 CAD ツールで扱う上に必要な属性データ
のインポートデータとして利用されることを想定している。
表-4.3.31 ボクセルモデルの属性データ(完成見本)
BoxNo.
X軸位置
Y軸位置
Z軸位置
分 類
速度値
単位
102000
51
20
10
地山弾性波速度
1.72
km/s
102001
52
20
10
地山弾性波速度
1.72
km/s
102002
53
20
10
地山弾性波速度
1.72
km/s
102003
54
20
10
地山弾性波速度
1.72
km/s
102004
55
20
10
地山弾性波速度
1.72
km/s
102005
56
20
10
地山弾性波速度
1.75
km/s
102006
57
20
10
地山弾性波速度
1.75
km/s
102007
58
20
10
地山弾性波速度
1.75
km/s
102008
59
20
10
地山弾性波速度
1.75
km/s
102009
60
20
10
地山弾性波速度
1.75
km/s
(9)データ仕様(表-4.3.32 参照)
表-4.3.32 ボクセルモデルのデータ仕様
デ ータ 種類
フ ァイ ル形 式(例 )
備
考
管 理デ ータ
CSV,EXCEL
形 状デ ータ
dwg,dxf, CSV
3Dモデ ラー やビ ューア の仕 様に よる
属 性デ ータ
CSV,EXCEL
属 性管 理ツ ール の仕様 によ る
- 63 -
4.3.6 柱状体モデル
(1)適用
本規定は,CIM 対象業務の全ての段階で,三次元地盤モデルの一形態である柱状体
モデルを構築するために最低限必要なデータセットと,併せて作成される属性データ
に関する仕様について定めたものである。
(2)概要
柱状体モデルとは,サーフェスモデル(地層などの境界面モデル)を真上から見て小
さな格子(メッシュ)に区分し,メッシュ内の境界面間の属性データと関連付けること
により作成されたモデルである。
地震動予測の分野では「鉛直一次元地盤柱状体モデル」と呼ばれることがある。
属性データとしては,「地層名(層序)」の他に,「弾性波速度情報」,「比抵抗情
報」,「岩級区分情報」,「岩盤分類情報」や「ルジオン値情報」などが挙げられる。
表-4.3.33 柱状体モデルで扱う主な内容
種
類
特
デ ータ群
記
事
項
地 層名 (層 序 ), 速度値 (VP, VS),減 衰常 数, N値, 非線 形特 性な ど
(3)利用場面
CIM 対象構造物に対して,三次元地盤モデルを使用して計測震度予測や液状化危険
度の判定等(両方併せて以後,地震動予測)を実施する場合。
マイクロゾーニングのために,三次元地盤モデルを使用して地震動予測や液状化危
険度予測を実施する場合。
(4)構築段階(CIM の場合)
調査段階で地震動予測の必要性が発生した時。 なお,地質リスク等の出現により,
設計段階あるいは施工段階でも柱状体モデルを作成することがあり得る。
(5)データ構成(表-4.3.34 参照)
表-4.3.34 柱状体モデルのデータ構成
情 報名
説
明
管 理デ ータ ・ 形状 デー タ, 入力情 報と 属性 デー タを 管理す るた めの デー タ。
・柱 状体 モデ ル全体 の形状 に関 する 情報 ,座 標系に 関す る情 報や ファイ ル
形 式, など 。
・柱 状体 モデ ルを作 成する ため に参 照し たボー リン グや 現地 調査 結果 ,な
ど に関 する 情報 。
形 状デ ータ ・ メッ シュ 全体 の座標 系と 各メ ッシ ュの 位置座 標に 関す る情 報。
・ 各メ ッシ ュの 地層な どの 境界 に関 する 情報
属 性デ ータ ・ それ ぞれ の柱 状体に 関連 づけ られ た地 質情報 ,な ど。
・ 柱状 体ご とに 区分し た属 性デ ータ をテ ーブル デー タと して まと める。
- 64 -
(6)管理データ(表-4.3.35 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な管理データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.35 柱状体モデルの管理データ(案)
情 報名 (例 )
管 理情 報
内
容
事 業名 ,調査 名, 調査者名 ,調 査担当 者名 ,調査開 始期 日,調 査終 了期 日
,地 質情 報名 1),メ ッシュ 端部 2)の 座 標 3),メ ッシュ の形 状デ ータ 4),サ ーフ
ェ スモ デル リン ク 5), オリ ジナ ルデ ータ リンク 6), 形状 デー タフ ァイル名,
属 性デ ータ ファ イル名 ,ジ ョイ ント デー タファ イル 名, 改訂 履歴 (実 施期
日 ,理 由, 実施 者氏名 等)
注記事項
1) 地質情報名:地層岩体区分など,属性データの地質情報名と同じ内容。
2)メッシュ端部:通常長方形が採用されるので,四隅あるいは対角部分の各座標値を指す。
3) 座標:緯度・経度,平面直角座標系の系番号と X(南北)座標・Y(東西)座標。
4) メッシュの形状データ:各メッシュのサイズ。広域の場合には,国土地理院の地理メッシュ
コードの五次あるいは六次が使われることが多い。
5) サーフェスモデルリンク:各境界面を推定するために使用したサーフェスモデルデータ群の
リンク情報(格納先の URL など)
6) オリジナルデータリンク:以下の各管理ファイルから抽出した管理データ。地質情報管理フ
ァイル(BORING.XML),ボーリングコア写真管理ファイル(COREPIC.XML),土質試験及び地盤調
査 管 理 フ ァ イ ル (GRNDTST.XML), そ の 他 管 理 フ ァ イ ル (OTHRFLS.XML), 報 告 書 管 理 フ ァ イ ル
(REPORT.XML),図面管理ファイル(DRAWING.XML)。
(7)形状データ(図-4.3.14 参照)
柱状体モデルとは,任意のボーリングモデルを,それが属するメッシュ全体の特徴
(形状と属性)と見なしたものと考えてよい。
ボクセルモデルに比べ,鉛直(深度)方向の分割が地層の数だけで良いため,計算に
使用するメモリーを減らせる効果がある。
ボー リン グモ デル
凡
例
1層
2層
ボ ーリ ング モデ ルを
3層
所 属す るメ ッシ ュに
拡 張す る= 柱状 体モ デル
4層(工学基盤)
5層(地震基盤)
図-4.3.14 ボーリングモデルと柱状体モデルの関係(イメージ)
- 65 -
一般的に,メッシュは東西・南北方向に等間隔が基本である。
・直交座標系の場合,例えば南西端部の座標値と東西方向と南北方向の間隔を指定
すれば,各メッシュの位置と範囲は自ずから定まる。 また,比較的大きな範囲を
扱う場合では,国土地理院の経緯度から誘導される地図メッシュ(例,六次メッシ
ュ)がそのまま使用できる。
・ボクセルモデルと異なって,深さ方向(Z 方向)は地層(層序)境界面の深度(標高)
が採用されるが,各メッシュによって深度(標高)の値が異なるため,各メッシュ
の情報は属性データとして表現した方が利便性が高い。
形状データの作成に当たっては,属性データ(次項)との関係および CIM 全体像を勘
案して,最も適切な管理用「ID」を付与すること。
(8)属性データ(表-4.3.36 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な属性データが異なると想定される
ため,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.36 柱状体モデルの属性データ(案)
情 報名 (例 )
地 質情 報
内
容
共 通 IDコー ド 1), メッ シュ の位 置, 地質 情報名 2), 特記 事項
注記事項
1) 共通 ID コード:CIM の全段階を想定すると良い。
2) 地質情報:サーフェスモデルで地層境界などを区分する際に使用した情報のことであって,
具体的には地層・岩体区分名,地質構造区分,風化帯区分,変質帯区分,地山等級区分,地
山弾性波速度層区分,地下水位,湧水状況や地質学的留意点(リスク情報)などであるが,こ
れらを別途保存したデータファイル名でもよい。
属性データは,三次元地盤モデルを三次元 CAD ツールで扱う上に必要な属性データ
のインポートデータとして利用されることを想定している。
表-4.3.37 柱状体モデルの属性データ(完成見本)
深度
(m)
減衰常数
h
湿潤密度
(g/cm 3 )
607
0.03
1.8
②
821
0.05
1.7
①
226
1,152
0.02
2.0
③
167
852
0.03
1.9
②
9.0
175
892
0.03
1.5
②
Ac
8.0
192
979
0.03
1.8
①
Dg
31.0
299
1,525
0.02
2.0
③
M3
Dc
12.0
260
1,326
0.03
1.8
①
G2
Dg
36.8
312
1,591
0.02
2.0
③
G2
Dg
50.0
338
1,722
0.02
2.1
③
RW
-
700
2,100
0.01
2.1
-
ID
堆積
順位
BEDnnn1-11
11
1.5
埋土
B
As
2.0
119
BEDnnn1-10
10
2.6
粘性土層
M1
Ac
4.0
161
BEDnnn1-09
9
7.5
礫質土層
G1a
Ag
23.0
BEDnnn1-08
8
9.7
砂質土層
S1a
As
7.5
BEDnnn1-07
7
10.7
砂質土層
S1v
As
BEDnnn1-06
6
17.2
粘性土層
M2
BEDnnn1-05
5
19.6
礫質土層
G2
BEDnnn1-04
4
20.6
粘性土層
BEDnnn1-03
3
27.0
礫質土層
BEDnnn1-02
2
43.2
礫質土層
BEDnnn1-01
1
−
地層・岩体区分
基盤面
記号
実測 N 値
- 66 -
Vs
(m/s)
Vp
(m/s)
非線形
特 性
(9)データ仕様(表-4.3.38 参照)
表-4.3.38 柱状体モデルのデータ仕様
デ ータ 種類
フ ァイ ル形 式(例 )
備
考
管 理デ ータ
CSV,EXCEL
形 状デ ータ
dwg,dxf, CSV
3Dモデ ラー やビ ューア の仕 様に よる
属 性デ ータ
CSV,EXCEL
属 性管 理ツ ール の仕様 によ る
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4.3.7 パネルダイアグラム
(1)適用
本規定は,CIM 対象業務の全ての段階で,パネルダイアグラムを構築するために最
低限必要なデータセットと,併せて作成される属性データに関する仕様について定め
たものでる。
(2)概要(表-4.3.39 参照)
パネルダイアグラムは,三次元地盤モデル(サーフェスモデル,ソリッドモデル)に
任意に設定した断面線で切り出した断面図(パネル)群であって,形状データ(オブジェ
クト型)と地質情報などの属性データから構成される。
通常,切り出すパネルは複数枚であること,鳥瞰図として立体視化されることが多
いため,このような断面図群のことをパネルダイアグラムと呼称する。
表-4.3.39 パネルダイアグラムで扱う主な内容
種
類
図 面類 (共 通 )
特
記
事
項
・三次 元地盤 モデ ル(サー フェ スモ デル など )から 専用 ツー ル
を 使用 して 作成 された 断面 図デ ータ 。
・ 三次 元CADツ ール やビュ ーア を使 用し て三次 元的 に表 現で
き るよ うに ,必 要な空 間情 報が 付与 され ている 。
地 質断 面図 デー タ
・ 層序 に基 づく 断面図 。
・ 土質 断面 図や 簡略柱 状図 など を含 む。
物 性値 断面 図デ ータ
・ 速度 層断 面図 や比抵 抗層 断面 図な ど。
総 合解 析断 面図 データ
・地 質区 分 ,岩級 区分 ,地 下水 面 ,ル ジオン 値や速 度値 など
を 総合 的に 評価 して作 成さ れる 断面 図。
(3)利用場面
新規事業の調査段階で,地質リスクの早期検出などを目的として,既存資料や地表
踏査で得られた知見を基にして,対象範囲の概略地質状況を把握する場合。
関係者間協議用の資料として,あるいは住民説明用の資料として作成する場合。
(4)構築段階
調査段階で新規に構築され,施工段階では新しく得られた知見によって改良する。
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(5)データ構成(表-4.3.40 参照)
表-4.3.40 パネルダイアグラムのデータ構成
情 報名
説
明
管 理デ ータ ・ 形状 デー タ, 入力情 報と 属性 デー タを 管理す るた めの デー タ。
・パ ネ ルダ イアグ ラム を作 成す るた めに 使用し たオ リジ ナル の三 次元地 盤
モ デル (サ ーフ ェス モデル かボ クセ ルモ デル )に関 する 情報 (リ ンク 情報
を 含む )。
・ ボー リン グ調 査結果 や現 地調 査結 果な どに関 する 情報 。
形 状デ ータ ・サ ー フェ スモデ ルや ボク セル モデ ルか ら計算 によ って 求め られ た断面 形
状 のデ ータ セッ トであ る。
属 性デ ータ ・そ れ ぞれ の地層 (層序 )に 関連 づけ られ た地質 情報 など をテ ーブ ルデー タ
と して まと める 。
(6)管理データ(表-4.3.41 参照)
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な管理データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.41 パネルダイアグラムの管理データ(案)
情 報名 (例 )
管 理情 報
内
容
事 業名 ,調査 名, 調査者名 ,調 査担当 者名 ,調査開 始期 日,調 査終 了期 日
, パネ ルの 始点 座標 1), パ ネル の終 点座 標 1), パネ ルの 屈曲 点座 標 1), 地質
情 報名 2),オリ ジナ ルデー タリ ンク 3),形状 データ ファ イル 名,属 性デ ータ
フ ァイ ル名 ,ジ ョイン トデ ータ ファ イル 名,改 訂履 歴 (実施 期日 ,理 由,
実 施者 氏名 等)
注記事項
1) 座標:緯度・経度,平面直角座標系の系番号と X(南北)座標・Y(東西)座標。
2) 地質情報名:地層岩体区分など,属性データの地質情報名と同じ内容。
2) オリジナルデータリンク:以下の各管理ファイルから抽出した管理データ。地質情報管理フ
ァイル(BORING.XML),ボーリングコア写真管理ファイル(COREPIC.XML),土質試験及び地盤調
査 管 理 フ ァ イ ル (GRNDTST.XML), そ の 他 管 理 フ ァ イ ル (OTHRFLS.XML), 報 告 書 管 理 フ ァ イ ル
(REPORT.XML),図面管理ファイル(DRAWING.XML)。
(7)形状データ
サーフェスモデルからパネルダイアグラムを切り出す際,地層等境界面の連続性が
乱れた場合は,必要に応じて CAD で補修する。
サーフェスモデル自体に属性データは存在しないので,境界面間(例,地層や速度層)
を色塗りをする場合には,抽出後に属性データを参照して CAD ツールで加工処理する。
形状データの作成に当たっては,属性データ(次項)との関係および CIM 全体像を勘
案して,最も適切な管理用「ID」を付与する。
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(8)属性データ(表-4.3.42 参照)
基本的に「4.3.3 準三次元断面図」と同じである。
CIM 対象業務の目的や種類などによって必要な属性データが異なると想定されるた
め,全てを埋める必要は無い。
表-4.3.42 パネルダイアグラムの属性データ(案)
情 報名 (例 )
地 質情 報
内
1)
容
2)
共 通 IDコー ド , 深度 ,地 質情 報名 , 堆 積(優先)順 位 3), 特記事 項
注記事項
1) 共通 ID コード:CIM の全段階を想定すると良い。
2) 地 質 情 報 名 : パ ネ ル ダ イ ア グ ラ ム の 断 面 線 を 描 画 す る 際 に 使 用 し た 地 質 情 報 の こ と で あ っ
て,具体的には地層・岩体区分名,地質構造,風化帯区分,変質帯区分,地山等級,地山弾
性波速度層区分,地下水位,湧水状況や地質学的留意点(リスク情報)などである。なお,パ
ネルダイアグラムが案内図,概観図や参照図として利用されるだけの場合には,オリジナル
の地質断面図等に使用されている全ての凡例の中から,適宜抽出されたものでも良い。
3) 堆積(優先)順位:地層・岩体区分等で最も下位層からの堆積順位を表す番号など。
(9)データ仕様(表-4.3.43 参照)
表-4.3.43 パネルダイアグラムのデータ仕様
デ ータ 種類
フ ァイ ル形 式(例 )
備
考
管 理デ ータ
CSV,EXCEL
形 状デ ータ
dwg,dxf, CSV, png, gif
3Dモデ ラー やビ ューア の仕 様に よる
属 性デ ータ
CSV,EXCEL
属 性管 理ツ ール の仕様 によ る
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【参考-1】CIM 対象ソリッドモデルの検討
下表 に示す比較検討を行って,対象とするソリッドモデルを「ボクセル(空間格子)モデ
ル」と「柱状体モデル」の 2 種類に選定した(下図 参照)。
比較検討したソリッドモデル
種
類
特
ボクセルモデル 長所
記
事
項
採用
データ構造が単純,一意性を持つ空間形状,工具経路生成
が簡単,形状処理が簡単,干渉チェックが簡単,マスプロ
○
パティ計算が容易
柱状体モデル
CSGモデル
短所
高精度の場合データ量が膨大,他のモデルへの変換が困難
長所
データ構造が単純,形状処理が簡単
短所
高精度の場合データ量が大,他のモデルへの変換が困難
長所
データ構造が簡単,データ量が少ない,変形の再構築が容易
短所
局所変形が困難,曲面の表現が困難,表現速度が遅い,図面
○
×
化が困難
B-Repsモデル
長所
局所変形が容易,曲面の表現が容易,工具経路生成が簡単,
表現速度が速い,図面化が容易
短所
データ構造が複雑,データ量が多い,形状の正当性が保証
されない
注 CSG=Constructive Solid Geometry, B-Reps=Boundary-Representations
ソリッドモデルの種類
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×
【参考-2】モデルの見せ方(表現方法)の提案
問題点:地表面や各地層面を表示すると,その下位や内部の構造が見えなくなる。
解決案:三次元地盤モデルから求めたパネルダイアグラム群として表示。
サーフェスモデルの表面に層序区分でレンダリングした結果
サーフェスモデルから切り出したパネルダイアグラム群
6)
6
⇒ 地中内部がわからない
⇒ 地中内部がわかる。
(左 )地 表 面 を 表 示 ⇒ 地 中 が 見 え な く な る
(右 )地 表 面 を 半 透 明 で 表 示 ⇒ 地 中 は 見 え る が , 地 表 の 位 置 関 係 は わ か ら な い
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【参考-3】ビューアの性能要求の提案
要求案:ビューアという仮想空間から,実際のデータなどを引き出したい。
ステップ 1:三次元地盤モデルとポイント,ポリラインやポリゴンを同時に扱う。
・ポイント
:ボーリング(データと柱状図),孔内試験結果(データやグラフなど)
・ポリライン:地質断面図,速度層(比抵抗)断面図,総合解析断面図など
・ポリゴン
:三次元モデル作成範囲など
ステップ 2:三次元ビューアでは,三次元地盤モデルと上記各データを同時に描画し,
ポリゴンなどを一種のマーカーとしての機能を持たせ,マーカーをクリックするこ
とにより,元の詳細な情報(データ)を引き出せるようにしたら便利である。
・引 き 出 す と は ,閲 覧 の み で は
無く別ファイルとして新規
に保存できることを意味す
る。
・位 置 情 報 検 索 の 他 に キ ー ワ ー
ド検索が必要。
・ キ ー ワ ー ド 例 : 事 業 名 (調 査
・ 測 量 ・ 設 計 ・ 工 事 名 ), 路
線 名 と 同 距 離 程 ,河 川 名 と 同
距 離 程 ,地 質 名 (岩 石・土 名 ),
層序名など
①三次元地盤モデルとポイント,ポリラインやポリゴンを同時に表示する。
②ポリゴンなどをクリックすると,オリジナルの地盤情報を引き出すことができる。
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【4 章の引用/参照文献】
1)山根 裕之・椎葉
航・新
良子・小林 一郎:CIM における 3D モデルの属性利用について,
日本情報地質学会シンポジウム 2013 講演論文集,pp.49-50.,2013
2)平面直角座標への換算[国土地理院]:
3)産学官 CIM 第 1 回検討会資料(トンネル CIM)資料:
4)高尾,小林他:初期段階の地形設計への立方体地盤モデルの適用,2009 年度土木学会西部
支部研究発表会講演予稿集,pp.865-866.,2009
5)山下 亮:マルチレベルボクセルを用いた地盤の三次元モデル化手法の検討,ハザマ研究年
報(2005,12),http://www.ad-hzm.co.jp/trr/hazama/2005/pdf_file/04.PDF
6)大成建設(株):ダムグラウチング 3 次元管理システムの開発−夕張シューパロダムモデル
−,2013
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